スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

農林水産大臣賞典TCK女王盃&第三部定理五八

2016-01-13 19:21:44 | 地方競馬
 今年の牝馬のダート路線の行方を占うことになる第19回TCK女王盃
 先手を奪ったのはノットオーソリティ。セキショウもできれば逃げたかったでしょうが,枠順の差もあり,向正面に入るところでは1馬身ほど後ろの2番手に控えて折り合いました。正面ではこの後ろに3頭が並んでいたのですが,最も外にいたホワイトフーガが1馬身ほど後ろの単独の3番手に。また同じくらいの差でディアマイダーリンが4番手。同じくらいの差でパワースポットとティーズアライズが併走。また1馬身くらいの差でタマノブリュネットが追走という隊列に。最初の800mは51秒5という超スローペースになりました。
 3コーナーを回るとノットオーソリティ,セキショウ,ホワイトフーガの3頭が雁行に。少し離れてディアマイダーリンとタマノブリュネットが追い,パワースポットがその後ろ。直線に入ると前3頭の外のホワイトフーガが先頭に。そのまま抜け出して後ろを寄せ付けずに快勝。マークされた形の2頭は苦しくなり,大外を伸びたパワースポットが1馬身4分の1差で2着。セキショウを差したタマノブリュネットが3馬身差で3着。
 優勝したホワイトフーガはここがJBCレディスクラシック以来の実戦で重賞3勝目。大レースを勝ち,年齢も重ねたので斤量が増えていましたが堂々の横綱相撲での勝利。今年はこの馬がこの路線を牽引していくことになるとはっきりしました。距離が延びることはプラスとは思いませんが,エンプレス杯でも優勝候補。川崎記念を予定しているアムールブリエとの対戦がそこで実現するようなら楽しみです。父はクロフネ。母の父はフジキセキ。祖母がドバイソプラノ
 騎乗した大野拓弥騎手と管理している高木登調教師はTCK女王盃初勝利。

 Xの十全な観念idea adaequataは,Xに関する誤謬errorを排除することはできますが,Xに関する虚偽falsitasを排除することはできません。いい換えれば,ある知性intellectusのうちにXの十全な観念が現実的に存在するとしても,同じ知性のうちにXの混乱した観念idea inadaequataが発生することを防げませんし,それを除去するということもできないのです。では知性のうちにXの混乱した観念が現実的に存在するとき,その観念を排除するのは何でしょうか。それが示されているのが第二部定理一七です。ここから分かるように,もしもある知性からXの混乱した観念を排除する思惟の様態cogitandi modiが存在するとすれば,それは観念対象ideatumがXではない別の混乱した観念,たとえばYの混乱した観念なのです。
 ここの部分に,同じ受動passioではあったとしても,観念の場合と感情affectusの場合とでは大きな差があります。一般にある感情がどのように人間から除去されるのかをスピノザが示しているのは第四部定理七です。ここではある感情が別の感情によって排除されるということが示されています。一読すると混乱した観念が別の混乱した観念によって排除されるといわれているのと同じに思われるかもしれませんが,そうではありません。なぜなら,混乱した観念は精神mensの受動によって生じるものであり,したがって混乱した観念が排除される秩序ordoに関しては,受動に関連してのみいわれているのに対し,感情の場合は受動に限定して言及されているわけではなく,一般にすべての感情に関係する言及になっているからです。
                                     
 第三部定理五八をみてみましょう。
 「受動である喜びおよび欲望のほかに,働きをなす〔能動的である〕限りにおける我々に関係する他の喜びおよび欲望の感情が存する」。
 基本感情affectus primariiのうち,喜びlaetitiaと欲望cupiditasのふたつに限られていますが,スピノザが能動的な感情が存在することを認めているということはこの定理Propositioから明白でしょう。ある感情が別の感情によって排除され得るとスピノザがいう場合には,この能動的な感情の場合も含まれているのです。だからスピノザの哲学では,全面的にあるいは絶対的にとはいいませんが,能動的感情による感情の抑制が可能であるという結論になります。
コメント
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