昨夜はIMPホールへぶらりとお出かけ、寺地「拳四朗」のデビュー戦を見てきました。
相手は井岡一翔に大差で敗れるもよく抵抗し、ダウンも奪ったことのある
インドネシアの小柄なファイター、ヘリ・アモル。
今はOPBF10位とのことですが、相変わらず思い切り振る右に威力があり、
何より相手を食ってやろうという意志が見えました。
ホープの試金石としては適切な相手だったように思います。
拳四朗は初回、左はやや下げ気味の構え、ここから左ジャブがよく出る。
右ストレートは適時出す。良く見て闘っている。パンチは正確だが軽め。
2回も左、左。アモルが反撃に出るが、足で外したあと、右カウンター。
アモルが執拗に左で出ると、少しバックステップに乱れもあり。
拳四朗、時間が「空く」と左、左、左。右ダイレクトは少し強め。
3回、拳四朗バランスが良く、構えが乱れない。ガードは下げ加減、時に上げる。
しかし安定しているが緩急、強弱がない。まだ様子見か。
アモル攻めるが、拳四朗、右返し、ワンツー。アッパーも交え始める。
4回、拳四朗急にボディを叩き出す。左ボディブローが続けてアモルの脇腹へ。
4発目でアモル、耐えきれずダウン。立ち上がり果敢に反撃。
拳四朗は左ボディと共に右クロスが上に打てたら倒せそうだが、攻めに力強さが足りず。
5回、アモルは倒れたにも関わらず、死に体ではない。右クロスを果敢に振って迫る。
拳四朗、左で捌く。
6回、アモルのフックを拳四朗はうまくブロックしリターン。
アモルの粘りを打ち崩せずゴング。
判定はフルマークで問題なしと見ました。私の採点は60-53です。
寺地「拳四朗」の試合は、NHKで放送されたアマチュア時代のものを三試合見たことがありますが、
小柄できびきび動く、巧い選手だという印象でした。
基本的にはその流れにあるボクシングでしたが、プロになって若干変わった部分はというと、
やはり左が良く出て、正確であることと、打つときの重心が良い感じで降りていたことでしょうか。
構えのバランスがよく、攻防の切り替えがスムースでしたし、全体として質の高いボクサーでした。
今後、伸びていけばプロでも一定以上の成功が見込める素養が、そこかしこに見えました。
しかし、その反面、その完成された土台の上に、井上尚弥や田中恒成のような、突出した部分を
見出すことはありませんでした。「伸びていけば」と書きましたが、今後はトータルでの完成度を高め、
技巧と機動力を伸ばす高山勝成的な存在となるか、或いは今回は見えなかった攻撃の武器を身につけるか、
それが今回欠けて見えた当て際の強さなのか、それともさらに速さや切れを追求していくのか。
様々な道がありましょうが、今後どちらの方向に舵を切るのかで、このボクサーの将来も
変わってくるのだと思います。
個人的な見解としては、相手が強ければより光る、という類いのボクサーに見えましたが、
そういう勝負をするまでには、もう少し成長するための試合が必要かも知れません。
いずれにせよ、今後の楽しみも含めて、まずは良い選手を見られた、といえる試合でした。
一時に比べると好選手が減少傾向にある?関西リングにおいて、貴重な才能ですので、
順調に伸びていってほしいものです。