角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

草履とケータイ。

2008年04月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
朱色基調のうさぎプリントをベースに、合わせはエンジです。ベースは新柄のうさぎプリント、行きつけの生地屋さんで見つけました。草履職人の干支がうさぎのせいか、どうしても手が出てしまいます。「卯」の文字がなかなかユニークですね。
淡い配色のこちら、優しいお母さんに履いていただきたい一品です。

2008年も今日で四月が終わりました。桜がひとつもないゴールデンウィークの前半を終えたわけですが、未だ「桜まつり」は継続されています。近年にない早咲きの今年、やはりどこかおかしい雰囲気があります。いずれゴールデンウィークが終わってから思うところを述べてみたいと思います。

桜の有無と無関係に、実演席は相変わらずお元気なおばさまをたちを中心におしゃべりの毎日です。立ち止まっていただくこと、お声をかけていただくこと、そしてお買い上げいただくこと、こうしたありがたさを日々感じています。
公開実演も四年目となり、初お買い上げの方ももちろん多いのですが、リピーターさんがさらに増えています。人は気に入らなければ「二度目」はありません。これがなんとも嬉しいですね。

わが家の高校一年生の双子、そろそろ学校にも慣れてきたようです。十日前くらいに次女が真剣な顔で、『父さ~ん、一生の頼みあるぅ』。予想はしていましたが、やはり「ケータイ」のことでした。
入学式後のホームルームで長女の担任が、『ケータイを持つのが当たり前になったので、今年度から学校への持込を認めることになりました』と言ってました。「持つのが当たり前」の文言に多少の違和感を覚えながらも、もうそういう時代なんでしょうね。

先日西宮家から帰った後、家族で近くのケータイ屋さんへ出かけました。営業時間は午後七時まで、私たちが店に入ったのは午後六時半を過ぎています。『娘ふたり、新規で頼むんシ』と伝えると、三人の店員さんが並んで『ありがとうございます!』と笑顔で頭を下げました。
機種を選び契約を終えると、時刻は八時に近くなっていました。店員さんへ『遅く来て悪りぃなぁ』と言うと、『とんでもないですぅ、新規ふたつは嬉しいですからっ』。ケータイ屋さんが新規を喜ぶのは、どうやら私が想像していた以上かも知れません。

娘たちそれぞれが簡単な説明を受けているとき、ひとりの店員さんが『お父さんも機種変更されませんか?今なら無料の端末がいろいろありますよっ』。時間も遅くなっていたので『また今度ゆっくりにするぅ』と答えましたが、新規のみならずリピーターへの心配りもなかなかです。

さて明日から五月、ゴールデンウィーク後半へと向かいます。私も「新規さん」「リピーターさん」それぞれを大切にしましょ!

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よく見てくれれば…。

2008年04月29日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黄色の無地をベースに、合わせは夜桜です。ベースの明るさに夜桜がよく映えますね、綺麗な配色と思います。

今日は朝から気持ちの良い青空です。気温も上々、私たちも気持ちがイイですが、散策のお客様はなおさらそうお感じでしょう。でもやっぱり今日も言われました、『これで桜があったらねぇ…』。

ビニールロープと布だけで編む「布草履」。これを編んでいる人や履いている人が多いのは、しばらくまえからこのブログでもお伝えしています。そうした方は私の実演にも関心が高く、お買い上げの比率も高いように感じます。

「布草履」の認知度が高くなるに連れて、「知人が編んでいる」あるいは「知人が履いている」という方が実に多くなりました。その程度の認識ですと、角館草履も布草履と思い込むようです。足を止めて実演をご覧くだされば違いが分かるのですが、パネルに並んだ草履だけを眺めて、『あぁ布草履ね、○○さんが履いてたわ、今流行ってんのよ』と言いながら通過する方が結構います。

