角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

新たな気持ちで新年度。

2010年03月31日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
薄茶基調の龍馬伝プリントをベースに、合わせは黒の刺し子風プリントです。
これまでの竜馬プリントとはまた別の生地ですが、黒と組み合わせたことで凛々しさを感じますね。まさに「侍」といった雰囲気です。日本男児、かっこいい男性にお勧めでしょう。
新たなベース生地はこちらになります。




久しぶりに暖かいと感じる一日になりました。若干風の強さはありますが、つい先日までのような寒さはもうありません。明日はさらに気温が上がり二桁になるそうです。天気は雨でも気温が高ければ桜の蕾は膨らみます。三月が思ったほど暖かくなかった分、これから桜も忙しくなるでしょうね。

ご愛用者である地元のお母さんがお訪ねくださいました。『県外の人サ持って行きたいんだども、なんでも持ってる人だよんたがら草履がイイと思って…』。
秋田県の産物を県外の方へ差し上げるとき、それは各種いろいろあります。民工芸品では角館の樺細工、大館の曲げわっぱ、旧稲川町の川連漆器など。食品はやはり稲庭うどんが筆頭でしょうか。

一生に一度きりの贈り物であれば、そうした有名品でイイでしょう。でもこれがお中元やお歳暮、あるいはお世話になったお礼や遊びに行くときの手土産となったとき、同一人物へ複数回となるのは珍しくありません。
そんなときに角館草履を思い出してくださる方がいます。秋田県あるいは角館の産物として、「主流」ではなくとも「ときに」の存在なんでしょう。そしてこちらのお母さんがおっしゃるように、相手方がある程度の富裕層でなんでも持っているという場合、角館にしかない角館草履は重宝なのかも知れませんね。

そしてこのたびの使われ道は、なんと娘さんがお嫁に行かれる先のご両親宛てでした。最近は角館草履をいろんな贈り物としてご利用いただいてますが、間もなくお舅さんとお姑さんになられる方への贈り物というのは、私が知る限り初めてと思います。
嬉しい反面、いよいよ課題となっていた「プレゼントパッケージ」を真剣に考えなければいけませんねぇ。
21年度最終日の今日、有終の美となるおめでたいお話が聞けましたよ。

さていよいよ角館にも本格的な春がやって来ます。明日から四月、トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。
早くも一年の四分の一が消化されたんですね。ここまでの三ヶ月間は、過去最多の実演日数を数えました。今年の一大目標であった「最多実演日数」は、まず冬場をなんとか乗り越えた感じです。でもこれからが角館の本番、これまでの三ヶ月間を合計した売上高が、四月一ヶ月間だけで超えてしまうのが角館です。ここはひとつ気持ちを切り替えて臨むことにいたしましょー。

ちょっと早いと思われるかも知れませんが、ゴールデンウィークが明けた草履コーナーはサイズによって完売の場合があります。「母の日」のプレゼントに角館草履をお考えの方がおられましたら、早いうちにご用意いただけると幸いです。発送日やお引取り日は五月でかまいませんので、ご予約だけはお早めにお願いします。ご実家であれ嫁ぎ先であれ、「角館草履をお母さんに履かせたい」という心に、草履職人は優先してお応えしたく存じます。

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愛犬と草履の鼻緒。

2010年03月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
緑基調のカラフルな花柄プリントをベースに、合わせはエンジのいらかプリントです。
カラフルでありながら、花柄の色調はいたって和風なんですね。これから別の色とも組み合わせてみますが、今日のところはエンジのいらかにしてみました。やはりカラフルでありながらも「和」が活きていると思います。平生地はこちらです。




昨日のこと、実演中のケータイに着信がありました。ちょうど見学中のお客様がいたため出られなかったのですが、着信記録をみると東京23区内からです。自宅が留守の場合私のケータイへ転送される仕組みで、おそらく草履のお客様だとは直感しました。
その後再度着信があり、今度はお客様がいなかったのですぐにお受けしました。電話の先はおばさまのお声で、『去年から草履を履いている者ですけど、修理についてお訊ねしたくて…』。

