そういうことで昨夜のLeminoフェニックスバトル、簡単に感想です。
メインの中嶋一輝、辰吉寿以輝は、2回に中嶋の左一撃、辰吉が棒を呑んだように倒れ、後頭部をキャンバスに打つ強烈KO決着。
「決定力」だけを切り取れば、並外れたものを持つ中嶋の怖さがそのまま出た、という結果でした。
意外なほど両者の体格に差を感じましたが、大柄な中嶋は慎重に見た立ち上がりか。
辰吉は対サウスポーというのみならず、その体格差と慎重な出方に対し、かなり「遠さ」を感じていたのでしょう。
それ故、攻めの手数を出せず、序盤の内に、遠目から来る強打に捉えられてのKO負けは、防御に冴えたものを持たない選手でもあり、「強打炸裂」の場面を、おそらく避け得ないだろう、という事前の想像、ほぼその通りでした。
試合後の中嶋は、僅かに喜びの表情を浮かべただけで、笑顔が弾ける、という風ではまったくありませんでした。
それは彼自身の個性であり、自身の現状に満足していないという意味で、彼の誇りなのでしょう。
同時に、この試合の内実について、傍の者がとやかく言うまでもなく、彼自身が一番「わかっている」ということでもありましょうね。
辰吉寿以輝は、試合後、担架で退場となりました。
今回のように、強くキャンバスに頭を打った場合は当然のこと、本人が大丈夫だという感じのときであっても、出来る限り担架は使った方が良いと思います。
大事あってからでは遅いですから。
さいわいにも、試合後の実況によると、意識はあり、医務室に行ったという情報がありました。ホッとしました。
それにしても、たった一撃で明暗が分かたれるボクシングの怖さを、改めて思うようなKOでもありました。
ボクサーが、周囲が、長きに渡って培い、積み上げてきたものが、瞬きをする間もないような、文字通りの一瞬で打ち崩される。
それこそボクサー人生の全てが、或いは人としての人生が、決定的に、取り返しのつかない形で変えられてしまう。
それ故に怖ろしく、それ故に美しく、人の目を、心を惹き付ける。
ああ、ボクシングを見たなあ、という、何とも言い難い感情を抱く、そんな試合でもありました。
そして、やはり敗者が、あの辰吉丈一郎の子息である、という事実によって、その感情が増幅されてもいます。それは否めないですね。
セミのセムジュ・デビッドvs小畑武尊は、小畑の強弱押し引き連打に対し、セムジュが早々に上へのパンチを見せかけに使ってのボディ攻撃に出て、それが奏功。
中盤以降は苦しい小畑に対し、手数と連打で押し切っての勝利でした。
しかし最終10回、逆に小畑の左レバーパンチが決まった後の失速があり、セムジュの弱みが見えもしました。
小畑懸命の闘いが、それを炙り出したとも言えそうです。今後、挑戦者となる選手と陣営による対策に、ひとつのテーマが提示された試合でした。
山﨑裕生vs武藤涼太戦は、サウスポー武藤が右フックの好打から優勢に進め、6回TKO勝ち。
最後は頭が当たったのか、と思った直後のタイミングでストップでしたが、あれ以上続けても無理、という判断自体には納得。
山﨑は日本人とは初の対戦ということで、全日本新人王の武藤相手では厳しかったか。
大橋ジムが「勝負」に踏み切ったカードだったのでしょうが、厳しい方の目が出ました。
ということで昨日の興行は、メイン終了20時20分頃でしたか、Leminoフェニックスバトルとしては珍しい?早い終了となりました。
しかし考えたら、クリスマスイブのアンダーに、世界戦2つ以外に、普通ならメインで通る試合が4つあって、その上で、ですから、こういうラインナップになることもあって当然です。
それでも場内、けっこう盛況だったと見えましたし、やはりLeminoの、このイベントは凄いものです。改めて感心した次第でした。
中嶋さんが安定感抜群の選手ではないから少し期待しましたが…辰吉くんの最初の位置取り、手の出し方見て、「あ、これサウスポーに左もらってやられるパターン」と思っちゃいましたね。ものの見事に決められてしまいましたね。あの水色に白のトランクスにガウン、お父さんので郷愁感じましたがただやはり才能は如何ともし難い。申し訳ないですが、名前はあるけど実力はそれほどじゃなくて大橋ジムの思惑通りになっちゃいましたね。
小畑くんは結構上手く戦ってましたが技術、多彩さはやはりデビットが一枚二枚上。頭の位置も嫌らしかったですね。ただし小畑くん、永野さんを攻略した試合や昨日の試合見てもなかなか知略戦略を考え戦う選手で、まだまだタイトル戦線に絡んで欲しいと思わせてくれました。
デビットは上手いけど、誰かに倒して欲しいです。
武藤くんは19歳ですか。頭当たりましたが、ただそれまで見ても左多彩に出してましたし、大変冷静でしたね。ところどころ下町くんみたいな戦いに見えましたね。最後こそ頭当たりましたが、それまで見ても正面からテンポ、パターン同じに攻めて亀海さんが再三指摘したクリンチの甘さで打たれた山﨑くんとの差は明白。山﨑くん負けましたがこういう可愛い子に大きな旅させるマッチメイクは好感持てます
