しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

パッセンジャー

2017年03月28日 22時33分27秒 | 作品名(は行)
第422回「もう少し違う描き方をしていたら、傑作だったのかも。」
前から言っているようにSF映画が大好きだ。今の科学では不可能かも知れないが、もう少し時間が経てば、科学の進歩が進んだら・・・と考えてワクワクしながら観るのが大好きです。なのでSF映画と聞けば、まずは見ておかなければと思うのです。今回の作品は「パッセンジャー」です。

時は未来。荒廃した地球を離れ、新たな植民地を求めて巨大宇宙船「アヴァロン」に乗船したのは5000人の乗客と238人の乗組員。彼らは冬眠装置で眠ったまま、約120年かかる植民星へと向かう長い旅路の途中だった。30年が経過した頃、突如として乗客の1人だったジム・プレストンの冬眠装置が動きを止めた。目覚めた彼は星に到着したのかと思ったが、事態はそう簡単ではないことはすぐにわかった。彼以外の人間は誰一人として目覚めていなかった。再び冬眠装置を動かそうとするが、予備の装置は無い。さらには装置はあくまで冬眠状態を維持するための装置で、冬眠状態に入るには別の処置が必要で、宇宙船にはその設備が無い。それは残された90年をこの宇宙船で生きること。つまり残りの人生をここで終えることを意味していた。絶望の中で自暴自棄になった彼だったが、そんな彼を救ったのは冬眠装置で眠っている1人の女性だった。彼女は作家のオーロラ・レーン。この宇宙船での事、植民地へ着いてからのことを本にまとめるのを目的に乗り込んでいた。彼女の事を知れば知るほど、思いは募るばかりだった。そして彼が目覚めて1年が経ったころ。彼はとある決断をする。それは彼女の冬眠装置を停止し、目覚めさせることだった。

作品としては想像していたものとは違っていましたが、決してつまらない作品ではありませんでした。しかし、色々と突っ込み所が多かったのも確かです。数千人規模での移民計画なのだから、あらゆるトラブルに備えていて当然。なのに冬眠装置の故障を直すことはおろか、再び冬眠することも出来ない。もちろん、そういう状況を作らなければ物語にならないのはわかります。であるならば、主人公の彼が目覚めた理由が装置の故障という「予想外のトラブル」ではなく、なんらかの重要な意味があったというほうが説得力があったと思っています。

実際に劇中では技術者である彼が目を覚ますには十分なトラブルが起こっていました。私は完全に「彼はそのトラブルを解決するために選ばれた」と思っていましたが、そのまま何と1年が経過、彼女が目覚めて、さらに1年が経過する。物語は2人の恋愛模様に焦点があたり、冒頭のあのシーンは?と疑問に思ったままお話は進んで行きました。

最近のSF映画は昔に比べると、評価が上がってきており、アカデミー賞でも作品賞候補になることも増えてきました。「第9地区」や今年度で言えば「メッセージ」などがそれにあたります。この「パッセンジャー」という作品ももう少し脚本をひねっていれば、そんな作品の1つになっていたのでは?と個人的には思っています。2人の恋愛に焦点をあてたのならば、エンディングで描かれた最後の様子(彼らの行く末)をもう少し時間をかけて描くべきだったのではと思っています。

それでも少ない登場人物でよく脚本も練られていて、最後まで睡魔に襲われることなく鑑賞できました。主役を演じたクリス・プラットも良かったし、オーロラを演じたジェニファー・ローレンスはここ数年でメキメキと頭角を現してきた女優さんなので、彼女のあの表情の変化は見事でした。2人の登場人物で終わるのかと思っていたのですが、いきなり登場した3人目の登場人物も思わぬ名優が演じていて、物語に厚みを与えてくれました。さらには船長役の名優にいたっては、たったワンシーンしか登場しないという贅沢な使い方に驚きました。

点数としては★★★★☆です。個人的には彼らがあの後どうなったのか。どのように生き、どのように死んでいったのかをきちんと描いていれば上記に述べたように傑作となっていたのではと思っています。

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ラ・ラ・ランド

2017年03月05日 23時54分05秒 | 作品名(ら行)
第421回「やっぱり苦手なのかもね・・・」
以前から公言していますが、「私はミュージカルが苦手です。」いきなり登場人物が歌いだすというあの不可思議な状況をどう理解すればいいのか?歌のシーンはファンタジーと考えればいいのか?どのように解釈すればいいのか?と色々と考えてしまうのです。おそらくミュージカル好きの人から言わせれば、そんな難しいことは考えずにただ楽しめばいいんだよ。と言われるでしょうが・・・そんな私が今回鑑賞したのは「ラ・ラ・ランド」です。

映画会社のスタジオ内にあるカフェで女優を夢見て働いているミアは、数多くのオーディションを受け続けているが、なかなか女優として芽が出ないでいた。ある日、オーディションに落ち、落ち込んでいるミアを元気付けようと友人たちと言ったパーティーだったが、さらに落ち込んで1人帰路について、夜道を歩くミアの耳にとあるバーからピアノの音色が聞こえてきた。それに導かれるようにミアは店内へと入った。そこで、ピアニストのセバスチャンと出会うが、彼は店長のいう通りの曲を弾かずにクビになり店を出ていくのだった。そんな2人が再び出会う。とあるパーティーでバンドに交じりキーボードを弾くセバスチャンにミアが声をかけた。2人は導かれるかのように恋に落ちた。

ミュージカル映画には2つのシーンがある。それは正にミュージカルシーンと通常シーンの2つである。私が苦手なのは通常シーンが突如としてミュージカルシーンとなり、再び通常シーンに戻るところだ。ミュージカルシーンをどう捉えればいいのかで困惑する。あくまでファンタジーだと捉えれば、そのシーン内で起こったことはあくまでイメージとなり、あまり重要ではなくなってしまう。逆だと考えると、あまりに不自然だ。そこを見事に作品としたのは「レ・ミゼラブル」だった。あの作品は通常シーンはほとんどなく、ほぼ全てのシーンが素晴らしい楽曲でお話が進んで行った。その事が苦手なミュージカル映画もすんなりと世界観に入り込むことができた。しかしこの「ラ・ラ・ランド」という作品はそうではなかった。

しかし、それでもアカデミー賞で歌曲賞を受賞したメインテーマを筆頭にどの楽曲もとても耳に残る印象的な曲ばかりだったし、あえて原色を使った人物の衣装もとても綺麗で作品にいい影響を与えていたことは事実です。だからこそ今年度のアカデミー賞を5部門の受賞となったのでしょう。

では私の評価はどうなのか?それは★★★☆☆です。残念ながらお話そのものは取り立てて評価を上げるような出来ではありませんでした。よくある普通の恋愛物語です。(500)日のサマーが普通の恋愛を時間軸を動かすことで、魅力的に見せたように、この作品も普通の恋愛をミュージカル仕立てにすることで、見事に描いて見せました。おそらくミュージカル映画好きな人が見たのなら満足する作品だったのかも知れません。それでもオープニングのシーンなど、素晴らしいシーンはいくつもありました。見ておいて損な作品では無いと思います。

それにしてもJ・K・シモンズは名優なのに作品を選ばずに、色んな作品に顔を出しますよね。「ターミネーター」やつい先だってみた「ザ・コンサルタント」など最近やけに目に付く役者さんの1人です。この作品でもチョイ役でいい味を出してます。

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