柴田典子の終活ブログ「エンディングノート知恵袋」

エンディングデザインコンサルタント柴田典子のブログ。
葬儀に関わらず「賢い老い支度」として終活全般のお話もしています。

エンバーミングの良さ

2012年03月29日 | ご遺体のケア
父の葬儀に来てくれた友人と久しぶりに逢いました

数年前に元気だった父と一度会ったことがある人です

その時の父の印象は、高齢の割に背が大きくて
しっかりした体つきだった、と覚えているそうです

通夜で対面した父は、その印象そのままで
「あら、あのときのままちっとも変っていない」と思ったそうです


私の携帯に入っている父の写真を見せました。
意識のないまま、呼吸器を付けて病院のベットにいる父の顔です
人間らしさは、感じません
生かされている老人です

友人は「えっ!これがお父さん?」と驚いていました

この写真は、私が一人でいたときに写メで撮った写真です
母や兄弟の前では、写真を撮るのも気が引けたので・・・

でも、私はこの父も私の中に残しておきたかったので
内緒で撮りました


亡くなって2週間後の葬儀でしたから
エンバーミングをしましたが、父の体を維持するだけでなく
前の父に戻してもらました

人と逢うことが大好きで
いつも自分が中心になっていたい人でした
誰が来ても、必ず話に入り込んできてしまいます

自分勝手な判断で、怒ったり
人を振り回したり

それでも私の友人たちは皆、そんな父が好きでした

私が嫁いだ後も
近くに来たからと、何人もの友人が父を訪ねてくれています

その父の姿のまま
我儘で、自己中で
でも、おしゃべりが楽しくっていつも笑わしてくれた

困った時には助けてくれた頼もしい父のままで
皆にお別れをしてもらいたい

それが叶ったのは、エンバーミングの技術です


葬儀社の人は
エンバーミングは火葬する日本では必要ない、とよく言います
物理的な効果だけを見ています


別れる者にとって最後の姿は
その人の面影になります


事実、私には意識のない、生気のない父のイメージはありません
携帯の中にあるだけです

エンバーミングをすればその費用が掛かります
葬儀までの日にちも延びます

でもそれだけの効果を遺族に残してくれます

その良さを分かってもらいたい
特に葬儀社さんにわかってもらいたい、と思います

今日久しぶりに会った友人の話から、そう思いました