桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

美術展

2008-08-09 | Weblog
久しぶりに上野の東京美術館へ行った。
ご支援頂いてる画家の福原先生の参加されている「平和美術展」を見に行った。そしたらば、また俺たちを描いて下さった作品があった。何度見ても、自分の姿というのは恥ずかしいような思いになる。
宮本和郎先生の絵も展示されていて、その大作を見た後、先生ご自身とバッタリ!
その後、国立博物館での美術展も見た。「対決 巨匠たちの日本美術」知ってる人、知らない人、色々だったが、円空と木喰の作品対比が一番興味深かった。ついでに縄文からの出土品を見た。もっとも心に残ったのが、一才くらいの子の足跡を焼いた土器だった。生きていた証、文字通りの足跡。人間って、何だ!
空蝉や
上野の杜の
古代展

祝う会

2008-08-09 | Weblog
我が布川事件弁護団長は、もう布川事件に関わって38年くらいになる。
土方などをして、かなり苦労して司法試験を突破し、検察官になりたかったらしい。自分が苦労して道を切り開いてきたからか、人の行いに厳しい目を持っている。
俺が初めて会ったのは土浦拘置所。「俺は杉山の弁護士だ。何で自白したのか、聞かせてくれ」なんて、切り捨てるように言いながら来たのだった。その時の眼、今も忘れられないが、汚い者を見るような嫌悪感があった。そうだよね、検事になりたかった正義感なのだから、俺のように盗みをした者など、汚いよね。昔の検察官志願者は志が違うね、今の高検、無残でしょ。
それからだね、俺が自分を意識したのは。そして、何時か、この人を信頼させてやろう!なんて思ったっけ。
あれから38年、柴田五郎先生は、俺たちと同じ思いで強盗殺人事件の冤罪を背負い、闘って来た。そして、東京高裁でも勝った。
先生の事務所の皆さんが、昨日は勝利の祝う会をしてくれた。
布川弁護団は、実にオープンで、誰でも会議に参加できる。他の冤罪事件では、弁護団が持っている証拠を支援者にも見せないなど、その閉鎖的感覚に驚くことがある。「裁判だけでは勝てない」初めて会ったときに柴田先生が言った言葉だ。驚いたよね、弁護士が裁判だけで勝てないと言うのだから。先生は社会の力を求めるのには、本当に熱心で、布川弁護団の開放性は、先生の感覚によるところが大きい。
人との出会い、支援者との出会い、それが俺を変えてくれたことを考えると、そうさせてくれた柴田先生との出会いこそ、新しい人生の始まりだったと、改めて思った。昨夜は嬉しい祝う会だった。