角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

わか杉国体開幕です!

2007年09月29日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、一般綿生地シリーズMサイズ23cm〔3000円〕
黄土色基調にカラープリントをベースに、エンジを合わせた配色Ⅱパターンです。
ところどころに見えるカラープリント、これは全部「ひらがな」なんですね。東京の仕入部長選択の生地、なかなか面白い草履になりました。

本日、秋田わか杉国体の開会式が開かれ、明日から本格的な競技が展開されます。全国各地から秋田県を訪れる国体関係者は、総勢2万5千人とのこと。角館で開催される種目は、軟式野球・馬術・カヌーです。

ずいぶん前ですが、国体開催による経済効果を地元紙が報じていました。たいへんな額でしたね。周囲の人たちと、『国体サ参加する人だぢって、競技が終われば観光するんだべが?』と話してみても、誰一人として国体経験者などいません。『さぁ~、なんとだべなぁ???』ってな具合でした。

いよいよ今日が開会式、競技が進んで10月上旬にはぼちぼちお見えになるのでは…と思っていたら、いきなり数組がお越しです。
大仙市が会場の「なぎなた」関係のおばさまご一行様、朝一番に見えて『4歳だったら何センチくらいがイイかしらっ!?』。いきなりお孫さんへのお土産をお買い上げくださいました。
秋田市が会場の「硬式テニス」に出場するご夫婦も、『開会式が終わって一番に来ちゃった!』。奥様が土踏まず付きでオーダーくださいました。

おそらくこの機会に角館を見に行こうとお考えの方が、私らの想像以上にいらっしゃるかも知れません。
楽しいエピソードが生まれる予感がしますなっ!

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下積みあってこその人望。

2007年09月28日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、9月9日、青森県弘前市からお越しくださったお母さんのオーダー草履です。お祭り見物そっちのけで配色選びに夢中でしたね。ご家族四人分の土踏まず付き草履、揃って明日の便で出発です。

今日でようやく、お祭りまでのオーダーをすべて作り終えました。やっぱりラストの発送は三週間かかってしまいましたねぇ。お祭り見物がてらオーダーくださったみなさま、一両日中にお手元へ草履が参ります。どうぞお楽しみに~!

9月上旬、北海道から一人旅を愉しんでおられるおばさまがお越しでした。流していたお祭りビデオに見入りながら、『まぁ、子どもたちもみんな頑張ってるっ!』とおっしゃり目を細めておいでです。
「角館は少年非行がはびこる要素に乏しい」、これはかねてからの持論です。その根拠は、お祭りの中で多くのおとなたちと接し、縦社会やしきたりを覚えて行く慣習が根付いているからなんです。

角館の子どもたちは、小さな頃から自分の丁内のヤマに着いて、おとなたちと一緒に重いヤマを引っ張ります。やがて小学校高学年くらいになると、「まま運び」の任務を預かることになります。炊き出しのおにぎりを自分のヤマまで運ぶ、重要な仕事なんですね。
未成年でも出来る多くの仕事を経験しながら、成人を迎える頃には「交渉員」という黄色のタスキを掛けさせてもらえるようになり、ある者は「先導」を拝命しヤマの上に上がります。これらを10年も経験した者が「曳山責任者」に選ばれ、栄誉ある白いタスキを掛けることになります。
少年たちは、やがて巡って来るであろう黄色や白のタスキに夢を馳せ、周囲のおとなたちに教えを請い、また叱責され一年々々を過ごすわけですね。

角館のお祭りには、青田買いのような「ドラフト制度」もありませんし、優秀な人材を金で買う「ヘッドハンティング」もありません。原則として、みんなひとつのヤマで「まま運び」から「曳山責任者」までの出世街道を歩きます。栄誉ある「曳山責任者」が人望を集めるのは、だれもがその人の下積みを見ているからなんでしょうね。

前述の北海道のおばさまにこの話をしたところ、突然大きなため息を漏らし、『あなたの今の話を聞いて、ひとつ分かったことがあるの』。そのお顔からは笑みが消え、深刻さまで感じられました。

こちらのおばさまは地元のコーラスグループに所属していて、おそらくその世界では名の知れたグループなんでしょう、実力を認められて後から入会したように感じました。いわゆる「ヘッドハンティング」ですね。
グループのリーダーをはじめとする幹部はすでに80歳代で、きっとこちらのおばさまが次期候補なんでしょう、それなりの発言力がありそうです。

おばさまが『分かった』と漏らしたのは、最近周囲からおばさまへの態度が冷たく感じられていたとのこと。どうしてなんだろう?と思っていたところにこの話を聞いて、謎が解けたそうです。それは、自身の「横柄さ」だったんです。
グループをここまで成長させた人に対して、「高齢」というだけで蚊帳の外に置いたご自身の言動を思い返し、そのはさはかさを恥じたんですね。
どんな世界でも、下積みがあってこそ苦労と喜びを知り、そこに人望が付いてくるんでしょう。

