角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

冬は痛い季節!?

2011年01月28日 | 家族の話


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
淡い紫基調の桜花プリントをベースに、合わせはエンジです。
角館草履としては典型的な配色ですが、なにより華やかで優しく、さらに暖かい雰囲気がイイですね。未だ極寒から抜けきれない当地にとって、こんな草履でさえ暖かさの一助になりますよ。

十日ほど前仙台市へ出発したあたりは、角館の積雪量に特段の多さは感じませんでした。その日横手から高速道路へ乗ることにしたのは、「横手豪雪」の話題が県内にも伝わっていたからなんです。ちょっとした野次馬根性ですね。
県道角館~六郷線を走っていると、途中の太田・千畑あたりから、屋根の上に乗った雪の量が角館とは明らかに違うのが分かりました。そして横手市へ入ると紛れもない豪雪、国道に沿って2メートルほどの雪壁が出来上がっていたものです。

そして今、その豪雪は角館にも迫ってきました。湯沢市のような170cmにも及ぶ積雪量ではないにしろ、よくもまぁ降るものですよ。この先二月の一ヶ月間がどの程度降るのか。地元民は一様に疲れきっているのが分かります。話に聞くと、町内の温泉がエラく混んでいるそうです。皆どこか体を痛めているんですね。私もご他聞に漏れず、腰やら腕やらヒドいもんです。

大雪による事故があとを絶ちません。屋根の雪下ろし中に落下したり、下から軒先をつついた雪が大量に人へ覆いかぶさったり、いずれの場合もひとつ間違えれば命を落としかねません。新聞やテレビの報道を見ていても、この手の事故はお年寄りが多いです。
もうひとつ冬に怖いのが、スリップによる交通事故です。実は一週間前、カミさんが運転する車が交通事故に遭いました。

対向してきた軽トラックが、なぜか突然車線をはみ出し正面衝突したんです。運転者は80歳くらいの男性でした。その日は長女と次女の受験のため、私は次女と仙台、カミさんは長女と秋田市へ行きました。事故は秋田市からの帰り道、当時も降りしきる雪で視界が悪かったそうです。

前部が大破したわが家の車は、そのままレッカーで運ばれ廃車となりました。運転していたカミさんはシートベルトの圧力で上半身の打ち身、へこんだ車体で膝部の打撲です。助手席の長女は膝の打撲だけで済みました。車の状態にしては二人ともケガが軽かったことが、本当に不幸中の幸いと思っています。

私は全身筋肉痛、カミさんは打ち身と打撲。冬は「痛い季節」なのかも知れませんなぁ。
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豪傑の逝去。

2011年01月25日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺の井桁プリントをベースに、合わせは紺の女の子プリントです。
互いに紺系での組み合わせですが、女の子プリントからときおり見える赤が可愛いですね。「和」の魅力もたっぷりに、ちょっと足が小さめの女性にお勧めしましょ。平生地はこちらになります。




およそ十日ぶりの更新になってしまいました。18日から3泊で、次女の受験に伴い仙台市を訪れておりました。日本海側の秋田県とはいかにも雰囲気が異なります。吹きつける風は冷たいですし、ときに舞い散る雪も冬そのものなんですが、なにしろ雪の量が違いすぎます。毎朝毎夕の雪よせが要らない地域というのは、なんと暮らしやすいものでしょうか。
ふるさと角館は、3泊あけて出発時よりまた一層増えてました。

ここ数日の出来事や、実演再開から三日間の実演日記はまたあらためてご紹介するとして、ひとつ訃報が入りました。同期生のお父上、享年75歳。友人の父親としてはもちろんのこと、ひとりの商人としても話を聞かせてくれた商いの大先輩でした。
明日は火葬と葬儀に参列するため、実演はお休みさせていただきます。

名物的人材がまたひとりこの世を去りました。平成の時代にはおおよそ見受けられない「豪傑」は、やはり昭和の時代だからこそ似合うような気もします。
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三寒四温。

2011年01月16日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ21cm土踏まず付き〔四阡円〕
ピンク基調のうさぎ&麻の葉プリントをベースに、合わせは赤茶のマス目プリントです。
ベースのピンク色ももちろんですが、組み合わせに見える金色からも華やかさが感じられます。厳寒期の今だからこそ、なおさら暖かく感じる配色ですね。

