さうぽんの拳闘見物日記

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拳闘見聞の日々。

見てもらえぬなら、さらに見せようという切り換え 三代大訓、仲里周磨を返り討ち

2024-04-10 14:23:24 | 関東ボクシング


昨夜はFODプレミアムにて、ダブルタイトルマッチのライブ配信。
以前なら会場行きたいな、と懊悩?していたところですが、自宅で楽しく見られるんですから、楽ではあります。
ズボラこいとらんと、たまには会場行かなならんなー、と思いつつ、ですが。


そんなことで日本ライト級タイトルマッチ、仲里周磨vs三代大訓の再戦から感想です。
6年半ぶりの再戦となった試合。前回は三代がダウンを喫しながらも判定で仲里を下し、出世コースに乗った一戦。
その後両者ともタイトルホルダーとなり、こうして日本タイトルを賭けて再び、闘うこととなりました。


試合自体は派手な展開とはならず、しかし両者の特色(良し悪しともに、ですが)がじっくり見られるものでした。

序盤、三代は左ジャブ、軽いが右ダイレクト。フェイント入れて当てる。右だけど、意味合いとしてはジャブみたいなものか。
ざっくり言って、展開としては仲里には良くない。見てしまっている。もっと圧して、三代から巧さを出す余裕を奪いたい。
韓国遠征で三代が敗れた試合は、もちろん不運ではありましたが、三代の「負け筋」はああいうものだ、という回答ではあったはずです。
もちろん傍目がそう思っても、無理に出たとてそれに対処するのが三代なのでしょうが。

ポイントとしては微妙。初回微妙ながら三代、2回は三代が右の被せを巧く当てたので三代。
3回、仲里が強打で攻め立てる場面があり、場内沸くが、芯食ったヒットではない。攻勢を取れば仲里か。
4回微妙。三代が左ジャブのみならず、少し出た印象。5回、両者ヒットのあと、互いに挑発?のジェスチャー。仲里左瞼から出血。


途中採点、三者とも3対2で仲里。少し意外な印象でもあり。三代リード、3対2か、ことによると4対1なんてことも、と思っていたので。
三代の左や、軽打ながら右当てる巧さ、仲里単発の好打のあと、すぐ打ち返す「相殺」が、ジャッジに見てもらえていない?
仲里は右の強打は、下も上も、けっこうガードされているように見えたが、これはリングサイドから見上げると、違う見え方になるのかも。


6回「ならば」という感じか?三代が右から、後続打も繰り出す。旋回して外し、また右ロング。少し力入れて打つように。
仲里もワンツー、右フック返す。この回も難しい。強打のイメージは仲里にある。前半の基準ならなおさら、か。
7回、三代ショートのコンビ、仲里のワンツー外しリターン。右相打ちもあるが、ジャブの応酬でまさる。三代がより巧さをわかりやすく「表現」している。三代。
8回、仲里右クロスに、三代ショートのコンビで返し、逆にロープに追い立てる。
仲里のヒットはあっても浅く、単発に抑えた上で三代が繰り出す「相殺」の攻撃が、前半よりも厚みを増している。三代。
9回、三代ジャブ、右アッパー織り込んでコンビ。仲里奮起して右ヒットするが、ジャブの精度で差がついて、この回も三代。
最終回、仲里強いコンビで出るが、三代肩入れたジャブを突く。ショートで打ち合い、仲里強打に対し、三代は柔らかく芯を外し、インサイドに正確な軽打を返す。
ラスト、仲里右ミス、三代右アッパー返す。三代だと思うが。


判定は逆転していて、6対4がふたり、7対3がひとりの3-0で三代。
さうぽん採点は7対3でした。

試合後、会場で観戦されていた方から、僅差で仲里では、という意見を聞きました。
これは会場と映像で見方が分かれる典型的な試合だったのかもしれない、と改めて思いました。
前半の採点なども、その一端だったのでしょう。言えば、際どい試合だった、のかもしれません。


しかし同時に、前半の採点を聞いて、自分が思う自分の良さをジャッジが採ってくれていない、という状況で、心身共に失速するボクサーもよく見ますが、そこで三代大訓が見せた「反発力」こそが、この試合最大の「見もの」だった。
そういう試合でもあったように思います。

6回から、明らかに、目に見える形でポイントを取りに行ったのが見えました。リターンパンチも、ひとつふたつだけでなく、さらに「追加」したし、ショートのコンビも何度か見せた。
アッパーを織り込んで打ち、打った後は大きく旋回する動きで外す。言えば「省エネ」モードから、ある程度燃費が落ちてもやむなし、という切り換えだったのでしょう。

途中採点が思わしくない、というのは、どんなボクサーにとっても嫌なもので、ましてWBCタイトルなら、試合の三分の一の時点ですが、日本タイトルだと半分終わってから知らされる。
そこから巻き返そうとなっても、当然色々難しいはずです。

しかし三代は、明白に「これで足らないなら、やりますよ。さあ、見てください」と言わんばかりに、闘い方を変え、実際その通りに、ジャッジの支持を取り付けて、逆転判定勝ちを収めました。

一打で細かい話を打ち壊す強打を持つでなく、目にも止まらぬ速さがあるでない。
でも、三代大訓は、隅に置けないボクサーだなあ、というところを、改めて見せてくれたように思います。


試合後は国内、地域ベルト三本全部まとめたい、と語っていたらしいですが、鈴木雅弘に保田克也、そして、かつての盟友にしてライバル宇津木秀、さらに再起戦の日程が出たという、吉野修一郎との「幻の決勝戦」などなど、国内にて好カードはいくらでも想定できます。
かつて、伊藤雅雪戦という、さまざまに画期を成すビッグマッチで殊勲の勝利を上げた三代大訓が、本来進むべき道に、やっと戻ってきました。
これからも、若干地味目(笑)の試合ではあっても、色々と楽しませてくれそうですね。



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2 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-04-10 22:03:36
そうなんですよね。私も前半の採点は三代さんが一点リード。仲里くんがプレスかけつつも自分の間をセッティングしている間に細かく打たれる。さらにせっかく詰めたのに一旦バックステップしてやり直し。この繰り返しが顕著で、私も三代さんが明確に勝ったと見ました。
三代さんは細かいパンチを出して仲里くんの間を完全に読んでましたね。ただやはりインパクトのあるヒット、見せ方の工夫はこれからも必要でしょうね。上手いけどスピードや派手さはなく見た目の地味さで常に割り引かれる、その損をどう上書きするのかですね。うーむ、いい選手なんですよ。ただ、地味。本望さんみたいな感じしますね
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-04-11 22:31:53
>R45ファンさん

間近で見て、よほど仲里のヒットに威力を感じた、というでもない限り、ちょっと首を捻る途中採点でしたね。しかし三代の方にそこまでのリアクションが無い以上...まあ、難しいところだったのかもしれませんが。
仰る通り、三代の課題は「この先」ですね。例えば吉野修一郎が以前の力そのままで再起してくるとも断言は出来ませんが、タフで強打があり、防御には難があれど攻撃の巧さもある、言えば三代にとってスケールアップした仲里、という感じの相手です。そういう相手に今回のような勝ち筋が見えるのかどうか。それに必要なものは、方向性は?というところが今後の注目でしょうね。
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