ということで昨日は神戸サンボーホールにて、立ち見修行観戦。
小國以載vsロリ・ガスカの再戦を見てきました。
前回と完全に立場が入れ替わったわけですが、それは試合内容にも如実に反映されていました。
初回からガスカは前回以上の気合いで、身体ごと叩き付けるような左右のフックで攻めてきましたが、
小國は足使うのかと思いきや、さほど動かず、脇をしっかり絞ったガード、ブロッキングを駆使して、
ガスカの有効打をほとんど許さず、しっかり受けて、防いでは、左のボディブローを中心に、
的確なパンチを要所で決めて、ガスカを撥ね付けるような闘い方を採りました。
基本的にこの構図のまま、試合は最初から最後まで続きました。
そして、小國が少し疲れて手控えたか、手数が落ちた回が僅かにあり、
それをガスカの攻勢として採れば、ガスカに振れた回がいくつかはある、という見方が、
公式採点における116-112、116-114、というスコアになったのでしょう
(フィリピン人ジャッジのガスカ勝利の採点は、もはや異次元の域にあるので、論外とします)。
しかし私は、ガスカに思い切り甘くつけても117-110、小國でした。
以下、簡単にメモから拾い読み。
初回、ガスカ果敢に攻める。最初は柔らかく膝を使って、下から攻め上げてくる形。
小國右アッパー、左ボディ、正確に決まる。
(※今日の報道では、ガスカの左フックが少し効いて、足を止めざるを得なかった、
という小國のコメントが出ていますね。確かに好打はいくつかありましたが、
そこまでのダメージ、弱味を見せずに、小國はすぐに打ち返していたように見えました)
2回、接近戦でガスカ攻める。小國ガードでほとんど防ぐ。
小國左のボディ打ち連発。角度が良いから効く。ガスカ早くも気圧されて後退する場面も。
3回、小國右ボディストレートも交え、ボディ攻撃。ガスカ、思うように前に出られない。
ふと気づけば、早々にガスカの膝の動きから、柔らかさが消えている。
4回、ガスカがまたラッシュ。小國、少し動いた方がと思うがガード、ブロックして反撃。
ガスカはひとしきり攻めては小國に正確な反撃をされて下がる、の繰り返し。
途中採点。パンチの精度に確かな差があると見えたが、ガスカにフルマークの採点をしたアホが一人。
あとは39-38、39-37で小國。これとて辛いな、と思いますが、その辺は後述します。
5回、小國の右ボディストレートが入って、ガスカの足が少しよれる。
小國、ジャブ中心に突き放す。ガスカ、攻め手がなくなり手詰まり状態。
6回、小國の左ボディはほとんどジャブ並の頻度でヒット。ジャブ、ダイレクトライト。
小國がコントロールし続ける。
7回、ガスカが足を使い、その上で果敢に攻める。小國少し手数が減るが、正確さでまさる。
8回、ガスカ懸命の攻撃。手詰まり状態から半ば捨て身で盛り返そうとする。
小國左フック好打するが、全体を見てガスカの攻勢か。
途中採点。フィリピン人ジャッジが77-75でガスカ支持。序盤の勢い、まだ死なず。
後は78-76、79-74で小國。
9回、圧倒的にヒット数でまさる小國、そろそろ山場が欲しいが、ガスカはタフ。
果敢に攻める。しかしオープンブローが目立つ。
小國はボディ、長い右を見せる。
10回、ガスカに減点1。序盤からひどかったオープンブローが原因か、と思ったら、
ラウンド終了後にバッティングによる、とアナウンス。
攻めるガスカに小國はジャブ、ボディ。
11回、ガスカはひたすら手数を出す。小國疲れたか、手数が減る。この回はガスカ。
12回、ガスカ攻めるが小國はジャブ、右、浅いが当てる。
私はガスカに甘くつけて4R、8R、そして11Rを与えて、それ以外全部小國と見ました。
117-110、です。普通につけたら118-109、或いは119-108です。
しかし公式採点は、114-113ガスカ勝利というのはは論外として、
日本と韓国のジャッジが、116-112、116-114と、思った以上に
ガスカの攻勢点を取っていたようです。
