こどもの頃に飼っていた犬、”ポチ”が亡くなって今日で36年。なんたる月日の長さでしょうか。遂先日の出来事の様な気もするのですが、そんな事はないか。けれども、しばらく前から体調を崩していたポチを残してたまたま当日がピアノの発表会であった為、姉と私は心配しつつも出かけたのはよく覚えている。結局その途中でポチは死んでしまい、永遠の別れとなってしまった。その頃としては長生きだったけれど、わずかに11年の一生。その日、帰宅してから死を知り相当のショックを受けた。しかしそこはこども。何だかそれを現実のものとして捉えきれないところがあった様に思う。泣き伏す姉を置いて父とふたりで庭の端っこに穴を掘りお墓を作った。そして薄情にも”明日からはもうポチの事を話題に出すのはやめよう。思い出して嫌だから”と家族に宣言したのだ。それと印象深いのは父の目が涙で真っ赤になっていた事。それは悲しそうなけれどやさしいまなざしだった、と記憶している。私にとってそれは犬の死と共に刻まれた父との会話にはしないが大切な思い出だ。36年後の今になって余計にその思いを強くしている。