そうした方々ひとりひとりにお声を掛けるわけにも行きませんから、それはそれで仕方のないことと理解しています。ただ出来るものであれば、せっかく角館へ、まして西宮家までお越しなんですから、角館草履を見て欲しいとは思うんですね。
草履を編みながら『あぁ布草履ね』の言葉を聞くと、「よく見てくれればなぁ…」と思うわけです。

実演席のすぐ近くに「トイレ」があります。入り口の戸には「お手洗い」の紙札が貼られてあるのですが、よく訊かれるのが『トイレはありませんか?』。目の前の戸を指差して『ここですよぉ』とお応えすると、あまりの目の前にお客様のほうが照れくさそうにするんですね。
これもまた、「よく見てくれれば…」ですね。

実演席側の出入り口から米蔵へ入ると、蔵内へ上るには赤いジュータンを渡ります。ここは車椅子でも上がれるようにスロープになっていて、車輪が落ちないよう僅かの立ち上がりがついています。
この立ち上がりにつまづく方がときどきいるのですが、子どもやお年寄りに多いかというとそうではなくて、おしゃべりに夢中になって歩いているおばさまなんですね。旅の有頂天は分かりますが、足元も「よく見てくれれば…」と思う瞬間です。

草履を編みながらでもおしゃべりが出来る、これが私の信条のひとつです。ただし草履の部分によって、目が話せない箇所がいくつかあります。ちょうどそこへ差し掛かったとき、少し遠めで見ていたおばさまが『あっ、そうかぁ、イ草に巻いてるんだぁ』。
編んでいる草履から目を離さないまま、『そうなんですよ、このイ草が体重をしっかり支えるんですね』とお応えしました。するとおばさま、『あらやだっ、私も大丈夫!?はっはっはっ』。その言葉で顔を上げると、そこには少々メタボなおばさまがお立ちでした。

一番よく見なければならないのは、どうやら草履職人のようですなぁ。

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人はひとりでは…。

2008年04月28日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
深緑基調の唐辛子ブリントをベースに、合わせは同系の深緑です。ベース生地は五足分しかありませんでしたから、うちの四足をこの配色で編みました。それが編み終わるとことごとく予約が入り、結局「今日の草履」でご紹介する今日現在、すでにひとつもありません。
「緑好き」、おそるべしですなぁ。

ゴールデンウィーク三日目の角館、天候の不安定に加え気温が低いです。今日も実演席前のストーブはフル稼働、散策のお客様も『あぁ~、火が恋しい…』。
それでも依然として桜目当てのお客様が後を絶ちません。『調べてくれば良かったぁ』とおっしゃる方や、『去年で的を絞ったのよねぇ』なんていうお客様もいます。確かにその選択は間違っていませんよ、ちょうど一年前のブログでは「いよいよ見頃…」とありますからねぇ。

朝一番にお越しは、東京からひとり旅を愉しんでおられるおばさま。ウォーキングがご趣味で、新幹線で青森まで行き、そのあとは気ままに電車とウォーキングで南下していらしたとのこと。いかにもお元気そうなおばさま、『私の分と、そうねぇ、息子の分も買ってあげようかしらっ』と二足お買い上げです。

最近まで建築関係の仕事をされていたおばさまは、思うところがあって廃業を決意したんだそうです。その「思うところ…」というのは、二年前に56歳で先立たれたご主人とおっしゃいます。ご主人を亡くしたショックに負けまいと働きながらも、やがて『そろそろいいかな』と思い始めたとのこと。
今では『楽しく生きなきゃと思ってねっ』と心が晴れ、好きなウォーキングで行きたいところへ出かけているんだそうです。

おばさまをここまで元気にさせた理由までは分かりませんが、おそらくそういう気持ちにさせる手伝いをした「人」がいるような気がします。息子さんがお父上の他界を機に実家へ戻られた話を聞くと、そのひとりは息子さんなのかも知れません。
いずれにしても、人はひとりでは生きられないのでしょう。