このあたり、途中採点のところで触れましたが、リングサイドの近い位置から見ると、
ガスカが前に出る攻勢の迫力が強く印象に残る反面、
少し離れた位置の視点から見える、ガスカの攻勢がほどんど小國の腕の上でバウンドし、
なおかつ小國の反撃で、ガスカが時に気圧され、時に撥ね付けられるように見える後退が、
あまり視認できなかったのではないか、という気がしました。
TV画面で言えば、アップ続きの画面と、引いた画面の違いというか。
小國のボクシングは、必ずしもアップ続きで見て、映えるものではない部分があるように思いました。
前王者との再戦という、カードとしてはやや地味な展開と、
スコアの数字などを見ると、何か小國が冴えない試合をしたような印象かも知れませんが、
私は全然印象が違っていて、小國は前回の試合とは立場を入れ替えた再戦で、
果敢に攻めてきた前王者ガスカをきっちり撥ね付け、一年の間に開いた両者の実力差を
そのまま試合に出した、堂々たる返り討ちに見えました。
一度闘った相手との再戦において、こういうクリアな勝利(と見えた内容でしたが)を
収めた小國以載は、やはりその実力を確かなものにしつつあり、その過程における一試合として
私はこの日もまた、小國のボクシングは良かった、と見ます。
ただ、気になったのは、ガスカとの力量差を感じたのか、終始、ガード、ブロック主体の防御で
闘い続けたのは、競った採点を招いた要因だったかな、ということです。
受けて立てる、防いで見せる、撥ね付けられる、という自信があったからこその選択でしょうし、
私もその選択は間違いではなく、八割方以上は小國の思惑通りに行って、
試合も勝ったわけだから、批判をするにはあたらないのですが、あんな数字が出ると...。
今後、相手のレベルがさらに上がったとき、こういう防御が採点上、不利になる可能性がある、
という一点において、小國にとり貴重な経験としてほしい、そういう部分もあった試合でした。
昨日は、メインはもとより、前座も充実した内容でした。
この日、メインのガスカ含め、3人のフィリピン人ボクサーが出ましたが、
いずれもフィリピンの大富豪アルデゲール氏率いる「ALAジム」所属選手だったそうで、
これが皆、それぞれレベルは違えど、皆が皆、マジ、マジ、大マジの本気さん。
かつて関西のボクシングファンを度々感動させた「HonmamoN」興行の記憶が
チラッと甦ってきたりなんかしました。
森川真一郎は、自分よりやや大柄なジェッカー・ブハウィ(比国SF級12位だそうです)に
苦戦の末、最終8回に右をテンプル付近に決められダウン、立ったがもう無理で、追撃されTKO負け。
福原寛人はOPBFフェザー級6位、20勝1敗というロベルト・ゴンサレスと緊迫の闘い。
じっくり構えて、重いパンチを厳しい狙いで振ってくるゴンサレスに、
さすがの福原もおいそれとは攻め込めない。
これはなかなか厳しい試合やなぁと思った3回、打ち合いになるかと見えた直後、
福原が相打ち気味のタイミングで右のカウンターパンチ一撃。
見事に決まってテンカウント。さすが福原、役者です。
相手が強かった分、さらに価値ある勝利と見えました。
セミセミにはVADYジムの二番手(で、いいのですかね)西谷和宏が、
歴戦の雄、岩下幸右に判定勝ち。新鋭vsベテランの一戦は新鋭が制しました。
と、試合内容はどれも良かったんですけど、やはりこの会場の興行は、
毎度毎度、料金設定が厳しいので、立ち見になってしまい、非常に疲れます。
その上、前座試合がKOで終わっても、すぐ次の試合をやらずに、
合間になんだかだと催し物があって、でもボクシング見に来てるこちらには、
悪いですが何の需要もないものばかり。かなわんなー、の一語です。
例えば、こんな芸人さんを呼んで、それこそ思う存分に持ちネタをやってもらうとかなら、
私なんかはものすごく嬉しいし、疲れも吹き飛ぶんですけどねー。
どないなもんでしょうかね。
まあ、それこそ一般のお客さんからすれば「需要がないわい!」と
お叱りを受けてしまうのやもしれませんが。難しいとこですね(^^;)
