角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

忘れていた言葉。

2009年09月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調の金魚プリントをベースに、合わせはエンジです。
金魚という季節ではなくなりましたが、鮮やかな黄色に赤金魚が可愛いですね。ほとんど残っていなかった22cmで作りましたので、足の小さめなおばさまにいかがでしょう。

三人娘が所属する手踊り社中を主宰するのは、齢80を超えるおばあちゃん先生です。先生の周囲に「年上」はほとんどいなくなり、文字通りその道の「大御所」と呼ばれて相応しいでしょう。
二年ほど前のこと、社中の周囲に言動の好ましくない男性がおりました。私と同世代のその男性は、先生に対しても礼を失する言動が続き、私も眉間にしわを寄せていたものです。

あるとき先生と私の会話の中にその男性のことが出てきて、先生曰く『あの人は行儀が悪すぎる…』。
「行儀が悪い」、その男性を指して言うのに、これほどストンと腑に落ちる言葉はないと思いましたね。齢80を超える先生にして、40歳代半ばは息子以下の年齢。あまりに自然な名文句に、忘れていた言葉を思い出した気がしたものです。

それから私の頭には、この「行儀が悪い」という言葉がしっかりメモリーされました。ときに自身の言動を振り返り、『ちょっと行儀が悪りぃがったべが…』というふうに反省のひとつにも利用しています。

一昨日のこと、ご年長者のご夫婦二組が実演をご覧でした。それぞれのご主人は時計を気にしながら丸太椅子をお立ちでしたが、奥様おふたりはそのままお残りです。うちのおひとりが残りひとつになっていた22cm草履を見ながら、『この色じゃちょっとねぇ…』。どうやら試し履きに使用している定番配色①がお気に入りのようでした。

私が、『届くまで一週間くらい下されば、作ってお送りしますよっ』といつものように伝えると、『だって持って帰りたいものぉ。じゃあ(展示してある)この草履でガマンするから、いくらかまけてくれない?』。
「ガマン」という言葉にいささかカチンと来ながらも、そこは相手がお客様です。『手作りで編める数が決まってるし、値引きっていうのは誰にもしたことがないんですよ』と言いました。

俗に言う「大阪のおばちゃん」と呼ばれる方々も、よく値引き交渉をされますね。でも私の返答に高笑いしながら、すぐに納得してくださいます。こうした会話は商売上フツーにあることですから、納得さえしてくださればなんのわだかまりも残りません。
それがこの日のおばさまだけは違っていました。『ほかにお客さんもいないんだし、まけてくれたことは誰にも言わないわよ。ガマンしてこの色を買うんだし…』。

それこそ私の「ガマン」が限界です。心掛けて若干の笑顔を残し、『ガマンしてまで買い物なんかしないほうがイイでしょ』。
もうおひとりの奥様のほうが私を気遣い、『ほらっ、お父さんたちが待ってるわよっ』と言いながら連れて行きました。

行儀の悪い子どもは叱ることもできますが、行儀の悪いおとなはなかなか扱いが厄介なものです。このときの私の対応は、ギリギリで行儀を保てたようにも思いますが、これも「ひとのフリ見て…」ですね。

先に登場の先生が「行儀が悪い」と評した男性は、その後間もなく社中の周囲から消えました。今思えばこの男性との関わりで、忘れていた「行儀が悪い」という言葉と再会できたわけです。とは言っても、男性に感謝までは出来ないんですけどね。

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再会するための条件。

2009年09月28日 | 実演日記


今日の草履は、先日ご紹介した群馬県高崎市にお住まいのおばさまからのオーダー草履です。『色は濃い目でお願いしますっ』がこちらになります。
本日の便で出発しました、もうすぐ娘さんおふたりとお仲間ですねっ。

昨日は角館~鷹巣間を走破する、「100キロチャレンジマラソン」の日でした。前日夕方から前夜祭と称して歓迎レセプションが開かれるのですが、今年もわが家の長女と次女が「飾山囃子」の演奏で参加しました。ずいぶん「おひねり」が飛び交ったそうで、なんとも申し訳ない限りです。

今日は100キロを完走した方、途中まで完走した方、応援のために参加したご家族、いろんな方々が角館散策をお愉しみです。
そして今年もお逢いしました、毎回必ずお顔を見せてくださる埼玉県のランナーさんです。『なんかここへ来ないと、角館に来た気がしなくてねぇ』、なんとも嬉しいお言葉です。

