しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

シン・ゴジラ

2016年08月07日 23時23分19秒 | 作品名(さ行)
第406回「庵野の庵野による庵野のための映画(敬称略)」
怪獣映画は嫌いじゃないが、日本で作られる作品はどうしても子供向けというか、あくまで子供が鑑賞して楽しめる作品を作ろうとしているためか、お話がご都合主義になり、あまり面白かった印象がないので、今まで率先して観てきませんでした。今回の作品「シン・ゴジラ」も昔からある人気シリーズ「ゴジラ」の久しぶりの復活作ではあるものの、さほど期待していませんでした。しかし「エヴァンゲリオン」の庵野秀明氏が総監督・脚本を勤めると聞いて、彼がゴジラをどんな作品に作り上げるのか純粋に興味がありました。彼らしい作品となるのか?それともあくまで子供向けの怪獣映画となるのか?

ある日、突如として東京湾羽田沖で水蒸気爆発が起き、それに起因し東京湾アクアトンネルでの崩落事故が起こる。首相官邸では緊急対策本部が設置され対応へと動き出す。誰もがただの自然災害等だと思っていた。しかし、内閣官房副長官である矢口蘭堂は巨大生物によるものだと進言するが、一笑にふされてしまう。ところが程なくして多摩川河口から巨大生物が遡上し始め、街を破壊していく。さらにはまるで成長するかのようにその形態を変えていくのだった。政府は自衛隊の投入を決断し、巨大生物を捕獲・駆除・排除などのあらゆる方向性を検討する。ところが巨大生物は突如、進行を停止し東京湾へと戻って行った。100人以上の死者・行方不明者を出した襲撃後、次なる襲来に備え矢口を事務局長とした「巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)」が設置される。そして再び相模湾へと姿を現した巨大生物は前回よりも2倍以上の大きさへと成長していた。

もはやこの作品は子供向けの怪獣映画とは程遠い作品となっていました。いい意味でも悪い意味でも庵野色を前面に「これでもか!」を押し出した作品です。冒頭から怒涛のように流れ出すテロップの嵐、役職付のキャラクター名、それはまるで「エヴァンゲリオン」を見ているかのようでした。私は始まって数分で正確にテロップを追うことを諦めます。大まかな場所となんとなくの役職と名前を数人覚えれば、あとはそれほど意味は無いのですから。さらにはどこかで聞いたことのある音楽。すっかり庵野秀明氏の世界観へと観客を引きずり込んで行きました。

そして私は確信します。それはゴジラと名付けられたあの怪獣が人類に対して攻撃を開始した瞬間に、「まるでナウシカの巨神兵じゃないか。」さらにはその破壊力、その後の展開などを観ていて「ああ、これはゴジラではなく、使途と呼ぶべきなのでは?」とさえ思ってしまったのです。つまりこのお話はエヴァンゲリオンの前日譚なのではないかと。その証拠に最後のシーンではとあるものがスクリーンに映し出されるのです。

ネット上でも記事になっていたのですが、この映画は怪獣映画ではなく政治映画だという記事でした。その意味はすぐわかります。物語は終始、政治家達がゴジラに対処する方法を解りにくい言葉で語り続けます。役者さんがかわいそうになるくらいに・・・なので夏休みに家族でゴジラを観ようと思って劇場に足を運ぶと、お子さんたちはアッと言う間に寝てしまうか、飽きてしまうことでしょう。

点数は★★★★★です。この映画は賛否が大きく別れる作品だと思います。怪獣映画だと思って観に行った人は後悔するだろうし、庵野作品が好きな人達は大満足することでしょう。私は個人的には後者なのでこの点数になりました。気楽に怪獣映画を観たい人には全くお薦め出来ない作品です。ご家族でなんて行かないでください。

それにしても庵野監督は危険な賭けが好きな人ですね。日本に根強くある人気作品の総監督を引き受けて、もし駄作だなんて評判が付けば、全部の責任を取らされるところだったのですから。映画会社としてはヒットすれば良し、もしコケたとしても全部を彼に押し付ければ良しというくらいの気持ちでしょうから。そんな思惑を含んだ作品すらも自らの世界観の中で完成させてしまう庵野秀明という人物は凄いなというのが私のこの「シン・ゴジラ」の感想です。

シン・ゴジラ Blu-ray2枚組
長谷川博己,竹野内豊,石原さとみ
東宝


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