数日前からの天気予報では、最高気温がいっときプラスに転じると出ていました。でも結局のところ、もう十日も真冬日が続いているんじゃないでしょうか。逆に寒さに慣れてイイ頃とも思いますね。
マスコミでは連日大雪を報じていますが、当地角館はむしろ少ないほうと思います。その代わりというわけじゃないのでしょうが、そろそろ寒さが緩んで欲しいところです。

二十歳くらいの頃でしょうか、年長者であるお得意先から教えられたのが「三寒四温」。そのときの教えでは、『三日間寒い日が続けば、その後四日間は少し落ち着くもの』。北東北の真冬と言えども、寒い日が何十日も連続することはないという趣旨に記憶しています。
この言葉を知ってみると、なるほど確かに周期を感じるものでした。

真冬一月の観光地角館の様子は、8日からの三連休が終わるととたんに静かになりました。その頃から荒天続きで、気温が上がらなかったのも一因でしょう。天気が荒れると県内のお客様の足も遠くなります。路面が凍るとどうしても運転に気を遣いますから、急を要しない件であれば日を改めるのは得策でしょう。

ただしここでも「三寒四温」。三日間静かに暮らすと、四日目からは幾分賑やかになるものです。福島県からお越しのおばさまひとり旅、千葉県からお越しのおばさま三人旅、東京からお越しのご夫婦旅、そして今日は栃木県からお越しのご夫婦旅。みなさん角館や角館草履に関心を示され、それぞれお買い上げくださいました。

最近になりふと気づいて、「三寒四温」の意味を調べ直してみました。だいたいおおまかには、この20数年が思い違いではなかったようです。ただしこの三寒四温の現象は、中国北東部や朝鮮半島に顕著で、日本では一冬に何度も現れないことが分かりました。
おそらく中国から伝えられた「冬の気候」だったんでしょう。それにしても、日本もそんな感じでしたけどねぇ。

まぁ真実は真実として、「ツラい日もずーっとは続かない」という考え方は、日々を生きるうえでこれまた大事と思います。「三寒四温」はこの先も、そういう意味で心に留めておきたいものです。

さて本日をもって、一月前半の公開実演を終えました。明日から一週間ほどお休みをいただき、23日の日曜日から後半に入る予定です。
冬もあと一ヵ月半、「もう僅か…」と言うには若干ありますが、昼の時間は確実に長くなってきました。
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「和」に生きる女性たち。

2011年01月15日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
エンジ基調の桜花プリントをベースに、合わせは紺の麻の葉プリントです。
こちらも角館草履の典型的な配色でしょうか。赤系に紺系の組み合わせは、「和」がよく表現されていて好きなんです。どちらかと言えば中高年のおばさま向きとは思いながら、こういう配色を好まれるお若い女性は必ずいらっしゃると思いますね。

以前一度お越しで、そのときも熱心に草履の話を聞いて行かれたおばあちゃんが、この寒空に再度のご訪問です。そのときも編んでみたいお話でしたが、今日もひとまず挑戦はあきらめました。その代わり、『まず台所で履いでみるべぇ』とご自分用をお買い上げです。
その後のおしゃべりで、こちらのおばあちゃんがなにやら楽しい活動をされていると知ります。

おばあちゃんは旧西木村にお住まいで、ご自宅を使い「グリーンツーリズム」をはじめたのが十年ほど前と言います。ご主人とふたりではじめたこの活動は土地に根付き、なにほどの広告をしない今でも一定の人数が全国から訪ねて見えるそうです。
なかでも修学旅行グループの受け入れは、『子どもたちに元気をもらってるものぉ』と言うのが手に取るように分かるくらい、お話くださるお顔は活き活きしていました。

そんな生きがいを見つけたおばあちゃんに、三年前突然の不幸が襲います。ご主人の他界なんですね。ふたりではじめた活動がひとり欠けるのは、とても大きかったでしょう。おばあちゃんはこれまで通りすべてをひとりで賄うのは無理と判断し、まず冬の「干し餅作り」をやめたそうです。
『おかげで体は楽になったよぉ』と言うおばあちゃんでしたが、長年続けてきた干し餅作りをやめると決めたときは、おそらく断腸の思いだったんじゃないですかね。

