ということで昨夜は府立地下にて観戦してきました。
中谷正義はOPBFライト級王座9度目の防衛戦。
相手は3位のパラーンペット・ソーブアマート、22勝18KO2敗と好戦績。
まあ、実際見てみんと、というところでしたが、
中谷と比べれば当然小柄ながら、締まった構えから思い切り振る右の威力はなかなか。
タイ人ボクサーの戦績など、真に受ける方が馬鹿らしく、まあ話半分やな、といつもなら思うところですが、
この選手はけっこう強いな、と見えました。相手が違えば...という注釈付きですが。
中谷は初回、左ジャブを突き刺して先制。2回、パラーンペットの右クロスが飛ぶ。
中谷よく見て外し、ワンツー、肩越しに右も。
3回からはワンツーから、左ボディがレバーに入る。4回、パラーンペット苦しくなり、右大振り。
5回、中谷は遠くから打つボディブローを再三決める。終了間際、スリップ気味ながらダウン取る。
6回、バッティングで切ったパラーンペットにドクターチェックが二度入る。
再開後、中谷がそれまでの左ボディではなく、ボディの正面、ストマックに右アッパー。
それまでよく耐えていたパラーンペット、ボディを締めるタイミングを外されていたか、
キャンバスに崩れ落ち、悶絶。カウントアウトされました。
相変わらず、高い集中、能動的に左から「作る」試合運び、天与の体格を生かした闘いぶり。
中谷正義はまたも、充実した試合内容で、9度目の防衛を果たしました。
加藤義孝を攻略して以降、その実績や試合内容は、総じて優れたものだと思います。
今回の試合でも、一定の水準を超えた力あり、と見えた挑戦者に、はっきりと差を見せた上で、
厳しく突き放し、ボディから攻め上げ、優勢に進めた上で仕留めています。
東洋のライト級で、対戦していない有力選手は荒川仁人、リナレスに敗れたメルシト・ヘスタ、
先日ロシアでKO勝ちした中岸風太などがいますが、いずれと対戦しても、私は中谷有利だと見ます。
結果のみならず、そう思えるだけの試合内容を、中谷は繰り返し見せてきましたし、
今回もまた、同様だったと。
試合後の本人のコメントは、自身に厳しいものが出ているようですが、
あのくらいの相手でも、厳しく突き放し、来たら叩いて弱らせ、中盤に仕留めた試合ぶりは、
けっして「おもんない」ことなどない、全然悪くない、良いものでしたよ、と声をかけたい気持ちです。
もっとも、本人は、この上、この先の試合を想定しているから、こういう物言いになるのでしょうが。
そして、そろそろ、そういう試合が組まれるべきだろう、と改めて思います。
IBFで3位に入っていますが、上位との対戦が、どういう形で組まれるものか。
その辺の構想のようなものが、まったく話として出ていないので、何とも言いようがないですが...。
ここから直にタイトルを、というのも難しいでしょうし、出来れば上記した三名や、
世界ランクに相応しい実力のある相手に、これまでより一段上の試合を闘って見せてほしい、と思います。
陣営にもこれまでとは違う負担がある話でしょうが、少なくとも中谷正義は、
そういう試合に臨むべきだ、と言えるだけの結果と内容を、継続して示し続けているのですから。
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カリド・ヤファイに敗れ、再起戦の石田匠は、タイのラチャーノン・サワーンソーダーを3回KO。
ラチャーノンは12勝12KO1敗という戦績で、確かにパンチ力はありそうでしたが、
石田とは距離とスピードの差が歴然でした。
2回、左ボディから上への返しが再三決まり、2度ダウン。3回も左ボディで倒し、KOでした。
世界戦では、敵地とはいえ、あまりに消極的な試合ぶりにがっかりした石田でしたが、
この日はジャブで突き放し、ボディブローも鋭く、自在な攻撃を見せました。
勝ち負け以前に、こういう元気のあるところを世界戦でも見たかったですが...。
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これ以外の前座では、元全日本新人王、日本スーパーフライ級13位の橋詰将義が、
元日本ランカーの村井貴祐に8回判定勝ち。
新人王獲得の後、カタカナ選手との対戦が続いていた橋詰、昨年12月、久々に日本人と対戦しましたが、
藤本耕太と引き分け。試合を見ていないのでわかりませんが、結果だけ見ても芳しくはなく、
ちょっと停滞気味なのかな、と想像していました。
しかし今回、非常に気合いの入った立ち上がり。序盤からリーチを生かし、サウスポーからの右ジャブ連発。
後続の左ストレートも決まり、4回はサイドに出てのワンツー。ベテランの技巧派、村井を圧倒。
5回くらいに橋詰、左拳を痛めたか、見るからに右中心、左はかばいつつ、という風に変わる。
苦しいところでしたが、村井の反撃をよく動いて外し、クリアに判定勝ちでした。
終始、高い集中が見え、終盤攻め込まれた際にも、ヘッドスリップで防御するなど、
スタミナも切れず、練習量の豊富さも感じられました。
この感じなら、むしろ今後に大きな期待をしてもいいのでは、と思える試合ぶりでした。
秋月楓大(大成)と藤岡拓弥(VADY)は、藤岡が8回判定勝ち。
終始切れ目なく、ノンストップの打ち合いでした。
※勝敗を間違えて、秋月の勝ちと書いていました。コメント欄にて指摘いただきました。
訂正します。大変失礼しました。
16年度のスーパーバンタム級全日本新人王、サウスポーの岡本文太は
タイのクーキアット・ソーケーキカムシーに8回判定勝ち。
正直言って、何も期待せず、のんびり見ていたんですが、とんでもない試合になりました。
まず、35歳のクーキアットが果敢に連打し、攻め込まれるとまっすぐ下がってしまう岡本を捉える。
それでも岡本は初回、2回に左を決めて、連打でダウンを奪うが、3回、逆に倒される。
双方ダメージを抱えたまま、ぎりぎりの打ち合い。4回タイ人のボディ攻撃で岡本ピンチも、
5回盛り返し、6回離れた距離で捌く。8回、3度目のダウンを奪い判定勝ちでしたが、
えらく出入りの激しい、スリル満点の試合でした。
岡本は新人王獲得後、丸1年以上開けての試合で、ブランクの影響もあったのでしょうが、
クーキアットの健闘も光りました。
4回戦では、勝輝ジムのサウスポー、スーパーフライ級の新生佳弘がデビュー戦で初回KO勝ち。
4戦(2勝1敗1分)のキャリアがある尾方大地(大成)の右アッパーを外し、
サウスポーからの右フックでKO。尾方が担架で退場するほどのダメージ。
今後、新人王戦に出るのでしょうか。ちょっと注目かも、です。