桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

共犯

2008-09-19 | Weblog
俺と杉山は共犯者とされている。二人で玉村さんを殺して金を奪ったと。
ところが、実際は、ほとんど私的な会話はしないような仲なのだ。
でも、あの事件の日に東京の兄のアパートで会ったというアリバイを、お互いに知っているから、事件について話す必要など無いのだ。
とはいえ、お互いに冤罪にされたような仲ならば、もう少し何かあっても良さそうだろうに、本当に俺たちは別々。考えもやることもね。
布川事件と言う冤罪を背負って41年。俺たちって、本当に面白い関係だと思う。いや変な「共犯」だね。

マリオン前宣伝

2008-09-19 | Weblog
昨日は、最高裁宣伝とマリオン前宣伝だった。
昼に行うのは昨日限りだったが、今までと違ってビラの受取りが良かった。マイクを握る俺に「頑張って!」と声を掛けてくれる人が4人もいた。
雨の心配もあったが、ちょうど宣伝時間は降らないですんだ。見守られてるね。
1時から日弁連へ。人権擁護委員会に呼ばれて「自白」に付いて、委員会の先生方に話した。
笑われそうだが、このところ杉山とともに「自白」について話す機会が何度もあり、何時も同じ話をすることから、今日、初めて「杉山は事実を話しているんだな」と感じた。変だよね。
杉山は北海道行きのチケットを取りに行き、朝から休みだと言っていた。それ以外、少しジュネーブの話をしただけ。本当に俺たちは、余り話をしないから、お互いがよく判らない。これも変だよね。

最高裁判所要請

2008-09-19 | Weblog
昨日は、二度目の要請日だった。
俺も朝の宣伝に参加するために、早起きして出たが、我孫子駅での架線切断事故。超満員の千代田線で行くことになった。東京に近づく度に、駅に待つ人が増えた。ホームに溢れる人が電車の傍まで一杯!窓側に立った俺は、背中から来る重圧を支えて腕が痺れるようになった。身動きできない状態になって、あの「解放されたい発作」が出る恐怖を感じた。参った。
電車は駅ごとの人波で遅れに遅れ、本来ならば、定刻の8時15分に、少し遅れて最高裁に到着する予定が、湯島駅に着いたのが9時15分くらい。残念ながら宣伝には参加できなかった。
二度と満員電車には乗りたくない。
女性が押されて背中に張り付き、身動きできないことを「参ったよ」とメールしたら、ある人は「楽しんでたんじゃないの」だって。俺の持ってる29年の獄中体験からの「拘束感」が生み出す恐怖、判らないよなあ。