小國以載vsロリ・ガスカの再戦を見てきました。
前回と完全に立場が入れ替わったわけですが、それは試合内容にも如実に反映されていました。
初回からガスカは前回以上の気合いで、身体ごと叩き付けるような左右のフックで攻めてきましたが、
小國は足使うのかと思いきや、さほど動かず、脇をしっかり絞ったガード、ブロッキングを駆使して、
ガスカの有効打をほとんど許さず、しっかり受けて、防いでは、左のボディブローを中心に、
的確なパンチを要所で決めて、ガスカを撥ね付けるような闘い方を採りました。
基本的にこの構図のまま、試合は最初から最後まで続きました。
そして、小國が少し疲れて手控えたか、手数が落ちた回が僅かにあり、
それをガスカの攻勢として採れば、ガスカに振れた回がいくつかはある、という見方が、
公式採点における116-112、116-114、というスコアになったのでしょう
(フィリピン人ジャッジのガスカ勝利の採点は、もはや異次元の域にあるので、論外とします)。
しかし私は、ガスカに思い切り甘くつけても117-110、小國でした。
以下、簡単にメモから拾い読み。
初回、ガスカ果敢に攻める。最初は柔らかく膝を使って、下から攻め上げてくる形。
小國右アッパー、左ボディ、正確に決まる。
(※今日の報道では、ガスカの左フックが少し効いて、足を止めざるを得なかった、
という小國のコメントが出ていますね。確かに好打はいくつかありましたが、
そこまでのダメージ、弱味を見せずに、小國はすぐに打ち返していたように見えました)
2回、接近戦でガスカ攻める。小國ガードでほとんど防ぐ。
小國左のボディ打ち連発。角度が良いから効く。ガスカ早くも気圧されて後退する場面も。
3回、小國右ボディストレートも交え、ボディ攻撃。ガスカ、思うように前に出られない。
ふと気づけば、早々にガスカの膝の動きから、柔らかさが消えている。
4回、ガスカがまたラッシュ。小國、少し動いた方がと思うがガード、ブロックして反撃。
ガスカはひとしきり攻めては小國に正確な反撃をされて下がる、の繰り返し。
途中採点。パンチの精度に確かな差があると見えたが、ガスカにフルマークの採点をしたアホが一人。
あとは39-38、39-37で小國。これとて辛いな、と思いますが、その辺は後述します。
5回、小國の右ボディストレートが入って、ガスカの足が少しよれる。
小國、ジャブ中心に突き放す。ガスカ、攻め手がなくなり手詰まり状態。
6回、小國の左ボディはほとんどジャブ並の頻度でヒット。ジャブ、ダイレクトライト。
小國がコントロールし続ける。
7回、ガスカが足を使い、その上で果敢に攻める。小國少し手数が減るが、正確さでまさる。
8回、ガスカ懸命の攻撃。手詰まり状態から半ば捨て身で盛り返そうとする。
小國左フック好打するが、全体を見てガスカの攻勢か。
途中採点。フィリピン人ジャッジが77-75でガスカ支持。序盤の勢い、まだ死なず。
後は78-76、79-74で小國。
9回、圧倒的にヒット数でまさる小國、そろそろ山場が欲しいが、ガスカはタフ。
果敢に攻める。しかしオープンブローが目立つ。
小國はボディ、長い右を見せる。
10回、ガスカに減点1。序盤からひどかったオープンブローが原因か、と思ったら、
ラウンド終了後にバッティングによる、とアナウンス。
攻めるガスカに小國はジャブ、ボディ。
11回、ガスカはひたすら手数を出す。小國疲れたか、手数が減る。この回はガスカ。
12回、ガスカ攻めるが小國はジャブ、右、浅いが当てる。
私はガスカに甘くつけて4R、8R、そして11Rを与えて、それ以外全部小國と見ました。
117-110、です。普通につけたら118-109、或いは119-108です。
しかし公式採点は、114-113ガスカ勝利というのはは論外として、
日本と韓国のジャッジが、116-112、116-114と、思った以上に
ガスカの攻勢点を取っていたようです。
このあたり、途中採点のところで触れましたが、リングサイドの近い位置から見ると、
