さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

世界の技巧派、古都で王座復帰 荒川仁人、徳永幸大を二度倒し判定勝ち

2016-04-17 00:25:39 | 関西ボクシング



そういうことで今日は京都にて観戦してきました。

ご存じ島津アリーナは、この興行には器が大きすぎるという問題はありますが、
それでも駆けつけた観客の「熱量」は高く、各選手の応援は濃いめの盛り上がり。
こちらは事情あって途中からの観戦でしたが、セミセミあたりから好ファイトの連続でした。

もったいないことにTV放送はなし。
会場にはTBS系列の大阪ローカル、MBS毎日放送のカメラが一台だけ。
一応試合の様子は記録しておく、というだけでしょう。
そんなことですので、頼りないメモを元に、簡単に試合展開を。


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1回、徳永幸大はいつも通りのスロースタートか。荒川仁人は軽く手を出し、リズムを作る。
荒川、左ロングフック。徳永の右ガードの外から巻くパンチ。
これを打っておいて、左ショートを、今度は徳永の右ガードの内側へ。
きれいに合わせた「巧打」をくらった徳永、ダウン。早々の大ピンチ。

2回、徳永が反撃に出るが、派手に繰り出す右の大半は荒川がいなし、外す。ヒットは浅く、単発。
3回も同様の流れ。

4回、徳永の右ヒットが少し増える。しかし荒川も要所で左を決める。この回は迷いつつ、甘ーくつけて徳永。

5回、開始早々荒川が左。徳永、背中からロープに叩き付けられるダウン。
ロープ際でなかったら、キャンバスに後頭部を打っていたのではないか、と見えるほど痛烈。
荒川じっくり追撃。厳しく詰める風ではなし。これは自信の裏返しか、冷静な判断か。徳永なんとか粘る。

6回、厳しい状況の徳永だが、体格とパワーの差を生かして粘る。荒川要所で連打、左。

7回、荒川ペース続くが、徳永ここでさらに奮起。重そうな右ストレートを惜しみなく連発、
これで入って右アッパーを顔面へ、というパターンを繰り返す。
荒川中盤に打たれて少し止まり、右ボディにも追撃を受ける。初めて、本気のクリンチに出る場面も。
しかし荒川も左ストレートで徳永の顔を跳ね上げる。両者の攻防激しさを増す。この試合のベストラウンドか。

8回、徳永懸命の攻め。場内は徳永のパンチに歓声。しかし徳永の右アッパーミス、荒川左カウンター。
徳永よろめくが、なんとか粘り、また右ストレート、アッパー、ボディの攻め。
9回、徳永は必死の攻めを続ける。荒川は基本軽く連打し、要所で左。徳永の顔を跳ね上げる。

10回、徳永さらに攻め、荒川も少し厳しく「詰め」て出る感じ。
しかし馬力で勝る徳永が、若干押し勝った印象。

公式採点は96-94、95-93、96-92。3-0で荒川でした。
私はもう少し荒川にポイントを与えてもいいくらいの内容だと見ました。
5回終了時の途中採点で、ダウン以外全部徳永の採点があって「たいがいにせえよ」と思いましたが、
終わってみれば結果は順当でした。


やはり、世界の舞台で堂々と闘い抜いた技巧派、さすがは荒川仁人、という試合でした。
強敵相手とはいえ、負けが込んでいる現状が、時に実力だけでは計れない危機を招く場合もありますが、
今回の荒川は、そういう不安をほぼ一掃するだけの闘い振りだったと思います。
移籍後初の戴冠ということもあり、非常に大きな一勝だったことでしょう。
国内にはライバルも多く、雪辱を期したい相手もいますが、この戴冠がそれらの試合への道を
新たに切り拓くきっかけとなることを願いたいです。

徳永幸大は早々に、スロースタートと打たれ脆さを露呈してしまったのが悔やまれました。
しかし、二度ダウンの後も、果敢に、粘り強く闘い、最後まで強い右を振るって荒川に迫り、
試合を壊さなかった闘い振りは、しっかり練習をしてきていると思わせる、堂々たるプロのそれでした。
今まで闘った中では、おそらく最高に巧い選手との対戦から、何かを掴んでもらいたい、と思います。
天与の体格、強靱な心身を持つ、貴重な存在です。まだまだ今後に期待です。