京都市からお越しのおばさまふたり旅、『角館が小京都っていうから来たくてねぇ』。桜は遅かったですが、それなりには楽しんでいただけたようです。それぞれに草履もお買い上げくださり、『エエもんに出逢って良かったわぁ』。

ふたつの分身(似顔絵)を見つけたひとりのおばさま、『まぁ、よお描けてるぅ』。簡単にこの似顔絵をご説明し、『私の宝物なんですよっ』と言うと、『うん、エエ話やっ、人はひとりでは生きられんからなぁ』。
お帰り際のお言葉は『お励みなさいなっ!』、しかと心に刻みました。

埼玉県さいたま市からお越しのお若いご夫婦。昨日一度お見えになり、『ホームページを見て来ましたぁ』。角館を旅するに当たってネットで調べたところ、私のホームページと巡り会ったそうです。『明日帰る前にまた寄りますぅ』とおっしゃり、今日の夕方再度お越しくださいました。
ご夫婦共にお気に入りを見つけてくださったほかに、それぞれのご両親へプレゼント用をオーダーくださいました。
ご主人のご両親は間もなく結婚記念日を迎えられるとのこと、息子さん夫婦からの結婚記念日プレゼント、さぞお喜びになることでしょう。

こちらのお若いご夫婦は、一見して優しい人柄が分かりました。推測ですが、今を生きる自分たちが誰のおかげで成長したのかを理解しているんでしょう。親への感謝はもちろん、ご夫婦お互いがそれぞれに感謝している気がします。
お帰り際の堅い握手で、私も少し見習いたいと思いましたよ。またきっと遊びに来てくださいねっ!

連日多くのお客様とのおしゃべりが続いています。少々の疲れは否めませんが、桜はなくとも充実感のあるゴールデンウィークです。

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お土産の日。

2008年04月26日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黒地の桜プリントをベースに、合わせはエンジです。黒に白い桜花が印象的なベースは、「夜桜」とはまた違う「舞い散る花びら」を連想させます。
この生地は布製品のスペシャリストからご提供されたもので、一足分しかありませんでした。世界にたった一足のこちら、見事な美しさに仕上がったと思います。

いよいよゴールデンウィーク突入です。朝から晴れ上がった角館には、道のあちこちに観光を目的とされた散策のお客様が目立ちました。
桜のない角館、なにかひとつでも「楽しさ」を見つけて欲しいと願いながら、今日の実演がはじまりました。

四国徳島からお越しの女性四人旅。実演をご覧いただきながら角館草履のご説明が進むと、みるみるうちに関心が高まって行くのが分かりました。それぞれにご自分用やご主人用をお買い上げです。
『もう二度と来られないかも知れないしねぇ…』。確かに四国は少々遠いですが、今日は桜も観られなかったことですし、『またいつか来てくださいよっ』と再会を願いお別れしました。

午後になってこちらの四人の女性が再度訪れました。『やっぱりお土産はこれにしようと思って…』と、次から次へと展示品をお買い上げです。ひとつのグループでは今期最多のお買い上げとなりました。「再会」は思ったよりずっと早かったです。
それにしてもみなさん、やはりお土産は必要なんですねぇ。

東京からお越しのおばさま。外のベンチでブログに載せる草履の写真を撮っていると、『あっ、これこれ、男性用の草履ってありますぅ?』。いきなりのご指定でしたから、『どなたかが私の草履を履いてくださってるんですか?』とお訊ねすると、『いえいえ、そうじゃないんですけど、主人がこういう草履を欲しいって言ってたもので…』。
奥様から留守番しているご主人へのお土産、それもご本人が欲しいと言っていた上履き草履です。喜んでくださるとイイですねっ!