詳しく聞いてみると、おばさまが飼っている犬に草履の鼻緒をかじられたと言います。完全に切れてはいないものの、中のイ草がかなり見える状態なんですね。他は特段痛んでいないため、まだまだ履きたいというわけです。
こうしたご相談は過去に一度ありました。そのときは二年近く使用したうえに完全に切られた状態だったため、確か新しい草履をお求めだったと思います。

完全に切れているかそうでないかに関わらず、実は角館草履の鼻緒は挿げ替えが不可能なんです。「鼻緒」と言うのは指の股が当る「先ツボ」ではなく、いわゆるヒモの部分全体を指します。先ツボの交換は容易ですが、鼻緒全体は草履と一体化して編む構造のため、これだけを替えることが出来ないんですね。

お電話のおばさまにも丁寧にご説明すると、すぐにご理解くださいました。お知り合いで角館草履が欲しいとおっしゃる方がいるそうで、何人分かまとめて後日ご注文くださるとのこと。お客様の願いを叶えることができないのは恐縮ながら、鼻緒が壊れて尚履く方法がないものかお訊ねくださるほど、角館草履を気に入ってくださったのは嬉しい限りです。

ところで、犬が飼い主の履物を咬むという話はよく聞きますよね。これがわが家にはまったく当てはまりません。愛犬フクは、わが家に来ていっとき柱を咬んだりしたものですが、最近は家族が迷惑になることをまったくしませんね。逆に飼い主が帰宅しても、喜ぶ仕草がありません。未だに仰向けでは寝ませんし、まず甘える素振りがないんです。
フクは元来そういう犬でしょうから、それはそれで不満じゃないんですけどね。

愛犬を殺された仕返しに、厚生事務次官の殺害を計画した事件がありました。はじめて聞いたときは俄かに信じがたい動機でしたよ。この事件の判決が「死刑」と出ました。被告はこれを不服として、即時控訴だそうです。
被告が言っていた言葉に、こんなのがありました。「保健所により、犬や猫が生ごみのように捨てられている。人の命だけがなぜ尊いのか」。

動物愛護の観点とか、愛犬家・愛猫家の気持ちを訴えるとしたらもっともでしょう。ただ違うのは、犬をそういう状況にしたのは誰なのかという点と、殺処分する職員の人たちも涙を堪えている点でしょうね。わが家が犬を飼いたいとしたとき訪ねた県動物管理センターの職員から、わが家の家族は充分知らされて来ました。2007年4月2日のブログは、動物を飼い続けるうち忘れてはならないと思っています。

愛犬も角館草履の鼻緒も、簡単に挿げ替えは出来ません。

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ぴったり合う人とモノ。

2010年03月29日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い紫基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジのいらかプリントです。
今日の草履もこれまで同様、いらかプリントが優しさを表現してますね。ベースの淡い色調が、さらに暖かい優しさを出していると思います。優しいお母さん、もしくは和を醸し出すお若い女性にもお似合いでしょう。

お天気そのものはまずまずながら、今日の角館も寒い一日となりました。ときおり小雪が混じるとなおさら寒く感じますね。散策のお客様も、『例年こんなもんですか?』。四月を目前にしてこの寒さは、例年通りじゃないですよ。
明日からは徐々に気温が上がりそうですから、角館の桜たちもそろそろ心の準備といったところでしょうか。

千葉県からツアーでお越しのお若いご夫婦(と思います)。奥様が実演を見つけると、興味津々に『なにを作ってるんですか?』。すぐさま角館草履のご説明です。
イ草の適度な堅さと土踏まずの盛り上がりについて、まず血流不足による足のむくみがある人に効く話をしました。するとご主人がいきなり笑顔で、『ぴったりじゃない!?』。
次に、足が冷たい人は足裏のマッサージが効果的の話をすると、またまたご主人が『あれ~、ぴったりダっ』。
最後に親指の付け根が首のツボの話をすると、今度は奥様が『あたしのためにあるような草履だ…』。