こちらのランナーさんと初めてお逢いしたのは、もう5年も前になります。私が公開実演を始めて間もなくの頃で、人との出逢い「一期一会」の面白さを実感し出した頃でしょうか。
こうして毎回お出でくださるということは、ランナーさんもそんな私との出逢いを楽しく思ってくれたのでしょう。ご夫婦共に角館草履のご愛用者です。

熊本市からお越しの女性、二十歳代半ばと思います。丸太椅子に腰を掛けると、人懐っこくおしゃべりが始まりました。
彼女はかつてふたつの国に留学経験があり、その際現地で知り合った日本人を訪ね歩く「再会の旅」をしていると言います。その中のひとりが秋田市の女性で、今日の日中は仕事があるため、ひとりバスに揺られ角館散策へ来てみたんだそうです。

秋田市以外では青森・名古屋・東京などなど、外国でたくさんの日本人に友人が出来たんですね。『とっても良くしてくれた人たちに、どうしてももう一回逢いたくて…』という彼女に私が言ったのは、『あなたは一期一会を大事にしてるから、再会したい人がいっぱいいるんだなっ』。彼女も納得の笑顔で頷きました。

そしてもうひとつ「再会」の話題です。9月24日のブログでご紹介した稲葉尊治氏、今日約束通り訪ねてくれました。私が彼を訪ねたときは気づかなかった、おふたりの女性スタッフさんとご一緒です。稲葉氏がお選びの草履は、いかにも彼に似合いそうな紺基調の配色でした。

『今日もう一泊出来れば、一緒に酒でも飲みたいんだけどねぇ』と言うと、『そう出来ればイイんですけど、ちょっと疲れてますねぇ。今度は仕事じゃなく遊びに来ますよっ』。

ご同行の女性スタッフさんにもお話したんですが、ほんとに彼は素晴らしい仕事をしています。と言うより、彼でなければ出来ない仕事を授かったと言うべきでしょう。
私は三度の再会に酒が飲める「遊び」を望んでいるのですが、多くの稲葉尊治ファンはきっと「仕事」を望んでいるでしょうね。私と同様、「一期一会」に感動したはずですから。

再会するための条件とは、やっぱり「一期一会」を大事にできるかどうかではないでしょうか。

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打てば響く。

2009年09月26日 | 実演日記


今日の草履は、樺草履26cm土踏まず付き〔六阡五百円〕
鉄媒染をベースに、合わせは銅媒染です。樺草履残り3足分のうち、予定通り26cmを編んでみました。現在樺草履の展示パネルには、23cm・24cm・26cmが各一足ずつ並んでいます。およそ三ヶ月ぶりの光景、在庫が増えて喜ぶ商売も珍しいでしょうか(苦笑)。

夕方近く、ひとりのおばさまが草履コーナーをお訪ねです。それほど前ではない、確かに以前お逢いしていることはすぐに分かりました。私が『あらっ!』と声を出すと、『今日は自分の分を買いに来ましたぁ』。
群馬県にお住まいのおばさまは、二ヶ月前の7月、娘さんおふたりを伴って西宮家を訪れた方です。そのときは娘さんおふたりにお気に入りを選ばせ、ご自身用はひとまず諦めたんですね。

それから二ヶ月、娘さんたちは当たり前のように草履生活が日常になり、おばさまも娘さんの草履を履いてみると、なるほどおふたりの気持ちが良く分かると言います。
私が、『この草履はまず自分が履くもんですよぉ。誰かにあげるのはその後にしないとっ』と笑うと、おばさまも『ほんと、そうねっ!』。

私は三ヶ月もの間完売の札が付けられたままだった、樺草履をおばさまへご紹介してみました。ちょうど「今日の草履」の布地が少し余っていたので、ほかの彩シリーズの布地と比較してもらったんです。その丈夫さはすぐにご理解いただけました。

『もちろん無理に勧めるんじゃないんですけど、この樺染め布地はあと少ししか残ってなくて、新たに2足も編めばそれで終了です。言ってみれば“幻の草履”ですねっ』。
私のこの言葉に、おばさまはすぐに反応してくださいました。22cmでオーダー決定です。

