モスクワオリンピックポイコットから、今年は29年になる。
当時の選手たちや時代を語るテレビ番組があった。
柔道の山下さん、マラソンの瀬古さんなど、有名な人は誰でも知るだろうが、その中に、長和義さんという自転車競技選手がいて、長さんの29年が語られていた。きっと長和義さんと言っても知らない人が多いだろう。
俺は競輪が競技としても好きで自転車競技に興味をもっていたから、この選手の存在も知っていたが、彼の29年を知って、非常に心をうたれた。
長さんがモスクワオリンピックに参加していたならば、きっと自転車競技の初メダル記録は、彼によって記録されていたと思うが、その実力に相応しく24時間の総てを練習に打ち込んでいた。しかし、アメリカに同調してのボイコット。彼の挫折は深くて、長さんは自転車競技を捨て、全く違う飲食の世界で時を過ごして来たらしい。
当時、涙を流して参加を訴えた選手たちの映像が流れことを記憶している人もあるだろうが、多くの人が次のオリンピックを目指した中で、一切を断って違う世界に行った思いには、どんなに深い挫折があったろうかと考えると、俺の過ごした29年に重なり、深い思いになった。
長さんは自分の暮らしを違う世界で確立され、テレビ番組の中で、あれ以来という自転車に乗って晴れやかな顔をされていた。きっと総てを乗り越えて自分の青春の総てを打ち込んだ世界に触れる気持ちになったのだろう。
長さんが乗り越えて来た思いに、俺の思いが重なり、本当に良くやったね!と声を掛けたい思いになった。人は、どんな思いも体験も乗り越えて行ける。ひたすらに生きていけば。