ということで台風一過の大阪、住吉区民センターにお出かけしてきました。
場内はやはり、興行主催の六島ジム所属、細川貴之の欠場のためか、いつものこの会場の興行からすると
少々空席が目に付き、場内の盛り上がりも少し散発的かな、という印象。
そして奈良ジムの日本SFe級8位、杉田聖の対戦相手が計量に現れなかったとかで、セミが中止。
セミセミの途中にようやく会場に着いた私は、なんだかよくわからんまま、
メイン前に行われたセクシーポールダンスショーを呆然と眺めつつ、メイン開始を待っておりました。
メインは細川返上のため空位決定戦、王座復帰を目指すサウスポーの元王者、野中悠樹と、
以前尼崎ジムで先輩後輩の関係にあったという強打、長島謙吾の激突。
期せずして因縁の、というか運命の対決となったわけで、これはこれで興味深いカードではありました。
TV放送はおそらくどこでもやらないと思われますので、こちらも展開を(出来る限り)簡潔に。
1回、野中が右サイドに出ては左。ショート、ロング共に当たる。長島ロープ際で打たれ、止まる。
野中連打で追撃。長島右返す。野中マウスピース落とすが、余裕の表情。左アッパー決める。野中。
ややリングが狭く見える。野中にとってやや距離が近いように思うが、自信満々で当てて行く。
2回、野中の多彩な左がことごとく決まる。左アッパー、ワンツー、左ショート。右フック返しも。
長島は左アッパーで入ったり、右振ったりするが単発。野中。
3回、長島右振る。野中左カウンター、両者相打ち気味、長島が右決めて野中が片足を浮かせる。
効いたか、と思ったが野中動いて反撃。この回は一発の効果を取って長島。
4回、野中右ジャブ、左アッパー上下。右サイドに出て左からの攻めが決まる。野中。
5回、野中カット、バッティングによる。変わらず右回りから左ショート。野中。
6回、長島カット、バッティングによる。少しもつれる場面が増える。
野中の左が長島のテンプルに当たり、長島下がる。野中少し疲れか、しかしペース配分して単発のヒット。野中。
7回、野中動きをセーブ。長島右のミスが多い。野中左当て右返す。
終盤足使い、シャッフルも見せ、時間稼ぎ。その後軽いパンチ当てポイントを取る。野中。
8回、長島右、浅いがヒット。右から左フック、野中は効いてないとアピール。クリンチして休む。振り分けで長島。
9回、野中右アッパー、長島右フック、ロープ際で攻め込む。野中左ロング、右アッパー。手数で長島。
10回、野中足使う。トリッキーに動き軽いヒットを重ねる。少し打ち合い、長島奮起。
両者ヒットの応酬、野中右アッパー、長島左フック。野中がヒット数でまさる。
私の採点はやや野中に辛めで7-3。公式採点も最小差が同じスコアでした。
野中の試合はWBOランカーのドミトリー・ニクーリン戦勝利以来、ずいぶん久しぶりに見ましたが、
36歳の野中は、その年齢をうまく消化して闘えるボクサーになったのだな、という印象でした。
基本的には先手を取ってリードする展開を作り、相手の反撃を捌いて、という勝ちパターンを踏襲しましたが、
その上で、以前ほど足が速くはなくなった代わりに、小さい切り返しの動きが的確で、切れも出ていて、
右に身体を出してからの左ショートは、以前以上に正確でコンパクトになっていました。
また、中盤以降、スピードの差を利して長島の攻撃を見切り、泳がせておいてヒットを取り、
疲れてくるとうまくクリンチし、見ながら休み、連打をまとめてポイントを取る、という老獪さも見せました。
ブランクを乗り越え、年齢も重ね、それでもその状況に自らを適応させつつ闘い続けている
野中悠樹のボクシング人生は、新人王戦の頃から見ている者としては、ここまででも充分、
見応えがあり、味わい深いものになったものだなぁという感慨があります。
今、レフェリーになっている人との熱戦なんて、けっこう昨日のことのように思い出したりなんかも...(^^)
今後の展開については、再び浮上して、その先は世界を、というコメントも出ましたが、
154ポンド級のタイトルとなると、あの大師匠の存在を抜きにして考えても、あらゆる意味で
攻略至難、というより挑戦至難であることは事実でしょう。
さらに上の展開を作るための試合が今後あるのか、それとも他の道があるのかはわかりませんが、
野中悠樹はいまだに、なかなか楽しませてくれる「見もの」なボクサーであることだけは確かです。
次の試合をまた、楽しみに待ちたいと思います。