スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

霧島酒造杯女流王将戦&同一の実体

2023-10-11 19:08:18 | 将棋
 7日に霧島ファクトリーガーデンで指された第45期女流王将戦七番勝負第一局。対戦成績は西山朋佳女流王将が7勝,香川愛生女流四段が1勝。
 霧島酒造の社長による振駒は歩が3枚で西山女流王将の先手。初手をなかなか指さなかったのですが,☗7六歩☖3四歩に☗8六歩でした。結果的に先手の向飛車に後手の香川女流四段が居飛車。互いに金銀4枚の銀冠穴熊という戦型に進みました。
 この将棋は中盤の戦いに入った直後に先手に一失があり後手がリード。ただ,まだ中盤が終わらないうちに後手が時間切迫となったこともあり,先手が盛り返していくことになりました。
                                        
 ここはもう互角に近い形勢。ここで☖6六馬と指したのですが,これが悪手で先手に逆転を許しました。ここは☖6八角成と8六の角を成るべきでした。
 先手は☗4四歩☖同飛としてから☗8七飛。ここで☖5九角成としたのも悪く,せめて☖3一角と引いて粘るべきでした。
 飛車も角もいなくなったので☗5三歩成が実現。後手も☖5六歩☗5四金☖5七歩成でと金を作りました。
                                        
 第2図ですぐに☗4四金と取るのではなく☗5七飛☖同馬とと金を払ってから☗4四金が好手順。これで先手だけと金が残って勝勢となりました。
 西山女流王将が先勝。第二局は17日に指される予定です。

 スピノザは平行論と同一説が相反するものではなく両立するものであるというのではないかと推測したときにいったように,スピノザの哲学では神Deusの形相的本性essentia formalisが無限に多くのinfinita属性attributumによって構成されているという観点からみたときは同一説となり,それら無限に多くの形相的本性からひとつを抽出したときは平行論になります。第二部定理七備考の当該部分は,延長の属性Extensionis attributumの様態modi,主に物体corpusとその物体の観念ideaについて説明しているので,同一説よりも平行論として解釈する方がよいといえるかもしれません。ところが,この場合はそうともいえないのです。
 この部分は,神の形相的本性が無限に多くの属性によって構成されているということを無視しても成立します。物体と物体の観念が同一物であるということは,延長の属性と延長の属性に対応する思惟の属性Cogitationis attributumだけがあるとしても成立するからです。とくにその直前に,延長する実体substantiaと思惟する実体は同一の実体であるといわれていることからして,ここではこれらふたつの属性だけが念頭に置かれているということは明らかだといっていいでしょう。ですからこれは平行論として解釈することはできますが,同一説としても解釈することができるのです。なぜなら,もしも神の形相的本性が延長の属性で構成されていて,それに対応する思惟の属性があるということであれば,これは延長の属性が無限に多くの属性に対応しているのであって,抽出されているわけではないからです。よって,神の形相的本性が無限に多くの属性によって構成されるという観点からみた場合に同一説として考えられるのと同じ理由によって,延長の属性だけが神の形相的本性を構成しているのであれば,延長の属性とそれに対応する思惟の属性の関係も,同一説として考えられることになるのです。
 同一説を採用するときの利点は,この点に由来すると僕は考えます。というのは,確かに神の本性essentiaは無限に多くの属性によって構成されていて,神は必然的にnecessario存在するのですから,無限に多くの属性というのがあるのであって,そのことを僕たちは十全に理解するのだとしても,僕たちはそれら無限に多くの属性を認識するcognoscereわけではないからです。
コメント
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