一昨日、所用のついでに時間が取れたので、後楽園ホールで観戦してきました。
うまい具合に、川口裕が益田健太郎に雪辱なるかという試合を見られたわけですが、
試合前の予想はというと、クリアに差がつく形で川口が敗れるだろうと思っていました。
パワーならほぼ互角、わずかに川口かもしれませんが、スピードや機動力では益田が明らかに上。
最近闘っている相手の質、試合内容と結果も同じ。加えて川口の傷も不安材料。
正直言って、結果以前にかなり厳しい内容になるのでは、と思っていました。
単に敗れるだけでなく、後味の苦い決着のつき方になるのでは、という気持ちでもありました。
しかしその悪い想像は、川口裕によってほぼ完全に覆されました。
簡単に展開。
初回、益田速い左から右。川口遠い位置取り。見ている。益田ヒットは浅い。益田。
2回、益田手数を増やす。川口は見ている。スピードでは益田がかなり上。
しかし川口、無理に返そうとして益田のペースに乗らない。良い意味での「自重」が出来ている。
川口左を返す、単発だがヒット。迷う回。
3回、益田はクリアに取ろうと出るが、少しスピードを落として川口に合わせてしまっている。
川口重いジャブ、右、ボディ攻撃が出る。益田打ち返して打ち勝つが、良い流れとも言えない印象。益田。
4回、益田は打っていき、追撃もしようとするが、そこに川口が打つチャンスが出来る。
川口左ダブル。むしろ川口のほうが打った後、無理に追撃せず、動いて外している。
両者、やるべきことが入れ替わっている印象さえ。最後、益田少し動いて外す。益田か。
5回、益田の手を外して川口右カウンター。益田、軽く打てばヒットもあるが、
少し腰を据えて打とうとするとミスが出て、川口に捉えられる。川口。
6回、益田スピードでは勝っているが、思いのほか冷静に闘う川口に戸惑っている風。
ワンツー、右が出るがミスもあり。終盤右と頭を当てる。
こういう展開ではいかにもありがちな出来事。少々げんなり。やや益田。
7回、頭やドクターチェックもありつつ、激しい攻防に突入。
益田右、川口右ボディ、右相打ち気味に交錯。川口ヒットでまさるが、強打爆発とはいかず、少し浅い。川口。
8回、川口は畳みかけるような展開には持ち込めないものの、ムキになって行かず、
冷静に外す心がけが見え、それが益田を苦しめてもいる。
川口が丁寧に外し、ヒットを重ねる。益田はジャブが出るが、劣勢。川口。
9回、益田が奮起、足を使って動き、ワンツー。川口は単発のヒット以外、後手。
この回取られたら川口は厳しいかと見えた終盤、川口が左フックを決める。
益田効いたか、川口右で追撃、ヒットを重ね攻勢。川口の回。
10回、両者出る。右相打ち気味、両者もつれてスリップダウン。
川口前に、右から打つ。クリンチ、揉み合い、手数は益田か。川口も単発ヒットあり、微妙。
採点はいずれも僅差の2-1で益田でした。
私の印象は、僅差でどちらの勝ちも負けもあり、というところです。
しかし、結果には恵まれなかったものの、川口裕の試合ぶりは、私の悪い予想を大きく覆すものでした。
強打を決めて追撃し、倒し切るという最善の展開を追うあまりに、益田のスピードに翻弄され、
ヒットを奪われ、挽回しようとして悪い回りに、という初戦の展開に加え、自らの出血が絡んでの決着という、
いろんな意味で苦く、無残な結末もありうるだろうと思って見ていました。
しかし、川口は最初から冷静に益田を見て、遠めの距離を取り、ヒットを許しても浅いものにとどめ、
ムキになって返そうとせず、展開を切ってから、丁寧に反撃しました。
スピードの差を生かせない展開に、少しずつ益田を引き寄せ、試合後半などはクリアに抑えた回、
左フックを端緒に打ち込んだ場面などもありました。
総じて、予想を覆す大健闘、惜敗といえる試合内容でした。
嬉しい驚きを与えてくれた、川口裕に脱帽です。
勝っていない試合を絶賛するのは却って失礼かもしれませんが、初戦の内容をしっかり省みて、
敗因を分析した形跡があれこれと見えた、良く練られた闘いぶりだったと思います。
当初は観戦予定を立てていなかったのですが、非常に良い試合を見せてもらいました。
しかし、惜しかった。勝ちであってもおかしくない試合でした。
あまり言うべきことじゃないかもしれませんが、大阪でやった初戦がこの試合内容だったらなぁ・・・(^^;)