公開実演のおしゃべりでは案外珍しくないのですが、こちらの奥様のようにすべて当てはまる方がいます。おふたりも言ってましたが、こうした場合に「巡り会うべくして巡り会った」という気持ちが強く感じられるものです。
配色選びも大好きな色に巡り会い、文字通り角館草履とぴったり合った典型的なお客様でしたね。

三女が通う角館中学校では、今日離任式が行われました。三女の担任が予想外の異動となり、今日の式での主役のひとりになったようです。こちらの先生は長女のときも担任で、さらに長女と次女が所属していた部活の顧問も勤めていましたから、わが家とはかなりの部分で接点を持っていたんですね。
一昨日、長女がかつてのクラスメート何人かと、角館中学校へ先生を訪ねました。花束と手紙を携え、先生の許せる時間いっぱいを久しぶりのおしゃべりに費やしてきたようです。

年齢こそ私よりだいぶ若いのですが、生徒たちとの真剣な取り組みを見聞きしていて、「理想の先生」と呼ぶに相応しい人材と確信していました。私もカミさんも、そして娘たち全員が認めていた先生、まさにわが家とぴったり合った人物でしたね。
新任校でもそのバイタリティと熱意を持って、より良い若者を創ってくれることでしょう。

三年前に教職員と保護者の飲み会で私が言った、『あなたは先生が天職だどっ』。三年経った今、あらためて贈りたい言葉です。

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夫婦はすべてベストカップル。

2010年03月28日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒地の金粉プリントをベースに、エンジを三本配してみました。
豪華絢爛の中にも、エンジがその存在感をしっかり持ってますね。赤と黒の相性の良さは、「夫婦」に似ているのかも知れません。強くも優しい人間性は、ときに夫がときに妻が発揮しますね。

東京からお越しのご夫婦旅。ご主人が角館草履を眺めながら、しきりにその配色デザインを感心されていました。『こんな綺麗な草履は履けないよなぁ』の言葉に奥様が、『あらっ、土踏まずが付いてるじゃないっ!? これは履かなきゃダメよっ』。
ここで私が健康効果について説明を始めました。納得された奥様は、『お父さん、買ってあげるから履きなさいっ』。

ここでご夫婦の力関係が現れましたね。奥様がご主人に対して「買ってあげる」というのは、実演席でそう珍しくありません。配色選びの際も、『お父さんの好きな色ってどれ?』と言いながら、結局定番配色②に誘導したのは奥様のほうに思えました。
お会計が済み奥様へ草履を手渡しながら、『戻られたらすぐ履かせてくださいねっ』と言った私の言葉は、力関係を推測するに間違いではなかったと思いますよ。

千葉県からお越しのご家族旅。お父さんにお母さん、そして20歳代前半と思しき娘さんです。お母さんと娘さんが草履を気に入ってくださり、配色選びに夢中でした。お父さんはそんなふたりの様子を眺めながら、近くのベンチに腰を下ろしています。
お会計が済みあとは帰るだけとなってから、奥様がご主人へ『お父さんは要らないの?』。
すっかり忘れられた存在になってましたねぇ。

今晩は楽しみにしている「竜馬伝」です。竜馬の初恋の相手とされる平井加緒は、結局竜馬とは結ばれませんでした。調べてみると夫は土佐藩士西山志澄という人で、明治維新後は政治家となり、大隈重信内閣で警視総監まで務めた人物なんですね。
女性の幸せが夫の肩書きばかりとは思えないにしても、平井加緒の人生は竜馬と結ばれるより幸せだったんじゃないかと思うんです。もっとも竜馬と加緒が、結婚を誓うほど心底惚れあった仲であったのかは、史実として分からないらしいですけどね。

