しんちゃんの徒然なる映画日記

劇場で観た映画の感想を中心に綴っていきます。これからの参考になれば・・・

新感染 ファイナル・エクスプレス

2017年09月18日 21時58分45秒 | 作品名(さ行)
第437回「まるでゾンビ映画のお手本のような作品でした。」
ゾンビ映画ファンである私にとって衝撃的なニュースがありました。ゾンビ映画の巨匠であるジョージ・A・ロメロ監督が死去したという。現在のゾンビ映画・ゾンビドラマのフォーマットを作り上げたと言っても過言ではない彼の死はとても残念でした。しかし、彼の遺志は多くの製作者達の心の中で生き続けていくだろう。まるでそれを証明するかのような映画に出会った。それは「新感染 ファイナル・エクスプレス」という韓国映画だ。(相変わらず、邦題のセンスには疑問が残るが)マスコミ等でもかなりの高評価で、単なるゾンビ映画ではないという批評を見かけていたが、妙に家族愛に走った作品だったら酷評しようと思って劇場へと向かった。

ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは仕事にかまけて家庭を顧みず、現在は妻と別居中で、まだ幼いひとり娘のスアンと暮らしている。ある日、翌日が誕生日のスアンはプサンに暮らす母親にひとりで会いにいくと言い出した。ソグは仕方なく娘をプサンまで送り届けることに。ソウルを出発してプサンに向かう高速鉄道KTXに乗車したソグとスアンだったが、ソウル駅周辺で不審な暴動騒ぎが起こっていた。2人が乗り込んだKTX101号は定刻の5時30分にソウル駅を後にするが、その発車直前に挙動不審な女が12号車に駆け込んだことに気づいた者はひとりもいなかった。列車が出発しほどなくするとその女性がデッキで倒れ込む。女性乗務員が駆け寄ると、突然噛み付いた。すると噛み付かれた乗務員も次々と乗客に襲いかかり始めた。それはまるで何かに感染するかのように乗客を変貌させていった。やがてその異変は韓国国内全土に及ぶパンデミックであることが解っていく。果たして車内に取り残された乗客達の運命は?

それはまるでゾンビ映画のお手本のような作品でした。どこかで観たようなプロットと展開なのですが、テンポがとても良く、エンディングまでの流れもお見事でした。この作品に登場するゾンビは「28日後」や「ワールド・ウォー・Z」に登場するようなゾンビです。感染スピードや集団で走って追いかけてくる様子などが良く似ています。生ける屍=ゾンビだから走るなんてあり得ないという人は納得できないかも。それでも私は嫌いじゃありません。

さらに評価すべきは、ありきたりな設定だけでなく、今作独自の設定を入れ込んできたことです。それは「視覚」です。この作品では感染者は視力がとても弱く、列車がトンネルに入ると何も見えなくなってしまうというところです。その設定が、この作品の主要舞台となる高速列車と見事に絡み合い。とても面白いシーンを生み出しています。だからこそ時間軸は高速列車がプサンに到着するまでの数時間となり、夜のシーンは登場しないということになるのです。

そして高速列車という舞台もとても効果的に使われています。走り出してしまえば、外からの攻撃は防げるが、密室状態となり内からの攻撃には対処が必要となる。そのことで狭い車内での攻防が色々と展開できます。

褒めるべき点はさらにもう一つ。ゾンビ映画の良さに群像劇としての面白さもあります。危機的状況に陥り、偶然居合わせた人達が急造チームとして戦う姿がどう描かれるのかです。今作は主人公のソグと娘スアン、アメフト選手のような屈強なサンファとその妻(妊婦)、野球チームの学生と女子マネージャー、自己中心的なバス会社の常務ヨンソクなどなど、それぞれがキャラクターとして見事に機能しています。特にヨンソクは嫌われ役としては満点でした。

点数は★★★★★です。久しぶりに文句の付けようのない作品でした。もちろん色んなところで言われているように家族愛も描いています。ただそこだけに焦点を当てて、お涙頂戴の感動ものにしていないのは評価できます。それにしてもどうして韓国の子役はあんなにリアリティのある演技ができるんだろう。決して上手い演技ではないのにとても説得力がある。

新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]
キム・スアン,チョン・ユミ,マ・ドンソク,チェ・ウシク,アン・ソヒ,キム・ウィソン,チョン・ソギョン,チャン・ソクファン,チェ・グィファ,シム・ウンギョン コン・ユ
株式会社ツイン


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