三重県松阪市からお越しのご夫婦旅。草履を見つけて間もなく、『お土産はこれに決めちゃえよ、するとあとが楽だから…』。ご夫婦でこんな会話をされたあと、息子さんご夫婦と思しき夫婦セットでお買い上げです。
その後草履の詳しい説明やいろんなおしゃべりをしていると、『なんか自分のも欲しくなったなぁ』。結局ご家族分のまとめ買いと相成りました。

こちらのご主人がふたつの分身(似顔絵)を見つけると、『いやぁ~、この画はスゴいねぇ。ただ似てるって言うんじゃないよ、雰囲気からすべてが同じ、この画にはあなたがいるよ』。
似顔絵を褒めていただくのは日常にあるのですが、こちらのご主人ほど深く感想を述べてくださる方は珍しいと思います。
世界にひとつの「今日の草履」をお持ち帰りは、こちらのご夫婦でした。

草履が入っているOPP袋には、連絡先等を印刷したカラーの「帯」が入れてあります。これまで使用していた帯の在庫がなくなり次第、新たに作ったものに変えるのですが、新しい帯にはトップページからブログへリンクする「似顔絵」が印刷されています。

新しい帯への切り替えは間もなく、前述のお父さんのお言葉をお借りするとすれば、これからは“草履職人”もお土産にお持ち帰りくださいませ。『それは要らない』と言われても、もう出来てしまいましたからーっ。

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皮肉な一日。

2008年04月25日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
赤の唐草をベースに、黒地の小花プリントを合わせた配色Ⅱパターンです。赤と黒とのコントラストはバッチリですし、雰囲気も可愛く仕上がったと思います。黒の小花プリントはこの草履をもって最終となりました。

明け方で雨は上がったのですが、なんとも肌寒い一日となりました。店内が暖まるまで…と言いながら暖房を入れ、結局そのまま閉店まで消せない寒さです。昨年はこの寒さの後に桜が咲きましたから、なんとも皮肉な気候ですなぁ。

桜がほぼ散った今日も、角館を目指す方々はあとを絶ちません。むしろこの二、三日よりご来店が多いくらいです。そんなお客様の声は、『こんなに早く散っちゃうなんてねぇ…』。予想に難くないこの言葉、今日はいったい何人から聞かされたでしょう。
人知の及ぶところでないとは言え、昨年の4月25日のブログでは枝垂桜で三分から五分咲きとあります。まずそれがフツーですから、お客様の悔しさは理解できるところですねぇ。

盛岡市にお住まいのおばさまが、広島県から遊びに見えたふたりのご親戚を連れ立って角館へお越しくださいました。三人とも草履をことのほか気に入ってくださり、それぞれお土産を含めて複数お買い上げです。
桜のない悔しさは重々承知しておりますが、縁あって出逢ったはずの角館草履で癒してくださいませ。盛岡市のおばさまは堅い握手をしてお帰りになりました。

東京からお越しのおばさまふたり旅。やはり、『こんなに早く咲くなんて思わないものぉ』。まったくもってその通り、私たちでさえ思ってませんからねぇ。
しばらく実演をご覧のあと、おふたりともお気に入りを見つけてくださいました。『ほんとにあなたが考案したのね?東京では売ってないのよね?』、桜に裏切られたことで、角館に対して少々疑心暗鬼になっているのでしょう。『その通り、間違いありませんっ』とお応えすると、安心してお帰りになりました。

千葉県市川市からお越しのおばさまふたり旅。こちらも桜がないことに怒り心頭でした。怒ったってどうしようもないことくらい、おばさまたちも承知しています。ただ地元の誰かに訴えたいだけですから、そういう仕事も草履職人はお引き受けします。
『桜がなくったって角館は楽しい土地なんですから、JRのお得切符が出るときにまっすぐ遊びにいらっしゃいよ。そのとき旨い店も教えますからっ』と言うと、『あらっ、そんな切符があるの!?イイこと聞いちゃったわねぇ』。最後は笑顔で西宮家をあとにしました。

