しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

真夏の方程式

2013年06月30日 17時46分06秒 | 作品名(ま行)
第313回「おそらく、その方程式に答えは無い。それでも・・・」
以前に観た「容疑者Xの献身」がとても見応えのある作品で、かなり高い評価をした覚えのあるガリレオシリーズが5年ぶりにスクリーンに帰ってきました。テレビシリーズではパートナーを組む内海刑事の交代や、ちょっと無理やりな感じが拭えない事件など、もろ手を挙げて絶賛することが出来ない部分も多々ありましたが、今回の「真夏の方程式」の出来はどうだったのでしょうか?

某県某市にある自然があふれる美しい海に面した港町「玻璃ヶ浦」。帝都大学の准教授ガリレオこと湯川学はそこの沖合で行われる予定の海底鉱物資源開発の地元説明会にアドバイザーとして招かれていた。宿泊先として提供された「緑岩荘」は川畑夫妻とその娘・成実が営む小さな旅館で、湯川の他には東京から来た塚原という男が宿泊するだけだった。次の朝、その塚原が防波堤で遺体となって発見される。酔って散歩中に転落死したものと思われたが、死因が一酸化炭素中毒だったこと、さらにかつて東京で15年前に起きたある事件を担当した元刑事だったことで殺人事件として捜査が始まる。図らずも事件に直面した湯川は、事件を調べるうちに川畑夫妻や成実が抱える秘密を解き明かしていくことになる。それはとても悲しい、そして深い愛情に満ちた秘密だった。やがてその方程式はある答えを導き出すこととなる。

このガリレオシリーズの素晴らしいところは、ドラマ向けのお話と映画向けのお話が見事に分けられて作られているところである。このブログでも色々批判している「テレビドラマ映画」は、わざわざ劇場版として制作するほどの脚本ではなく、ましてや前後編などにするほどのお話ではないのに、無理やり映画にして観客を呼び込もうとする手法が使われています。しかし、このガリレオは違います。前作「容疑者Xの献身」も今作「真夏の方程式」もスクリーンで上映されるに相応しい見応えのある作品です。

どちらの作品も殺人事件を題材にしているので、「面白い作品」とは言えません。そしてその動機も誰かを守ろうとするがゆえに起こってしまった悲しい事件です。ネタバレになるので多くは語れませんが、犯人や秘密はさほど難しいものではありません。もしかしたら予告編を見るだけで想像できてしまう人もいるかも知れません。しかし、ドラマの本質はその事件が起こった理由や、ある人物を守ろうとする人間ドラマにあるのです。そういう意味で同じ長編小説だった「聖女の救済」が映画ではなくテレビドラマとして描かれた理由ではないかなと個人的には思っています。

そして劇中で湯川学が1番心配していた「ある人物の人生がねじ曲がったものになってしまう。」この言葉の意味が明らかになった時が心に1番響きました。劇中ではある結論が提示されますが、それが最善の結論だったかは疑問が残るところです。もし、あの時にきちんと話をしていれば事件そのものが起こらなかったかも知れない。もし、あの人の真意を確かめていたら、あの事件は・・・などなど考え始めればキリがありません。それでも彼らが出した結論は正しかったのだと思います。そしてそれはいずれ彼もわかってくれることでしょう。

作品の点数は★★★★★です。ドラマシリーズを観ていなくても、湯川学がどんな人物なのかがわかっていれば、楽しめる作品ですが、出来ればドラマを観て、登場人物の関係性がわかっていれば、さらに楽しめる作品であることは間違いありません。

とっても野暮なことですが、「この事件、杉下右京だったらどう解決しただろう?」なんて考えてしまいました。

真夏の方程式 Blu-rayスタンダード・エディション
福山雅治,吉高由里子,北村一輝,杏
ポニーキャニオン


【ランキングに参加しています。クリックにご協力を】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アフター・アース | トップ | モンスターズ・ユニバーシティ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

作品名(ま行)」カテゴリの最新記事