しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

イングロリアス・バスターズ

2009年11月29日 21時22分07秒 | 作品名(あ行)
第162回「彼らしい映画でした。けど・・・」

彼=クエンティン・タランティーノの存在を私が知ったのは、彼の作品「パルプ・フィクション」がカンヌ映画祭でパルムドール(最優秀作品賞)を受賞した時でした。「なんかタランチュラみたいな変な名前だなぁ」と思ったのが彼との出会いでした。
その時から彼に興味を持ち、監督デビュー作の「レザボア・ドッグス」をレンタルして観て、彼への評価が一気に上がりました。
独特のセリフ劇、魅力的なキャラクター、時間軸を操った多彩なシナリオ、多少マニアックなところもありますが、エンターテイメントとしての映画を見事に表現している監督の1人だと思っています。
そんな彼の新作「イングロリアス・バスターズ」を観に行ってきました。

物語は第二次世界大戦中のフランスから始まります。同時に2つのお話が見事に絡み合い、やがて1つの結末へと向かっていきます。
1つめの物語はユダヤ人のショシャナという女性の復習劇。1941年ナチス・ドイツ占領下のフランスでは、ユダヤ人狩りが横行していた。彼女もユダヤ人であるという理由だけで隠れて暮らしていたが、見つかってしまい家族は殺されてしまう。なんとか逃げ出した彼女は4年後、名前を変えフランス人として映画館を経営していた。ある日出会ったドイツ人将校に気に入られ、彼女の映画館でプレミア上映会をすることになった。ヒトラーまで訪れることになり、彼女は復讐を果たすチャンスを得たとある計画を実行しようとする。

もう1つのお話はタイトルにもなっている「イングロリアス・バスターズ」のお話。ブラッド・ピット演じるレイン中尉を隊長とする連合軍の精鋭達の部隊は、ナチス兵を襲っては頭の皮を剥ぐという残忍な行為で、ナチス軍やヒトラーを震え上がらせていた。そしてさらにはプレミア上映会に現れるヒトラーを暗殺しようと画策し、女優のスパイと共に劇場へ忍びこんでいた。
それぞれの計画を知らないまま、同じ目的に向かい作戦が進行していく。果たして結果は。

ブラッド・ピットが主演となっていますが、個人的にはショシャナのお話のほうがメインになっていると思うし、出番も多いような気が。
かつての「キルビル」のようなお遊び満載という訳ではなかったのですが、それでもあのセリフの多さ、チャプター仕立てのお話の展開など、タランティーノ好きには思わずニヤリとしてしまうところが満載で、ファンである私はそれなりに楽しめました。

点数は★★★☆☆ですかね。それなりに面白いし、2時間45分と長い上映時間にも関わらず、時間を感じさせないストーリーテリングはさすがですが、最後がやや尻つぼみな感じがしました。そして、彼の作品では特有の時間軸の入れ替えも無かったのも残念だったかな。

タランティーノ作品でオススメは「レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」です。

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ブラッド・ピット,メラニー・ロラン,ダイアン・クルーガー,マイク・マイヤーズ,クリストフ・ヴァルツ
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2012

2009年11月22日 21時39分09秒 | 作品名(な行)
第161回「珠玉のディザスタームービーとは?」
さて、今週は待ちに待った「2012」を観に行ってきました。何度もこのブログで公言していますが、ディザスタームービーが大好きな私としては見逃すことの出来ない作品ですよねぇ。過度の期待をしたうえで劇場へ足を運びましたが、その期待に見事に答えてくれた作品だったと思います。

すっかり「ディザスタームービーの巨匠」みたいな呼ばれ方をされてしまっているローランド・エメリッヒ監督が手掛ける2時間半を超える大作ですが、前作の「紀元前1万年」が思ったほどヒットしていなかったので、心配する気持ちも少なくなかったのですが、「インディペンデンス・デイ」「デイ・アフター・トゥモロー」と個人的には好きな作品を作っている監督ですから・・・

物語は、2009年のインド。若い科学者が地球の異変を見つけるところからお話は始まります。その異変はやがて地球規模の大災害をもたらすだろうと。
そして時は2012年、主人公のジャクソン・カーティスは、かつては売れない作家だった。しかし今は富豪のリムジン運転手をしている。別居中の子供達をつれてキャンプに出かけたところで軍隊が管理する地域へ侵入してしまう。あっという間に追い出されてしまうが、その近くで軍の様子を探る男から地球の崩壊が迫っていることを聞かされる。半信半疑だったが、運転手を勤める富豪が政府からの呼び出しで空港へ送ったのをきっかけに、その話が本当ではないかと信じ始めた。その時、大地震が起こった・・・

