スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

九十九島賞争奪戦&レンズが主題の書簡

2015-12-08 19:06:45 | 競輪
 グランプリで人気になるであろう武田が参戦してきたものの準決勝で敗退となった佐世保記念の決勝。並びは後閑‐中村の関東,野原に和田‐加藤の東日本がマーク,吉本‐山田‐井上‐岩津の西国。
 牽制となってスタートを取ったのは和田。野原が前受け。4番手に後閑,6番手に吉本の周回に。残り3周の3コーナーから吉本が発進。そのまま一気にスピードアップし,ホームで野原を叩くと後閑がこのラインに続き,前後が入れ替わって一列棒状。吉本は緩めなかったので打鐘までこの隊列のまま。野原はここから発進。ホームで前まで追いつきそうになるとすかさず山田が番手から出ていきました。野原は井上の外でよく粘りましたが最終コーナーの手前で一杯。直線の手前で山田がやや外に進路を取ると井上が内から踏み込んで優勝。マークの岩津が2車身差で2着。ずっとインを回った中村が,山田の動きで外に行った選手が苦しくなった分もあり,うまく続いて4分の3車身差の3着。
 優勝した長崎の井上昌己選手は昨年の佐世保記念以来の記念競輪優勝で通算10勝目。地元となる当地は2011年にも優勝があり3勝目。強力なライバルが不在となって九州勢には願ってもないメンバー構成に。野原の動きには注意が必要だったと思いますが,前受けとなったので吉本は自分の仕事がしやすくなったでしょう。山田もしっかりとお膳立てをしましたので,これで勝てなければ勝てるレースはないという展開になりました。結束がもたらした優勝でしょう。

 スピノザがレンズを主題に語っている書簡として,イエレスに宛てた書簡三十九があります。『フェルメールとスピノザ』では,スピノザがレンズを研磨する技術に長けていたことを示すために,フッデに宛てた書簡三十六が援用されています。ですがこの書簡は主題は哲学で,ことのついでにスピノザがフッデにアドバイスを求めたというのが全体の内容になっています。マルタンがこちらを利用したのは,書簡三十九は望遠鏡のレンズについて語られているのに対し,書簡三十六はレンズの新しい磨き皿を作るためのアドバイスを求めているからかもしれません。カメラ・オブスキュラのレンズは望遠鏡や顕微鏡のレンズとは違ったレンズだったのですから,こちらの方が説得力があるとマルタンが考えたとしても不思議ではないからです。ただ,レンズの大きさから考えると,スピノザがおそらく自宅で使用するための磨き皿は,カメラ・オブスキュラのレンズとは関係なかったろうと僕は判断します。
                                 
 イエレスは書簡三十九の内容を十全に理解することができなかったようで,さらに詳しく説明することを求めました。対してスピノザは書簡四十で答えています。ただしこちらの書簡はいろいろなことが語られていますので,主題がレンズであるとは必ずしもいえないような内容になっています。
 ライプニッツとのやり取りで遺稿集に掲載された書簡,四十五と四十六は光学を中心に語られていますので,レンズが主題になっているといえないことはありません。ですが僕の推測は,ライプニッツはスピノザと哲学的な対話をするため,接近の手段として光学を利用したというものですので,これは少なくともライプニッツにとっては名目上の主題になっているにすぎないと解します。実際にスピノザとライプニッツとの間でこの後に哲学的内容を有する文通が行われたということは,シュラーがスピノザに宛てた書簡七十から明白です。なのでこのやり取りに関しては,主題はレンズではなかったというのが僕の判断になります。
 書簡三十九はスピノザがイエレスの質問に答えたものです。遺稿集の編集者はなぜこれを掲載の価値ありと判断したのでしょうか。
コメント
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