当地に墓所があることでたびたびお出でのおばさまですが、残り少ない樺草履を今日編んだことで、どうしても縁があったと思うわけです。それにしてもおばさまの反応はまさに「打てば響く」、お互い気持ちのイイものですよ。
お帰りには、『主人も息子も欲しいって言うんですけど、今日はあたしの分だけにしときますぅ』。はいっ、それでイイと思いますよっ。

夕方閉店間際にケータイメールが鳴りました。差出人は一昨日のブログにコメントをくれたナースマンくん。早速大曲のショッピングセンターへ出向き、稲葉尊治氏から「詩」を作ってもらったそうです。えらく感激した様子のメールでした。

こうしたことも「打てば響く」でしょうね。これがチャンスと思ったら、あるいは心が動いたら素早く動く、人生に笑顔を増やす意味ではかなり重要な部分じゃないですかね。

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実りの秋。

2009年09月25日 | 製作日記


今日の草履は、樺草履24cm土踏まず付き〔六阡円〕
チタン媒染をベースに、合わせは銅媒染です。もうかれこれ三ヶ月ほども完売のままだった樺草履、大仙市大曲で草履作りに励んでいる生徒さんが、自身で持っていた樺染めの布地を譲ってくれました。いつまでも「完売」では気の毒に思ったのでしょう。

根こそぎ譲ってはもらいましたが、見たところ5足分ほどしかありません。23cmを2足、24cm・25cm・26cm各1足を編む予定で、これが完売したところでひとまず「製作休止」にします。
染物はなかなかの手数が必要で、当初思ったほど時間が割けませんでした。心残りは大きいのですが、私はやはり「編む」ことに時間を費やすのが責務と判断した次第です。

当地の今は、稲刈りが真っ盛りです。車で国道を走っていると、稲刈りの匂いが立ち込めているんですね。今年も実った大地の恵み、残り少ない樺染めの布地が「金の稲穂」にも見えますよ。

明日からまた実演再開です。来週にはまた新たな生地が、東京の仕入れ部長より届けられる予定です。昼の時間がずいぶん短くなりましたが、どうぞ秋の角館をお愉しみください。草履職人は秋色草履を編みながらお待ちしています。

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新たな「宝物」。

2009年09月24日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
青基調の桜&鹿プリントをベースに、合わせは紫基調の花柄プリントです。
紫系でまとめたこちらは、深まり行く秋に良く似合うと思います。やはりどちらかと言えば中高年のおばさま向きでしょうか。

「深まり行く秋」と評しましたが、今日の当地は真夏に近い暑さとなりました。車の運転は明らかにエアコンが必要で、国道105号に設置された温度計では午後3時過ぎに29℃を表示していました。今月では一番くらいの暑さじゃないですかね。

公開実演お休みの今日、国道を走っていたのは旧十文字町へ行くためでした。現在は大きな横手市に組み込まれた十文字町、ここにある「道の駅」を一度訪ねたいと思っていたからなんです。そのワケは、「農産物年間売上二億円達成」の記事を新聞で読んでいたからなんですね。

十文字町と限らず旧横手平鹿地区は、果物産地として有名です。ぶどう・りんご・梨といった代表産品のほかに、野菜も実に豊富に陳列されていました。
まず価格が安いんですよ。ナイロン袋にりんごや梨が数個入って、高いもので400円くらいでしょうか。ぶどうは一箱数百円、試食したら買わずにいられない甘さなんですね。
特に試したかったのは小さなトマト、「果物並みの糖度」というポップに誘われすぐさま買い物カゴへ。これは今晩これから食べるつもりです。

往路の車中でカミさんが言うのは、『あの文字の人、今日もいるかなぁ…』。「あの文字の人」では一体何のことなのかさっぱり分かりませんでしたが、どうやら大曲のショッピングセンターでイベント的にお店を開いている青年のようです。
昨日のシルバーウィーク最終日、三人娘を連れてカミさんがショッピングセンターを訪ね、偶然その青年とお店を見たんだそうです。

和紙に墨で文字を書く青年は、『あなたを観て言葉を書きます!!』をキャッチフレーズに、仮設の畳へ作務衣と思しきいでたちで座っていると云います。三女はそのお店と青年を見つけると、『げっ!? とーさんみたい…』。
「とーさんみたいな青年」、私の興味がそそられないはずがありません。そして逢いました、そして短い時間ながらお互いを話して来ました。

