しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

エリジウム

2013年09月29日 23時25分50秒 | 作品名(あ行)
第323回「彼は才能の片鱗を見せたに過ぎないのだろう。」
すっかり食傷気味のSF映画。挑戦的な作品も多々あれど、傑作と呼ぶべき作品は少ない。第82回アカデミー賞にノミネートされた「第9地区」はそんな中にあって傑作とまではいかないが、今後に期待させる作品だった。その作品を監督したニール・ブロムカンプがメガホンを取った「エリジウム」。主演にマット・デイモンを迎え、さらにアカデミー賞女優ジョディ・フォスター共演と聞けば、否が応でも期待してしまうというもの。

西暦2154年。21世紀末に大気汚染と人口爆発によって地球は荒廃した。富裕層はその地球を逃げ出すように巨大宇宙コロニー「エリジウム」を建設し、そこへ移り住んだ。そこでは高度な科学技術の発達によりあらゆる病気は治療可能となり、老いや病から解放され、水と緑にあふれた理想郷で暮らしている。一方、荒廃した地球に残った貧困層の人々は進む環境汚染と貧困のなかで必死に生活していた。
荒廃したロサンゼルスに住んでいるマックスはかつて自動車泥棒などを働き保護観察処分を受け、低い賃金でロボットを製造するアーマダイン社で働いていた。ある日、製造ラインにある高炉で大量の放射線を浴びてしまったマックスは余命5日と診断されてしまう。マックスは生き残るためにエリジウムにある「医療ポッド」を目指し、かつての仲間スパイダーに密航を依頼する。ところが足元を見られたマックスはスパイダーに危険な取引を持ち出される。選択の余地の無いマックスは取引を受け、エリジウムへの切符を手に入れるために奔走する。やがてその行動が世界を変えることになるとは知らずに。

個人的に「第9地区」のあの混沌とした世界観が好きで、すっかりファンになった私でしたが、この「エリジウム」の予告編を観る限りでは、白い壁と緑に囲まれた綺麗なコロニーのエリジウムの印象が強く。ちょっと今作は雰囲気が違うのかと思っていました。ところが今作でも貧困層が住む荒廃したロサンゼルスは、まるで前作のヨハネスブルグそのものでした。そしてそこに生きる貧困層の人々を見事に描かれていました。逆にエリジウムに生きる富裕層の人々が、どのように選ばれてどのように暮らしているのかが、あまり詳しく描かれていないのが残念でした。

主演のマット・デイモンはすごい俳優だと改めて思います。「グッド・ウィル・ハンティング」のような人間ドラマから、「オーシャンズ11」ではスリ師、あらゆる役を見事に演じてくれます。今作のマックスも貧困に喘ぎながら、いつかエリジウムに行くことを夢見る青年を演じています。スキンヘッドの彼も何の違和感無く見れてしまうのも世界観にハマっているからでしょうか?
そしてもう1人。今作の悪役クルーガーとして、前作「第9地区」でヴィカスを演じたシャルト・コプリーが出演しています。その姿があの弱々しいヴィカスとはまったく逆の武闘派を演じている姿を見て、エンドロールで名前が出るまでよく似た別人だと思っていました。それ位、悪役として鬼気迫る演技を見せてくれます。
残念だったのはジョディ・フォスターが黒幕として登場するのですが、あまり活躍せずに出番が終わってしまうのは残念でした。

点数としては★★★☆☆です。マイナス点としてはやはりこういうSF映画というのは、しっかりとした世界観と設定が必要だと思うのですが、ちょっと疑問を感じる部分がありました。あれほど密入国を厳しく規制しているのに、エリジウムのデザイン(造り)が簡単に侵入出来てしまうデザインなのは?と思ったり、物語のキーアイテムとなる「医療ポッド」が脳さえ破壊されてなければ、どんな傷でも治癒してしまう。劇中でも爆発で顔が吹き飛んだクルーガーがあっという間に治ってしまうシーンは、インパクトがあって良かったのですが、どんなに技術が進化してもそれは造れないだろう。と映画を観ながらツッコミを入れてしまいました。

物語の起承転結がしっかりしていて、敷かれた伏線もきちんと回収しているので、エンディングまで飽きることなく鑑賞ができるのは、監督の手腕に寄るところでしょう。上記した細かい点を深く気にしなければ、とても楽しめる作品だと思います。ニール・ブロムカンプ監督の今後が楽しみです。

