第277回「2093年宇宙の旅」
あのリドリー・スコット監督が自身の手掛けた名作SF映画「エイリアン」の前日譚ともいえる作品を作り上げたと聞けば、SFファンのみならず映画ファンならば観ておきたいと思うのは自然な成り行きといえるでしょう。もちろんSFファンである私が見逃すわけもなく、ワクワクしながら映画館へ足を運びました。
西暦2093年。地球上の各地で発見された古代遺跡に残されていた共通の場所を指し示す壁画の数々。それらはかつて地球上に訪れていた種族が存在し、彼らの暮らす惑星の場所を示していると思われた。そして、そこへ行けば人類の起源が解き明かされるだろうと想像した科学者チームは、巨大企業ウェイランド社が出資した巨大宇宙船「プロメテウス号」に乗り込んで地球を出発した。
それから2年以上が経過し、ようやく辿り着いた未知の惑星に降り立った乗組員達は早速、調査を開始する。巨大なドーム型をした人口建造物へ入った乗組員達は次々と驚くべき発見をしていく。しかし、それは人類の来訪を歓迎するものではなく、恐怖と混乱を招くものだった。
リドリー・スコット監督が描くSFは決して明るく希望に満ちたものではない。今作「プロメテウス」も人類の起源を求めて旅をするという前向きなテーマが描かれるが、その裏ではとても個人的な思惑が暗躍し、そしてその思いはことごとく打ち砕かれる。それがこの監督の良さであり、多くの観客を引き付けるのであろう。そんな監督さしさが満載のこの作品は、決して万人向けの作品ではないが、SFファン及びリドリー・スコット監督ファンには満足できる作品だったのではないだろうか?
残念ながら、物語のすべてが劇中で解決されるわけではない。おそらくこうではなかろうかと、観客に想像させ、明確な結論を提示していないまま物語は終わりを告げる。その辺りを良しとして楽しめる人と、楽しめない人によって映画の評価は分かれるのではないかと思う。そこはこの作品のタイトルが「エイリアン」の純粋な続編として描かれたのではなく、あくまで「プロメテウス」という別のタイトルで作られたことも、そのことを示している。確かにエイリアンらしき生き物は登場するし、多くの似たようなプロットやキャラクターも登場します。しかしあくまでこの作品は「プロメテウス」なのだ。
点数は★★★★☆です。マイナス点としては、脚本や場面設定、登場する宇宙船や多くの探査装置や兵器・乗り物などはSFファンの心をくすぐってくれる素晴らしい出来だったのですが、登場するキャラクター達が中途半端に感じたこと。とくにシャーリーズ・セロンが演じたヴィッカーズ。彼女の秘密めいたキャラクターは凄く魅力的だったのに、特に秘密を持っていたわけではありませんでした。引かれた伏線も予想の範疇だったこと。その辺りがマイナス点です。それでも4つ星なのは、SF作品として見応えはありましたし、エイリアンへと続く前日譚としての役割は果たせていたように思えたからです。
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あのリドリー・スコット監督が自身の手掛けた名作SF映画「エイリアン」の前日譚ともいえる作品を作り上げたと聞けば、SFファンのみならず映画ファンならば観ておきたいと思うのは自然な成り行きといえるでしょう。もちろんSFファンである私が見逃すわけもなく、ワクワクしながら映画館へ足を運びました。
西暦2093年。地球上の各地で発見された古代遺跡に残されていた共通の場所を指し示す壁画の数々。それらはかつて地球上に訪れていた種族が存在し、彼らの暮らす惑星の場所を示していると思われた。そして、そこへ行けば人類の起源が解き明かされるだろうと想像した科学者チームは、巨大企業ウェイランド社が出資した巨大宇宙船「プロメテウス号」に乗り込んで地球を出発した。
それから2年以上が経過し、ようやく辿り着いた未知の惑星に降り立った乗組員達は早速、調査を開始する。巨大なドーム型をした人口建造物へ入った乗組員達は次々と驚くべき発見をしていく。しかし、それは人類の来訪を歓迎するものではなく、恐怖と混乱を招くものだった。
リドリー・スコット監督が描くSFは決して明るく希望に満ちたものではない。今作「プロメテウス」も人類の起源を求めて旅をするという前向きなテーマが描かれるが、その裏ではとても個人的な思惑が暗躍し、そしてその思いはことごとく打ち砕かれる。それがこの監督の良さであり、多くの観客を引き付けるのであろう。そんな監督さしさが満載のこの作品は、決して万人向けの作品ではないが、SFファン及びリドリー・スコット監督ファンには満足できる作品だったのではないだろうか?
残念ながら、物語のすべてが劇中で解決されるわけではない。おそらくこうではなかろうかと、観客に想像させ、明確な結論を提示していないまま物語は終わりを告げる。その辺りを良しとして楽しめる人と、楽しめない人によって映画の評価は分かれるのではないかと思う。そこはこの作品のタイトルが「エイリアン」の純粋な続編として描かれたのではなく、あくまで「プロメテウス」という別のタイトルで作られたことも、そのことを示している。確かにエイリアンらしき生き物は登場するし、多くの似たようなプロットやキャラクターも登場します。しかしあくまでこの作品は「プロメテウス」なのだ。
点数は★★★★☆です。マイナス点としては、脚本や場面設定、登場する宇宙船や多くの探査装置や兵器・乗り物などはSFファンの心をくすぐってくれる素晴らしい出来だったのですが、登場するキャラクター達が中途半端に感じたこと。とくにシャーリーズ・セロンが演じたヴィッカーズ。彼女の秘密めいたキャラクターは凄く魅力的だったのに、特に秘密を持っていたわけではありませんでした。引かれた伏線も予想の範疇だったこと。その辺りがマイナス点です。それでも4つ星なのは、SF作品として見応えはありましたし、エイリアンへと続く前日譚としての役割は果たせていたように思えたからです。
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