月曜からフジテレビオンデマンドでも見られるようになっている、中垣龍汰朗vs花田歩夢の日本スーパーフライ級、ユース王座決定戦は、1-0のドローでした。
有り難いことにフルラウンド見られましたが、なかなかの好試合。
メキシコでプロキャリアをスタートさせた花田19歳、トップアマからプロ転向後3戦目のサウスポー、中垣21歳。
左手を少し出して牽制し、右ストレートを上下に飛ばす花田に、中垣も速い左ストレートで対抗。
3回、花田の右で中垣のけぞる。すぐ左打ち返すが、花田が抑える。
4回までは互角に見えたが、5回以降、花田の右ストレートが伸び、深く入る場面が増える。
7回はそこに左ボディの好打が重なり、中垣、目に見えて失速。
8回、中垣踏ん張るが、ポイントの振り分けに迷う内容。中垣挽回、と見るべきか、微妙な気も。
好ファイトであることは確かで、好カードとは組む甲斐あり、と改めて思わされましたが、判定は正直、首を傾げました。
ましてや、逆が一人いてのマジョリティドローとは。
確かに中垣の速いパンチも目を引きましたが、普通なら後ろ手(花田の右)の方が多く、強く、深く入って相手を脅かしているのを見て、採点するものではないのでしょうかね。
しかも、その上できちんとひとつ「山場」も作っているのに...。
大橋ジム関連でいえば、以前の中嶋一輝vs堤聖也戦などもそうですが、国内の若手対決で難敵と闘うのは立派ですけど、こうなったらば、やはり早期に再戦するべきではないのか、それが大手ジムのプライドを示す機会だろうに、と思います。
せっかくの好カード、良い内容の試合だったのに、この辺は残念な気持ちになりました。
アンダー2試合、ダイジェストでしたが見られました。
溜田剛士は強打健在。森且貴はまたも新人王対決で、小島蓮をTKO。
森且貴は、新人王同士の試合に連勝し、着実に自信もつけてきている様子。
谷口将隆や重岡兄弟など、ワタナベジム勢の牙城にいずれ迫れるか、もう一段上の話となるとまだわかりませんが、やはり中身のある試合を重ねている選手というのは、応援したくなるものですね。
花田はスタンス広めなのに踏み込み早く、パンチの伸びも素晴らしい。ボディー打ちも強力でカウンターのセンスもあり。そして中垣の右は相当やっかいだと思うのですが、すんなり対応し、最初ほぼ抑えていたことに驚きました。しかし中垣もまたそれに対応し、2Rからは右のバリエーション増やし、中から伸ばして左に繋げたりとこれまたお見事。いいのもらうとすぐに返したりと、勝負所や「見せ方」も心得ている。引き出しの多さや対応力の高さも見られました。
自分はドロー判定は違和感ありませんでした。1、3、7R花田で、2、4、5R中垣、6、8Rはどちらもありと思ったので。ただ6-2中垣はないですね。普通に見たら花田が2つのみはあり得ない。こういった「習慣」はなくなって欲しいですね。
コロナ渦の噛ませさん招聘不可という情勢で、それまでのホープたちと違って、非常に濃密なキャリアを重ねているのが今の若手ですが、中垣と花田の対戦はその象徴的な試合でしたね。
私はどうも、イーブンに近い内容の場合、そこに速いジャブだけ(数で言えばごく僅か)を上乗せしただけでそっちに振る、という採点に納得がいかないんですね。競った回は、花田のように、後ろ手のパンチを数多く出している(しかもあからさまなミスはほぼ無い)選手の方に振るべきではないのか、と。まあこの見方自体が古いのかもしれませんが、赤と青が逆だったら、普通にそういう採点するときもありますからね。狭い日本で、東西の相互不信がいつまでも変わらないのは、どうにもやりきれませんが...。