しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

シャマランレポート PART1(ネタバレ含みます。)

2006年09月26日 14時39分22秒 | 作品名(あ行)

今回から、数回に渡ってM.ナイト・シャマラン監督についてコラムを書きたいと思います。それは何故かというと、彼の作品の評価があまりにも低いからです。
以前にも書いたように、出演俳優で映画を選ぶことはないのですが、演出監督で映画を選ぶことはあります。私の好きな監督をあげると、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバークなどなど…その中の1人に今回のM.ナイト・シャマラン監督も入ります。

おそらく、このブログを観ている皆さんは「シックス・センス」はご覧になられていることでしょう。あの映画には衝撃を受けました。ありふれた設定なのに、その見事なストーリーテリングによって引き込まれ、最後の結末まで思考を停止させられ、あのエンディングには、「やられた!なんで気がつかなかった?」と完敗してしまいました。それ以来、彼の作品は全て観ていますが、「シックス・センス」以後の彼の作品に関して、世間の評価があまりにも低い事に嘆いていました。

そこで、このコラムを書こうと思い立ったのです。これから、数回に渡って「アンブレイカブル」「サイン」「ヴィレッジ」の作品の解説を書いていこうと思います。文章中にはネタバレを含みますので、これからご覧になりたい方は読まずにいてください。彼の作品はその方が楽しめますから。ここでの解釈はあくまで個人的なものです。このブログを読んだ人が「ああ、そういう観かたもあるなぁ。」「そういう風に観ると、面白くなるなぁ。」などと思ってくだされば、幸いです。

今回は、まず「アンブレイカブル」について書きたいと思います。このお話は観た時期にこのブログがあって、点数をつけているとしたら、★★★★★は間違いなかったと思います。よく目にする世間の評価は「意味がわからない」などありますが、あのお話は端的にいうと「スーパーマン」のお話なんです。監督本人も言っていますが、もしスーパーマンが現実に存在したら?というテーマなんです。
物語の中に登場する、サミュエル・L.ジャクソン扮するイライジャはスーパーマンでいう所のレックス・ルーサーであり、バットマンでのジョーカー、つまりは悪役(ライバル)であるのです。彼は、生まれつき骨が極度に弱い病気にかかっています。(この病気は実在するんですよ。)で、そんな不幸を持って生まれてきた自分を自ら「Mr.GLASS」と称しています。つまり悪役にはあだ名が付いているのが普通なので、自分のことを「悪」とし、悪に対する「善」=ヒーローを探し求めているのです。
その探し求める方法が、悪者らしく無差別爆破テロだったのです。ヒーローならば、こんな事くらいで死なないだろう。だから、この事件の中から生き残った人物こそ、自分と戦うべきヒーローなのだと考えたのです。それはとても歪んだ考え方ではあるのですが、私は納得してしまいました。

その中から、見つかったのがブルース・ウィリス扮するデヴィッドなのです。彼は若い時から、自分の力にうすうす気がつきながら、普通の人間として生きてきた…ところがイライジャの登場で少しずつ自分の能力を自覚し、その使い道を見つけていきます。それが正しき道だと信じて…しかし、協力者だと思っていたイライジャは実は「悪」であり、自分を探す為だけに多くの人々を殺してきた人間だったのです。
映画はここで終わります。イライジャは精神病院へ、デヴィッドは心に深いキズを追い途方に暮れる…
難病にかかったイライジャは、自分を「悪」とし、対する「善」を探すことで自らの存在意義を見つけたかったのです。でなくては、こんな難病を抱えた自分を神がこの世に召されるはずがないと。

映画の中には、多くの左右(上下)反対の映像が多く挿入されています。それは鏡に映った映像だったり、寝そべったベッドから見るテレビの映像だったりします。その意図は、表裏一体つまり「悪」の裏には「善」があり、「闇」の裏には「光」があるということではないでしょうか。この映画は相反する2人の人物の物語なのです。

こんな風に「アンブレイカブル」を観ると、とても面白い映画だと思うのです。さらにヒーローに付き物の弱点もしっかり用意されています。デヴィッドは水が弱点なんです。劇中ではプールに落ちて子供に助けられるシーンがあります。そんなところを用意するのも監督の徹底ぶりが垣間見られます。

この監督の作品は、一般的には「ホラー」とか「スリラー」というジャンルに分類されることが多いのですが、これから観る人はその固定概念を払拭することから始めましょう。それは、このレポートが完結する頃にはわかっていただけると思います。