現在は26歳の孫娘さんとふたり、出来る限りの活動を続けているそうです。自給自足を学んだり、野山の遊びを覚えたり、自然の中にいっとき身を投じるのが「グリーンツーリズム」でしょう。ちょっとした古き良き時代、そうした「和」に26歳の女性が夢を持って取り組んでいる話を聞かされると、間もなく48歳のおっさんも襟を正そうという気になりますよ。

『次は孫娘さんサ、そういう活動が好きなお婿さんを探してもらえばイイんしなっ』と言うと、『そうそう、んだものぉ。でも、ばあちゃんのためでは結婚しねどーって、いっつも言われでるぅ』。
大声で笑うおばあちゃんとのおしゃべりは、外気の氷点下に反してとても暖かいものでした。
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福祉も継続が重要。

2011年01月12日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調の花柄プリントをベースに、合わせは紫の格子柄プリントです。
厳寒期の今とは裏腹に、元気な夏を想わせる配色ですね。いつもこうした配色こそ中高年のおばさまに…と言ってますが、今日はこうした配色こそ寒い冬場に…と言いたいですね。

大人の男女5、6人ほどと、未就学と思える男の子がお越しでした。大人は草履コーナーを通り過ぎ米蔵内へ、男の子は草履に興味があったのか、ひとり丸太椅子に腰を下ろしました。子供だけが草履コーナーに残るのは日常茶飯事、それは季節を問うことなどありません。

ハキハキとよく話す男の子は、もうすぐ5歳の保育園児でした。『ぼくね、りっぱないちねんせいになるために、“だいぼうけん”っていうDVDみてるんだっ』。
草履職人に「大冒険」というDVDは分かりませんが、おそらく主人公の男の子が困難に立ち向かいながら、逞しく成長していくようなストーリーなんでしょう。

『一年生になるために、ほかにはどんなことをしてるの?』と訊いてみると、『お手伝いもするよっ、お母さんのとか』。なかなか感心な子と思い、『お母さんのお手伝いはどんなことするの?』と訊くと、『お母さん死んじゃったからね、お線香とかあげるのっ』。
一瞬耳を疑いながら屈託なく笑う男の子に、そのあとこの話題を避けました。

「伊達直人」の名前で、児童養護施設などへの寄付があとを絶たないようです。当初のランドセルから、最近はおもちゃまで届いてましたね。寄付を受ける側としては、もちろん嬉しい気持ちにウソはなくとも、善行に対してしっかりお礼を述べるのも教育という観点からは、幾分困った顔も出ていると聞きます。なるほど納得ですね。
どうもイベント性を帯びた感がある「伊達直人騒動」は、今しばらく続くんじゃないでしょうか。

世の中にはいろんな事情で、親と暮らせない子どもがたくさんいるのでしょう。今日会った男の子のように親を亡くしたり、幼い頃両親が離婚した子どもは私も何人も知っています。だいたいはどちらかの親か、あるいは祖父母に育てられている子が多いですから、児童養護施設で生活している子どもは、またちょっと事情が違うのでしょう。

いずれにしても、そうした子どもたちへ社会の目が注がれるのは、決して悪いこととは思えません。願わくばこの寄付騒動が一過性で終わらず、さらに日常に施設と関わっているボランティアのみなさんにもスポットが当たれば良いと思いますね。

わが家の長女は中学校時代から、児童養護施設で働くことを夢見ていました。浅い知識を得てみると、この職に就くのはとても困難のようです。それでも夢に向かっての第一歩、「保育士資格」を得るための受験が始まろうとしています。
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寒さも気の持ちよう!?