公開実演ではさまざまなご夫婦と出会います。結婚というものは、計り知れない縁の深さだと思うんです。それゆえ、それぞれに素晴らしい組み合わせと思うわけです。

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角館満喫旅。

2010年03月27日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ブルー基調の桜花プリントをベースに、合わせはピンク基調の竜馬プリントです。
爽やかで可愛い配色ですね。ブルーとピンクは子どもに愛される色と言います。もしかしたら、小学校高学年か中学生くらいの女の子がお選びになるかも知れませんね。

見事な寒の戻りとなった角館です。朝は寒いながらも晴天でしたが、午前10時を過ぎたあたりから吹雪模様になりました。一ヶ月前なら当たり前の天気も、間もなく四月を迎えるこの時期には珍しいでしょう。
週間予報では30日あたりからいきなり二桁気温になるそうです。今年の春はいきなりやって来るんでしょうか。

千葉県からお越しの母娘ペアさん。共に草履を気に入ってくださり、お好きな配色をお選びです。これからまだ散策されるようでしたから、『草履預かって置きましょうか?』と訊いてみると、『助かります~。これから内陸線に乗ってみようかと思ってて…』。
秋田内陸縦貫鉄道の話題は、このブログでもたびたび登場します。赤字路線で一時は廃線まで論議されましたから、これに乗ってくださると言うのはこちらこそ『助かります~』ですよ。

散策を終えた夕方、草履の引き取りにお見えです。吹雪模様の一日でしたから『寒かったでしょう?』と訊いてみると、『電車が雪煙を上げて走るんですよ。楽しかったですぅ』。
なごり雪にしてはハッキリとした雪でしたが、それがむしろ想い出になってくれたんですね。
電車内のスタッフもとても良くしてくれたそうです。お母さんがとある駅を指し、『ここは降りるとなにかあります?』と訊ねると、『そこはなんもねぇよっ』の返答。それがとても可笑しかったと笑顔で教えてくれました。「なにもない」のが首都圏の人にすれば「新鮮」なわけです。

お二方は角館入りしてすぐ、まず武家屋敷通りをくまなく散策されたそうです。岩橋家の敷地に入るとひとりの角館人に、『ツアーですか?』と訊ねられたとのこと。フリー旅とお答えすると、『30分ほど時間があったらお入りになりません?』と言われたそうです。そう、角館歴史案内人組合が運営している「冬語り」なんですね。
武家屋敷通りの次は、西宮家などがある外町散策。そのうえ内陸線にまで乗ったのですから、「角館満喫旅」と言って相応しいでしょう。

角館一大イベントである「桜まつり」、見頃を迎えるまでもう一ヶ月もないでしょう。今年も大勢のお客様をお迎えする中で、桜以外の「角館らしさ」をひとつでも見つけて欲しいと願わずにいられませんね。

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はじまりとおしまい。

2010年03月25日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジのいらかプリントです。
3月7日の「今日の草履」では、エンジの無地を組み合わせていました。見比べてみるといらかプリントのほうに、より優しさを感じるのはなぜでしょうね。どちらにしても、綺麗な配色には違いないと思います。

昨日の晴天から一転、今日の角館は朝から冷たい一日になりました。雨ともつかない雪ともつかない雨雪が朝から降り続き、夕方になってやや雪に近くなっています。ちょうど冬の始まりがこんな感じですね。雨から次第に気温が下がり、夕方からはっきり白いものが落ちてくる。12月上旬あたりでしょうか。
「はじまりとおしまい」は、どうやら似ているものらしいです。

町内のお母さん、実演を眺めながら『どご一番難しいもんだ?』。
このご質問は一年にかなり聞かれます。主には布草履に挑戦してみたいと思っていた方、あるいは角館草履にこれから挑戦する方ですね。布草履経験者の中でも、『一足だけでやめちゃったぁ』と言う方はこの質問をしません。それはすでに諦めてしまったからでしょう。
逆に、たとえば10足とか20足とかの実績をお持ちの方も訊きませんね。それは自分なりにどこが難しいかを理解しているからでしょう。

