桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

51年

2009-09-05 | Weblog
小学校の同窓会開催通知が届いた。既に知らされていたが、いざ通知を手にしてみると感慨が湧いてきた。
俺たちが布川小学校を卒業したのは昭和33年、1958年のことだ。もう51年前になる。
それからの俺の歴史は波乱万丈だったわけだが、あのときに共に時間を過ごした同窓生たちは、どんな刻を積み重ねたのだろうか。
俺が幸せな今を生きていることなど、判らないだろうと思うが、あれこれの思いが沸き上がり、胸に込み上げるものがあった。
既に他界した布川小学校同窓生は、俺が知るだけで6人。果たして何人が集まり、どんな同窓会になるのか、楽しみだ。

垣根

2009-09-05 | Weblog
隣の当主が、俺がシャバに帰って来たとき、竹で垣根を作っていた。
隣の当主は幼なじみ。良く遊んだ。ガキ大将だった俺のことをどう思っていたかは知らないが、まあ長く刑務所へ行って帰って来るのだから、それなりに心配したと思う。
垣根を作っていた彼に挨拶したのは、もう13年前になる。だから、垣根の竹は腐り始めて倒壊が始まった。先日の台風では台所の前が一気に倒れてしまった。
もう竹は無い隣家なので、我が家の庭にある竹を切って、俺が垣根を作ったが、性格だねぇ。隣の亭主がやったのは上部が揃ってるのに、俺のは見事に不揃い!うーん、まあいいか!

朝靄の中を

2009-09-05 | Weblog
天候が回復して朝日が上り始める中、散歩に出た。好天になる印で、視界の奥は朝靄に包まれていた。少し出るのが遅かったせいか、もう沼には白鷺が一羽もいなくて、増え始めた鴨が湖面を揺らしていた。
今朝は心に残った二つの光景があった。
何時ものコースを行って利根川堤防が見える辺りに来ると、堤防上を袋を持って歩く二人連れが見えた。早足の俺が追い付くと、それは夫婦らしき二人がゴミを拾っている姿だった。こうした心が社会を支えているのだろうが、草むらには鈴虫やコオロギが鳴き、朝露が太陽に光る風景よりも爽やかな美しさを見た思いになった。
それから1キロメートルくらい川下では、苛立たし気に杖を揺らしている人が見えた。何度か会っている老人だが、両手に杖を持って、その右手を怒るように何度も振り下ろす。
どうしたのかと思いながら近づくと、どうやら犬の糞を道から除こうとしていたらしい。俺が近づくとベンチの方に行ってしまった。そういえば犬を散歩させる人も沢山いるが、何も持たない人もいる。きっと、その人たちが糞を置き去りにするのだろう。
ゴミを拾う人、犬の糞を置き去りにする人。対照的な光景をみた朝だった。