ミドリ色の屋根は永遠に~René Simardに首ったけ~

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La derniere rose de l'ete

2010年09月26日 | ルネの仏語の歌
 今年の夏は観測史上一番暑い夏になったようですね。3連休中には、9月も下旬に入るというのにミンミンゼミが鳴いていたと思ったらいきなり気温が下がり、ここに来てやっと秋らしくなってきました。もう花も終わりに近づいたシマ姉家のグリーンカーテンにも、ウマオイ(こちらでは鳴き声から「スイッチョ」とも呼びます)が来ていたりして、朝夕の虫の声が、秋の涼しさをより一層心地よいものにしてくれています。

 昨年アップするはずが、結局完成しないまま季節外れになって断念した「夏の名残のバラ」を、今回やっと紹介することができます。
 現在は四季咲きのバラがあり、バラ愛好家の永遠の夢だった青いバラも出て、この歌が作られた当時と比べると、バラ事情も相当変わっていると思います。実は、今年度の人事異動の際いただいた花束の中に、温度の違いによって、花びらの色が明るい青紫から水色に変わるバラがありました。特殊な薬を吸わせて作るというこのバラは、ドライフラワーにしても色が変わるから不思議です。暑い時期はずっと水色のままでしたが、今は朝の冷え込んだ時に青紫になっています。

 しかし、病害虫に弱いバラの栽培は難しく、夏の手入れひとつで秋のバラの善し悪しが決まってしまいます。今年の夏は格別に暑かったので、特に水やりには苦労したのではないでしょうか。
 そして今回は、仕事の一環で描いたバラのイラストをアップしたいと思います。



 “La Derniere rose de l'ete”は、ルネ・シマールが1971年12月に、ケベックのスターの登竜門ともいえる”la Place des Arts(芸術劇場)”で行った初リサイタルで、兄レジス・シマールと一緒に歌った曲です。ふたりが歌うこの曲は、カナダのエリーズさんがアップしていらっしゃるYouTube映像でご覧ください。

♪René & Régis Simard
http://www.youtube.com/watch?v=Gdwv8NLobXg&feature=related


▲デビュー25周年記念CD集の小冊子より


 夏の名残のバラ(庭の千草・夏の最後のバラ)』の原曲の題名は“The Last Rose of Summer”。アイルランドの国民的詩人トマス・ムーア(Thomas Moore/1779-1852)による美しい詩に、ジョン・スティーブンソン(Sir John Stevenson/1761-1833)が曲をつけたものです。
 日本では、「庭の千草」のタイトルで、1884年(明治17年)刊行の音楽教科書『小学唱歌第3編』で初めて日本に広く紹介されました。里見義さんによる日本語版は、「バラ」ではなく「白菊(しらぎく)」に変えています。当時はまだ海外の民謡や童謡があまり日本に広まっていない時代で、『蛍の光』や『蝶々』などが音楽教科書『小学唱歌(初編)』に掲載されたのもちょうどこの頃(1881年)だそうです。

 ここでは、ルネ・シマールよりも数年早くアメリカで活動した少年歌手ハインチェが歌ったドイツ語の同曲も、YouTube映像でご覧いただきたいと思います。また、同曲が使われたオペラの「マルタ」についてもwikipediaでお読みください。そして歌詞は、仏語詞だけでなく英語の原詩と和訳、日本語詞「夏の千草」と独語詞も紹介いたしますので参考にしてください。 

♪YouTube映像"Heintje: Letzte Rose"
http://www.youtube.com/watch?v=04AwI4tQ2oY&feature=related

♪wikipedia「マルタ(オペラ)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BF_(%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9)


▲デビュー25周年記念CD集の小冊子より 映画「Un Enfant Comme Les Autres(普通の子供)」la Place des Artsの一場面


 まずはルネと兄レジスのデュオによって歌われた、同曲の仏語歌詞をご覧ください。なお、和訳は私によるものです。直訳した歌詞から全体の流れを読んで、私なりの表現で一遍の詩にしましたので、参考にとどめてください。フランス語に詳しい方、お気付きのことがございましたらご指導よろしくお願いいたします!