笑顔が戻ったおばさま、お帰り際に一言残して行かれました。『あなたの草履、二年前に買ったのをまだ履いてるわよ~!』。
これを言われるまで、私の草履愛好者とは知りませんでした。でも良かったです、草履を見るたびにこのときの会話を思い出してくだされば…。

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お知らせ。

2007年09月27日 | 実演日記
「縞木綿シリーズ」は、生地問屋さんの都合により現在製作をお休みしています。新たな問屋さんが決定次第再開しますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

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師匠は初恋の人!?

2007年09月26日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、9月2日、名古屋市守山区にお住まいの奥様からの、メールによるオーダー草履です。
9月2日はネット不通の最中で、メール返信が遅いことを気にされた奥様が、9月10日にお電話をくださいました。本当に申し訳なかったです、ご主人用の絣草履と共にもうそろそろ到着している頃でしょうか。

23日間のネット不通の最中、草履職人が五人追加されています。80人目は秋田県男鹿市から遊びに見えたお母さん、81人目は角館のお祭りにラーメンの露天を開いている秋田市のお母さん、82人目は東京都国分寺市からツアーでお越しのご夫婦、83人目は秋田市から遊びに見えたお母さん、そして84人目は北海道函館市のお母さんです。
みなさん、頑張ってくださいね~!

8月20日のブログでご紹介した、10人超えの見学おばさま集団。うちのおひとりが草履台をお買い上げだったのですが、こちらのおばさま、その後とっても熱心に取り組んでらっしゃいます。
お祭り中日の9月8日、ご主人と知人の女性を連れ立って再度お越しになりました。『おっ、お祭り見物を兼ねでだんシかっ?』と尋ねると、『まぁそれはそうなんだけど、やっぱり草履見学が一番だなっ!』。
角館のお祭りよりも草履ですかっ!?まぁ、滅多にいらっしゃらないと思いますが、とっても嬉しい言葉でした。

こちらのおばさまが“初作品”の草履をお持ちになって、昨日三度目のご訪問です。全体のバランスやつま先の円みはまだまだですが、感心したのは横の揃え。普通の初心者はノコギリの刃のようにギザギザになるもんですが、ほぼ綺麗に揃ってました。おそらくかなり几帳面な性格なんでしょうね。
一時間弱を実演ベンチで過ごし、アドバイス内容も少しレベルアップさせました。これだけマメに通ってくだされば、こちらの気持ちとしても応援度が増します。間違いなく上達が早いでしょうね。

角館訪問のたびに運転手としてご同行されるご主人、ご主人ご本人はとりたてて草履に興味があるわけではないですから、近くのベンチに腰を下ろし、ひたすら“講義”が終わるのは待ち続けます。
ご主人に、『いっつもご同伴させで、申し訳ねんシなぁ』と言うと、『なんとうぢの母さんだば、こごサ来るって日は朝がらウキウキしてるもの。まるで初恋の人サでも逢いに来るよんたもんだぁ!』。

年齢にかかわらず、そう言っていただけるのは嬉しい限りです。

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フル稼働の娘たち。

2007年09月24日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、装飾用ミニ草履〔900円〕
明るい紫の無地をベースに、可愛い花柄で帯を二本入れています。ミニ草履はカミさんの専売特許のようなもので、私はもう二年も作っていません。「今日の草履」もカミさんの手作りで、イメージは「紋付」だそうです。

この「紋付」、角館にお住まいか、あるいはお祭りに参加している人であればすぐに分かりますね、曳山の上や舞台で踊る、踊り子さんたちの衣装のひとつです。
角館のお祭りにご精通の方々には、雰囲気が出ておりましたらぜひコメントをいただきたいところです(笑)。

さて今年のお祭り、昨年とはまたうって変わり、わが家の娘たちはフル稼働の三日間でした。いや、前夜祭とあどふぎも踊り衣装を身にまといましたから、合わせて五日間のお祭りですね。

次女と三女は昨年から太鼓も習い始めました。お祭り中日の8日は踊りが空き日ながら、二人は太鼓で曳山に乗りました。22時までのスケジュールでしたが、結局降りるタイミングが見つからずに曳山を納めるまで乗ることになりました。帰宅したのは深夜1時、寝たのは2時を過ぎていました。

大変なのは翌9日の踊りです。曳山への集合時刻は午前8時30分、三人分の髪と化粧、そして衣装の着付けに要する時間を勘案すると、起床は午前5時30分です。実質睡眠時間3時間というのは、まずお祭りでもない限り日常にはありません。それでもさすがは角館っ子、目覚まし時計一発で起きましたね。