夕方近くになると人影が少なくなる角館、それは西宮家においても同じです。すると案外お客様のほうはゆっくりして行かれますね。夕方になってお見えの方は、ほとんどが角館に宿泊するわけです。
『晩ごはんにお勧めのお店ある?』、この言葉も午後四時以降に集中します。なにを食べたいかを訊いたうえでお店をお教えするのですが、よくあるのが翌朝のごあいさつ。『旨かったよ』を言うためわざわざ私を訪ねてくれるんですね。

角館が決して桜と武家屋敷だけでないことを、少なくともその方々は知ってくれたはずです。桜がなかったとしたら、そこは楽しみをほかに転じてくださることを草履職人は願うわけです。
今日は皮肉にも、桜まつり期間で最高の売上になりました。桜のない悔しさを草履のお求めで半減されたとしたら、素直にこの売上を喜びたいところです。

おっ、そうそう、今日の実演ベンチに楽しい“お客様”がお座りになりましたよ。人間以外ではじめて座ったお客様とは…。画像は掲示板へ。

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桜だけじゃありません。

2008年04月24日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
エンジの無地をベースに、合わせは紺の唐草です。無地をベースに合わせが柄という配色をときどき編んでいますが、この草履が出来上がって何かに似ていると思いました。「赤鬼」、見えませんか?

これまでの初夏の陽気から一転、今日は久しぶりの雨で肌寒く感じました。散策のお客様には少し気の毒でしたが、正直なところ異常な暑さから開放された気分です。
明日はまた好天のようですが、桜は今日の雨でほぼ終わったでしょう。これからはお客様の「恨み節」が少々心配です。

毎朝生島ヒロシさんのラジオを聴きながら作業がはじまります。この番組のラストは「宝くじプレゼント」、応募葉書の中から毎朝一枚を選び、生島さん自らが電話をかけます。応募者が毎日変る合言葉を言い当てると、一等前後賞三億円が当たる宝くじ50枚がプレゼントされるという趣向なんですね。
電話に出た応募者の反応が面白いんです。葉書が選ばれたことに加え生島さん自らが電話するわけですから、そりゃあもう舞い上がってますよ。生島さんもよく言ってますが、みなさんすでに三億円当たったかのような喜びようです。
朝に楽しいことや嬉しいことがあると、なんかその日一日楽しく過ごせる気がしますよね。

朝一番開店前のおばさまグループは、札幌市からお越しです。明るく賑やかなおばさまたちは、朝からハイテンションを繰り広げました。
ひとりのおばさまが草履を気に入ってくださり、ご自身用をお買い上げくださいました。するとひとりのお仲間が、『○○ちゃん(ご主人のお名前)の分はイイの?』。お買い上げのおばさまは、『そうねぇ…』と言いながらご主人用を選び始めました。
そのとたん6人ほどのお仲間すべてが、『○○ちゃんにそれは似合わないわよぉ』『○○ちゃんはこういうのがイイんじゃない!?』『ダメダメ、これがイイわよっ』。
当の奥様はお仲間に「決められて」しまいました。

賑やかにいっときを過ごしたおばさまたち、お帰りには『あぁ、朝から楽しいっ!』。
こうして草履ひとつ選ぶのも旅は楽しいんですね。桜がほぼ終わりかけた角館で、おばさまたちに「楽しさ」をひとつご提供できたようです。私も朝から『楽しいっ!』で一日がはじまりました。

昨日今日と、この時期こそのご訪問が続いています。東京の仕入部長がおともだちふたりと共にご訪問くださいました。私が「23日満開」をお伝えしたことでこの日をお選びでしたから、最後の満開を観ていただけたことで一安心です。今日は弘前へ向かうとのこと、弘前でも素晴らしい想い出を作ってくださいねっ!

今日お越しは三年連続で実演を訪ねてくださった男性。桜は終わりかけていますが、『角館は桜だけじゃないですからっ』とおっしゃってくださいました。そう感じていただけるお客様をひとりでも増やすことに、今の私は使命感を感じています。また来年も来られたらイイですねっ!

