しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2013年05月12日 16時04分59秒 | 作品名(た行)
第308回「望まれて作られた続編だったのだが・・・」
最近ではドラマなどで見る機会が激減した「探偵」という職業を主人公として大ヒットした「探偵はBARにいる」。その続編がいよいよ公開ということで初日に劇場へ行ってきました。探偵を演じる大泉洋と相棒・高田を演じる松田龍平の絶妙なコンビネーションと独特の世界観が心地よかった前作を超える作品を期待していました。今回の作品は「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」です。

日本最北で最大の歓楽街・札幌ススキノを拠点に活動する探偵。彼はいつものようにBARにいた。ある日、探偵が足しげく通うショーパブの従業員で、友人でもあるオカマのマサコちゃんが殺された。得意だったマジックの全国大会で優勝し、祝勝会が開かれた後だった。犯人はすぐに見つかると思われたが捜査は進まないまま半年が経過した。「マサコちゃんは政界の闇に触れて殺された」といううわさを耳にした探偵は独自に捜査を開始する。時を同じくして彼を尾行してきた女がいた。彼女は有名なバイオリニストの河島弓子だった。彼女はファンでもあり友人でもあったマサコちゃんの死の真相を確かめる為に札幌まで足を運んだという。彼女から事件解決の依頼を受けた探偵は友達の死の真相を探るため、相棒の高田と共に再び札幌ススキノを駆け巡る。やがて見えてくる事件の真相とは?

タイトルまでに時間をかけ過ぎなのは目をつぶるとして、この作品の世界観と雰囲気をしっかりと引き継ぐことには成功している。ちょっと三枚目で頼りなさそうに見えるが、探偵という職業に誇りを持ち、依頼人を守るというポリシーを貫く「探偵」。いつも眠そうで、どんなに危機的状況であろうと飄々とした「相棒・高田」。2人が醸し出す独特の信頼関係みたいなものがとても心地よい作品である。しかし、どんなにキャスト陣が良かろうと、こういうお話で1番大事なのは、事件の面白さである。

残念ながら今作の事件は前作に比べると見劣りしてしまう内容でした。警察が犯人を見つけられないほど難しい事件では無かったし、結末に用意された犯人や動機も「え、そんなことが理由なの?」と思ってしまう内容だったし、政治家やヤクザ、果てには一般市民まで巻き込んで大騒動になってしまうのを見ながら、「そんなバカな・・・警察は何やってるの?」と思いながらの鑑賞でした。前作でも言ったのですが、警察内部にも魅力的なキャラクターを配して、探偵を助ける存在がいたほうが物語に深みが増すと思うのですが。

点数としては★★★☆☆です。キャスト陣には問題はありません。探偵、高田はもちろん脇を彩った俳優さん達も映画の世界観に見事に入り込み、映画を盛り上げました。問題は前述したように脚本(事件の内容)でした。取って付けたように政治家を巻き込み、犯人らしきキャラクターを登場させましたが、残念ながら逆効果でした。さらに今作はちょっとコミカルにし過ぎた感じもしました。前作で感じたハードボイルド感がかなり薄まってしまい、面白さ(軽薄さ)ばかりが目立ってしまっていたように思います。

決してつまらない作品ではないので、シリーズ化を目論んでいるのなら、もっとよく練られた脚本で続編を作ってほしいと思いました。原作通りならしょうがないのですが・・・

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大泉 洋,松田龍平,尾野真千子,ゴ リ,渡部篤郎
アミューズソフトエンタテインメント

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藁の楯 わらのたて

2013年05月05日 17時48分12秒 | 作品名(わ行)
第307回「振り上げられた拳を、振り下ろす場所はどこに・・・」
予告編はとても大事だ。個人的に好きな映画は予告編で、公開までの気持ちを高める。まったく意識していなかった作品も魅力的な予告編で、観てみようかという気持ちにもなる。そして、予告編の大事なところは本編の核心は隠しつつ観客を劇場に誘導することだ。今回の作品「藁の楯 わらのたて」は、そういう意味では予告編は素晴らしい出来だったのではないだろうか?では1番大事な本編はというと・・・