2011年01月11日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
紫基調の桜花プリントをベースに、金を三箇所に配してみました。
ベースの紫基調にも金が含まれているせいで、さらに豪華絢爛となりました。成人の日も過ぎてもう正月とは言えませんが、年の初めを祝うにはピッタリの草履と思います。

いやぁ、寒いです。やせ我慢などする気もおきないくらい寒いですよ。「寒の入り」とはよく言ったもので、冬の神様は降雪から気温のほうにシフトしたようです。もう4、5日も真冬日が続いているでしょうか、深夜の気温はマイナスの二桁に届く勢いです。
それもほぼ今日までの予報で、明日からは連日最高気温がプラスに転じるそうです。秋田の冬ですから寒いに決まってはいるものの、ときに休ませてもらわなければ体がもちませんよ。

先日ガソリンスタンドに立ち寄ると、顔なじみの女性スタッフと「寒さ」の話になりました。こちらの女性が言うのは、『去年あたりから、着る枚数が確実に一枚は減ってるよ』。
温暖化の影響か、幾分冬の寒さが和らいでいるのは分かります。それでも衣類の枚数が減るほどとは思えません。女性は続けて、『多分衣類の保温性がかなり違うんじゃないかな』。

確かに新聞の折込チラシにも、ヒート○○とかいう保温性の高い下着がずいぶん売られてますね。それと冬用の作業衣、ダウンが入ったものでずいぶん暖かいんだそうです。おかげで着用枚数が一枚省けるから、仕事も動き易くてイイそうですよ。
続けて言った女性スタッフの一言が、最も説得力がありましたかっ。『スタンドって外仕事みたいなもんだから、気温には敏感になるんですよっ』。

明日は「寒い」を言わず過ごしてみましょうかね。
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願わくば意志を持った道へ。

2011年01月07日 | 家族の話


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調のうさぎ&麻の葉プリントをベースに、紺の井桁を三箇所に配してみました。
紺で統一した「今日の草履」ですが、ときおり見えるベースの赤が可愛らしいですね。比較的お若い女性向きかと思いきや、お選びくださったのはお孫さんがいるほどのおばさまでありました。

見事なまでの大寒波がやってきました。降雪量こそたいしたことはないのですが、気温の低さと風と強さが顕著です。今日の最高気温はマイナス5℃ほど、明日はプラス3℃くらいになるそうですから、その差8℃になるわけです。マイナス5℃とプラス3℃、どちらも寒いに変わりはないような気もしますね。
こんな天気ですから、今日の西宮家は寒くて静かな一日となりました。

さて、師走の入院からちょうど一ヶ月になります。一ヶ月もの間アルコールを飲まないなんていうのは、おおよそ記憶にありません。ましてや年末年始に酒を飲まず寝るなんてのは、高校卒業以来じゃないですかね。
この一ヶ月間で明らかに変わったのは、体重なんです。タバコを止めると太る話は定説ですが、禁煙から三ヶ月の時点で大きな違いはありませんでした。それが禁酒生活と共に体重が増えて来たんです。

これまでの晩酌は、適当にツマミを食べるとご飯は食べませんでした。元来酒を飲みながらガッツリおかずを食べるタイブではないですし、15年ほど前に通風発作を起こしてからはあえて食を細くしていた側面もあります。
それが酒というものが目の前から消え、晩飯をガッツリ食べるようになったんですね。そのうえそれまで考えられなかった間食や、食後に甘いものまで食べる始末ですよ。これが「禁酒ストレス」じゃないでしょうか。

酒を飲みタバコを吸っていた当時、「どちらかを止めなければいけない」としたらどっちを選ぶか。私は完全に酒と思っていました。その当時も仕事の都合で運転が夜間に及ぶと飲めませんでしたし、休みの日に昼から酒を飲むなんてこともありません。つまり酒については、自分でコントロールできていると思っていたのでしょう。
きっと止められないであろうと思っていたタバコは案外平気で、コントロールできていると思っていた酒でストレスを感じる。私はこれを、自らの意志がそこにあったかどうかが分かれ目と思っているんです。

禁煙は、家族など勧める人がいたにしても、結果的には自分の意思で決めました。それは体のことや、値上げも理由にあるでしょう。
片や禁酒は、有無を言わさず医師によって決められました。もちろんそれがベストの選択であったでしょうし、最終的には私も納得して始めたことです。でもやっぱりどこかに、禁煙のときとは違う「固い意志」がないんですよねぇ。

まぁ、私の禁煙と禁酒の話はひとつの例えで、言いたいことは自ら進む道には自らの意志が必要ということなんですね。固い意志が備わった道であれば、困難にぶつかったときの心の強さが違うのでしょう。

去年あたりから進路確定が迫ってくると、わが家の晩飯では娘たちとこんな話題が多くなっていました。そのとき私の左手には、いつも焼酎グラスがあったわけです。
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変わるお金の使い方。