角館ご出身で長く東京に暮らす男性が、昨年に引き続きお越しくださいました。昨年のおしゃべりを私は忘れていたんですが、男性によると奥様へのお土産に草履を買おうか迷っていたら、私が『来年奥さんも連れて来て、本人に選んでもらったらイイんシべっ』と言ったそうです。今年は私の言葉通り、奥様と共にお越しくださいました。
男性が奥様へ、『どうだぁ、こういう草履好きか?』。奥様はたった一言、『もちろんっ!』。今日編んだばかりの緑の草履をお選びになり、笑顔で東京へとお帰りになりました。

さぁて、明日から「桜ナシ」の角館になります。そしてあさってはいよいよゴールデンウィーク突入、前述の男性の言葉『角館は桜だけじゃないですからっ』。
私たちの真の勝負はこれからと思っています。

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草履職人100人達成!

2008年04月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ24cm土踏まず付き〔4000円〕
薄い緑基調の唐辛子ブリントをベースに、合わせは深緑の無地です。こちらも緑がお好きな方にうってつけでしょう、お洒落な配色と思います。

相変わらず今日も暑い角館となりました、最高気温は22~23℃くらいでしょうか。満開の桜を眺めながら、汗を拭き拭きの散策もイイかも知れませんね。
この満開も、おそらく明日から散り始める桜が出るでしょう。外町(町人街)の早い桜はすでに散っていますが、檜木内川堤のソメイヨシノはもう少し楽しめそうです。

大館市からお越しのお若いカップル、女性のほうが『ここのところ毎日ブログ読んでるんですぅ』。ときに私のホームページやこのブログを口に出される方がお越しになります。ちょっと照れくさいのですが、なんとも嬉しいものです。
試し履きをされた女性に、『ブログに書いてることはウソじゃないでしょ』と言うと、『あっ、あぁ~、草履のほうはあんまり読んでなくて、角館の桜の状況が知りたかったものでぇ…』。草履職人、ガクっ…。
それでも実際の草履を見て気に入ってくれた女性、ご自身用をお買い上げくださいました。また遊びに来てくださいねっ!

秋田市からひとりで桜見物のおばさま、ふらっと入って見えて、草履を見つけるなり明らかにお顔が変りました。これまでも何度かこうしたケースがあったんですが、だいたいの場合面白いエピソードが生まれます。こちらのおばさまが言った言葉は…。

『いやぁ、驚いたぁ。昨日の夢にワラジが出てきたのよ、片方が雪駄で片方が大きなワラジ。なんでこんな夢を見たのか分からなかったんだけど、そっか、これだったんだわっ』。
「ワラジ」が出てくる夢占いの真相は定かでありませんが、この夢の縁でプレゼント用をお買い上げくださいました。このブログを書き終わったら夢占いを調べてみましょうか。

湯沢市からお越しの母娘ペアさん、おばあちゃんと呼ばれる年代のお母さんが、『来たい来たいって言ってて、一年越しになってしまったぁ』。
ちょうど一年前の4月24日、夕方ふらり西宮家に入って私と出逢ったそうです。そこで少しの時間実演をご覧になって、『今度は時間とって来るがら、ゆっくり観せでけれんシな~』と言ってお帰りとのこと。その後おひとりでは出かけて来られないおばあちゃんが、娘さんに頼んで連れてきてもらったのが今日、まさに一年越しの想いが達成されたわけですね。

30分ほど実演をご覧のうえ、草履台と見本の草履をお買い上げです。とりあえず布だけで編む布草履に挑戦した後、あらためてイ草材料をお求めに見えるとのこと。それもひとつの方法と思います。
湯沢市からは車で一時間と少し、おひとりで来られないのが少々気になりますが、出来るだけ足を運んでくださると嬉しいです。こちらのおばあちゃんで通算99人目の草履職人誕生です。