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マット・デイモン,ジョディ・フォスター,シャールト・コプリー
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


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ウォーム・ボディーズ

2013年09月23日 00時08分46秒 | 作品名(あ行)
第322回「この作品を彼に見せたら、なんと言うだろうか?」
つい数週間前までは、あの佳作「第9地区」でメガホンを取ったニール・ブロムカンプ監督の「エリジウム」を観るつもりだった。ところが、私は出会ってしまった。私好みの作品に・・・その作品とは「ウォーム・ボディーズ」。以前からこのブログで好きだと言っているゾンビ映画だ。しかもこの作品は新たな視点で描かれているのを予告編で見てしまったら、見逃すわけにはいきません。

時は近未来。原因不明の病気の蔓延によってゾンビが世界中に溢れる世界。ゾンビの青年「R」は人間の時の記憶を僅かに有しながらも、ゾンビとなって食糧である人間を求め徘徊する毎日だった。ある日、いつものようにゾンビ仲間と食糧を求め街へと繰り出す。すると同じく医療品を求めて街へ出てきた数人の人間に出会った。本能のごとく襲いかかる彼ら。銃で抵抗する人間たち。そんな中にRは美少女ジュリーを見かける。一瞬で心を奪われるR。他のゾンビに襲われていた彼女を救い出し、ジュリーを自分の隠れ家まで連れ帰ってしまう。死への恐怖に怯えるジュリーだったが、Rの献身的な優しさにやがて心を開いていく。そしてRの体には変化が起こり始める。ゾンビと人間の恋は果たして成立するのだろうか?

この映画は数多くあるゾンビ映画の中でも、ゾンビ側の視点から描かれ、ゾンビが人間と恋に落ちるという、純粋なゾンビ映画とは呼べないかもしれない作品です。熱烈なゾンビ映画ファンからは嫌われそうな作品ですが、私はとてもいい出来だったと思っています。それは脚本もバランスが絶妙だったからです。青年ゾンビRとジュリーの恋愛模様を中心に物語は進んでいきますが、それだけではなくゾンビ映画としてのテイストもきちんと残し、さらにはガイコツと呼ばれるゾンビの進化形との対決。さらにはゾンビが人間に戻っていく様など、ゾンビ映画としても恋愛映画としてもきちんと成立させていました。

ゾンビ映画ファンからは、死んだはずのゾンビに記憶や感情が残っているのはおかしいとか、ゾンビが喋るのは・・・とゾンビ映画としては邪道になるかもしれませんが、個人的には多くのゾンビ映画で描かれる希望の見えないエンディングよりは、新たな世界で新たな一歩を示したこの作品にとても好感が持てました。

さらにキャスティングも名前がわかるのはジュリーの父親役のジョン・マルコビッチだけという中で、若手の俳優さん達がとても素敵な演技を見せてくれます。彼らの今後が楽しみです。

タイトルにも書いた「彼」とは、ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロのことです。数多くのゾンビ映画を世に送り出し、今も現役の彼が描いてきたのは終末世界で生き抜く人間達の姿でした。そんな彼がゾンビ目線で描かれたこの作品をどう評価するのかが、上映中に気になって仕方がありませんでした。

点数は★★★★☆です。ネタ切れ感があるゾンビ映画の中で、新たな形を生み出したことは評価に値します。マイナス点としては、敵となるガイコツの概念がもう少し詳しく描いてほしかった点と、ゾンビが人間に戻る要因がもう少し確実な理由だったら、もっと深みが出たように思います。

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ニコラス・ホルト,テリーサ・パーマー,ジョン・マルコヴィッチ,ロブ・コードリー,デイヴ・フランコ
KADOKAWA / 角川書店


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ウルヴァリン:SAMURAI

2013年09月16日 01時26分51秒 | 作品名(あ行)
第321回「新たなる物語への序章に過ぎないのか?」
前回の「マン・オブ・スティール」に続いて、今回もアメコミ映画のブログを書くことになりました。アメコミ映画好きとしては、こんなに幸せなことはありません。今回の映画は「ウルヴァリン:SAMURAI」です。待ちに待った映画だったので、迷うことなく映画館へと向かいました。

