さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

安堵と落胆と(大場浩平という夢 2012)

2012-11-03 09:18:11 | 大場浩平
昨夜は神戸にて大場浩平vs村井勇希戦を見てきました。

大場は昨年12月、ロリー松下に敗れて以降、たしか3試合目だったかと思いますが、
4月に見たフィリピン人との試合は、内容がないよう、という古い駄洒落が出るような感じで、
どうもキレもメリハリもない、単調な試合に見えました。

今回は相手が歴戦のベテラン村井ということで、テンションの低い試合にはならないだろう、
カードとしても、私個人としては味わい深いもので、好試合を期待して、見てきました。


以下、あくまで私の頼りないメモから起こした展開を簡単に。

1R、大場速い左を出してスタート。村井はじりじり出るが手数が少ない。

2R、村井前に出て接近を試みるが、ヒット少ない。大場速いワンツー。

3R、村井左フック、しかし追撃はヒット少ない。村井このあたりから、多少ラフに攻める風。
ボディブローの応酬が見られるが大場が左ボディ、ワンツー。

4R、大場が連打からボディ攻撃。村井引き続き強引に攻めるが、正確なヒットは少ない。
大場ジャブ、ボディでヒットを取る。終盤、村井の左フック一発で大場少しバランスを崩す。
場内の声援に乗り村井追撃も、クリンチで寸断。
この回は全体は大場、一発の効果を取るなら村井。私はやや村井に甘くつけて、村井の10-9。

5R、大場自らロープ際に下がって攻められる。これは悪癖の一語。
村井のパンチの大半を、L字ガードとスウェイで外しているが、こんなことしても良いことは何もない。
村井攻めるが、大場ワンツー、ボディで抜け出す。

6R、同じ展開、大場ロープ背負い、村井攻める。大場左ボディを4発、5発とヒット。
ここまであまり出さなかった、得意というか、好きなパンチであろう、右アッパーも出す。

7R、大場ワンツー、飛び込んでアッパー。大場らしさが出る。右ボディストレートも。

8R、大場、この回は3分間通じて、一度もロープを背負わずに、しっかりと足を使う。
速いフットワークと、後退しながら打つジャブで、厳しく距離を維持。
村井をほぼ完全にアウトボックス。大場、やれば出来る子だということを見せつける(笑)

9R、村井攻めるが、大場ボディ打ち、右。村井は左から連打。この回は村井の攻勢がまさるか。

10R、両者、足を止めて接近戦でヒット&カバーの応酬。
村井はここぞとばかりに連打を繰り出すが、スピードと当て勘でまさる大場がここでも抜け出す。
両者クリーンヒットの応酬のあと、大場の右アッパーが決まって村井後退。大場優勢、ゴング。

ということで判定は意外に競っていましたが3-0で大場。
さうぽん採点は4R、9Rを村井、後はクリーンヒットの差で大場。98-92でした。
二階席からの観戦でしたが、近い位置から見ると、村井の攻勢がより評価されたのでしょう。


村井は距離を取ったとき、接近したとき、いずれもよく闘いましたが、
接近戦で強引に攻め込んだときは、まだ大場のスピードを抑えられたものの、
8Rに大場にさばかれたり、10Rにまともに打ち合ったりした、
いわゆる普通の攻防においては、どちらでも大場のスピードに及びませんでした。
しかし、ベテランらしく、しっかりした狙いが見えた試合運びは良かったですね。


さて、大場ですが、この日の試合ぶりは、かつて名古屋のリングで日本タイトルを防衛していた頃に
何度も見た試合...王座防衛を果たして、その才能の片鱗を見せるものの、何かもうひとつ、
ちょっと物足りない印象やなぁ、というあの感じの、延長線上にあるような感じがしました。

相手の村井が、日本ランカーとしては申し分のない実力を持っているのと相まって、
なんだか、日本王者時代の大場の試合の幻影を見た、そんな気分です。

大場の試合振りを絶賛するわけではありません。ただ、彼の才能からすれば、もっと良い試合が出来るだろう、
という思いには届いていない、けれどまた期待をしてしまう、という感じだった、いくつかの試合と、
昨夜の試合は極めて似た印象でした。


再起後、ようやく以前の感じに近づいてきたのかな、という意味では、
大場浩平の復調、と言って良い試合だったのかもしれません。

しかし、これまた以前と変わらず、右拳をアタマの後ろにつけて構え、
そこからトリッキーな右を打ってみたり、上記の通り意味無くロープを背負ってみたりと、
そういうことはもっときちんとペースを掌握してからやりなさい、と言いたくなる、
悪癖というのか、趣味優先というのか、とにかくよくわからない大場もまた、健在でした。


8Rには、余計なことをせず、きちんとジャブを打ち、足を使って村井をさばききり、
クリンチすらほとんどさせなかった大場を見ると、何故もっと集中してそれをやらんのや、と
愚痴のひとつも出て来ます。

国内において、やはり大場は希なる逸材であると、改めて思いました。
しかしすでに山中慎介が世界の王座にあり、日本王座にも、若き岩佐亮佑が就いています。
かつてその王座を五度守った大場が、再び上を目指すなら、もう余計な遠回りは許されないでしょう。

来春あたり、再び日本王座をかけた試合に出るらしい、という話も聞きましたが、
私は彼に、日本だ世界だという結果以前のものを求めたいと思っています。
もう、今までの感じまで戻ってきた、ではなく、以前以上に鋭く、狙いが明確になった、
焦点の定まった、集中力と切れ味が増した大場浩平の姿を見たいのです。


昨夜の試合は、普通に見ればまずまず、大場はやっぱり良い、と言える試合だったでしょう。
しかし私の、相変わらず過大だ、と言われてしまえばそれまでかもしれない、
大場浩平に対する期待、思いからすれば、がっかり、という試合でもありました。


コメント (2)
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