次回は、「ヴィレッジ」について書きたいと思います。

アンブレイカブル [Blu-ray]
ブルース・ウィリス,サミュエル・L・ジャクソン,ロビン・ライト・ペン,スペンサー・トリート・クラーク,ジャーレーン・ウッダード
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


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【舞台】「アパッチ砦の攻防」より/戸惑いの日曜日

2006年09月17日 23時02分57秒 | 作品名(あ行)
「素直に笑えなかった…残念です。」

今回は、久しぶりに舞台のお話です。今回、観に行った舞台も脚本はやはり三谷幸喜、佐藤B作演出、「~アパッチ砦の攻防より~戸惑いの日曜日」でした。この舞台は1996年に東京ヴォードヴィルショーの為に書き下ろされた作品の再演です。タイトルだけは知っていましたが、初めての鑑賞でした。三谷幸喜脚本ということで、正直なんの心配もしていませんでした。おもしろいはずだと…

作品は三谷さんお得意の「会話劇」で「群像劇」です。登場人物14人、とあるマンションの1室で巻き起こる嘘が嘘を呼ぶドタバタコメディです。先日、鑑賞した「有頂天ホテル」を彷彿とさせるような舞台をイメージしていました。

あらすじはこんな感じ、舞台は高級マンション「フォートネス・アパッチ301号」。ここは4日前まで、鏑木研四郎が住んでいたが、借金まみれのため手放していた。しかし、娘のちよみから、婚約者の堤君を紹介したいと言われ、情けない姿みせたくない彼は、ちょっとだけ部屋を借りることにする。現在の持ち主、鴨田巌の奥さんが、たまたま電気屋に配線を依頼しているのを見て、その電気屋になりすまして、侵入。まんまと娘のちよみをだます。あとは婚約者の堤君をだませればだいじょうぶ。
…ところが、ちよみが堤君を迎えに行っている間に、本当の住人である鴨田がやって来てしまう。さらに、ちよみが離婚した前妻やら、堤君の両親までマンションに呼んでしまい、大パニック。その上、本当の電気屋に、鴨田の妻の浮気相手の不動産屋までやってきて、ひっちゃかめっちゃ。絶体絶命、どうする、鏑木研四郎…

ところが、思ったほど笑いが起こらない。もちろん会場は爆笑なんです。でも私は「どうしてそんな、すぐわかるような嘘つくの!」とか「もっとうまい嘘をつきなさいよ!」とか、余計な事を考えてしまって素直に笑えませんでした。隣に座った女性があまりにも爆笑するので、こちらが醒めてしまったっていうのもあるでしょうが。

今回は東京ヴォードヴィルショーの舞台ではないので、普段は舞台をあまりしない役者さん達が出演していました。西郷輝彦さん、中澤裕子さん、細川ふみえさん等、テレビで目にする機会が多いので、演じているキャラクターというよりも、どうしてもテレビでのイメージが先行してしまい、舞台の中のキャラクターにのめり込むことができませんでした。特に、細川ふみえさんの演じた「鴨田さんの奥様」は個人的にはもっと演技力のある人にしたほうが良かったのでは?と思ってしまいました。

そんな風に思いながらの第1幕でしたが、嘘がばれ始めた第2幕はとても面白かったです。やはり嘘をつく人間が1人よりも、数人が嘘を取り繕う様はやはり面白い!第1幕でめちゃめちゃにしたテーブルを、第2幕で見事に片付けてのエンディング。観て良かったと心から思いました。第2幕の難点を言うならば、最後の鴨田夫妻のやりとりをもっと深く表現してほしかったと思います。なんだかしっくりこなくて…

点数は★★★☆☆ってとこでしょうか。この点数に関しては、自分のせいもあると思います。会場で観ていた人達は皆さん面白かったみたいです。もっと素直に鑑賞していたらと思います。やっぱり舞台は映画と違って、こちらも楽しもうと身構えてしまいますからねぇ。映画よりも、お金がかかりますしね。

ちなみに、「鴨田」と聞いて「やっぱり猫が好き」の恩田家の隣人を思い出すのは私だけでしょうか?