ガスカが前に出る攻勢の迫力が強く印象に残る反面、
少し離れた位置の視点から見える、ガスカの攻勢がほどんど小國の腕の上でバウンドし、
なおかつ小國の反撃で、ガスカが時に気圧され、時に撥ね付けられるように見える後退が、
あまり視認できなかったのではないか、という気がしました。
TV画面で言えば、アップ続きの画面と、引いた画面の違いというか。
小國のボクシングは、必ずしもアップ続きで見て、映えるものではない部分があるように思いました。
前王者との再戦という、カードとしてはやや地味な展開と、
スコアの数字などを見ると、何か小國が冴えない試合をしたような印象かも知れませんが、
私は全然印象が違っていて、小國は前回の試合とは立場を入れ替えた再戦で、
果敢に攻めてきた前王者ガスカをきっちり撥ね付け、一年の間に開いた両者の実力差を
そのまま試合に出した、堂々たる返り討ちに見えました。
一度闘った相手との再戦において、こういうクリアな勝利(と見えた内容でしたが)を
収めた小國以載は、やはりその実力を確かなものにしつつあり、その過程における一試合として
私はこの日もまた、小國のボクシングは良かった、と見ます。
ただ、気になったのは、ガスカとの力量差を感じたのか、終始、ガード、ブロック主体の防御で
闘い続けたのは、競った採点を招いた要因だったかな、ということです。
受けて立てる、防いで見せる、撥ね付けられる、という自信があったからこその選択でしょうし、
私もその選択は間違いではなく、八割方以上は小國の思惑通りに行って、
試合も勝ったわけだから、批判をするにはあたらないのですが、あんな数字が出ると...。
今後、相手のレベルがさらに上がったとき、こういう防御が採点上、不利になる可能性がある、
という一点において、小國にとり貴重な経験としてほしい、そういう部分もあった試合でした。
昨日は、メインはもとより、前座も充実した内容でした。
この日、メインのガスカ含め、3人のフィリピン人ボクサーが出ましたが、
いずれもフィリピンの大富豪アルデゲール氏率いる「ALAジム」所属選手だったそうで、
これが皆、それぞれレベルは違えど、皆が皆、マジ、マジ、大マジの本気さん。
かつて関西のボクシングファンを度々感動させた「HonmamoN」興行の記憶が
チラッと甦ってきたりなんかしました。
森川真一郎は、自分よりやや大柄なジェッカー・ブハウィ(比国SF級12位だそうです)に
苦戦の末、最終8回に右をテンプル付近に決められダウン、立ったがもう無理で、追撃されTKO負け。
福原寛人はOPBFフェザー級6位、20勝1敗というロベルト・ゴンサレスと緊迫の闘い。
じっくり構えて、重いパンチを厳しい狙いで振ってくるゴンサレスに、
さすがの福原もおいそれとは攻め込めない。
これはなかなか厳しい試合やなぁと思った3回、打ち合いになるかと見えた直後、
福原が相打ち気味のタイミングで右のカウンターパンチ一撃。
見事に決まってテンカウント。さすが福原、役者です。
相手が強かった分、さらに価値ある勝利と見えました。
セミセミにはVADYジムの二番手(で、いいのですかね)西谷和宏が、
歴戦の雄、岩下幸右に判定勝ち。新鋭vsベテランの一戦は新鋭が制しました。
と、試合内容はどれも良かったんですけど、やはりこの会場の興行は、
毎度毎度、料金設定が厳しいので、立ち見になってしまい、非常に疲れます。
その上、前座試合がKOで終わっても、すぐ次の試合をやらずに、
合間になんだかだと催し物があって、でもボクシング見に来てるこちらには、
悪いですが何の需要もないものばかり。かなわんなー、の一語です。
例えば、こんな芸人さんを呼んで、それこそ思う存分に持ちネタをやってもらうとかなら、
私なんかはものすごく嬉しいし、疲れも吹き飛ぶんですけどねー。
どないなもんでしょうかね。
まあ、それこそ一般のお客さんからすれば「需要がないわい!」と
お叱りを受けてしまうのやもしれませんが。難しいとこですね(^^;)