学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表
10月29日、米国の今年7~9月期のGDP〔国内総生産〕が前年同期比
年率で3.7%増加したと米商務省が発表した。エコノミストの予測4.3%を
下回ったが、悪くないが良くもない。なんとなくスッキリしないというのが
正直な評価のようだ。
米国株式市場は、GDPデータも気になるが、原油相場の動向の
方に関心が高い。なんといっても、11月2日の米大統領選挙を控えて
株どころではないようだ。投資家は気もそぞろ、株価は1日中上げたり
下げたりしていた。
ただ、株取引終了前にミシガン大学の10月の米消費者信頼感指数が、
9月の94.2から91.7へ下げたが、予測の88ポイントを大きく上回った
ことを好感して前日比22ポイント上げて、10,027ポイントで取引を
終了したと外電は伝えている。
米大統領選挙は、ブッシュさんとケリーさんが首の差のレースを展開
している。どちらが勝つか全く余談を許さぬ状勢と伝えられる。4年前と
同じで1日では新しい大統領が決まらないのではないかという不安が
消えていないそうだ。
米GDPを発表した米商務長官のJohn Snow氏は、「ブッシュ政権は
インフレなき力強い成長を続けていることがわかった。GDP統計に
大いに勇気づけられた」と胸を張ったそうだ。
一方、ケリー陣営のスポークスマンは、米GDP発表を受けて、
中産階級の所得層にとっては失望である。期待はずれであった。」と
ブッシュ政権を厳しく非難した。
為替市場でも、いまひとつはっきりしない中身のGDP統計発表を
受けて、方向感の乏しい動きに終始した。週明けの火曜日の大統領
選挙前にして、ドルの持ち高を整理する動きが出たようだ。
ドルは、対ユーロで前日の1.2738ドルから1.2791ドルへ、
対円では、106.23円から105.81円へそれぞれ値下がりした。
ドルは、豪州、カナダ、ブラジル、チリ-など一次産品関連通貨に
対して値下がりした。中国の利上げを嫌気して下げた一次産品のなかで
金と銅相場だけが値上がりしたからだ。
株も買えない。ドルも買えないとなると行き場のない資金は
金と債券に向かうことが多い。金相場は、この日、1トロイオンス3.3ドル
上げ429.40ドルで取引を終了した。原油相場も、堅調な地合いの中
バレル84セント上げ51.76ドルで取引を終えた。
米GDP3.7%増では力不足との見方はエコノミストの間でも
多いようだ。4%以上の成長がないと米失業率の改善は難しいと
指摘されている。今回の米大統領選挙ではブッシュさんは
雇用改善を表に出して選挙戦を闘った。失業率の高い州での
接戦が多いのもそのためだ。
雇用が増えないと、国地方とも増加の一途の財政赤字をまかなえない。
貿易赤字解消にはドルを安くして輸出を増やし、輸入を減らす以外にない。
国と同じでテロ対策とヘルス・ケアコストに経費がかさみ、
米国の地方財政も火の車と伝えられる。
誰が米国の大統領になっても2005年は、米国の景気が悪くなることは
あっても良くなると見る専門家はほとんどいない。
今年7~9月の米GDPが3.7%増でも過去の記録である。
経済は生き物だ。日々変わる。10~12月は当然、
来年もGDPは年率3%成長を維持出きれば
上出来との見方が一般的である。
米大統領選挙という宴のあとが恐ろしい。原油高、
混沌たるイラク状勢、テロ不安と魑魅魍魎(ちみもうりょう)
の世界である。妖怪がウロウロしている。
GDP3.7%上昇のデータ発表に対して、気迷いの米株価、
米ドル安が正直に答を出してくれたようだ。(了)
10月29日、米国の今年7~9月期のGDP〔国内総生産〕が前年同期比
年率で3.7%増加したと米商務省が発表した。エコノミストの予測4.3%を
下回ったが、悪くないが良くもない。なんとなくスッキリしないというのが
正直な評価のようだ。
米国株式市場は、GDPデータも気になるが、原油相場の動向の
方に関心が高い。なんといっても、11月2日の米大統領選挙を控えて
株どころではないようだ。投資家は気もそぞろ、株価は1日中上げたり
下げたりしていた。
ただ、株取引終了前にミシガン大学の10月の米消費者信頼感指数が、
9月の94.2から91.7へ下げたが、予測の88ポイントを大きく上回った
ことを好感して前日比22ポイント上げて、10,027ポイントで取引を
終了したと外電は伝えている。
米大統領選挙は、ブッシュさんとケリーさんが首の差のレースを展開
している。どちらが勝つか全く余談を許さぬ状勢と伝えられる。4年前と
同じで1日では新しい大統領が決まらないのではないかという不安が
消えていないそうだ。
米GDPを発表した米商務長官のJohn Snow氏は、「ブッシュ政権は
インフレなき力強い成長を続けていることがわかった。GDP統計に
大いに勇気づけられた」と胸を張ったそうだ。
一方、ケリー陣営のスポークスマンは、米GDP発表を受けて、
中産階級の所得層にとっては失望である。期待はずれであった。」と
ブッシュ政権を厳しく非難した。
為替市場でも、いまひとつはっきりしない中身のGDP統計発表を
受けて、方向感の乏しい動きに終始した。週明けの火曜日の大統領
選挙前にして、ドルの持ち高を整理する動きが出たようだ。
ドルは、対ユーロで前日の1.2738ドルから1.2791ドルへ、
対円では、106.23円から105.81円へそれぞれ値下がりした。
ドルは、豪州、カナダ、ブラジル、チリ-など一次産品関連通貨に
対して値下がりした。中国の利上げを嫌気して下げた一次産品のなかで
金と銅相場だけが値上がりしたからだ。
株も買えない。ドルも買えないとなると行き場のない資金は
金と債券に向かうことが多い。金相場は、この日、1トロイオンス3.3ドル
上げ429.40ドルで取引を終了した。原油相場も、堅調な地合いの中
バレル84セント上げ51.76ドルで取引を終えた。
米GDP3.7%増では力不足との見方はエコノミストの間でも
多いようだ。4%以上の成長がないと米失業率の改善は難しいと
指摘されている。今回の米大統領選挙ではブッシュさんは
雇用改善を表に出して選挙戦を闘った。失業率の高い州での
接戦が多いのもそのためだ。
雇用が増えないと、国地方とも増加の一途の財政赤字をまかなえない。
貿易赤字解消にはドルを安くして輸出を増やし、輸入を減らす以外にない。
国と同じでテロ対策とヘルス・ケアコストに経費がかさみ、
米国の地方財政も火の車と伝えられる。
誰が米国の大統領になっても2005年は、米国の景気が悪くなることは
あっても良くなると見る専門家はほとんどいない。
今年7~9月の米GDPが3.7%増でも過去の記録である。
経済は生き物だ。日々変わる。10~12月は当然、
来年もGDPは年率3%成長を維持出きれば
上出来との見方が一般的である。
米大統領選挙という宴のあとが恐ろしい。原油高、
混沌たるイラク状勢、テロ不安と魑魅魍魎(ちみもうりょう)
の世界である。妖怪がウロウロしている。
GDP3.7%上昇のデータ発表に対して、気迷いの米株価、
米ドル安が正直に答を出してくれたようだ。(了)