「アパッチ砦の攻防」より 戸惑いの日曜日 [DVD]
佐藤B作,西郷輝彦,あめくみちこ,細川ふみえ
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X-MEN:ファイナル・デシジョン

2006年09月10日 04時16分19秒 | 作品名(あ行)
第59回「これで終わった訳じゃないみたい」

今夜の作品に関しては、観る前から満点をつける(つけたい)つもりで観に行きました。その位、今夜の作品には思い入れがあるんです。アメコミ映画好きを公言しておりますが、そのきっかけを作ったのが、このX-MENシリーズなのです。
今夜は「X-MEN:ファイナル・デシジョン」を観に行ってきました。このシリーズは1作目から、単純なアクション映画ではなく、「人種差別」や「偏見」など私達の生活の中にもある、多くの問題をミュータントという設定を使い描いているのです。決して、子供が楽しむだけの作品ではなく、そこに描かれている深いテーマを理解すると、大人も十分楽しめるシリーズだと思います。

今回の3作目で、1番心配だったのは監督がブライアン・シンガーから別の監督に変更してしまったこと。ブライアン・シンガー監督はスーパーマンの仕事を引き受けてしまっての変更でした。やはり監督が変わるというのは、映画全体に影響を及ぼす可能性があるわけで、まったく違った作品になってしまう事もあるのです。そんな心配を映画を観る前には抱えていました。ところが、そんな心配は見事に裏切ってくれました。ファイナルに相応しい素晴らしい出来になっていました。

点数は冒頭で述べたとおりに★★★★★となりました。唯一、残念だったのは個人的に1番好きなキャラクターである「サイクロップス」がこのシリーズ通して、あまり活躍してくれなかったのは、とても残念でした。今作に関しては特に・・・ネタバレになるので止めておきましょう。

思いっきり蛇足なのですが、1つだけ気になる点が・・・それはサブタイトルについてです。日本では「ファイナル ディシジョン」となっていますが、アメリカでは「THE LAST STAND」となっています。ディシジョンを辞書で調べると「解決」や「決断」となります。直訳すると「最後の決断」となります。個人的にはアメリカ版の「最後に立っていた者」(たぶんこんな意味では?)の方が好きなんですけどね。なんで変えたのでしょう?

さらにこの作品は、劇場が明るくなるまで席を立ってはいけませんよ。最後にもうひとオチありますから。それがこのシリーズが本当に最後なのか?と思わせるようなシーンなんです。どうやら、このシリーズはこれで終わった訳じゃないようです。すでにウルヴァリンを主役にしたスピンオフの企画が進行しているようです。楽しみです。

X-MEN:ファイナルディシジョン [Blu-ray]
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グエムル-漢江の怪物-

2006年09月03日 01時44分30秒 | 作品名(か行)
第58回「怪物映画として観ればよかった・・・」

今日は韓国映画「グエムル-漢江の怪物-」を鑑賞してきました。すでに映画を鑑賞する前から、各所での傑作の評を聞いてからの鑑賞だったので、ちょっと期待しすぎたような気がします。あの、おすぎさんまでが誉めていた映画だったんですよ。そりゃ期待しまよねぇ。

物語は実際にあったアメリカ軍の劇薬物不法投棄事件を基に、不法投棄された劇薬物によって生まれた怪物「グエムル」が突然現れて、人々を襲い始めるところから物語は始まります。怪物によって愛娘のヒョンソを奪われた家族が、彼女を取り戻す為に奮闘する物語です。お話そのものは、よくある設定ですよね。日本のゴジラも、確か環境破壊(原爆実験?)から生まれたという設定だったと思います。
よくあるプロットを名作「殺人の追憶」を監督したポン・ジュノがどのように料理するかを期待していました。各メディアでは、単なる怪物映画ではなく、家族愛をテーマにしていて見事に描かれているとの話。怪物との戦いも去ることながら、グッとくるような家族愛も見せてくれるものだと勝手に期待してしまっていました。

確かに、怪物の活躍ぶりは見事だし、ストーリーも良く出来ていました。しかし、所々にちょっと深い演出や、結末へ向けての盛り上がりの不足。さらに結末の不満があり、各所での大好評ぶりがなぜなんだろう?と首を傾げてしまいました。

評価のほうは、★★★☆☆ってところでしょうか。ちょっと期待しすぎたせいもあるかも知れませんが、このような点数になりました。もっと単純に怪物映画として観たら、もっと点数は高かったと思います。事前に情報を入れ過ぎて失敗したいい例になってしまいました。

あんまり難しいことを考えずに娯楽作として観れば、楽しめると思います。

グエムル-漢江の怪物-(スマイルBEST) [DVD]
ソン・ガンホ,ピョン・ヒョボン,パク・ヘイル,ペ・ドゥナ,コ・アソン
ハピネット


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