遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

風神雷神 上・下

2020年07月08日 11時44分12秒 | 読書

         風神雷神 上・下  原田マハ(著)2019年11月発行

 日本美術史上、稀代の絵師と称される「俵屋宗達」の謎の半生を、

 時代考察を踏まえつつも、そこに著者の壮大な想像と願望をプラスし

 描かれている時代冒険譚。

 小説は、現代の京都、香港を舞台にアートミステリー風に始まり、

 安土時代にワープし織田信長が登場し京都を舞台に狩野永徳と宗達が共同で

 「洛中洛外図」を描くシーンが詳細に描かれる。と、舞台は一転長崎へ・・・。

 後半は、信長により、ローマへ渡り町や芸術を観て記録してくるよう密命

 を受けた宗達は、京都で出会った宣教師ヴァリニャーノに「アゴスティーノ」と

 命名され、ヴァリャニーノに伴われ長崎へ。

 長崎のセミナリオに集まり熱心にキリスト教を学び信仰を深めようと努力する

 少年達と合流。宗達も彼らと一緒に天正遣欧少年使節の一員となり、

 (信者ではなく)絵師としてローマ教皇と面会すべくローマを目指すことに。

 船で大海を渡りマカオ、ゴヤ、喜望峰を経由しながら大西洋に出て、

 ポルトガルのリスボンに上陸、陸路スペインを経てローマへと大冒険が描かれていく。

 最初の舞台は現代で、子供時代に宗達の母子象に魅せられて以来、宗達を研究し

 京都国立博物館のキュレーターとなった「望月彩」が『風神雷神図屏風』の講演を

 するシーンから始まる。その時の講演が縁で、マカオ博物館の学芸員「レイモンド」

 から、宗達に関する秘密の資料あり、との知らせを受けマカオを訪れる。

 そこで『ユピテル・アイオロス』が描かれた油絵と、天正少年使節の一人

 「原マルティノ」が残したと思われる紙の束に「宗達」の文字があり、、、

 というミステリー仕立て。

 小説の原点は、とにかく絵師「俵屋宗達」の人物が謎だらけ、という

 こと。それだけに宗達の人生について想像を膨らませる余地は大きい。

 1570年〜1640年頃に生きていて、現存する素晴らしい作品を残したことは

 間違いないようだが、資料が何も残っていないらしい。

 宗達の作品を愛するファンには、その謎がたまらなく魅力的、

 ましてや小説家なら、さぞや、、、。

 で、アートミステリーかと思って読み進んだら、とんでもない!

 とてつもなく自由に想像たくましく創り上げられた痛快な時代小説でした。

 歴史好きなので、史実を交えながらの創作を存分に楽しみました。

 でも、旅の終盤、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツッエ教会にある

 ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を鑑賞中、偶然、まだ見習いだった

 「カラヴァジョ」と出会い、語り合い、扇と絵を交換するエピソードは

 著者の熱い想いが伝わってくるも、私にはちょっと無理が過ぎたように

 感じられ、さすがにキツかったかなあ。。。

 そこ以外は、著者の「想像の翼を思い切り羽ばたかせて好きなように書いた」

 という本書、冒険時代小説と存分に面白く楽しみませてもらいました。

 

  追: 着目点も

     風神雷神が「何故、赤鬼、青鬼じゃなく、白鬼、青鬼なのか?」

     なるほどねえ〜、ユピテル・アイオロスか、、、

  わがまま母

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする