スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

表彰選手&方法論

2024-01-30 19:31:09 | 競輪
 昨年の競輪の表彰選手が23日に発表されています。このブログに関連する部門だけ紹介します。
 MVPは大阪の古性優作選手。全日本選抜競輪,高松宮記念杯,寛仁親王牌とGⅠを3勝。前橋記念福井記念を制覇。MVPはグランプリの優勝選手が選出されるケースが多いのですが,昨年はGⅠ3勝の方が高く評価されました。これはこれであり得る評価だと思います。2021年以来となる2年ぶり2度目のMVPです。
 優秀選手賞は3人。まず広島の松浦悠士選手。ウィナーズカップ,サマーナイトフェスティバル,KEIRINグランプリとビッグを3勝。小松島記念を制覇。グランプリを勝っていてMVPを逃していますので当然です。2019年,2020年,2021年,2022年に続いて5年連続5度目の優秀選手賞。
 ふたり目は栃木の真杉匠選手。オールスター競輪競輪祭でGⅠを2勝。宇都宮記念を制覇。これもGⅠを2勝しているのですから当然でしょう。初表彰です。
 3人目は岐阜の山口拳矢選手。日本選手権競輪を優勝。伊東温泉の施設整備等協賛競輪名古屋記念を制覇。残りひとりのGⅠ優勝者ですから,3人になるのであれば当然です。優秀選手賞は初受賞。
 最優秀新人選手賞は岡山の太田海也選手。ヤンググランプリに優勝。競輪の出走は少なく,競技に比重を置いていなければもっと勝っている選手です。
 特別敢闘選手賞は福井の脇本雄太選手。和歌山記念,豊橋記念,武雄記念に優勝。昨年はビッグを勝つことができなかったのですが,古性が3勝したのには大きく貢献しました。脇本の力が落ちたというより,古性が強くなったという面が大きそうです。特別敢闘選手賞は初受賞。

 『スピノザー読む人の肖像』で指摘されている『デカルトの哲学原理Renati des Cartes principiorum philosophiae pars Ⅰ,et Ⅱ, more geometrico demonstratae』に関する注意点はこれだけです。ただ,このことをいったのであれば,僕の方からつけ加えて注意を促しておきたいことがあります。
                                        
 かつて僕自身も指摘したように,『デカルトの哲学原理』というのはスピノザによるデカルト哲学の解説書ではあるのですが,スピノザ自身はデカルトRené Descartesの哲学のすべてを肯定していたわけではありません。このことは序文でマイエルLodewijk Meyerもそう書いている通りです。なのでこの本の中にスピノザの考え方が反映されている面があるのであって,とくに確実性certitudoとはどのようなことであるのかということを示すのにあたって,第一部の緒論の中には,デカルトだったらこのようにはいわないのではないかと思われるようなことが含まれています。スピノザは確かに慎重に,それがデカルトの哲学の中で解決することができるようになっていると読めるような書き方はしているのですが,僕は明らかにスピノザがスピノザ自身の考え方の下に,確実性について説明しているというように思えるのです。
 しかしそうはいってもデカルトの哲学の解説書なのですから,公理系の中ではデカルトが否定するnegareようなことが含まれていてはよろしくありません。スピノザもその点は念入りに考えていたものと思います。ところがスピノザは,『省察Meditationes de prima philosophia』の公理Axiomaをそのままその順序で採用するのではなく,順序に変更を加えた上に,公理の文言も削ってしまうなどの変更をしています。それがなぜかといえば,デカルトの哲学の内容を正しく説明する上で,そのようにしなければならないとスピノザが考えていたからです。これがどういうことなのであるのかといえば,デカルトはデカルトがよいと思った方法で自身の哲学を公理系として示したのですが,デカルトがよいと思ったその方法を,スピノザはよい方法であるとは思わずに,その方法には変更が加えられなければならないと判断したということなのです。つまりデカルトとスピノザとの間には,単に哲学の内容に差があったというだけではなく,何らかの定まった思想を綜合的に示す方法論の上でも差異があったのだと解さなければならないのです。
コメント
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