スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

印象的な将棋⑫-1&『スピノザ哲学研究』

2016-06-25 18:59:01 | ポカと妙手etc
 第37期女流王将戦本選トーナメント1回戦より。この将棋は中盤で変わった応酬が出たので印象に残ったのですが,まずその伏線となった部分から。
                                     
 第1図は後手が4筋の位を取ったところ。僕は村田女流二段の将棋はそんなに多く鑑賞していませんが,このような相居飛車の右玉は得意戦法のひとつのようです。
 先手はすぐさま☗4六歩と反発していきました。取るのは明らかに後手が損なので☖5四銀左。以下☗6八角☖8四歩として先手から☗4五歩と取りました。これには当然☖同銀。
 本来なら☗4六銀とぶつけたいところですが☖3六銀と交わされてしまいます。仕方がないので☗7九王と寄ったのですが☖4一飛と回られ☗4六歩☖5四銀引で4筋を巡る攻防は一時的に収束しました。
                                     
 第2図となっては先手から動いたのに後手だけが一歩を持ち駒にしたことになりますから明らかに先手の失敗。つまり第2図は後手の作戦勝ちとなっています。この後の動きはこれが両者の共通認識であったために発生したと推測されます。

 12月22日,火曜日。この日は川崎で午後5時5分に帰宅したのですが,移動中に1冊の本を読み終えました。工藤喜作の『スピノザ哲学研究』です。
                                     
 工藤の著作としては『人と思想 スピノザ』があり,これは僕もだいぶ前に読んでいました。ですがこれは入門書というべきもので,工藤によるスピノザの哲学の読解が詳細に記述されているわけではありません。工藤の研究の代表的な著作が1972年に出版された『スピノザ哲学研究』です。僕はその本の存在は知っていましたが,何しろ古いものですから,ずっと入手することができずにいたのです。それがこの年,というのは2015年のことですが,復刻版が出版されることになり,僕も手に入れることができるようになったのです。原書は東海大学出版会から刊行されたもの。復刻版は学樹出版からの刊行です。ご承知の方も多いでしょうが工藤は2010年にこの世を去っています。復刻版には娘である工藤寿子の「父,工藤喜作のこと」という附録が収録されています。
 発行日は去年の5月10日になっています。長らく読みたいと思っていた本ですから,入手したのも発行からそれほど長い時間が経過した後ではなかったと思います。僕は入手はしてもそれをすぐに読み始めるとは限りません。いつ入手し,またいつ読み始めたのかということまでははっきりと覚えてはいません。ただ,この本は相当の量がありますから,簡単に読み終えるということは僕にはできない筈で,少なく見積もっても2ヶ月,場合によっては3ヶ月くらいは掛かっただろうと思います。なので昨年の秋に読み始め,冬になって読み終えたというのは間違いありません。
 構成は三部です。第一部が「汎神論的根源直観の形成」という標題。この部分はスピノザの哲学がどういった思想を源流として産まれたかという点の研究です。したがってこの部分は哲学的内容に関する研究とは少し異なっているといえるでしょう。第二部の標題は「体系の合理化」で第三部は「神の認識と宗教」です。これらはいずれも哲学的内容に関する論考になっています。ただし,部分的にいえば国家論や政治論に近い研究も含まれています。

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