「稲葉尊治(いなばたかはる)氏」、みなさんはご存知でしょうか。路上でお客様の好きな言葉を書く青年をかつてテレビで観たことがありましたが、どうもその人物とは異なるようです。でも彼のプロフィールを見てみると、全国を歩くその道のカリスマ的人物と推察できます。
“占いを超える、詩の書き下ろし”と題した彼の「言葉」。草履職人への「詩」はこちらです。



人は、多くを抱え、未来へ、歩いていきます。
自らの、心と足で、歩いていきます。
その、人生を、助けるように、また、創ってください。

この「詩」を作ってもらう前に、お互いのことをいろいろ話し合いました。
私は角館という観光地で、日々不特定多数をお相手に草履を編みながらおしゃべりに明け暮れている。お立ち寄りになる方々は、必ずしも現在が幸せに満ちた人ばかりではない。でも草履職人と過ごすいっときは、その人の人生にほんの僅かな思い出になると信じる。
そんな私の話を聞いたあと、じっと私の眼を見つめて十秒ほども経ったでしょうか、スラスラと筆を走らせ出来上がった「詩」がこちらというわけです。

彼はこうした自身の活動を、『楽しいばかりではない』と言います。それはたとえば生業としての収益であったり、全国を渡り歩く身体的エネルギーであったりと推測するのですが、彼の場合はもっと崇高な位置に目がありました。それは「世界平和」。

『この仕事の目的はナニ?って訊かれたら、最後は世界平和ですよっ』と笑う彼。科学者になれたらまずするのは世界平和と、揺るぎもなく言うんですね。ただ現実には困難であるために、「言葉」いや「言霊」を使って人々に勇気を与えたいということなんでしょう。

大曲ショッピングセンターの会期は27日までとのこと。翌28日は自家用車で居住地の千葉県へ帰ると言います。『時間と気持ちがあったら、帰りに西宮家へ寄ってみねがっ?』の私の誘いに、『必ず行きますよっ!』。

彼が訪ねてくれる28日には、実演席のうしろに似顔絵たちと並んでこの「詩」が飾られているでしょう。草履職人に新たな「宝物」が生まれました。

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念珠の目的。

2009年09月23日 | 製作日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
黄色基調の金魚プリントをベースに、合わせは青基調の魚ヘンプリントです。
昨日の「今日の草履」と色違いの感じですが、黄色という色は鮮やかでイイですね。ときおり見える金魚の赤が可愛いですから、比較的お若い男性向きかも知れません。

「シルバーウィーク」が終わり、明日と明後日の二日間お休みをいただきます。明日は6月に他界した叔母の百箇日法要に当たっていて、これで年内の仏事はすべて終了ということになりました。「月日の経つのは…」はいまさらですが、ほんとに日常が次から次へと進んで行きます。

叔母の葬儀が終わって間もなく、カミさんと二人で「念珠」を揃えました。「腕輪念珠」とも云われるようですが、ようするに腕時計のようにはめておく数珠ですね。
この一年で四人の親族を失ったことは、私たちにとって大きな出来事でした。腕時計さえ付けるのを好まない草履職人が、この念珠だけは不思議と抵抗なく付け続けています。

念珠を思い立ったのは故人の供養にほかならないのですが、実演中ずーっと付け続けていると、なんと言いますか、「イイ加減が出来ない」という気持ちになるんです。もちろんそれまでも手を抜いたことなどありませんが、これは意外な効果でしたねぇ。

まず叔母の一周忌までと付けはじめた「念珠」でしたが、案外その後も離さないような気がします。ネットで「念珠」を調べてみても、必ずしもお守りや宗教的要素ばかりではないようです。中にはファッション性を謳うものまでありました。
草履職人の念珠は、草履に魂を込めるという意味が最も相応しいでしょうか。

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引き潮のごとく…。

2009年09月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄緑基調の桜&鹿プリントをベースに、合わせは青基調の魚ヘンプリントです。
爽やかな色合いになりそうだったので、男性でも女性でも確率のある24cmにしてみました。どんな方がお選びになるのか楽しみですね。

「シルバーウィーク」と称する五連休も、あと残り一日となりました。春のゴールデンウィークもそうなんですが、最終日というのはみなさん帰り足になりますから、午後の早いうちに人影が少なくなります。明日もおそらくそんな感じになるでしょうね。お客様をお迎えする立場のこちらとしても、『お疲れさまっ』と言いたい心境です。

