第238回「ハードボイルドというよりはハーフボイルド」
私立探偵という響きに弱い。刑事とは違い自分の裁量で動くことができ、しがらみがない。正義を振りかざすだけでなく、時には悪を利用することある。小説や映画などでは多く見かけることができるキャラクター。ところが、最近はあまり魅力的なキャラクターを見る機会は少なくなっていた。今回の「探偵はBARにいる」はひさしぶりに探偵を主役にし、今後を期待させてくれる作品でした。
舞台は札幌、歓楽街ススキノ。そこにあるバーに探偵はいる。相棒である大学生のアルバイト高田と共に、毎晩バーで酒を飲みながらオセロに興じている。束縛されることを嫌い携帯は持たない主義の探偵に依頼する時はバーの黒電話にかける。ある晩、バーの電話に「コンドウキョウコ」と名乗る人物から電話がかかる。「弁護士の南に会い、去年の2月5日にカトウはどこにいたか聞いて欲しい」という。それは簡単な依頼のはずだった。帰り道で拉致され雪穴に落とされるまでは・・・
探偵と聞けば、やはり最初に思い出すのはシャーロック・ホームズ。ポアロにフィリップ・マーロウ。日本で言えば明智小五郎や金田一耕助が挙げられるだろうか。最近ではどうしても「名探偵コナン」を列挙してしまうくらい「探偵」というキャラクターは不在だった。個人的には「濱マイク」や探偵物語の「工藤俊作」も好きなキャラクターではある。
久しぶりの私立探偵を主人公にしたこの映画に期待半分、心配半分という感じで劇場に足を運びました。結果は・・・★★★★☆と私の期待に十分応えてくれる作品でした。
やはり重要なのはキャラクター。主人公である探偵を演じる大泉洋は出会いが「水曜どうでしょう」の為、おちゃらけたイメージが先行しがちだが、そこはやはり俳優を生業としているだけあり、コミカルとシリアスを絶妙なバランスで演じていました。
脇を固める俳優さん達も魅力的で、相棒の高田を演じた松田龍平は、あくまで個人的な意見ですが、父親である松田優作に一瞬ダブるシーンなどがあり、あの飄々とした感じが工藤ちゃんを彷彿とさせてくれました。ヤクザの若頭の相田を演じた松重豊さんや新聞記者の田口トモロヲさんなど探偵映画には欠かせないキャラクターもいい味を出していました。
残念なのは警察側のキャラクターが一切出てこないこと。あれだけ死人が出ているんだから北海道警も動いていいはずだよね。新人で使えない若手刑事とか、探偵を目の敵にしている鬼警部とか、警察が事件に介入してこないのは逆に不自然かと。
あとはもちろん脚本にも難はあります。正直、とくに驚くような事件ではなく、電話の声を聴けば、誰が「コンドウキョウコ」なのかもわかります。それに探偵がまんまと乗ってしまうあたりは、ちょっと・・・と思ってしまいますが、それも探偵のキャラクターだと目をつぶりましょう。事件の真相についても、解決方法があれではちょっと救いが無さ過ぎる気がします。
それでも、久しぶりにいい探偵物を観たような気がします。原作小説がシリーズになっているので続編を期待しています。次回作ではミニクーパーなんてどうでしょう。
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私立探偵という響きに弱い。刑事とは違い自分の裁量で動くことができ、しがらみがない。正義を振りかざすだけでなく、時には悪を利用することある。小説や映画などでは多く見かけることができるキャラクター。ところが、最近はあまり魅力的なキャラクターを見る機会は少なくなっていた。今回の「探偵はBARにいる」はひさしぶりに探偵を主役にし、今後を期待させてくれる作品でした。
舞台は札幌、歓楽街ススキノ。そこにあるバーに探偵はいる。相棒である大学生のアルバイト高田と共に、毎晩バーで酒を飲みながらオセロに興じている。束縛されることを嫌い携帯は持たない主義の探偵に依頼する時はバーの黒電話にかける。ある晩、バーの電話に「コンドウキョウコ」と名乗る人物から電話がかかる。「弁護士の南に会い、去年の2月5日にカトウはどこにいたか聞いて欲しい」という。それは簡単な依頼のはずだった。帰り道で拉致され雪穴に落とされるまでは・・・
探偵と聞けば、やはり最初に思い出すのはシャーロック・ホームズ。ポアロにフィリップ・マーロウ。日本で言えば明智小五郎や金田一耕助が挙げられるだろうか。最近ではどうしても「名探偵コナン」を列挙してしまうくらい「探偵」というキャラクターは不在だった。個人的には「濱マイク」や探偵物語の「工藤俊作」も好きなキャラクターではある。
久しぶりの私立探偵を主人公にしたこの映画に期待半分、心配半分という感じで劇場に足を運びました。結果は・・・★★★★☆と私の期待に十分応えてくれる作品でした。
やはり重要なのはキャラクター。主人公である探偵を演じる大泉洋は出会いが「水曜どうでしょう」の為、おちゃらけたイメージが先行しがちだが、そこはやはり俳優を生業としているだけあり、コミカルとシリアスを絶妙なバランスで演じていました。
脇を固める俳優さん達も魅力的で、相棒の高田を演じた松田龍平は、あくまで個人的な意見ですが、父親である松田優作に一瞬ダブるシーンなどがあり、あの飄々とした感じが工藤ちゃんを彷彿とさせてくれました。ヤクザの若頭の相田を演じた松重豊さんや新聞記者の田口トモロヲさんなど探偵映画には欠かせないキャラクターもいい味を出していました。
残念なのは警察側のキャラクターが一切出てこないこと。あれだけ死人が出ているんだから北海道警も動いていいはずだよね。新人で使えない若手刑事とか、探偵を目の敵にしている鬼警部とか、警察が事件に介入してこないのは逆に不自然かと。
あとはもちろん脚本にも難はあります。正直、とくに驚くような事件ではなく、電話の声を聴けば、誰が「コンドウキョウコ」なのかもわかります。それに探偵がまんまと乗ってしまうあたりは、ちょっと・・・と思ってしまいますが、それも探偵のキャラクターだと目をつぶりましょう。事件の真相についても、解決方法があれではちょっと救いが無さ過ぎる気がします。
それでも、久しぶりにいい探偵物を観たような気がします。原作小説がシリーズになっているので続編を期待しています。次回作ではミニクーパーなんてどうでしょう。
探偵はBARにいる 通常版 [Blu-ray] | |
大泉 洋,松田龍平,小雪,西田敏行 | |
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