角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

元気が出る草履。

2024年01月29日 | 実演日記


群馬県邑楽郡の女性のオーダー草履
「元気が出る色柄で!!」がこちらになります。
年明け早々大きな災害に見舞われた日本
被災地に遠くとも気持ちが沈むのはよく分かります。
草履のお買い換えにそうした配色希望も理解できますね。

足元をたくさんの色たちに支えてもらえるよう
約三十種の布地を集めました。
人は誰でも多くの人たちに支えられて生きています。
そうした人たちへの感謝は、なにより己が元気にいることでしょう。
還暦を過ぎたらそんなことを考えられるようになりました(笑)

「元気が出る色柄で!!」のご要望にお応えできていたら
嬉しく存じます(^^♪
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日本人のDNA。

2024年01月25日 | 実演日記


秋田市のお若いお母さんと男の子のオーダー草履です。
お母さんは二十代後半、男の子は四歳ほどと思います。
先に男の子が草履に関心を寄せると
お母さんも次第にご自分用が欲しくなり
仲良くお二人でオーダーとなりました(^^♪

ときにこうして小さな子供や少年が
草履に大きな関心を寄せることがあります。
私は「日本人のDNAを色濃く残す…」と表現するのですが
中には「先祖返り」とも思えるスピリチュアル的な
少年とも出会います。

四日前に兵庫県からご家族旅で訪れた少年は
小学三、四年生くらいでしょうか。
一足先に入店して見えたお母さんが私の草履を見つけるなり
『あっ、きっと息子が反応しますよっ』
その1分後に入って見えた少年が草履を見つけると
はっきりとその表情が変わりました。目の色が変わると
表現していいと思います。

買ってほしいとねだる少年にお父さんは半額助成
悩む少年は仙北市内の温泉宿で一晩考えることに。
翌日再度訪れた少年は満面の笑顔で草履を抱きしめ
兵庫県への帰路に就きました(^^♪
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草履の適応サイズについて。

2024年01月23日 | 製作日記
草履のサイズについてあらためてご説明したいと思います。
西宮家で対面によるお買い上げ、あるいはオーダーされる
お客様にはもれなくお話するのですが
後日ホームページからメールでご注文をいただくケースが
少なからずあります。一週間ほど前も同様のケースがありました。

草履は靴サイズマイナス5㍉~1㌢をお勧めしています。
これは以下のような理由によるものです。

① 草履は裸足サイズでかまわないため自ずと靴より小さくなる
私は靴サイズ27.0ですが、実寸を計測すると26.0をやや超えるほどしか
ありません。つまり26㌢草履が理想的サイズとなります。
また靴が小さいと感じるのは、つま先がぶつかることによる窮屈感です。
周囲を囲われていない草履はぶつかるものがないため
窮屈感も痛みもないわけです。






② しばらく使用すると草履に伸びが生まれる
個人差はありますが、半年ほどの使用で5㍉程度の伸びが生じます。
角館草履の平均耐用年数は二年くらいですから、買い替えを検討する時期には
おそらく1㌢程度の伸びが出来ていると思われます。

③ 草履のかかとを足のかかとから出さないのが草履文化
一説に草履のかかとを他人から踏まれないようにするため
わざと隠す意図があったと云われます。



草履のかかとを誰かに踏まれると、ほぼ間違いなく転んでしまいます。
人様に無様な格好を見せないという、一つの美徳だったのではないでしょうか。
また侍にいたっては、転ぶことが即ち命にかかわるシーンもあったでしょう。
誰かにかかとを踏ませないのは自身の安全というわけです。

もっとも室内履きとなった今の時代、「家の中で誰が踏むんだよ?」と
言われればその通りとも思います(笑)
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四十七年後のリベンジ。

2024年01月19日 | 地域の話


【完全おまかせ22㌢土踏まず付き 6,100円税込】


今から四十七年前、私が中学二年生のときです。
父親の知人にとある政党新聞を取り扱う男性がいました。
たまたま配達員を求めていた男性から私に話があり
月額四千八百円というバイト代に強く魅せられ
引き受けることにしました。

当時私は軟式庭球部に所属していて
ラケットやシューズといった用具代が
決して裕福ではないわが家に大きな負担でした。
ですから私はそのバイト代で過分な買い物や
無駄遣いをしたという覚えはありません。

何月から始めたのか定かではないですが
何度かバイト代をもらい、やがて冬になりました。
真っ暗な雪道を自転車に乗っての新聞配達は
少年の労働意欲を根こそぎ奪うものでした。
おそらく翌日には辞めたと思います。

その四年後高卒で社会に出てから四十三年
草履職人となるまで複数の生業を経験しましたが
「ツラさから逃げた仕事」はかつての新聞配達だけです。
これが私にとって喉に刺さった魚の小骨のごとく
心に残る小さな痛みとなっていました。

今年八月から始めた新聞配達は、現在真冬に入っています。
当時の自転車から自動車へと変わったものの
除雪車さえまだ走っていない降雪道路を一番に走るのは
なかなか緊張感があるものです。
しかし心には確かな「リベンジ」を感じています。
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近年よくあるご質問③

