第427回「まさにそれは「壮絶」という言葉がピッタリだった。」
長年に渡ってウルヴァリンを演じてきたヒュー・ジャックマンが今作を最後に、この役を引退すると聞いたときに、「いつかは来ると思っていたけど、残念だ。」というのが第一印象でした。彼ほどこの役にピッタリな俳優さんはいないと思っていたから。そして予告編が公開になると私は「これは傑作になるのかも。」と思った。それくらい今回の作品「LOGAN/ローガン」に期待していました。その逆も心の底に含みながら・・・
舞台は2029年。世界は大きく変わっていた。多くのミュータントは死滅し、わずかに残った者達も存在を隠し、ひっそりと暮らしていた。かつて人類の平和の為に活躍したウルヴァリン=ローガンも、名前を変えメキシコ国境近くの街で雇われリムジンの運転手として日銭を稼ぐ日々を送っていた。彼にかつての面影はない。治癒能力は衰退し、老化も進んでいた。そんな彼の元には日光に当たることができないミュータント「キャリバン」と老衰・衰弱しテレパシー能力を制御できないプロフェッサーXが同居していた。そんなある日、彼のもとにヒスパニック系の看護師ガブリエラが助けを求めてやってきた。彼女はローラという少女をノースダコタまで送り届けて欲しいという。揉め事を避けて生きてきたローガンは依頼を断るが、彼の前にアメリカの巨大企業トランジェン社から送り込まれたピアースという男が2人の行方を探りに現れた。ガブリエラは看護師ではなくトランジェン社に勤める研究員で、ローラはその研究所で生まれた子供だった。
程なくして2人の居所は嗅ぎ付けられ、ガブリエラは殺されてしまう。やむなくローラをかくまうローガンだったが、彼の隠れ家に武装集団を引き連れてピアースが現れる。ローラを取り返そうと数人が彼女を取り囲む、すると驚くべきことが起こった。ローラの腕と足からアダマンチウムの爪が現れ、取り囲んだ屈強な男達をあっという間に切り裂いてしまったのだ。それはかつての自分を見ているようだった。からくもピアースから逃げ切ったローガン、ローラ、チャールズの3人の逃避行が始まった。
ウルヴァリンというキャラクターは屈強で、どんな攻撃も受け付けず、キズも一瞬で治癒してしまう。そんなキャラクターだった。しかし今作での彼はとても年老いて、体中にあるキズは治癒しきらずに残ったまま。歩くときは足を引きずりながら歩いている。その姿はとても痛々しく、かつてのウルヴァリンからは想像できないほどの状況になっています。爪すらまともに出ずに、自ら素手で掴むシーンでは見ているこちらが痛々しくなってしまった。さらにミュータントを取り囲む状況も最悪だ。
「フューチャー&パスト」のラストで明るい未来を掴んだはずだったのに、今作の世界観はまるで別世界になっている。新たなミュータントは生まれておらず、生きているミュータント達の能力も衰退し、生きているのがやっとの状態だ。あのプロフェッサーXですら介護が必要なほどの状態だ。年老いたローガンがプロフェッサーXを老々介護している状態を見ようとは思ってもみなかった。まったく救いが無いのだ。劇中でそんな状況は人類によって意図的に作られたものだというのは示唆されるのですが、そこに至るまでの詳しい説明は無い。というよりこの作品そのものが、今までの「X-メン」シリーズの最期を締めくくる、ある一定の結論を示す作品なのかもしれない。
個人的にはこれほど寂しい最期を見ているのは辛かった。ウルヴァリンにしてもプロフェッサーXにしても、願わくはもっと幸せな結末を迎えて欲しかったです。それでもこの作品はとても素晴らしい出来になっていました。今までのシリーズで最高の出来といっていいと思います。
「デッドプール」の大ヒットによって、この作品もR指定を前提として作られました。なので今までの作品では敵を切り裂く武器を持っていながら、直接的な表現を避けてきたウルヴァリンというキャラクターですが、今作ではそれはもう凄い事になっています。一撃で仕留めるために、頭部への攻撃や、手や足なども容赦なく切り裂き、ローラに至っては生首を小脇に抱えて登場と、ちょっとやり過ぎじゃないかというくらいの描写となっています。見る人間を選ぶかもしれませんが、ウルヴァリンというキャラクターの集大成であることは間違いないので、是非観て欲しいと思います。