時間軸は「X-メン ファイナルディシジョン」の後。自らの手で愛するジーンを殺したローガン=ウルヴァリンは苦しみ続けていた。人との接触を避け、山奥で野宿を続ける生活を続けていた。そんなある日、彼の元にユキオと名乗る日本人が訪ねてきた。彼女は矢志田という人間の依頼でローガンを探し続けていたという。矢志田という名前には憶えがあった。かつて彼が第二次世界大戦時に、長崎で命を救った男の名前だった。あれから60年余が過ぎ、日本最大の企業「矢志田産業」の会長となった彼の命が尽きようとしていた。死を目前にした矢志田は、かつて命を救われたローガンに別れを言いたいと日本へ来るようにと伝言を託したのだった。古い友人からの誘いを受けたローガンは未知なる日本の地へと降り立った。再会を果たした矢志田とローガン。病床の矢志田はローガンに不死身の能力を取り除く方法があると語る。それが彼を呼んだ理由だという。命を救ってくれたローガンに「安らかな死」を与えると・・・しかし、その夜に矢志田は息を引き取ってしまう。彼の葬儀に参列したローガンだったが、葬儀の最中に矢志田の孫娘マリコの殺害を狙ったヤクザ達の襲撃を受け、彼女と共に逃亡することになった。そこにはマリコとローガンを狙った大いなる陰謀が隠されているのだった。

私がこの映画で一番心配していたのは、ハリウッド映画の中での日本の描き方でした。今まで、数々の映画の中で思いっきり誤解された描かれ方をされてきた日本という国。原作のコミックでも彼のターニングポイントとして描かれたエピソードだけにおかしな描かれ方をしていないのかが心配でした。結論は、もちろん全てを見事に描いていたとは言えません。葬儀の警備に自動小銃を携帯した警備が普通に出てきたり、新幹線での戦闘だったり、「一体、どこを舞台にしているんだよ!」と突っ込みたくなるような場所が登場したりと、手放しで素晴らしいとは言えませんが、アメコミ映画らしく、それでいて無理なく描けていたと思います。

出演していた俳優さん達も日本語のシーンも英語のシーンもきちんと発音されていて(当たり前のことなのですが)違和感を覚えるシーンが少なかったのも良かった点です。よくあるんですよね。日本人の設定なんだけど、日本語が片言にしか喋れないアジア人俳優を使うケースが。唯一残念だったのが、マリコの幼馴染という設定だったハラダ。彼は中国人だったようで、日本語で喋るシーンが見ていて、大変そうで気の毒になってしまいました。出来れば、若手日本人俳優にチャンスを与えて欲しかったと思ってしまいました。

点数は★★★★☆です。ほぼ満点に近いのですが、いつも言う魅力的な悪役が今作には不在だったのでマイナス1としました。いいキャラクターだったのですが、持っている能力がイマイチ伝わりにくかったのと、あまりにあっさりと倒されてしまったのが残念でした。ユキオの能力も中途半端だったような・・・

それよりも今の私の心を捉えてしまっているのは、エンドロールが始まってすぐに映し出されたあのシーンです。今作から二年後。とある空港でのシーンなのですが、ビックリするような展開が待っていますので、すぐに席は立たないでください。次回作の「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」への展開が今から楽しみで仕方がないです。

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マン・オブ・スティール

2013年09月01日 18時07分47秒 | 作品名(ま行)
第320回「スーパーマンの冠を外したことは吉と出るか、凶と出るか?」
アメリカには2大コミックメーカーがある。「スパイダーマン」や「アイアンマン」「X-メン」などを抱える「マーヴェル社」と「バットマン」や「グリーン・ランタン」「スーパーマン」を抱える「DCコミック社」だ。どちらも人気のキャラクターを抱え、コミック界では人気を二分していると言っていいだろう。ところが映画界では状況がちょっと違う。「X-メン」を筆頭に「アメイジング・スパイダーマン」「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」など次々とヒット作を放ち、昨年にはヒーロー集合映画「アベンジャーズ」を歴代興行収入第3位となる作品を作り上げ、今後も続々と公開が予定されている「マーヴェル」に対し、「DCコミック」といえば、あちらほどの勢いを感じられずにいる。そして今夜の作品「マン・オブ・スティール」はかつて大ヒットした「スーパーマン」をリブートした作品だ。「スーパーマン」という解りやすい名詞を捨て、原題を採用したのは果たして正解だったろうか?

