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さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

時代と共に、ボクサーの有り様も変わる エスピノサ、ラミレスの棄権でTKO勝ち

2024-12-09 00:00:43 | 海外ボクシング



今日は未明からU-NEXT、WOWOWオンデマンド、DAZNと海外ボクシング立て込みの日曜日となりました。
WOWOWのみならず、DAZNでも世界戦関係がふたつ(WBAヘビー級と、IBFスーパーライト級)があり、それ以外にも地域ごとの試合がありました。
土曜日には花田歩夢がブランク明けの試合で再起二連勝となったメキシコの興行もあり(しかし、あの画質の悪さは何なんでしょう)色々大変でした。

とりあえず順番に、簡単に、感想を書いていこうと思います。


一番気になっていたのはWBOフェザー級タイトルマッチ、ラファエル・エスピノサvsロベイシー・ラミレスの再戦ですが、意外な形での決着。
6回早々、エスピノサの右がヒットしたところで、ラミレスが手を上げて横を向く。棄権の意志表示を見た?レフェリーがストップしてのTKOで、エスピノサが勝利。
ESPNのスポーツドキュメンタリー番組のテーマにもなった、ロベルト・デュランの対レナード再戦における「ノー・マス」事件を思わせる、驚きのエンディング。


試合展開としては、オーソドックスの右ストレートが来る方向にわざわざ回るサウスポー、ラミレスの誘いにエスピノサが極力乗らず、ストレートで身体を伸ばすよりは、バランス復元の容易な左ジャブ中心に自重して攻める、というもの。
ラミレスにすれば右ストレートを打たれても、外してそこから色々出来る自信があるが、エスピノサが思うほど来ないので、当て外れ。
じりじりとプレスかけつつ、遠い間合いを生かしてもいるエスピノサに対し、打つ手が半減させられた、という感じ。

その展開上でも、両者鋭いパンチを狙い合う。ラミレス単発のカウンターは冴えがあるものの、エスピノサが攻勢、徐々にヒットも取っていく、という流れで来た6回、唐突な終幕でした。
ラミレスが訴えたエスピノサの肘打ちは、初回の接敵時から何度か当たっているのが見えてはいました。ラミレスが右サイドに回る際、エスピノサが邪魔するために肘を上げていたような。
その際に「打ち込み」と言える動作があったかどうかは、何とも言えませんが。



しかし、昔日のボクサーなら、自分が反則をされたと感じ、それを声高にアピールはしても、棄権まではなかなかしなかったと思います。
プロボクシングのリングとは、可能ならどんな手を使ってでも勝つために闘う場であり、相手どうより自分がやられてしまったら負けだ、やる方に回らねばならなかった、という...それが昔日の、ことにラテンのボクサーたちの認識だったのでは、と。

しかしラテンと括っても、キューバのトップアマともなれば、五輪優勝や連覇やという以前に、国内の生存競争を勝ち抜くのがまず大変で、その過程で培った、ボクシングという競技への理解、そこから生まれた情緒というものは、なかなか変わらないし、変えられないのでしょうね。
最近のプロボクシングは、その競技性がアマチュアに寄っている面があるのですが、その中にも時折、今回のような反則を受け、重篤な負傷をすることもありはします。

そこで「やり返す」「取り返す」ことではなく、棄権を決断し、それを自らの健康のために、と言うロベイシー・ラミレスの姿を見ると、時代が変わればボクサーの有り様も変わるものだなあ、としみじみ思いました。
かつての観客は、ボクサーの健康など見に来ているのではない、むしろそれを度外視して闘う様を見せるのがプロボクサーだ、と思い、それを当たり前の前提として、試合を見ていました。
しかし今は、きっと多くが、若干複雑な思いもありながら、基本的にはラミレスの言に納得し、受け容れねばならないひとつの見識として聞いている。
こういうとき「複雑な思い」と言うこと、それ自体が、もう適当ではないかもしれませんが...そういう時代なんだなあ、と。




メインのエマヌエル・ナバレッテvsオスカー・バルデス再戦もまた、前回同様ナバレッテの勝利。
腹回りがだぶついているナバレッテだが、動きは重いがパンチも重い、という感じでスタート。
バルデス、少なくとも序盤の内は、この「重さ」をまともに受けないよう、慎重に動いて外して、試合を長引かせることを優先して闘うべきだ、と思っていたのですが、初回から左右フックを頭部に打ち込まれ、ダメージを負ってダウン。
これでナバレッテが完全に主導権を握り、4回にもダウン追加。バルデス、5回にはマウスピースが飛ぶ強打を受け、6回ボディブローでまたダウン、KOとなりました。

かつてはドーピング疑惑もあったバルデスのパワーとスピードは、意識付け次第で重いパンチに賭けたナバレッテを御することも出来たと思います。
しかし、なまじ好調だったせいもあり、そうした抑えを効かせることが出来ないまま立ち上がり、強打されてしまったのは痛恨でした。