2011年01月05日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
紫基調の月見うさぎプリントをベースに、明るい緑を三箇所に配してみました。
色具合が控え目なため、大人の優しさが感じられながら、可愛らしさもちゃんと持ってますね。案外お若い女性にもお勧めできる気がします。

朝から次第に雪が強くなり、ひとまず降り止んだのは午後3時くらいでしょうか。その間にずいぶん積もりました。大晦日の大雪を想わせる湿った雪です。この重い雪が腰によくありません。明朝の除雪は少し時間をかけたほうがイイでしょう。

この雪では散策の方々も難渋したと思います。武家屋敷駐車場でバスを降り、散策しながら西宮家を目指して昼食を食べるツアーがあるのですが、今日の団体さんはどこも寄らず西宮家へ直行して来たそうです。確かにゆっくり散策するような天気じゃなかったですね。

関西弁のご夫婦がお越しです。ご主人は西宮家を知っているかのように、ちょっと慣れた感じでした。展示してある草履を眺めたあと実演に見入り、角館草履の特徴をご理解いただくと『記念に買って行こかっ』。
一緒に試し履きしていた奥様も二つ返事で了解くださり、ご家族へのお土産を含めて四足のお買い上げと相成りました。この真冬にありがたいことです。

『関西はどちらです?』とお訊ねすると、『家は大阪なんですけど、単身赴任で秋田に来てるんですよっ』。
なるほど、どこか西宮家に慣れた感じにお見受けしたのは、すでに三度目のご訪問だったからなんですね。秋田へ赴任して二年、ときおり奥様が合流する生活を、『子どもも大きくなりましたから、なかなかイイものですよっ』。
数年後のわが家もそんな感じになるんですかね。

前述のツアーでお越しのおじさまが、『自分のだけ買って行こう』とお選びくださいました。大阪のご夫婦も四足と言えど家族の分です。いわゆる「お土産」として他人様に差し上げるものではありません。
これまでのブログでも触れていますが、角館草履は「自分のため」が圧倒的に多いです。せいぜいご夫婦やご家族の分であって、初お買い上げが他人様のためというケースは少数なんですね。

今朝の新聞やネットニュースにも流れていますが、百貨店の初売福袋がたいへんな賑わいだったそうですね。福袋の人気が個人消費のバロメータにもなるそうですから、「辛抱生活」に多少嫌気が差しているのは本当でしょう。対して昨年末のお歳暮商戦は、各店軒並み前年比ダウンという結果でした。

僭越ながら、これがつまり角館草履の売上傾向そのものだと思うんです。福袋は購入者が楽しむモノであり、他人様へお土産とするケースはまずないでしょう。お歳暮というのは、お世話になった方々へお礼としてお届けするのが趣旨として多いでしょうから、少なくとも自分が楽しむモノとは異なります。

自分が楽しむモノに費やすお金、他人様へのご挨拶に費やすお金、この比率は今後もっと差が開くような気がします。
かつてギフト業を生業の一部としていた私には、この意味においても草履職人の道を選んだのが正解だったと思うわけです。
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お金は蛇口から!?

2011年01月04日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
ピンク基調の月見うさぎプリントをベースに、エンジを三箇所に配してみました。
定番配色⑤とは少し違う雰囲気で、こちらもなかなか可愛く仕上がりました。ピンク色は角館の桜色に通じるものがありますから、そのあたりも人気の所以なんでしょう。
「月見うさぎシリーズ」第四弾の平生地はこちらになります。




新年四日、今日から市役所や銀行なども仕事が始まりました。朝一9時に郵便局窓口へ行くと、全スタッフが起立して出迎えてくれましたよ。知った顔が多い分、なんか照れくさいもんですね。わが家の受験生三人娘も登校が始まりました。実際の生活は、今日からもう「お正月気分」ではなくなっています。
草履コーナー目前の抽選会も昨日で終わり、今日からはいつもの西宮家米蔵です。真冬の一月にたくさんのご来店は望めないと思っていましたら、観光で訪れる人影は三が日より多いくらいでした。

