今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジのいらかプリントです。
3月7日の「今日の草履」では、エンジの無地を組み合わせていました。見比べてみるといらかプリントのほうに、より優しさを感じるのはなぜでしょうね。どちらにしても、綺麗な配色には違いないと思います。
昨日の晴天から一転、今日の角館は朝から冷たい一日になりました。雨ともつかない雪ともつかない雨雪が朝から降り続き、夕方になってやや雪に近くなっています。ちょうど冬の始まりがこんな感じですね。雨から次第に気温が下がり、夕方からはっきり白いものが落ちてくる。12月上旬あたりでしょうか。
「はじまりとおしまい」は、どうやら似ているものらしいです。
町内のお母さん、実演を眺めながら『どご一番難しいもんだ?』。
このご質問は一年にかなり聞かれます。主には布草履に挑戦してみたいと思っていた方、あるいは角館草履にこれから挑戦する方ですね。布草履経験者の中でも、『一足だけでやめちゃったぁ』と言う方はこの質問をしません。それはすでに諦めてしまったからでしょう。
逆に、たとえば10足とか20足とかの実績をお持ちの方も訊きませんね。それは自分なりにどこが難しいかを理解しているからでしょう。
私のお答えは、いつもこうです。『無茶苦茶難しい部分はありませんよ。でも気を抜いて良い部分もないんですけどね』。
生意気な言い方になっては失礼なんですが、私の草履実績は今年で6000足を超えます。これだけの数を編むと手が自然に動いてくれると言うか、悩む部分はもうありません。かと言って、気を抜いてあるいは力を抜いて良い部分というのも、本当にないんです。
難しい部分をしいて挙げるなら、「つま先と踵」でしょうか。まずつま先が綺麗な半円形をしていないと、草履というものは綺麗に見えません。そして踵、これを限りなくつま先と同じ形に作れれば大成功でしょうね。裏返した状態で正確な小判型、これが最も綺麗な形と思い日々編んでいます。
「はじまりとおしまい」は、やっぱり似ているものなんでしょう。
公開実演の醍醐味は、お客様とのおしゃべりの中で草履を編み続ける点にあると思っています。逆の立場になったとき、質問に対して僅かな言葉だけで編み続けていたなら、私だったら短時間で席を立つでしょう。また、喋っているだけで草履のほうがぜんぜん進まなかったら、どこが実演なのかさっぱり分からなくなりますからね。
もしかして最も難しい部分というのは、綺麗な草履を編むこととお客様とのおしゃべりを両立させることにあるのかも知れません。
お会いした瞬間に双方の『こんにちは~』からはじまり、お帰りの際には『面白いモノに出会えたわ~』、『また機会があったら寄ってくださいね~』で終わる。その間終始笑顔だったら最高でしょうね。
「はじまりとおしまい」は、やっぱり似ているのがよろしいと思うわけです。
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