さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

奥本貴之、健闘も届かず IBF13位エクタワンに判定負け

2016-04-04 13:34:08 | 関西ボクシング



そういうことで昨日は府立の地下にて観戦してきました。

石田順裕の引退、川口裕の王座陥落などもありながら、新鋭や中堅にステップアップの機会を与える
意欲的なカードを並べてきた今回の興行は、グリーンツダジムの強い意欲を感じさせるものでした。
これは見とかないかん、ということで、会場に足を運びましたが、好ファイトが多く、
結果として満足度の高い観戦となりました。


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メインイベントは、日本スーパーフライ級4位のサウスポー、奥本貴之が
一階級下のIBF13位、タイのエクタワン・モークランペットンブリに「挑戦」した一戦でした。

初回、ファイター型の奥本が出て、左ショートを好打。エクタワンは目線を落とし、見て立つ感じ。
しかし2回、奥本が左ボディを軸に連打すると、エクタワンが右リード中心に反撃。
身体を左右に翻しつつ、スナッピーなパンチを連発し、打ち合いになってもヒット数でまさる。

奥本は手を出すも、大半がガードされている印象。徐々に後退させられ、ヒットを喫し、出血。
4回からはエクタワンが再三スイッチ。サウスポーからの右が時にリード、時にカウンターで決まる。

このままいくとワンサイドと見えた6回、奥本が半ば捨て身の攻勢に出る。
左ボディを中心に打ちまくり、カウンターを打たれても構わず前に。手数、ヒットで圧倒。
7回も同様の攻め、しかしエクタワンも強烈な右カウンター。奥本耐えて出る。
8回、エクタワンは脚で捌いて正確なヒットを重ねるが、奥本はなおも攻め立てる。
このあたりはもう、感動的というべき奥本の健闘でした。

判定は2-1でエクタワン。私は奥本に甘くて5対3でエクタワンでしたが、
勝敗は誰の目にも明らかでしたから、逆のスコアには驚き...はしませんが、呆れました。
まあ、勝敗が逆やないだけ、めっけもんかな、という気もしましたが。

真面目な話、昔ならこんな感じでも逆とか、けっこうあったので、だいぶ「マシ」にはなってきたのでしょうね。
これで逆やられると、せっかくの奥本の健闘が台無しになり、何も言いようがなくなってしまいます。
それこそ拙いブログひとつ書くのにも、書きようがなくなってしまうというか。
そういう意味では、試合内容とともに、ひとまず正しかった判定結果も、良かったな、と思えました。


エクタワンは17勝12KO3敗、12連勝中とのことでしたが、小柄ながら動きが良く、
左右ともにシャープなジャブをビシビシ打て、カウンターも取れる、センスの良い選手でした。
時に物凄いタイミングのカウンターも決めていましたが、ダウンは奪えず。
これは奥本のタフネスを称えるべきかもしれません。

また日本上位との試合なんか、見てみたい選手ですね。
今の時点で、例えば井岡一翔を攻略出来るかというと、ちょっとひと味足りないのでしょうが、
けっこう良い試合するかも、と思ったりもしました。

奥本は世界ランク奪取なりませんでしたが、技量に優れた強敵を相手に、全力を出し切りました。
打たせる傾向、古傷などの弱点を露呈しつつ、最後まで勝負を捨てずに奮戦する姿は、
真のプロの闘いを見た、という感じで、大いに称えたいものでした。
敗れたものの、堂々たるメインイベンターの仕事だったと思います。


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セミファイナルは強打の若手、田中一樹がお馴染みデンカオセーンを2回にKO。
初回から鋭いパンチを決め、デンカオセーンをよろめかせる好スタート。
2回、さらに攻め立て、デンカオセーンに見る余裕を与えない。
右を食ったデンカオセーンがムキになって反撃するも、スピードで圧倒、最後は左ボディでフィニッシュでした。

攻撃力はあるが、それ以外の部分が未知数、という印象だった田中ですが、
動き自体は以前よりも落ち着いていて、その上で攻めの鋭さが増していた印象でした。
もちろん、まだ見えない部分もありはしますが。

デンカオセーンはそのあたりをもう少し、炙り出すような闘いを見せてくれるかと期待していましたが、
体つきからして、見るからに急ごしらえ。試合が始まったら意地になって打ち返す場面もありましたが、
その意地というか気概を、練習段階から持っていてほしかったな、という感じでした。


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それ以外の試合も簡単に。

54.5キロ契約8回戦
○川口裕(Gツダ) 2回終了TKO ●エーキィッティ・モークランペットンブリ

2回終盤、川口の右から左でタイ人ダウン。追撃で二度目。
これがゴング後なのでノーダウンという裁定(そうは見えなかったですが)。
しかしタイ人ダメージ甚大、棄権。
ゴング後なら反則になるんやないですか、と思ったりもしましたが、その辺は何も無し。


ウェルター級8回戦
○矢野良太(Gツダ) 7回TKO ●川崎真琴(RK蒲田)

パワーで勝る矢野が攻め、初回右から追撃、川崎がグローブをフロアにタッチ、ダウン。
矢野攻勢も、徐々に単調さが目立つ。4回は川崎がジャブ、ワンツーを決める。
5回、矢野が攻めたところで、レフェリーが川崎から減点。ローダッキングの咎。
7回、矢野が左フックを決めてTKO。

試合後、柳光和博会長が激高、レフェリーに食ってかかり「退場」を宣告される場面がありました。
5回の減点についての不満からか。確かに疑問を感じる裁定でしたし、それ以外にも
あれこれと憤懣があったのかもしれません。
あくまで不満はレフェリーに向け、相手陣営や選手へは礼儀正しく挨拶をしてはいましたが、
相手の勝ち名乗りを妨げる格好になったのは良くありませんでした。

また、矢野良太が冷静に、大人の態度で応対していたのは感心しました。
見た目以上に(失礼)出来た子やな、という印象でした。


スーパーフライ級8回戦
○村井貴裕(Gツダ) 3-0判定 ●住友将吾(RK蒲田)

村井がこつこつとワンツーを当てて先制。住友は反撃も後手に回る感。
両者のタイプからすると、意外に打ち合いが多い印象。ヒット、攻勢とも村井がまさる。


60キロ契約6回戦
○松村智昭(Gツダ) 1回KO ●エーグザッカパン・モーグランペットンブリ

昨年の新人王西軍代表決定戦MVP、松村の強打炸裂。
右から返しの左フックでタイ人をKO。


ライトフライ級6回戦
○谷口将隆(ワタナベ) 1回KO ●ペットサイファー・ルークメーラムボーイジム

神戸出身、龍谷大卒の谷口が関西でプロデビュー。小柄なサウスポーできびきび動き、打つ。
左ボディから最後は左フックを上に返し、KO。


フェザー級4回戦
○澤井剛志(Gツダ) 2回TKO ●星本浩史(進光)

初回星本がダウンを奪うも、2回澤井が二度倒し返してTKO。
澤井はプロ二戦目で劇的な初勝利。


スーパーバンタム級4回戦
○下町俊貴(Gツダ) 3-0判定 ●伊東伸喜(神拳阪神)

長身サウスポー下町が、抜群のリーチを生かしてヒットを重ね勝利。
抜群の体格で、遠目に見ると、姿形は若き亀田昭雄のように見えました(笑)
あのくらい強くなれたら凄いですが、今後に期待、ですね。




コメント
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