私のお答えは、いつもこうです。『無茶苦茶難しい部分はありませんよ。でも気を抜いて良い部分もないんですけどね』。
生意気な言い方になっては失礼なんですが、私の草履実績は今年で6000足を超えます。これだけの数を編むと手が自然に動いてくれると言うか、悩む部分はもうありません。かと言って、気を抜いてあるいは力を抜いて良い部分というのも、本当にないんです。

難しい部分をしいて挙げるなら、「つま先と踵」でしょうか。まずつま先が綺麗な半円形をしていないと、草履というものは綺麗に見えません。そして踵、これを限りなくつま先と同じ形に作れれば大成功でしょうね。裏返した状態で正確な小判型、これが最も綺麗な形と思い日々編んでいます。
「はじまりとおしまい」は、やっぱり似ているものなんでしょう。

公開実演の醍醐味は、お客様とのおしゃべりの中で草履を編み続ける点にあると思っています。逆の立場になったとき、質問に対して僅かな言葉だけで編み続けていたなら、私だったら短時間で席を立つでしょう。また、喋っているだけで草履のほうがぜんぜん進まなかったら、どこが実演なのかさっぱり分からなくなりますからね。
もしかして最も難しい部分というのは、綺麗な草履を編むこととお客様とのおしゃべりを両立させることにあるのかも知れません。

お会いした瞬間に双方の『こんにちは~』からはじまり、お帰りの際には『面白いモノに出会えたわ~』、『また機会があったら寄ってくださいね~』で終わる。その間終始笑顔だったら最高でしょうね。
「はじまりとおしまい」は、やっぱり似ているのがよろしいと思うわけです。

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大阪行きの友人。

2010年03月24日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
赤の竜馬プリントをベースに、合わせは紺のいらかプリントです。
赤と紺の相性の良さに、いらかプリントが「和」を表現しています。女性でもこうした配色を好まれる方が多いですから、あえて23cmにしてみました。かっこイイ女性にお勧めですかね。

久しぶりの青空に恵まれた、今日の角館です。気温は最高で8℃ほどですから、まだ本来の春とは言えませんね。週間予報を見てみると、週明けまではグズついた天気が続くようです。月末になってようやく晴天が続き、気温も二桁と出ていました。やはり春は四月からになるのでしょう。

今年も三ヶ月が終わろうとしています。公開実演も厳しい冬を乗り越えた感がありますよ。冬場はお客様の人数が少ない中で、関西弁をよく聞いた感じがしています。西宮家でお昼ごはんを食べるツアーが関西の業者さんということもありますが、フリーのご夫婦旅ともよくおしゃべりしました。今日も一組がお越しです。

大阪ネタではないのですが、ひとりの同期生がこの春から大阪へ転勤が決まりました。周囲からの情報だったので本人に電話しようと思っていた矢先、今日西宮家を訪ねてくれました。
数日のうちに大阪へ発つそうですが、彼は自家用車で出発すると言います。『あれだけの大都市で、車なんて要らねぇべ?』と訊いてみると、『この先関西なんて行ぐごどねぇべがら、休みの日にせいぜい観光して回るべっ』。

3月12日のブログでご紹介した転勤族と、まったく一緒ですよ。大阪で暮らす間旨いものを食べ続け、休日には関西圏を旅して回る。これだけ聞けば仕事なんだか遊びなんだか分かりませんなぁ。
まぁ、縁のなかった土地で仕事に汗するわけですから、それも大事な息抜きなんでしょうね。

友人として願うのは、帰って来たときに今以上の体格になっていないことと、いきなり関西弁を喋らないで欲しいことですかね。

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時の経つのが遅いワケ。

2010年03月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
朱色基調の和柄プリントをベースに、合わせはエンジのいらかプリントです。
こちらも和が活きた、いかにも「日本」を想わせる色調ですね。組み合わせにエンジの無地も編んでみましたが、いらかプリントの「田舎臭さ」がより優しさを感じさせると思います。古き良き時代、日本の女性はみなさん優しかったのでしょう。おっと、もちろん平成の世もそれは変わっておりませんね。