作品の点数としては★★★★★です。決して楽しい作品ではありません。こんな哀しい映画は久しぶりだったかもしれません。それでも観る価値のある作品です。
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舞台は2029年。世界は大きく変わっていた。多くのミュータントは死滅し、わずかに残った者達も存在を隠し、ひっそりと暮らしていた。かつて人類の平和の為に活躍したウルヴァリン=ローガンも、名前を変えメキシコ国境近くの街で雇われリムジンの運転手として日銭を稼ぐ日々を送っていた。彼にかつての面影はない。治癒能力は衰退し、老化も進んでいた。そんな彼の元には日光に当たることができないミュータント「キャリバン」と老衰・衰弱しテレパシー能力を制御できないプロフェッサーXが同居していた。そんなある日、彼のもとにヒスパニック系の看護師ガブリエラが助けを求めてやってきた。彼女はローラという少女をノースダコタまで送り届けて欲しいという。揉め事を避けて生きてきたローガンは依頼を断るが、彼の前にアメリカの巨大企業トランジェン社から送り込まれたピアースという男が2人の行方を探りに現れた。ガブリエラは看護師ではなくトランジェン社に勤める研究員で、ローラはその研究所で生まれた子供だった。
程なくして2人の居所は嗅ぎ付けられ、ガブリエラは殺されてしまう。やむなくローラをかくまうローガンだったが、彼の隠れ家に武装集団を引き連れてピアースが現れる。ローラを取り返そうと数人が彼女を取り囲む、すると驚くべきことが起こった。ローラの腕と足からアダマンチウムの爪が現れ、取り囲んだ屈強な男達をあっという間に切り裂いてしまったのだ。それはかつての自分を見ているようだった。からくもピアースから逃げ切ったローガン、ローラ、チャールズの3人の逃避行が始まった。
ウルヴァリンというキャラクターは屈強で、どんな攻撃も受け付けず、キズも一瞬で治癒してしまう。そんなキャラクターだった。しかし今作での彼はとても年老いて、体中にあるキズは治癒しきらずに残ったまま。歩くときは足を引きずりながら歩いている。その姿はとても痛々しく、かつてのウルヴァリンからは想像できないほどの状況になっています。爪すらまともに出ずに、自ら素手で掴むシーンでは見ているこちらが痛々しくなってしまった。さらにミュータントを取り囲む状況も最悪だ。
「フューチャー&パスト」のラストで明るい未来を掴んだはずだったのに、今作の世界観はまるで別世界になっている。新たなミュータントは生まれておらず、生きているミュータント達の能力も衰退し、生きているのがやっとの状態だ。あのプロフェッサーXですら介護が必要なほどの状態だ。年老いたローガンがプロフェッサーXを老々介護している状態を見ようとは思ってもみなかった。まったく救いが無いのだ。劇中でそんな状況は人類によって意図的に作られたものだというのは示唆されるのですが、そこに至るまでの詳しい説明は無い。というよりこの作品そのものが、今までの「X-メン」シリーズの最期を締めくくる、ある一定の結論を示す作品なのかもしれない。
個人的にはこれほど寂しい最期を見ているのは辛かった。ウルヴァリンにしてもプロフェッサーXにしても、願わくはもっと幸せな結末を迎えて欲しかったです。それでもこの作品はとても素晴らしい出来になっていました。今までのシリーズで最高の出来といっていいと思います。
「デッドプール」の大ヒットによって、この作品もR指定を前提として作られました。なので今までの作品では敵を切り裂く武器を持っていながら、直接的な表現を避けてきたウルヴァリンというキャラクターですが、今作ではそれはもう凄い事になっています。一撃で仕留めるために、頭部への攻撃や、手や足なども容赦なく切り裂き、ローラに至っては生首を小脇に抱えて登場と、ちょっとやり過ぎじゃないかというくらいの描写となっています。見る人間を選ぶかもしれませんが、ウルヴァリンというキャラクターの集大成であることは間違いないので、是非観て欲しいと思います。
作品の点数としては★★★★★です。決して楽しい作品ではありません。こんな哀しい映画は久しぶりだったかもしれません。それでも観る価値のある作品です。
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