いや面白い興行でした
中嶋を本当に世界戦ロードに乗せようと思うなら、下町との「日本代表決定戦」は不可避であると思っているのですが、実際この先どうなるんでしょうね。ドヘニーに挑ませるまでなら下町とも多分やらせた、と思うのですが。今のキャリア構築はなんというか、どうにか世界挑戦だけはさせてやりたい、という大橋秀行の想いがにじみ出ているような感じがします。松本亮の世界挑戦もそうでしたが、たまにこの人は損得勘定を抜きにしたなにかを以って、端から見たらいやそれは厳しいだろう……という挑戦試合を組むことがありますよね。中嶋はキッズ会員からかなり人気があるトレーナーでもある、というのが微妙に影響している? のでしょうか。
辰吉寿以輝のあの衣装はズルいですね(笑)。いろいろ思い出しました。しかし試合ぶりは、離れて見られて、その間を攻めの数で埋められず、でしたから、中嶋の強打がいずれ来る、という予感がして、その通りになる、という厳しいものでした。
セムジュ・デビッドはもっと巧さを振りかざすくらいの、巧さの迫力が欲しいですね。若くないとはいえ、あんなに誤魔化しが先に立つんではなあ、という。ボディ打たれるの嫌さに、ああいう闘い方をしているという「実際」が見えましたし、誰か、何とかして攻略してほしいものです。同感。
実況も再三言っていましたが最近、松田ジムから若手の良い選手が続々と出ますね。またそれが東京のリングで健闘しています。代替わりして、だいぶ開かれた感じになってきましたかね。名門が活気づいているのは嬉しいことです。
山﨑は初黒星ですが、強い相手に勝負した結果、恥じることなどないです。敗れても果敢に闘い続けていた姿は立派でした。
まあ、残念ながら大方、こうなるだろうと思っていた感じではありました。あんなに中嶋の方が大柄に見えたのは意外でしたが。
中嶋のキャリアについては、ドヘニー戦後、再度世界へ持っていこう、とまでは...どうなんでしょう。とりあえず現状、メインイベンターとして、Leminoのローテーションを務め、その枠内で出来るだけ体裁良く、実入りのある試合を組んであげよう、というところではないでしょうか。今後、井上尚弥の王座返上があるとして、そこで空位の王座のうち、いくつかの決定戦を自ら手がけ、いくつを手放すかは不明ですが、その試合に出るに足る実績を、今後の中嶋が積めるかどうかは、もう一段上のシビアな基準があると思います。
その上でこの先ですが、村田昴との対戦は100%ないとして、あるとしたら下町か、下町に勝つ誰か、ということになりましょうね。正直、世界となれば中嶋では限界がある、厳しい、とは承知の上で、その基準をぎりぎり満たすなら(或いは、そのような感じで押し切れそうなら)、負けを覚悟で挑戦機会は作ってやる、という感じで踏み切るかもしれませんね。松本亮と通じるのは、傍目には頼りない根拠に過ぎないとはいえ、世に言う「一発」がある、みたいなところでしょう...かね?昭和の風情、ですが。
辰吉寿以輝については、当初はもっと早く「変なタイトルマッチ」を組むのだろうと思っていました。時間がかかった理由については色々あるようですが、実力自体も不足していたのでしょう。それを踏まえた上で、やはり、今回のような、挑戦試合になったことは幸いだった、と思います。きちんと白黒ついたわけですしね。
おっしゃる通り、今のままでは日本でトップクラスと示すまたは世界トップランカーに勝つなどの実績をつけないと世界線への説得力はありませんが…
今後、パンチ力以外の部分(個人的には動きや位置どりが緩慢な上、ディフェンスも良くないように見えるのが気になります)での成長が内容で見えること期待します
そういえば、松本亮は何をしているんでしょうかね。コロナ禍とその後の試合が流れて以降、音沙汰が全くなくなりましたが。年齢は意外と中嶋より一つ下なんですね。早くに世界戦を行っていたこともあってまだ30歳なことに驚きました。現状4年も試合をしておらず、トップアマ実績があり世界戦の経験を早い時期に得れたにも関わらず、実らずに終わってしまうのかと少し寂しくなります。旧Twitter(X)では最近も大橋ジム関係の更新をしていますし、単純にジム内競争に負けて試合を組んでもらえないということなのでしょうかね
中嶋及び陣営が、キャリア晩年の和氣慎吾と、辰吉寿以輝を破ったことをもって、世界挑戦への機運あり、という話で押そうとしているのなら、それはいただけません、と思うのみです。内心...というか、自分自身が一番わかっているだろうに、と。
松本亮はジム内競争、というよりも、以前患った内臓疾患が寛解せず、引退状態にあるのでは、と思います。仰る通りまだ若いので、復帰の可能性、その希望を捨ててはいないのかも知れませんが。キッズ、ジュニア時代は井上尚弥に並び称される、というと大袈裟かもですが、名を知られた存在だったわけですし、確かに残念ですね。