第378回「アイデアは目新しくは無いが、脚本でそれを上回ること」
また随分とご無沙汰してしまいました。ブログを書くことに費やす労力を上回るほどの作品が公開されないのが原因なのですが、ただ単にブログを書く作業が億劫になっているのが本当のところです(笑)
さて久しぶりのブログ更新ですが、今日の作品は「チャッピー」です。人類史上初の人工知能を搭載したロボットが主人公の物語と聞いて、SF映画ファンの私としては、それほど目新しさは感じませんでした。だってそのアイデアは今までたくさんの映画で取り上げられてきていたから。ですが監督の名前を聞いて「これは観なくては」と思ったのです。その監督の名前はニール・ブロムカンプです。「第9地区」で世界的な注目を浴びた監督が作った作品と聞けば、観ないわけにはいきません。
舞台は2016年の南アフリカ・ヨハネスブルク。犯罪が多発し警察がすでに機能していない状態に苦慮した政府は兵器メーカー「テトラバール社」が開発したロボット警官を導入した。その活躍は素晴らしく、犯罪率の激減に繋がった。気を良くした政府はさらに100体の追加を決める。開発者のディオン・ウィルソンはあっという間に会社を担う存在となった。ある日、ディオンは長年の夢だった学習機能を搭載した人工知能の開発に成功する。社長にその人工知能をロボット警官に搭載する実験を願い出るが、社長は現時点で成果を十分上げていると取り合ってくれない。そこでディオンは会社に無許可で、廃棄直前だった22号を持ち出し、そのデータをインストールしようとする。ところが時を同じくしてロボット警官の機能を停止させようとした犯罪グループに狙われたディオンは誘拐され彼らのアジトへと連れてこられる。ロボット警官を停止させろと脅されるが、無理だと言う、当初の目的が達成出来ないと知るとディオンを殺そうとするが、廃棄寸前の22号を見つけ、このロボット警官を仲間にしようとする。成功する確約は無かったが、銃を突き付けられたディオンは咄嗟にその機体に人工知能をインストールする。すると22号はまるで生まれたての子供のように動き始めた。「チャッピー」と名付けられた機体は急速に成長していく。ところが事態は思わぬ方向へと進み始める。
人工知能が登場する映画は今までたくさんありました。古くは「ショート・サーキット」、「ターミネーター」に登場するスカイネット、「マトリックス」のあの世界を作り出したのも人工知能。SF映画の世界ではそれほど珍しいプロットでは無いので、この作品の予告編を観た時もそれほど真新しい展開を期待してはいませんでした。ところがこの作品の展開は見事なものでした。
赤ん坊同然の無垢なチャッピーを育て始めるのは、なんと犯罪グループ。教え込まれるのは悪い事ばかり、「人を傷つけるな!犯罪はするな!」と創造者であるディオンに教えられるが、銃の扱いを覚えたり、脅し方を覚えたりと、どんな風に成長するのかヒヤヒヤしながらの鑑賞でした。さらにはディオンの活躍を妬むライバルのムーアが嫌味な行動をしたり、さらに別グループの犯罪集団が登場したりと、色んな思惑が絡み合います。しかし、決してゴチャゴチャすることなくお話は進んで行きます。
見事なのは脚本だけでなく、キャストも素晴らしいです。開発者のディオンには「スラムドッグ$ミリオネア」のデーヴ・パテール、ディオンのライバル・ムーアにはヒュー・ジャックマン。テトラバール社の社長にはシガニー・ウィーバー。そんな豪華なキャストの中でも一番光っていたのは、画面に姿を現すことの無かったチャッピーを演じた、シャールト・コプリーです。チャッピーの声とモーションアクターとして作品に参加した彼の演技は見事でした。人工知能によって生まれたばかりの演技に始まり、少しずつ成長していくチャッピー、見た目はロボットのはずなのに、確かに命を吹き込まれ、人間に迫害される姿を見ていると、こちらの心をギュッと捕まれたような感覚を覚えました。ニール・ブロムカンプ作品では必ず登場している彼ですが、こんな形での出演でも存在感を見事に見せつけてくれます。
作品の点数は★★★★★です。人工知能の是非やロボットとの共存など哲学的で難しい問題を含んでいるにも関わらず、決して難しくならずに最後までテンポ良く展開し、時間を忘れさせてくれます。そしてきちんとエンターテイメント作品として見事な結末へと導いてくれます。結末の付け方には賛否両論あると思いますが、個人的には(この作品では)しっかりとした結末を見せてくれたと思っています。
映画の最後にニュースキャスターが「続報をお伝えします。」というシーンがあるのですが、それはこの作品に続編が存在するということなのでしょうか?考えすぎですかね。
