スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

王将戦&第三部定理六

2009-03-12 19:42:46 | 将棋
 深浦康市王位が二冠に輝くのか,羽生善治王将が最終局に持ち込むのか。昨日から指されていた第58期王将戦七番勝負第六局が決着しました。
 羽生王将の先手で深浦王位の4手目△3三角戦法。後手が四間飛車から中飛車に戻すという指し方。この手損を咎めようと先手が果敢に仕掛けました。後手が先に先手玉近くの香車を取って馬を作り,その馬を引き付けて1日目が終了しました。
           
 よってこの第1図が封じ手の局面で,▲4四同飛。もちろんこれは分かっていて馬を引いたのでしょうが,これでは引いた手の価値はかなり低かったように思います。以下△同歩▲3三歩成△同金と駒損を解消された後,▲1六角に△3四香と受けなければならないのも辛い感じ。さらに次の▲2二歩が軽妙な一着であったようです。
           
 後手はここで△2八飛から攻め合いに活路を見出そうとしましたが,▲2一歩成以下このと金が大活躍して先手が駒得を重ね,最後は受けに回って受け切り勝ち。先手の快勝というか圧勝ということばが相応しい一局だったように思います。感想戦にもありますが,第1図の時点で後手はもう失敗しているようです。
 どうもこのシリーズはこのように一方的な内容になることが多いのですが,それでもスコアはちゃんと3勝3敗になるのがこの両者のタイトル戦の面白いところ。最終第七局は25日と26日に指されます。

 自己保存の法則を『エチカ』のうちで示している定理のうち,第三部定理六の方はまだこのブログでは取り上げたことがありませんでしたので,簡単にではありますが,今後のためにもここで紹介しておくことにします。
 「おのおのの物は自己の及ぶかぎり自己の有に固執するように努める」。
 ここでいう努めるというのは,努力するというような意味で理解するとたぶんおかしなことになって,むしろ本性のうちにそうした傾向を有するという程度に理解した方がよいだろうと思います。努力するということのうちにはどこかそれを志向するような意志が介在するように受け取れるのですが,スピノザはそういうことに関してはむしろ明確に否定するでしょう。ここには意志ということばで表されるよりは,欲望とか欲求ということばのニュアンスで示されるものの方がより多く含まれてるといえると思います。実際に各々のものが自己の有に固執することを欲求するということを,スピノザは認めるであろうと思います。なぜなら,あるものがある傾向を有するということと,あるものがそれを欲求するということとの間には,あるものを対象化して説明しているのか,主体として説明しているのかという相違だけがあるように思えるからです。
 これがなぜ自己保存の法則になるのかということに関しては,とくに説明の要はないものと思います。というか,このように説明されることについて僕はそれを自己保存の法則ということばで示そうとしているというように理解してください。
 なお,これは定理ですから本来ならば証明することが必要なのですが,このこと自体は今回の闘病記そのものと密接に関係しているというわけではありませんから省略することにします。
コメント
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