栃木県からお越しのご家族旅。お父さんにお母さん、中学生くらいの男の子と小学校高学年くらいの女の子の四人旅です。お母さんが試し履きをしたあと、すぐにお父さんが試しました。真っ先にご購入を決めたのはお父さん、しかもオリジナル配色のオーダーです。
先を越された形のお母さんはしばし悩んでおいででしたが、次に声を上げたのが女の子でした。幸いと言いますか、お母さんと女の子は足のサイズが一緒。一応女の子の分としてオーダーを賜りましたが、きっと数日後にはお母さん用になっていると思いますね。

こちらのお母さんは角館のご出身で、毎年正月とお盆に帰省されるそうです。『花見とかお祭りに帰りたいんですけどねぇ』とお母さん。ご実家の所在地を訊ねると、角館旧町内として伝統あるヤマが出されている丁内です。帰りたい気持ちはイタいほどよく分かりますよ。

『それでも年に二度欠かさず帰られるのは、案外珍しいかも知れませんよ』と言うと、近くでお母さんとの会話を聞いていた女の子が、『もっと何度も来ればイイじゃん』。
親子四人で栃木と秋田を往復すれば、それなりの費用を覚悟せねばなりません。そうした「お金事情」に、子どもの意識は向きませんからねぇ。

『今週中に受験料○○円用意しといて~』
『これ○○日まで振り込んどいて~』
『ホテル代○○日までだからね~』
わが家の受験生たちも、お金なんか蛇口から出てくるような話をしますよ。まぁ、ひとまず親としての努めは社会に送り出すまで。そろそろ最終章ではあるんですけどね。

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新たな年のはじまり。

2011年01月02日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
カラフルな桜花プリントをベースに、合わせはエンジです。
2011年最初の「今日の草履」は、艶やかで華やかな桜花を使ってみました。吹雪に凍えたり、降りしきる雪に除雪が追いつかなかったり、北国の冬はおおむねそんな感じでしょう。でもその厳冬の向こうには、「今日の草履」のように美しい春があります。
北国の人間だからこそ待ち焦がれる春、平生地はこちらです。




あらためまして、新年明けましておめでとうございます。
明けて二日、角館は青空も顔を出す好天に恵まれました。ニュース等では西日本の日本海側の大雪が伝えられていますが、秋田県のある北日本の日本海側は大晦日にずいぶんと降られました。水分いっぱいの湿った雪が間断なく降り続き、大晦日一日だけで30cmほどになりましたか。夕方ようやく止んだ雪はその後降ることなく、年明け元日と今日二日も好天が続いています。

元日から始まっている公開実演ですが、かつてJR東日本が発売していた「元日1万円乗り放題チケット」が廃止されたせいもあってか、いわゆる観光で当地を訪れている人影は少なめです。それでもご家族で旅をされているお若い女性が、お気に入りの配色をお選びくださいました。2011年初お買い上げ、誠にありがとうございました。

観光客の少なさを補って余りあるのは、地元商店会が主催する「福引抽選会」。今年も草履コーナーの目前で開催されています。抽選券を片手に間断なく人が訪れ、『当たったど-っ』とか『ホントに当たり入ってらべなぁ』とか、とにかく悲喜こもごもの会話が面白いです。
角館の草履職人も、この抽選会に今日挑戦しました。結果はなんと、銀賞五千円の商品券。クジ運には縁がないと思い込んでおりましたから、これはなかなか嬉しいもんですよ。

抽選に当たって間もなく、旧稲川町から女性がお越しです。『去年の秋に来たとき買いそびれちゃって、どうしても欲しくて今日来ましたっ』。旧稲川町からだと車で二時間ほどかかります。まして真冬の正月二日に、こうした言葉が聞けるとは思っていませんでした。抽選に当たったより嬉しかったですね。
前回ご訪問の秋よりは今のほうが在庫も多いはずです。女性は10分弱をかけてじっくりお気に入りをお選びくださいました。

昨年は病んでいた叔父の他界があり、暮れには私自身の入院もありました。カミさんの父親も昨年から少し体調を崩しています。一年のうちに悲喜こもごもあるのはいまさらながら、できるものであれば「悲」より「喜」のほうが多くなってほしいと願わずにいられません。
新年明けてまだ二日ですが、ここまでは「喜」に軍配が上がっています。一年経った今年の大晦日、笑顔で一年を振り返りたいものですね。

さぁて、一日一日頑張るとしますかっ。
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