幼い少女が暴行のうえ殺されるという凄惨な事件が発生した。現場に残されたDNAから8年前にも少女への暴行殺人を起こし、半年前まで服役していた「清丸国秀」であることが判明する。警察は全国へ指名手配をするが、清丸は逃亡を続けていた。ところがそんなある日、大手全国紙の新聞に「この男を殺してください。お礼として十億円お支払いします。」という全面広告が掲載され、あるサイトのアドレスが記載されていた。
清丸が殺したのは、日本の財界を牛耳る大物・蜷川の孫娘だったのだ。心臓病を患い、老い先短い彼はその財力を使い、清丸を殺してくれる人間を募集したのだった。新聞広告が掲載された直後に、潜伏先で殺されそうになった清丸は福岡県警に自首してきた。警察は警視庁警備部SPの銘苅一基、白岩篤子ら精鋭5人を派遣し、清丸を福岡から警視庁まで移送させることに。しかし、清丸への憎悪と賞金への欲望にかられ、一般市民や警護に当たる警察官までもが5人の行く手を阻む。果たして無事に東京まで辿り着くことができるのか?

ここのところ、このブログで何度も言っているが、奇抜な設定や脚本もある程度の説得力を持って描かれなければ、なんでもアリになってしまい映画としての面白さは半減してしまう。この作品も犯罪者に対し10億円もの賞金が懸けられるという奇抜なアイデアからお話が始まっていく。これだけのアイデアでお話が進んでいたら、ただの駄作になっていたことだろう。ここで大切なプロットが登場する。それは懸けられた懸賞金にはさらに2つの条件があった。(この条件が予告編では隠されています。)この条件があることで一般市民が賞金目当てに清丸を殺すことは無くなった。その逆に清丸を殺せる人間も絞られる。ナイスなアイデアだと私は思いました。これは面白くなりそうだとも。ところが、お話はその駄作の方向へ。病院の看護婦や資金繰りに困った零細企業の社長。さらにはヤクザ風の男達まで。そして未遂に終わった彼らは蜷川の会社に契約金1億円で雇われる。自ら課した条件を自ら破るという状態に。これでは殺すつもりは無くても未遂でいいのならと、多くの一般市民が襲い兼ねない状況になってしまった。ルールは破られるだけでは面白くはならない。

ヤフーの映画ページにあるこの映画のユーザーレビューで誰かが書いていた。清丸の護送なんてヘリを使えばいいと。ロケットランチャーなんて非現実的な武器が日本では普通に手に入るわけがないのだからと。私もそれは思いました。ただ清丸を殺したいだけなら、もっと少ない金額で引き受ける人間は大勢いるでしょう。殺人教唆で逮捕されるリスクを背負ってまで、あんな方法を取らなくても秘密裏に存在を消すことは簡単に出来たでしょう。もちろんそうなのですが、それを言ったら映画になりませんからね。どんなに奇抜な設定でも観客を納得させることが出来れば、それは魅力的なプロットになる。

今作は今までも色々な作品で語られてきた問題が語られます。「犯人を殺せば、死んだ人が戻ってくるのか?」「復讐をすれば、死んだ人が喜ぶのか?」「どうすれば、犯罪被害者の心は救われるのか?」どこかで聞いたことのあるセリフの連続に、ちょっと薄っぺらい感じを受けたのは私だけでしょうか?それでいて答えは語られていません。

点数は★★★☆☆です。評価すべきは藤原竜也が演じた清丸国秀です。演技は前にも書いたように彼は舞台向きで、今作でも以前に観た作品と同じような演技でしたが、最後の最後までクズとして描かれた清丸国秀を見事に演じ切ってくれました。それこそ殺してやりたくなるくらいに。

観終わった後にあんまりいい気分になる映画ではありません。劇中と同じように犯罪被害者となった人はもちろん、近い経験をした人は気分を悪くするかも知れません。これをカンヌ映画祭で「日本のエンターテイメントだ!」と胸を張って言っていいのかは疑問が残ります。

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大沢 たかお,松嶋 菜々子,岸谷 五朗,伊武 雅刀,永山 絢斗
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