実はもっと大変だったのは9日の気象でした。最高気温が32℃まで上がり、日陰のない曳山の上では想像以上に過酷だったでしょう。6月の路上ライブの記憶が新しい私には、痛いほどそのツラさが分かります。
午後8時、連続12時間の“勤務”が終わった三人娘、小学六年の三女はとうとう『もうお祭りはイイ…』とのことで家に戻りました。中学三年の双子はまだまだ元気、踊り衣装から祭り装束に衣替えし、今降りたばかりの曳山へ走って戻ったそうです。

今更ながら、角館のお祭りを支える“スタッフ”はいろんなところに存在します。
あらためて、お祭りの楽しさと苦労をかみしめたわが家でした。

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奥様の説得やいかに!?

2007年09月23日 | 実演日記
いよいよブログ再開と思いきや、今度はデジカメの具合がおかしくなってしまいました。そこで、「今日の草履」はひとまずお休みしての再開といたします。

ネット不通の23日間、ブログ更新は出来ずとも、日々多くの方々との出逢いだけは確実にありました。ましてこの期間には角館のお祭りもあったわけですから、話題に事欠くことなどありません。
そんな23日間の中で、今日は“面白い人”ナンバーワンをご紹介します。

9月の初旬、比較的午後の早い時刻でした。ひとりの男性が入って見え、テレビで流していた昨年のお祭りビデオに目を留めました。『へぇ~、これがここのお祭りですかぁ~?』と男性、言葉の端々に関西弁が混じっています。実にラフないでたちでしたから、『旅行ですか?』と尋ねてみると、『はいっ、お向かいの旅館に一週間滞在してますぅ。少し早くにリタイヤしましてなぁ、今は好きな所で気ままに遊んでますのやぁ!』。

京都府ご出身で東京在住のこちらの男性は、勤務していた東京の会社を定年を待たず退職したんだそうです。角館の旅も今回が初めてではなく、好きな場所のひとつとおっしゃっていました。一週間の滞在中、この町の歴史から現在も残る名所旧跡を歩き回り、ちょっとした“角館通”となっていました。

そんな男性が、角館のお祭りに関心を持たないわけがありません。私にお祭りの説明を求めながら、とうとうビデオが終わるまでの二時間を実演ベンチで過ごしました。今年のお祭りまであと数日を残すだけでしたから、『お祭りを見ないで帰るんですか?』と尋ねると、『いやぁ~、見たいのはやまやまなんですがねぇ、その前に帰る予定なんですわぁ。』
さすがに「お祭り説明付き」の二時間を申し訳なく思ったのか、お帰りの際にご夫婦分の草履をオーダーくださいました。

その翌日、またこちらの男性が私の元を訪れ、『旅館のお上に無理を言いましてねぇ、お祭りまで部屋を貸してもらえることになったんですわぁ!』。そのときの男性の笑顔と言ったら、まさにこぼれんばかりでしたね。
それにしても、角館に縁がなくとも角館のお祭りファンは確かにいます。昨年のお祭りで十分実感したはずなのに、また今年もそんな方と出逢って再認識できました。

実は話はこれで終わりません。お祭り二日目の9月8日、夕方近くに米蔵の前にいると、こちらの男性が通りかかりました。『どうです?実際のお祭りを見て』とお声を掛けると、『いやぁ、面白いですわっ!』。『今晩からもっと面白くなりますからね』と言うと、『いや実はですね、今日これから新幹線で帰ることにしたんです』。
あれだけお祭りを楽しみにして、いよいよこれからというときに帰るというのを不思議に尋ねてみると、『実は、これからうちのカミさんを説得するんですわっ。僕はもう心に決めたんですけどね、角館に住むことを』。

あちゃー、こちらの男性、終の棲家を角館に決めちゃったんです。滞在延期を決めてすぐ、空き家の物件探しをしていたという男性は、すでにめぼしいところの大家さんに相談済みでした。とりあえず賃貸契約をして、一冬暮らしてみるんだそうです。奥様が、『こんな冬の厳しいとこでは暮らせない』と判断したら諦め、『なんとかいけそう』と判断したら賃貸から売買に変更するという相談です。

奥様の説得材料に、『もう角館にはともだちがいっぱいいるんだよ』を使うと言ってました。そのともだちのひとりには、もちろん角館の草履職人が入っているそうです。
さて、説得の結末やいかに!?

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23日ぶりの復旧です。

2007年09月21日 | 実演日記
大変長らくご無沙汰をしてしまいましたが、昨晩23日ぶりにネット通信が復旧いたしました。また今晩からこれまで通り、ブログ更新をして参ります。

メールをいただきながらご返信できずにいましたこと、あらためてお詫びいたします。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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