個人的に面白いディザスタームービーの条件として
1.多くの魅力的なキャラクターが登場し、絡み合いながら生と死のドラマがある。
2.絶望的な事件の中で、それでも未来への希望が見えるラストである。
そしてこれが1番大事なのですが
3.誰か1人がヒーローとなり、事件が解決するような安直なストーリーでない。

点数は★★★★★です。この「2012」という映画は上記の3点を見事にクリアしました。こういう映画では1番難しいラストの落としどころも合格点でした。唯一残念だったのは、ある1人の女性の生死がはっきり描かれていなかったのが残念でした。
それでも迫力のある映像の数々、人々のドラマ。オススメの1本です。

蛇足ですが、私のオススメのディザスタームービーは「ディープインパクト」です。

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ジョン・キューザック,キウェテル・イジョフォー,アマンダ・ピート,オリヴァー・ブラット
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


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笑う警官

2009年11月15日 23時13分01秒 | 作品名(わ行)
第160回「最後まで笑い続けたのは誰か?」

さて今週は、来週から始まる「2012」が楽しみで、映画館に行くのを迷ったのですが、結局行ってきました。
「クリスマス・キャロル」をと思ったのですが、字幕派の私としては吹替え版を観たくなかったし、実はこのお話は以前に「3人のゴースト」というタイトルで映画になったのを観て、かなり気に入ったお話なので、そちらを大事にしようと思い、「笑う警官」を観ることにしました。

ひさしぶりに角川春樹がメガホンを取った作品。原作もずいぶん売れているようです。でも邦画には過剰な期待は禁物なのはわかっていたのですが、やはり期待せずにはいられませんでした。だってお金を払っているんですからねぇ。

物語は実際にあった北海道警察内での裏金事件をモチーフに、わずか15時間で起こった出来事を映画としたものです。
ある日、女性警察官が絞殺体となって発見される。場所は警察が借りていた部屋だった。道警はあっという間に犯人を断定。かつて交際していた津久井巡査が手配される。しかも射殺命令まで発令される。この異例の行動にかつて津久井と同僚だった佐伯は仲間達と独自の調査を開始する。調べを進めていくにつれて、道警内に巣食う闇を目撃することとなるのだった。

というのが簡単なストーリー。脚本は決して悪くなかったと思います。全体の流れとしては良く描けていて、テンポもあり、緊迫感もありました。しかし、悪いところも多々ありました。まずはカメラワーク、全体的に引きの画がほとんどなく、さらに怪しい行動には教えてくれるかのようにズーム。映画館で思わず笑ってしまいました。
さらに意味不明なフラッシュバック。おそらく演出なのでしょうが、それらがどうしてインサートされたのかが、まったく説明されません。そして、次から次に黒幕が現れてはタイトル通りの高笑い。
一番の問題はエピローグとおぼしきラスト10分間のシーン。何かを表現したかったのでしょうが、私はまったくわかりませんでした。いくら考えても必要だったとは思えませんでした。

点数は★★☆☆☆です。あんな人達が本当に警察内にいて、あんなひどい事をしていたとしたら、もうすでに警察官とは呼べませんね。ドラマに出てくる悪の組織のような行動にちょっと笑いながらの鑑賞でした。

年末年始に深夜で観たら、「お、結構良かったな」と思えるレベルでしょう。

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大森南朋,松雪泰子,宮迫博之,忍成修吾,鹿賀丈史
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ソウ6

2009年11月08日 23時02分54秒 | 作品名(さ行)
第159回「ゲームは続くよどこまでも?」

今夜はもちろん、年に一度のお楽しみ「ソウ6」を観てきました。相変わらず、凄惨なシーンの連続で、観ていて気持ちのいいものではありませんが、この作品の脚本の良さには、毎度の事ながら驚かされてしまいます。しかも今作は前作で敷かれた伏線を見事に回収してくれました。さらに新たな伏線も発生しているので、まだまだゲームは続くようですが・・・

