スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

宝塚記念&客観的

2016-06-26 19:01:38 | 中央競馬
 第57回宝塚記念
 キタサンブラックが逃げることになりました。2番手にワンアンドオンリーでその後ろがアンビシャスとトーホウジャッカル。この4頭は集団。好位にシュヴァルグラン,カレンミロティック,サトノノブレスの3頭。中団の最前列にラブリーデイとラストインパクト。その後ろにフェイムゲーム,ステファノス,マリアライトの3頭でドゥラメンテは単独でその後ろに。最初の1000mは59秒1で最近の芝のレースの傾向からしたら超ハイペースでしょう。
 3コーナーを回るとワンアンドオンリーはついていかれなくなり,サトノノブレスが2番手に。ラブリーデイはいい手応えでその外から前に接近。さらにマリアライトが押して一番外から進出。直線の入口でサトノノブレスも苦しくなりラブリーデイが単独の2番手に。ですが見た目の手応えほどの伸び脚がなく,むしろ押していたマリアライトが交わして2番手に。馬群を捌いて外に出してから伸びてきたドゥラメンテもこれに急接近して逃げたキタサンブラックと3頭が接戦での優勝争いに。最後までしぶとく脚を伸ばした中のマリアライトが優勝。クビ差の2着に外のドゥラメンテ。ハナ差の3着が内のキタサンブラック。
 優勝したマリアライトは昨年のエリザベス女王杯以来の勝利で大レース2勝目。その後は牡馬相手のレースばかり出ていてすべて入着していましたから,牝馬とはいえ能力でそう劣ることがないのは分かっていました。やや力を要して上りが掛かる馬場が得意。宝塚記念はそういうレースになりやすい上,今日は馬場も悪くなったのも味方したと思います。条件が整えば今日のように強力な牡馬を相手にしても勝つというシーンはありますが,瞬発力を要する軽い馬場になったときには牝馬同士でも苦戦しかねないというタイプの馬であると思われます。父は第47回を制したディープインパクトで父娘制覇。母の父はエルコンドルパサー。祖母がキャサリーンパー。半兄に2013年のジャパンダートダービーを勝っている現役のクリソライト。半弟に昨年の神戸新聞杯を勝っている現役のリアファル。Marialiteは宝石の名前。
 騎乗した蛯名正義騎手は皐月賞以来の大レース制覇。宝塚記念は初勝利。管理している久保田貴士調教師はエリザベス女王杯以来の大レース2勝目。

 用語の注意をしておきます。
 僕はスピノザが事物がobjectiveにあるというとき,客観的にあると訳します。これは事物が知性intellectusのうちに,あるいは思惟の様態としてあるという意味です。したがって事物Aの客観的有realitas objectivaとは,Aの観念という意味です。ですから僕たちが使い慣れたことばでいえば,この語はむしろ客観的の対義語である主観的にあるというのに近いことになります。岩波文庫版の『エチカ』では,この混乱を避けるために想念的にあると訳されていますが,想念的という語は僕の語彙にはないので,客観的とそのまま訳しています。『スピノザ哲学研究』ではたとえば231ページでobjectiveに客観的にという日本語があてられています。つまりここでは工藤は僕と同じように訳していることになります。
                                     
 174ページで工藤は一般的概念notiones communesについて説明するとき,それは客観的な認識ではないと記述しています。このとき工藤が客観的な認識でないということの意味は,主観的認識であるという意味です。『エチカ』ではobjectiveの対義語に該当するのはformalisで,これを僕は形相的と訳しています。つまり174ページで工藤がいいたいのは一般的概念は客観的なものではなく形相的なものであるという意味ではありません。むしろ事物の形相的本性の認識ではないという意味に近いことになります。
 工藤がこのようにいっているのは,一般的概念は十全な観念ではないという意味を含ませるため,というかそのことの意味を強調するためです。ですからこのような記述方を用いた理由は僕にはよく理解できます。ただ,結果としてこの本では,客観的という語が有する意味が,ふたつに分離されてしまうことになりました。工藤がどのような意味で客観的という語を用いているのかということは,その語が出てくる各々の文脈に照合して解釈すれば容易に理解できる筈です。ですから別の意味でひとつの語を使っていること自体が難点のひとつであるとはいえないと思います。けれどこの点にはよく注意しておく必要があるでしょう。

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