それにしてもなかなかの人出で賑わいましたよ。開店の午前10時前に一山のお客様が入って見えるのは、桜祭りを除くとそう多くはありません。
私はお客様の有無に関わらず、午前9時過ぎから草履作りをはじめるのですが、座って間もなくのうちに売上があると、なんだか一日忙しなく感じます。そういうのも桜祭りを除くとそう多くはないんです。

おかげさまで展示パネルの草履総数は、間もなく一桁になろうとしています。「シルバーウィーク」のおかげで、お祭り以来の活気が戻った角館。それもおそらく今日くらいで引き潮のごとく去って行くでしょう。同時に草履在庫も引き潮のごとくなくなって行きました。どちらも少々寂しい印象ですね。

お祭り期間とその直後、全国の角館出身者や角館ファンがネット上で「お祭り」を探しているのが分かります。私のホームページのアクセス解析を見ると、普段はない「角館のお祭り」や「お祭りブログ」といった検索ワードが目に付くようになりました。

このブログへ真っ直ぐお越しの方が多いのですが、トップページを開いてもやっぱりブログへと進むのでしょう、9月10日は普段の三倍を超える訪問者数を記録しました。
お祭りが終わって約二週間、草履に関心のない読者は引き潮のごとく去って行きました。現在はお祭り以前とほぼ同数、これからの角館もいつも通り静かな街並みに戻るでしょう。


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シルバーウィークのご飯。

2009年09月20日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ピンク基調のカラフルな水玉プリントをベースに、合わせは淡いピンクのうさちゃんプリントです。
メルヘンチックでなんとも言えない可愛らしさがありますね。シルバーウィーク中、草履コーナーの目前で似顔絵を描いているmarikoさんも絶賛のこちらは、東京からお越しくださったご家族連れの娘さんがお持ち帰りです。

今年の初め頃は「秋のゴールデンウィーク」などと呼ばれていましたが、いつからか「シルバーウィーク」という名称が定着していたようです。テレビでは高速道路の大渋滞が報じられ、観光地と呼ばれるところはどこも一定の賑わいがあるようですね。

秋田県横手市では、B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」なるイベントが、昨日今日の二日間賑々しく開催されました。二日間の人出が26万人と云いますから、角館のお花見で満開を迎えた一日の人出を超えます。
この26万人の中には、わが家の長女と次女、そしてカミさんの両親が含まれています。お土産に何点か買って来てくれましたが、やっぱりこういうのは作りたてを食べるもんですね(苦笑)。

昨日西宮家でお昼を食べるご予定のツアーがありました。午後1時くらいに到着の予定が高速道路の大渋滞に巻き込まれ、着いたのは午後5時30分を過ぎていました。早速お食事となりましたが、これでは「昼食」なのか「夕食」なのか分かりませんねぇ。
それでも温かい手料理は、冷めたB級グルメよりずっと美味しかったでしょう。

日々卓球の部活に明け暮れるわが家の三女は、昨日今日の二日間「新人戦」を戦ってきました。個人戦は残念ながら三回戦で強敵に敗れたものの、団体戦は見事優勝を勝ち取ったそうです。
祝賀会の意味もあるのでしょう、帰路に部員全員で焼肉食べ放題の店へ寄ると連絡がありました。こちらは勝利の乾杯に焼きたての肉ですから、さぞ美味いことでしょうね。

長女と次女は今晩手踊りの稽古日です。稽古が終わる時刻までカミさんは戻れないとのこと、つまり私が迎えに行かなくてはなりません。と言うことは、晩酌ナシでひとり夕食となります。
帰路に買ったホカ弁が、草履職人の“シルバーウィークのご飯”でありました。

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サプライズ・プレゼント。

2009年09月18日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き〔四阡五百円〕
紺基調のふくろうプリントをベースに、合わせは紺の松葉プリントです。
日増しに秋めいてくると、こうした色の濃い配色がなんとなく似合う感じがします。この組み合わせはずいぶん前から考えていたのですが、出来上がってみると想像通りお洒落な草履となりました。

米蔵スタッフへ、『この草履、素敵じゃねぇ?』と訊いてみると、『プっ』と吹き出されてしまいました。草履そのものではなく、草履職人の口から出た「素敵」という言葉が似合わなかったようです。

今月上旬一通のメールをいただいたのは、岩手県にお住まいの女性。一度試し履きをされたご経験のある女性は、敬老の日のプレゼントにおばあちゃんへ贈りたいとのご相談でした。当人にはナイショの「サプライズ・プレゼント」なんですね。