物語はジグソウの死後、託された遺品から見つかった新たなゲーム。それは医療保険会社に勤め、契約者の不備を見つけ出しては保険の支払いを拒む男。かつてジグソウの病気が発病した時にも同じ事をした男だった。彼は数々の熾烈な選択を課せられる。
同時にジグソウの真の後継者は誰なのかが次第に明らかになっていく。

年に一度の恒例となって6年目、どこまで続くのか分かりませんが、このゲームを最後まで見届けようと思っているファンの1人である私としては、もう楽しみで仕方ありませんでした。しかし、この映画は回を増すごとにグロテスクに凄惨になっていきます。
もちろん、映画という作り物なのだから、単純に楽しめばいいのでしょうが、この作品を「楽しむ」と表現し、劇場で観ている自分自身がジグソウの標的となるような、そんな罪の意識を感じてしまったのでした。
だって、今作はいままでに比べて標的となった人間の数があまりにも多いのです。そしてその中にはこのゲームに参加するほどではないと思える人達もいました。
ただの殺人ゲームでは、それを行なう意味すら希薄なものになってしまいます。ジグソウの行なっていることは、「死」を目の前に感じることで「生」への尊さを感じさせようというもの。やはりジグソウが死んだ後のゲームにはそれが感じられないゲームがいくつかありました。
それは、おそらくジグソウの意図したゲームではないからだと思っています。彼はその報いを受けることになるのですが・・・

点数は★★★★☆です。何度も言いますが、いままでの作品をキッチリ観ていないとまったく楽しめません。その対策として映画の始まる前に「SAW集編」などと銘打って、今までの作品のダイジェストが上映されますが、余りにも簡単に説明される為にまったく意味をなしていません。

まあ、ダイジェストで語れるほどこの作品の魅力は簡単ではありませんけどね。
是非、未見の人は最初から観るのをオススメします。

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トビン・ベル
角川映画


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母なる証明

2009年11月01日 23時46分13秒 | 作品名(は行)
第158回「やっぱり映画は劇場で見ないとねぇ。」

やっと今週は映画館へ足を運んで劇場の大きなスクリーンで映画を楽しむことが出来ました。近くの劇場では観たい作品がなかったので、ちょっと遠くまで足を伸ばすことになりましたが、先週のブログで話していた「母なる証明」を観てきました。

最近ではもう珍しい事もなくなった韓国映画です。しかも話題のウォンビンの復帰第1作目。と言っても私が惹かれたのは、彼が出演していることではなく、監督が「殺人の追憶」や「グエムル/漢江の怪物」のポン・ジュノ監督であることでした。
今まで、いくつも韓国映画を観てきましたが、彼の作品は大きく心に残っています。その名匠が作った作品とあれば、どうしても観たくなるのは自然なこと。ちょっと劇場までは遠かったのですが、それだけの価値はあると思っていました。

物語は韓国の田舎町、早くに父親を亡くし、一人息子のトジュンと母親ヘジャ。トジュンには知的障害があり、ヘジャは常にトジュンを気にかけて暮らしていた。裕福な暮らしではないが、親子2人でなんとか暮らしていた。そんなある日、街で女子高生殺人事件が起こり、トジュンが第一容疑者として警察に逮捕されてしまう。事件の解決を急ぐ警察がトジュンを犯人と決めつけしまったのだ。息子の無実を信じて疑わないヘジャは真犯人を捜し出す為に奔走していく。

映画を観ていて思ったのは、やはりこの監督の凄さでした。息子を想う母親の行動はすごくわかるのですが、この母親の行動には異様さを感じていました。親の愛はそういうものかも知れませんが彼女の行動には行き過ぎた点が多くあります。その異様さを静かに、見事なカメラワークと脚本でグイグイと引き込んで行きます。そのテンポの良さに時間が過ぎるのを忘れるくらいに。

作品の点数は限りなく満点に近い★★★★☆です。なぜマイナスなのかを書くとネタバレになってしまうので、全ては書きませんが事件の結末です。あまりにも悲しく、そしてスッキリとはしない結末を迎えます。映画としてはベストな結末だったと思います。伏線も見事に回収されますし。しかし、個人的には少し残念でした。

複雑なトリックも驚くようなどんでん返しもありませんが、「う~ん。見事だ!」と唸らされてしまいました。上映館の少ないのが残念ですが、オススメの1本です。

母なる証明 [Blu-ray]
キム・ヘジャ,ウォンビン,チン・グ,ユン・ジェムン,チョン・ミソン
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