三月の三連休が終わりました。この三日間の印象は、まず寒かったです。連日冷たい風が吹き、ときに雪が混じります。積もるほどの降雪量ではないにしろ、なかなか厳しい寒さでしたねぇ。
こんな天候のせいでしょう。ツアーのお客様を除いては、多くの散策客で賑わうとまではいきません。終わってみれば、初日の土曜日が一番賑やかでしたね。

東京では本日開花宣言が出されたとか。テレビの映像を眺めていると、なんだか羨ましくなりますよ。一ヵ月後には角館も同じように桜で埋め尽くされるのに、ここ数日の寒さを思うと、こんなときだけ日本の広さを感じてしまいます。

「加齢と共に月日の経つのが早く感じてしまう」、よく聞く話です。何気に観ているテレビ番組に、特にそういうことを感じますね。『このあいだやったばっかりでねっけがっ!?』てな具合です。
昨晩のこと、ふとまったく別の思いになりました。大河ドラマ「龍馬伝」なんですが、これだけは一週間を早く感じないんですよ。これはどういう心境から来るものか考えてみました。結論は、「楽しみにしていること」は時間の経つのが遅いのでしょう。

「角館の桜」、この先一ヶ月が長いんですよ。

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昭和の香り。

2010年03月20日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ブルー基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジです。
角館草履では比較的オーソドックスな配色でしょうか。淡いブルーが優しさを感じさせますね。昭和の香りを感じるような、素朴な女性にお勧めですかね。
今年も綺麗な桜が観られるまで、あと一ヶ月程度でしょう。ベースの平生地はこちらになります。




角館草履の原型は、もちろんかつての「ワラ草履」。配色に独特なものを持っていても、やはりその形に懐かしさはあると思います。
秋田市からお越しのおばさま、『まぁ、懐かしいっ。あらっ、歳がバレちゃうわね』。こんな会話は日常にあります。ワラ草履を履いた世代はもちろんのこと、私のような「戦争を知らない子どもたち」でさえ、ワラ草履の形にはどこか懐かしさを覚えますね。これもひとつの「昭和の香り」なんでしょう。

米蔵玄関から入って見えたおばあちゃん、私の顔を見つけると『あっ、いたいた』。確かに一度はお会いしていると思いました。
『草履が欲しくて来たんだけど、いなかったらどうしようかと思ってましたよっ』。詳しく聞いてみるとおばあちゃんは名古屋市にお住まいで、昨年の1月に初めてお買い上げくださったそうです。そろそろ買換えようかなと思っていた矢先、孫娘さんが花巻温泉に行きたいと言い出したんですね。花巻と角館ならそう遠くないということで、角館経由花巻行きの旅にしたんだそうです。

こんな嬉しい話はありませんよ。昨年もご家族分をお買い上げくださったとのことで、今日もまた同じ数をお選びでした。お会計のときにおばあちゃんが、『確かカードが使えないと思ったから、草履の分は現金で用意してきたのよぉ』。
私も少し驚いたのですが、前回のお買い物で「カード不可」だったことを憶えてくれてたんですね。

そうなんです、西宮家自体はもちろんカード決済が出来ますが、草履コーナーは現金決済しか出来ません。この会話はこれまでいくつもあって、そのたびに『草履コーナーだけは今も昭和なんですよねぇ』と話しています。
今どき珍しい草履職人にそう言われると、みなさん苦笑いされながら現金決済されますね。

おばあちゃんがお帰りになって間もなくのこと、偶然にもまた名古屋市からお越しのご夫婦が立ち寄られました。しばらくおしゃべりのあと草履を気に入ってくださり、それぞれにお気に入りの配色をお選びです。
こちらもまた『カード使えます?』。いつものように、『ここだけまだ昭和なんですよぉ。三丁目の夕日みたいなもんですかね』で大笑いです。

