桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

特別抗告批判第9弾

2008-08-22 | Weblog
俺たちを犯人にするために、当時の捜査指揮者が行った不正行為は、これまでに書いた通りに沢山ある。
その一つに看守勤務者だった者が「桜井の犯行告白の独り言を聞いた」とする捜査報告書のでっち上げがある。
その捜査報告書を引用して俺のアリバイが成立しないと、大林高検は書く。
この捜査報告書を書いたのは、確かに1967年10月15日に勤務をしていた二人、諸岡さんと関根さんだったが、内容はでっち上げ、嘘だ。
大体、独房に入れられてる者が、看守勤務者に聞こえるように「俺は杉山と二人で殺した。これから自白をするんだ。兄貴の住んでるところは警察には話さない」など、センテンスも明確に独り言を言うかい?
これは独り言じゃない。犯人役のセリフならばピッタリだ。
既に批判として書いたから、ここでは詳細は書かないが、大林高検は「桜井についても、10月15日朝、桜井が本件当日は「競輪にきて夕方布川の栄橋上で布川中宿で海老原治さんと立ち話したまでは覚えているがその後何をしたか忘れてしまったな」などと言っており、自ら主張するアリバイが虚偽であることを漏らしていたことが認められる」ごとく言う。
本当に検察は、この捜査報告書を信じてるのだろうか?
誰かと話していたと言うなら判るが、この独り言もひどいでしょ。
俺は、こんな話をした覚えがない。あり得ない。
大体、本人が確認しようもない捜査報告書の内容を使い、かつ常識外の独り言を真実であるごとく主張する特別抗告は、犯罪行為以外の何物でもない。

経験

2008-08-22 | Weblog
裁判には、経験則と言う言葉がある。
布川事件では、現場が荒らされ、床板が落下したり、ガラス戸が倒されたり、乱闘の痕跡は明白だ。
そして、ガラスが割れて部屋に飛び散っていた訳だが、検察官や裁判官は、ガラスが割れた部屋を歩く経験をしてないのだろうか?
先日、強風に煽られて姿見が倒れ、ガラスが部屋に散乱した。ガラスの散乱した部屋、恐いよ。
以前にも同じことがあり、書いた気もするが、事件現場で犯人はどうしたのだろうか?
掃除機で何度も吸い取り、それでも細かな破片が残り、歩くのも恐る恐るだった。いくら殺人をした人が興奮状態でも、ガラスが割れて足元に散ったらば、それが気にならない訳がない。架空の犯行自白には、そのリアリティーを示せる訳が無く、俺たちは歩き回ったことになっているが、ぜひ検察官には経験をしてみるがいい。
布川事件の自白は、どこを見ても不合理で不自然が多い。虚偽ゆえに当然のことだが。検察官が「虚偽自白であるとする根拠は何も見いだせない」などと書くのは、冷静な理解力を欠いているゆえなのだ。