ナバレッテは圧勝、というべき内容(実際「圧し潰す」感じの攻め口でした)、ダンプカー作戦成功、という感じで勝ちましたが、このやり方がそれこそオシャキー・フォスターに通じるかというと、相性的には最悪だと見ます。
フォスターほどのレベルでなくとも、序盤の内は動いて外し、鈍ってから打ちに行く、という方針を立ててくる相手だと、本当に苦しいでしょうね。




それにしても土曜のホールもそうでしたが、事情は違えど、休憩時間の長さは酷いことになっていました。

今回のダイナミックグローブは、藤田炎村の欠場があり、6試合予定が5試合になり、その上、2試合目からセミまでの3試合が早期決着。
時間が盛大に余り、U-NEXTでは鈴木なな子、高橋、堀池の試合をフルにもう一度流す。その後、月間表彰式に、U-NEXTの1月2月配信イベントに出る選手の挨拶、と続けて、メイン開始まで1時間くらいを稼ぎました。

いくら何でも、もうちょっと早くできませんかね。さすがにメインに出る三代、丸田両選手とも、1時間空けてくれないとアップ出来ない、とは言っていないでしょうし。
早い時間帯だとお客さんが、というのも、土曜日なんだし、そこまで問題ではないような。
会場に足を運んだ観客の方々にしたら、さすがに辛いところではないでしょうかね。

会場にいた友人によると、アンダーの選手応援団の中には、メイン前に帰ってしまった方々もいた模様。
何も自分が応援する選手の試合が終わったら帰ろう、という構えでは無く、メインも良いカードらしいから見ようか、と思っていたであろう人たちが、アンダー試合の「再放送」を会場のモニタで流しているのを見て、呆れて帰ってしまった、と...。



で、日曜、何の関連もないはずのWOWOWオンデマンドにおけるトップランク興行も、全部で4試合配信されましたが、それぞれにしっかり間が空く。
ことにセミセミのリンデルフォ・デルガドKO勝ちの後、セミのエスピノサ、ラミレス再戦の間が1時間10分くらい空いてました。
同時間帯にUFCの試合があった(日本の選手がタイトルマッチに出たそうですね)ので、まさか以前あったような時間待ちかと思ったんですが、そうではないみたいで。
バンデージがどうしたとかで揉めてたとかいう類いの話、神経戦?みたいなことでもあったんでしょうか。
或いは当初から時間固定なんですかね。こちらはさっぱりわかりませんが...。

何しろこちらはDAZNとか、他にも見ないといかんものがある(←それはお前の勝手や)のに、早うしてくれんかなー、と、ちょっと苛々しました。
まあ、ボクシングというものは会場で見るにも家で見るにも、それなりに労多きもののようであります。嗚呼。



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2 コメント

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Unknown (R45ファン)
2024-12-09 07:57:34
おっしゃる通り最後まで勝ち筋を見出そうとする向きはラミレスに見えず、解説の西岡さんが、「えー」と言ってましたよね。エスピノザずるいですよ。ただでさえ破格の体格、そしてコツコツ当てるパンチも軽くはないし、嫌らしいアッパーもありで割と上手くプレスかけられ、おまけに肘を嫌がらせに使われたらそりゃ厳しい。
あれで負傷したなら気の毒ですが、側から見たらあっさり諦めおったのう、となってしまいます。形上はエスピノザのプレスに屈した、それも前より明白にと見えますし、あの棄権の仕方はどうなんだろうと。これが昔日のレナードや辰吉さんみたいなスターならともかく、ラミレスにそこまでの、まあドライに言えば「商品価値」はないように感じます。次のビッグマッチの機会は遠のきましたかね。
試合の前に、井上尚弥様の時代終わらすのは私だと吹いたような記事ありましたが、(脚色ありますでしょうが)思いっきり負けフラグになっちゃいましたね。
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コメントありがとうございます。 (さうぽん)
2024-12-10 20:57:10
>R45ファンさん

昔日のラテンの王者達がやっていたことと比べれば、あのくらいの仕業は、と思いますが、その結果が眼窩底骨折というのは重大ですね。もちろん症状がどの程度なのかは色々段階がありましょうが、ロベイシー・ラミレスというプロアマ通じて世界のトップに立ったボクサーが、もう無理と判断したことを、基本的には受け容れるべき、なのでしょう。
商品価値、という面でいえば、三度目の対戦希望がかなうかどうかでまた違ってくるでしょうね。トップランクがメキシカンとキューバンの三度目の対決で、そういう方向にすんなり話を運ぶものか。そもそも片方が2勝していて、しかも終わり方がこれですからね。
井上尚弥戦は、変な話この結果どうというのを置いても、変わらず興味深いと思います。現実に組まれることはないでしょうけど。まさかのスーパーバンタム転級があれば?まあそれこそ非現実的ですね。
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