昨晩お電話をいただいたのは、東京の常連さんでした。4年ほど前からのご愛用者で、今度が三度目のご注文です。おしゃべりの冒頭が、『今も草履作っているんでしょ?』。
やがて元号が変わろうとも、昭和の香り漂う角館草履を編み続けますよ。おそらくいつまでも「現金決済」は続くでしょうけどね。

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草履立県構想。

2010年03月18日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調の和柄プリントをベースに、合わせは紺のいらかプリントです。
紺の同系色合わせですが、ときおり見える和柄の赤に可愛らしさもありますね。シック系は案外お若い女性が好まれます。赤の和柄が効いたのか、「今日の草履」は秋田市からお越しのおばさまがお持ち帰りくださいました。

昨日に引き続き今日も雪空となった角館です。気温が高めなのですぐ融ける雪なのですが、一度春を感じてしまった地元民には「なごり雪」と思えません。正直、「雪はもういい」が心境ですね。
三月の角館で人出を最も期待するのが、今週末からの三連休でしょう。それが天気予報はまた雪なんです。まぁ、この時期の雪予報は紙一重で外れますから、少しでもお日様が顔を出してくれることを期待しましょうか。

茨城県からお越しのご夫婦旅。田沢湖温泉郷を拠点に、今日で三日目になるそうです。実演をご覧のときも時間を気にする素振りはなく、ほんとにゆっくり旅を愉しんでいるのが分かりました。
草履を気に入ってくださったのはご主人。ご夫婦でご主人だけのお買い上げは案外少ないです。奥様がどれほどご主人を大事に思っているか、『こっちのほうにも散歩しに来て良かったねっ』。奥様のこの言葉で推し測れますね。

布草履経験者のご訪問があとを絶ちません。3月2日のブログでご紹介したお母さんは、昨日イ草材料をお求めにお越しです。
『なんだがやってみねぇば気が済まなくて…』。あれから角館草履のことをずいぶん考えていたそうです。「まずやってみる」、これはどのような場面においても大切なことと思いますね。

今日お越しは秋田市で布草履に取り組むお母さん。三ヶ月前の新聞記事効果が、これほど長く続くとは思いも寄りませんでした。おともだちふたりを連れ立って、『ここの場所が分からなくて、あちこち訊ねてようやく着いだんシぃ』。
おそらく角館という町に馴染みが薄かったのでしょう。道に迷ってまでも角館草履を見てみたいというお気持ちに、こちらも真摯にお応えしなければいけませんね。

お母さんはご自身が編まれた布草履をお持ちでした。初対面の人間に自身の手作り品をわざわざ持って見えるということは、それなりの自信がなければ無理でしょう。その布草履を見て、草履職人もすっかり納得です。おそらくこれまで見た、お土産屋さんや道の駅に並んだものの中で一番綺麗だと思いました。『キャリア何足だんシか?』とお訊ねすると、『100足に少し足りないくらいだんシなっ』。
100足に近い実績をお持ちとはいえ、ここまで綺麗に仕上げられるのはその人間性によるものと思いますね。

いわゆる布草履が巷に登場して、10年に近いと思います。NHKの「おしゃれ工房」や雑誌の「いきいき」が盛んに取り上げた頃からでも、すでに5年以上が過ぎました。地方自治体が「リサイクル講習会」の一環で布草履教室を開くようになって、やはり5年は過ぎたと思います。
この数年の間で、『一足編んだだけでやめちゃったぁ』『片足だけであたしに無理って分かったわぁ』という人たちが姿を消し、これからは地道に続けられる人が残っていく過程なのかも知れません。

今日お越しのお母さんは、『次は秋田の先生も一緒に連れて来るんシぃ』とお帰りです。「先生」であれば、おそらくさらに綺麗な草履を編まれるのでしょう。
腕の立つ布草履職人がたくさん訪ねてくれたなら、それはきっと角館草履にもプラスになると思うんです。そして大きな夢は、秋田県全体が草履で有名になることですかね。“部屋履き草履なら秋田県”。話はデカすぎるくらいが面白いっ!

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