そして、ジムから王者がいなくなってしまったものの、WOZジムの健闘にも。
選手の分母を考えたら、拳四朗と合わせて京都府内から三人の王者がいたことは、奇跡とは言わずとも、まさしく快挙でした。
その中心を担うジムとして、大森や徳永を擁しての「再起路線」を、ささやかながら応援したい気持ちです。
もしかしたら、次の興行は小さめの会場になるのやもですが、こっそり観戦しに行こうと思っております。


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で、セミファイナルは大森将平再起戦。
インドネシアのバンタム級チャンピオン、エスピノス・サブと対戦でした。

1回、バンタム級としては平均的な体格であろうサブ、締まった構えでじりじり出て、右から左の返しを振る。
大森は少し見ている感じで、ちょっと危ないところに踏み込まれている印象。
右ジャブは甘く、左ストレートは戻りが遅い。

重心が後ろに残ったまま左を振り、その後、上体が前に折れる。腰が高い。膝が硬い。
見るからに据わりが悪く、迷いがありあり。正直、見ちゃおれん、という3分間でした。

2回、大森目に見えて右のジャブと、パーリーが増える。執拗に右で相手を探り、止める。
これで徐々に良い「回り」になり、左ストレートも当たり出す。
膝も少しずつ、柔らかく使い出す。
3回、サブが攻めて出る。右から左の返し。しかし大森右から立て直し、左ヒット。

4回、大森じっくり見て右、右、右。さぐって左ストレート。
これを決めて直後に左ボディ一発。まともに入ってサブ、ダウン。立とうとしたがかなわず、KO。


ということで、立ち上がりは大げさに言うなら、目を覆いたくなるような印象でしたが、
場内からの勝負を急かす声にも耳を貸さず?徐々に立て直していった流れは、
終わってみればまずは安心、という試合ではありました。

しかし様々な面で、普通のボクサーにはない、類い希な素質に恵まれた大森将平であるからこそ、
昨年の痛烈な初黒星がもたらした影響もまた、普通の物差しでは計れないほど大きなものだったのだ、
ということを改めて感じた、序盤の姿でもありました。

このままバンタム級で戦い続けるなら、日本ランキングが大きく下がることもないでしょうし、
それこそ、先を急ぐなら次の試合で、何らかのタイトル挑戦や、大きな勝負に出ることも可能でしょう。
しかしそういう試合はもう少し先において、相手を厳しく撥ね付ける右リードや後続の左、
そして柔軟な下肢を生かしたフットワークが、もっと確信を持って使いこなせるようになるまで、
あとひとつかふたつは、調整的な試合を重ねた方が良い、という印象も残りました。


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この日はセミセミ8回戦で、木原涼太(Gツダ)と東泰誠(真正)が対戦。
共に負け越しレコードというのが信じられないほどの好選手で、終始熱戦が繰り広げられました。
空席も多い場内で、セミとメインの前、やや緩慢な空気だった場内の目線を、
徐々にリングに引きつけていく様子は、見ていてけっこう感動的なものがありました。

判定は3-0で木原でしたが、体格では劣りながら左を端緒に連打する東の健闘が光った一戦。
個人的には割れても逆でもアリだと見ましたが、とにかく良い試合でした。
今日は前座含めて全部は見られなかったですが、見所のある試合が多い、満足度の高い観戦でした。


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さて、明日(もう、今日か)は大阪と神戸で、同日4興行開催。
観戦に行けるかどうかは、現時点ではなんとも言えず。

しかし、石田匠vs船井龍一なんて、どうでも見たいですが、久高寛之の応援もしたいし、
野中の防衛戦もあるし、上久保タケルも出るし、他にもあれやこれやと...。
身体がふたつじゃ足りません。どないせえちゅうんでしょうね、ほんまに。





コメント (2)
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