ラ デルニエル ローズ ドゥ レテ
La derniere rose de l'ete

シ ジャメ テュ キェイユ  ズュヌ ローズ
Si jamais tu cueilles une rose
ドン ル クー ラ デジャ ファネ
Dont le coeur a déjà fanée
ディ トゥワ ビヤン ク セットゥ ローズ
Dis-toi bien que cette rose
エ  ラ デルニエル ドゥ レテ
Est la dernière de l'été


イエ ランコール アン ヴワシナージュ
Hier encore en voisinage
ル リュイゾー  トゥ  レ ジャルダン
Le ruisseau, tous les jardins
イル ム レストゥ プリュ カン フイヤージュ
Il me reste plus qu'un feuillage
ク リヴィエール ブリュラ  ドゥマン
Que l'hiver brûlera demain

ア ナムール  コ マン トゥートゥ ショーズ
En amour comme en toute chose
ア ナムール  コ  マ ナミティエ
En amour comme en amitié
シ トン クール トゥルー ヴユヌ ローズ
Si ton coeur trouve une rose
セットゥ ローズ イル フォー ギャルデ
Cette rose il faut garder


メーム シ  セ  ラ プルミエール
Même si c'est la première
ク テュ ア ジャメ トゥルーヴェ
Que tu as jamais trouvé
セ  プーテートゥル  セ   ラ デルニエール
C'est peut-être, c'est la dernière
エ ラ ヴィ ネ  カン  スー レテ (繰り返し)
Et la vie n'est qu'un seul été (bis)

<和訳>

夏の名残のバラ

いつかきみが 心枯れ果て
バラを摘むことがあったなら
きみにいいことを教えてあげよう
そのバラは 夏の名残のバラだと

つい昨日 小川の近くで
すべての庭で 
明日(あす)燃やされる冬の葉は
私のもとに残された

すべてのものと同じ愛で
友情と同じ愛で
もしきみの心がバラを探すなら
そのバラは 守るべきバラ

たとえそれが 今までに見つけた
最初のバラであったとしても
それは確かなこと それは最後のバラ
そして人生は 夏だけではないのだから




<英語詞>

The Last Rose of Summer

'Tis the last rose of Summer,
Left blooming alone;
All her lovely companions
Are faded and gone;
No flower of her kindred,
No rosebud is nigh,
To reflect back her blushes,
Or give sigh for sigh!

I'll not leave thee, thou lone one,
To pine on the stem;
Since the lovely are sleeping,
Go sleep thou with them.
Thus kindly I scatter
Thy leaves o'er the bed
Where thy mates of the garden
Lie scentless and dead.

So soon may I follow,
When friendships decay,
And from Love's shining circle
The gems drop away!
When true hearts lie withered,
And fond ones are flown,
Oh! who would inhabit
This bleak world alone?

<和訳>

夏の名残のバラ

夏の名残のバラ 一人寂しく咲いている
他の花々は既に枯れ散り
近しき花も芽も消え失せた
美しいバラ色を思い起こせば
ただため息をつくばかり

汝を一人残しては行かない
その体に思い煩う
美しきものと共に 汝も行き眠らん
ベッドの上にまき散らした汝の花弁
汝の仲間達は 庭で香りもなく枯れ果てる

直ぐに私も後を追うだろう
友情が崩れ去り
愛の光輪から宝石が零れ落ち
真の心が枯れ果て
愛する者がいなくなったら
この荒涼たる世の中で
誰が一人で生きられようか?



<日本語詞>  

庭の千草

庭の千草(チグサ)も 虫の音(ネ)も
枯れて淋しく なりにけり
あゝ 白菊(シラギク) あゝ 白菊
ひとり遅れて 咲きにけり

露(ツユ)にたわむや 菊の花
霜(シモ)におごるや 菊の花
あゝ あわれ あわれ あゝ 白菊
人の操(ミサオ)も かくてこそ



<ドイツ語詞>

Letzte Rose

Letzte Rose in unserem Garten,
die verborgen im Laub ich fand,
willst noch immer auf Sonne warten,
doch der Herbstwind weht uebers Land.
Laengst verwelkt sind alle Blumen,
all die Pracht ging laengst dahin.

Letzte Rose in unserem Garten,
so alleine musst du verbluehen,
La la la......

Laengst verwelkt sind alle Blumen,
all die Pracht ging laengst dahin.
Letzte Rose in unserem Garten,
so alleine musst du verbluehn,
so alleine musst du verbluehn.




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