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さて久しぶりのブログ更新ですが、今日の作品は「チャッピー」です。人類史上初の人工知能を搭載したロボットが主人公の物語と聞いて、SF映画ファンの私としては、それほど目新しさは感じませんでした。だってそのアイデアは今までたくさんの映画で取り上げられてきていたから。ですが監督の名前を聞いて「これは観なくては」と思ったのです。その監督の名前はニール・ブロムカンプです。「第9地区」で世界的な注目を浴びた監督が作った作品と聞けば、観ないわけにはいきません。
舞台は2016年の南アフリカ・ヨハネスブルク。犯罪が多発し警察がすでに機能していない状態に苦慮した政府は兵器メーカー「テトラバール社」が開発したロボット警官を導入した。その活躍は素晴らしく、犯罪率の激減に繋がった。気を良くした政府はさらに100体の追加を決める。開発者のディオン・ウィルソンはあっという間に会社を担う存在となった。ある日、ディオンは長年の夢だった学習機能を搭載した人工知能の開発に成功する。社長にその人工知能をロボット警官に搭載する実験を願い出るが、社長は現時点で成果を十分上げていると取り合ってくれない。そこでディオンは会社に無許可で、廃棄直前だった22号を持ち出し、そのデータをインストールしようとする。ところが時を同じくしてロボット警官の機能を停止させようとした犯罪グループに狙われたディオンは誘拐され彼らのアジトへと連れてこられる。ロボット警官を停止させろと脅されるが、無理だと言う、当初の目的が達成出来ないと知るとディオンを殺そうとするが、廃棄寸前の22号を見つけ、このロボット警官を仲間にしようとする。成功する確約は無かったが、銃を突き付けられたディオンは咄嗟にその機体に人工知能をインストールする。すると22号はまるで生まれたての子供のように動き始めた。「チャッピー」と名付けられた機体は急速に成長していく。ところが事態は思わぬ方向へと進み始める。
人工知能が登場する映画は今までたくさんありました。古くは「ショート・サーキット」、「ターミネーター」に登場するスカイネット、「マトリックス」のあの世界を作り出したのも人工知能。SF映画の世界ではそれほど珍しいプロットでは無いので、この作品の予告編を観た時もそれほど真新しい展開を期待してはいませんでした。ところがこの作品の展開は見事なものでした。
赤ん坊同然の無垢なチャッピーを育て始めるのは、なんと犯罪グループ。教え込まれるのは悪い事ばかり、「人を傷つけるな!犯罪はするな!」と創造者であるディオンに教えられるが、銃の扱いを覚えたり、脅し方を覚えたりと、どんな風に成長するのかヒヤヒヤしながらの鑑賞でした。さらにはディオンの活躍を妬むライバルのムーアが嫌味な行動をしたり、さらに別グループの犯罪集団が登場したりと、色んな思惑が絡み合います。しかし、決してゴチャゴチャすることなくお話は進んで行きます。
見事なのは脚本だけでなく、キャストも素晴らしいです。開発者のディオンには「スラムドッグ$ミリオネア」のデーヴ・パテール、ディオンのライバル・ムーアにはヒュー・ジャックマン。テトラバール社の社長にはシガニー・ウィーバー。そんな豪華なキャストの中でも一番光っていたのは、画面に姿を現すことの無かったチャッピーを演じた、シャールト・コプリーです。チャッピーの声とモーションアクターとして作品に参加した彼の演技は見事でした。人工知能によって生まれたばかりの演技に始まり、少しずつ成長していくチャッピー、見た目はロボットのはずなのに、確かに命を吹き込まれ、人間に迫害される姿を見ていると、こちらの心をギュッと捕まれたような感覚を覚えました。ニール・ブロムカンプ作品では必ず登場している彼ですが、こんな形での出演でも存在感を見事に見せつけてくれます。
作品の点数は★★★★★です。人工知能の是非やロボットとの共存など哲学的で難しい問題を含んでいるにも関わらず、決して難しくならずに最後までテンポ良く展開し、時間を忘れさせてくれます。そしてきちんとエンターテイメント作品として見事な結末へと導いてくれます。結末の付け方には賛否両論あると思いますが、個人的には(この作品では)しっかりとした結末を見せてくれたと思っています。
映画の最後にニュースキャスターが「続報をお伝えします。」というシーンがあるのですが、それはこの作品に続編が存在するということなのでしょうか?考えすぎですかね。
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