2024年01月17日 | 実演日記


【完全おまかせ26㌢土踏まず付き 6,900円税込】


『一日に何足編めるんですか?』

このご質問は草履実演開始時から続くもので
特に近年ではありません。
ただし昨年の夏頃からご質問への答えが変わってきました。

2004年4月に販売を開始した角館草履は
2007年4月の「土踏まず付き」発売をもって
一日の生産数がほぼ決まりました。
当時は十時間余りをかけて三~四足です。
十年間くらいは年300日を超える実演を繰り返し
年間1000足を超える草履を販売していました。

やがて脚や腰にダメージを覚えるようになり
整形外科医や鍼師を訪ね日常の生活を説明すると
『一日十時間のあぐら生活を何年も続けている人を
ほかに知らない。カラダに良いワケがない』

口々に言われたものです。

ちょうどコロナが始まった2020年2月
体重減少が気になり病院で検査を受けると
「糖尿病」と「肝機能低下」を指摘されました。
そうなるべき遺伝的要素と食習慣があったわけですが
座りっぱなしで運動のない長年の生活が病を誘発したことに
何ほどの違和感はありませんでした。

コロナ禍で実演日数が激減したこともあり
これを機に草履の生産数を減らすことにしました。
今は一日六時間を目安に「二~三足」です。
月の実演日数も二十日間程度としました。
月産最大60足、年間700足の生産数で
これからの草履職人生活を続けていくつもりです。

そして遅ればせながら運動不足解消と体質改善を目的に
昨年8月から新聞配達を始めました。
四カ月が過ぎるころから腰痛が楽になり
もうしばらくの間腰痛ベルトを締めていません。
一生付き合うことを覚悟していた腰痛でしたから
最近嬉しかったことの筆頭に挙がっています(笑)

還暦を迎えてなぜ「新聞配達をしたい」と思ったのか。
これは健康面以外に一つ理由がありました。
それは次回のブログに綴ってみます。
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近年よくあるご質問②

2024年01月11日 | 実演日記


【赤系おまかせ23㌢土踏まず付き 6,300円税込】


角館草履発売から二十年、年齢も還暦を過ぎました。
すると主に常連さんたちから聞かれるのが
『後継者はいるの?』
だんだんじじぃに見えてきた証でしょう(笑)

結論から申し上げると「NO」です。
角館草履を編んでみたいと技術指導をした人は
正確な人数ではないにしても二ケタに及ぶと思います。
けれども多くは売り物を目指すまでの
目的意識はないですね。

まず私が編めなくなるまで続けるつもりでいます。
編めなくなったらそのままこの世から消えるというのも
伝説性があって面白いと思っています(笑)
しかしながら客観的に角館草履の存在を考えたとき
消えて失くすにはやや惜しい気持ちが強いです。

昨今よく耳にするようになった「事業承継」
少なくとも家族や身内から後継者はいそうもないので
あと十年くらい経って七十の声を聞くようになったら
さまざまな選択肢を考えてみようと思います。

話は違いますが今日の角館は極寒の朝から
晴天の昼へと移ろいました。
太陽に照らされる木々の氷が綺麗でした(^^♪



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近年よくあるご質問①

2024年01月08日 | 実演日記


角館草履の裏面先端部に、草履の骨に相当する
イ草縄を結わえた「タコ糸」が見えます。
このタコ糸がときに切れたりほどけたりということが
あります。
昨年一年間でも数件のお問い合わせをいただきました。

一定期間使用した草履がフローリングとの摩擦により
起こる現象ですが、このことにより草履としての機能が
著しく損なわれることはありません。
ほどけたタコ糸はハサミ等でカットしたうえ
そのままご使用いただいて問題ないと考えています。
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千葉家の「とろっとろ餅」。

2024年01月06日 | 実演日記


神戸市東灘区のご夫婦のオーダー草履
ご主人用が「紺系おまかせ」、奥様用が「茶系おまかせ」です。
2017年に西宮家で初めてお買い上げいただいてから
このたびが四回目のオーダーとなりました。
そして2024年初の通販オーダーです♪

聞くところによればお年玉の起源は「餅」なんだそうです。
新年のオーダーに心ばかりのお年玉として
「千葉家のとろっとろ餅」を荷物の中にお入れしました。
きっと喜んでくださると思います(^^♪


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2024年が明けました🎍

2024年01月03日 | 地域の話





新年明けましておめでとうございます。
本日明けて三日となりました。
今年も元日から草履実演を開始し
二日間を務めてお休みをいただいているところです。
地元の常連さんや旅人の姿もチラホラ見受けられました。

まず話題とすれば近年稀にみる暖冬の年明けです。
角館の積雪量は現在6㌢
とても正月の景色とは思えませんね。
一般的地元民は皆喜んでいますが
一部除雪を生業とする人々と観光でお出でのみなさまには
やや拍子抜けかもしれません。

もっと驚いたのは元日発生の能登半島地震です。
「新年おめでとう」の言葉がはばかられる惨事となりました。
被災地のみなさまには心からお見舞いを申し上げます。
まずは本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
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