普段の発送にはクロネコヤマトのメール便を利用しているのですが、送料が格安の反面到着日時の指定ができません。そこで女性へメールを送り、だいたい敬老の日到着を睨んで昨日発送することにしました。うまいこと届いてくれれば嬉しいんですけどね。

もう一ヶ月近くも前のことです。東京からお越しのご夫婦が、実演席の丸太椅子でしばらくおしゃべりして行かれました。展示してある草履も気に入ってくださったのですが、どうしても気になるのが完売した「樺草履」だったんです。言葉だけのご説明にもかかわらず、ご主人が『どうせならそういう草履が欲しいよねぇ』。

そこで私がご提案したのは、『樺染めの布地をかき集めてみて、一足編めるようならお届けしますよ。代金も後払いで構いません。ただ期待は禁物です、その代わりもし編めたらいろんな色の組み合わせになりますから、それこそ世界に一足ですよっ』。
この言葉だけで満足してお帰りになりました。

それから何日かして、樺染めの布地をかき集めたらどうにか一足編めそうでした。しかも予想通りの4色使い、これは私も思わず『面白いっ』と言ってしまった配色です。
納品伝票に、『どうにか一足編めました。早速履いてくださいね』とメッセージを加えお届けしたものです。

それから一週間ほど経ったでしょうか、お祭りが終わった翌日の10日です。午前11時頃から眠りだして、起きたのが午後3時くらい。一階の草履作業場に降りてみると、大きな荷物が届けられています。すぐにカミさんが寄ってきて、『これ、なんの荷物?』。差出人のお名前を見て、すぐにどなたか分かりました。樺草履をお送りした東京のご夫婦なんです。

中を開けてビックリ、そこには綺麗なリボンをつけられた鉢植えのお花が入っていたんです。そしてメッセージカード、『先日は良い思い出になりました。素敵な草履を送っていただきありがとうございます。心暖まる丁寧な編みを見て感激!!色のトーンも素敵です。大切に履きたいと思います』。

こんなことを言うのもナンですが、これまでも何度かお客様から贈り物をいただいたことがありました。しかし鉢植えのお花というのは初めての経験です。私を知る人たちには、どうしても「草履職人=花」という印象はないでしょう。
そう何度もない草履職人への「サプライズ・プレゼント」、これってかなり感激するもんですね。

私の口から出る「素敵」は似合わなくても、私の手から編み出される草履はきっと「素敵」なんですよっ、エッヘン!!
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やがて持つ趣味。

2009年09月16日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
薄茶基調の桜花プリントをベースに、合わせは金のプリントです。
静かに漂う気品とでも言いますか、落ち着いたお洒落感がありますね。やはり中高年のおばさま、しかも和服の似合う方にお勧めしたい一品です。

先回のブログでも触れた通り、私の実演を眺めながら、『あたしもこんなの作れたらなぁ…』とおっしゃる方が多いです。私がいつも言うのは、『飽きずに続ければ必ず編めるようになりますよっ』。
今日実演にハマったのは、還暦も過ぎたと思しきおじさまでした。30分以上もご覧になり、『ちょっと見始めたら釘付けになってしまったぁ…』。「釘付け」になったのは私の技術と言うより、結局おじさまが「草履を編む」行為に関心を覚えたことだと思うんです。

久しぶりに訪ねて見えたのは、双子の娘たちが小学校新入学当時からのPTA仲間であるお母さん。娘さんが発熱を起こして診察を受け、西宮家向かいの調剤薬局に来たところで私を思い出したそうです。このブログ読者でもある彼女は、私の仕事も応援してくれる理解者なんですね。

その彼女が言うのは、『あたしもなんかものづくりしたいんだけど、これっていうものがないのよねぇ』。こちらのお母さんに限らず、同じことを話す方がことのほか多いんです。
そんなとき私が言うのは、『慌てる必要はないから、いろんなものを見て歩くのがイイ。いずれ子どもの手が離れて年齢を重ねたら、なんかひとつはものづくりを持ってたほうがイイよ』。

今年のお祭りビデオが発売になりました。早速購入して観てみると、三女の上覧から長女と次女が乗った観光用激突まで、結構な時間わが家の娘たちが映ってました。こんなことはこれまでのお祭りで初めてのことです。
年齢を重ねてからの趣味、私は「動画撮影」にちょっと色気があるんですよねぇ。

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