惑星クリプトンは滅亡の危機に瀕していた。自らの文明を維持する為に惑星を破壊してしまうほどの開発を続けた結果だった。有能な科学者であるジョー・エルはなんとか種族を救おうと奔走するが、時はすでに遅かった。惑星の破壊を止められないことを悟ったジョーは生まれたばかりの息子カル・エルに「コーデック」と呼ばれる種族の起源を託し、地球へと脱出ポッドを送り出した。無事に地球に辿り着いたカル・エルはケント夫妻に拾われ、クラークと名付けられ夫婦の子供として育っていった。クラークは成長するに伴って地球人とは比べものにならない特殊な能力を持っていることがわかる。普通の人間とは違うことで苦悩するクラークに父親は「やがて時がくる。お前が人類を導き、奇跡を起こす時が来る。」と時期が来るまでは力を隠すことを命じた。
やがて時が過ぎ、大人になったクラークは正体を隠しながら、自分の起源を探るべく旅を続けていた。ある日、カナダ山奥の氷河の中に地球上のものとは違う巨大な物体が眠っているという情報を手に入れると作業員に扮して、発掘作業に加わった。それはクラークが地球に辿り着くより1万年前に地球に来たクリプトンの船だった。そこで自らの正体を知った彼だったが、時を同じくして脅威もまた地球へと呼び寄せてしまったのだった。

2006年に製作された「スーパーマン リターンズ」は純粋にかつてのシリーズの続編として作られた作品だった。個人的には嫌いではなかったが、思っていたほどの興奮は無かった。その後に続編が作られなかったことも、作品が大ヒットと呼べる出来でなかったことは明らかだろう。そして今作「マン・オブ・スティール」は世間的に名前の通った「スーパーマン」という名前すら捨てて、リブートされた。前作「スーパーマン リターンズ」は「X-メン」シリーズを大ヒットに導いたブライアン・シンガーが監督と務めている。そして今作「マン・オブ・スティール」は「バットマン」シリーズ3部作を大ヒットさせたクリストファー・ノーランが製作総指揮を務めている。奇しくも私が注目している若手監督がどちらにも加わっていることが、なんとも運命的なものを感じてしまいます。(勝手にですが・・・)

物語はクラークが自分の成すべきことを見つけ、苦悩の中からスーパーマンとして成長していく過程が描かれていきます。ですが、堅苦しく哲学的に描かれるわけではなく、ヒーロー物として一定以上のレベルは保っています。特にヴィラン(悪役)であるゾッド将軍との戦闘は、かつてマトリックスで見たようなドラゴンボール的戦闘(笑)もとても見応えがあります。最初から最後まで息つく暇なく物語が展開され、回想シーンも効果的に挿入され観る人を飽きさせない作りになっています。

豪華なキャストも見逃せない点ではあります。ジョー・エル役にラッセル・クロウ。養父母であるケント夫妻にケビン・コスナーとダイアン・レイン。デイリープラネットの編集長にローレンス・フィッシュバーン。個人的に大好きな女優さんであるエイミー・アダムスがヒロインのロイス・レインを演じているのも嬉しいところでした。特に私が注目したのは敵役のゾッド将軍を演じたマイケル・シャノンという俳優さん。彼の怒りに満ちた表情には鳥肌が立ちました。あんまり豪華キャストを作品の評価とするのは好きではないのですが、よくあるキャスト先行の駄作とは違い、それぞれのキャラクターが見事に融合していました。

DCコミックは今後のシリーズは、全てをクリストファー・ノーランに任せるべきじゃないかと思うくらいに素晴らしい出来でした。もちろん、「ウォッチメン」「300」のザック・スナイダー監督の手腕も欠かせないところだとは思いますが。点数は★★★★★です。なんだか久しぶりに「観て良かった!」と心から思える作品に出会えたと思いました。もちろん、突っ込みどころが無いわけではありませんが、文句が出るほど気になる点はほとんどありませんでした。

どうやら、この後には「バットマン&スーパーマン」が計画されていて、さらにはDCコミック版「アベンジャーズ」というべき「ジャスティスリーグ」も視野に入れているようなので、今後の展開に期待しています。

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ヘンリー・カビル,エイミー・アダムス,マイケル・シャノン,ケビン・コスナー,ダイアン・レイン
ワーナー・ホーム・ビデオ


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