99人目が生まれたことで、自動的に100人達成になりました。わが家の愛犬フクを見つけてくださった犬博士さんから、『100人目で必ず買いに来るがらなっ!』とのお約束があったためです。
去年の5月4日のブログで60人目をお伝えし、♪ともだち100人できるっかなっ♪なんて言ってましたが、とうとうその日が来たんですねぇ。

2005年10月の発売以来二年半での100人到達、この先20年も頑張れば1000人ですかっ。私の草履職人生活、これを目標に65歳まではやめられませんなっ。
♪ともだち1000人できるっかなっ♪


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名コンビ。

2008年04月21日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
紫基調のうさちゃんプリントをベースに、合わせは赤茶基調の花柄プリントです。合わせのプリントが大柄で目立たないせいか、お互いの個性を邪魔しない配色と思います。案外こうした配色が“名コンビ”なのかも知れませんね。

満開二日目の今日、またしても暑い角館です。散策のお客様も『いやぁ、暑いねぇ』、中には半そでシャツの男性もいました。
満開に雨が一番イヤですが、こう暑いと桜の寿命も果かなく終わりそうです。ご訪問を計画されていて比較的自由に変更可能な方は、ここ一両日中がよろしいかと思います。

今日もいろいろな出逢いがあった実演席でしたが、私が一番笑わせていただいたお客様をご紹介します。おひとりは杖を片手の米寿88歳、もうおひとりは付き添いのようにいつも一緒という、間もなく80歳になる共に町内にお住まいのおばあちゃんお二方です。おふたりとも別々のキャラクターをお持ちで、これぞ“名コンビ”とうならせる「掛け合い漫才」をご披露くださいました。

まずお若いほうのおばあちゃんが実演席の前に来ました。すーっと眺めただけでそのまま米蔵に入って行きます。続いて米寿のおばあちゃんが、杖を片手に入って見えました。こちらのおばあちゃんは草履に関心が高く、『どれどれ、まんず見せでもらおがなっ』とベンチに腰を下ろします。ご自身も布草履にチャレンジした経験がおありで、『ははぁ、この台があればイイわげがぁ』。これまで98人がお買い上げになったことをお教えすると、『オレも欲しいどもよぉ、今日は財布すっからかんになっちまったでぇ』。

しばらくおしゃべりした後、ふと先に入った相方さんを思い出し、『まんずよぉ、あの人だば自分が興味ねぇもんだば、スタスタど行ってしまうものなぁ』。そう言いながら後を追うように米蔵に入って行きました。
しばらくして今度は、お若いおばあちゃんが実演席に戻って見えました。『まんずよぉ、あの人だばなにサでも興味あってなぁ。いっつもこうダ、付ぎ合ってだばいられねものよぉ。んだどもあーだがら頭はシッカリしてるものなぁ』。
それぞれの言葉が可笑しくて、私ひとり笑っていました。やがてお二方がめでたく合流し、実演ベンチに座ります。

米寿のおばあちゃん・・・A  お若いおばあちゃん・・・B

A:『おめぇだばこんた草履サ興味ねぇべ!?』
B:『そんたごどねぇども、どうせ作れるわげねぇがらなぁ』
A:『これこれっ、この台どご売ってらどよぉ』
B:『ほぅ、買って行って作ればイイねがっ』
A:『はははっ、欲しいどごヤマヤマだども、じぇんこ使ってしまったぁ』
B:『ナニ言ってらおごっ、今日食ったものみんなオレ払ったべよぉ』
A:『んだんだ、今日は昼がらビールも飲んだおなぁ』
B:『それも払ったのオレだぁ』
A:『さぁて、隣りでナニが食って行ぐがっ』
B:『最後ぐれぇ、おめぇ払えやぁ』

そう言いながらベンチを立ち、Aおばあちゃんがミニ草履を見つけると…

A:『おんやぁめんこいごどっ、これなんぼするもんだぁ?』
B:『まま代ねぇくせに、草履買うじぇんこだばあるもんだおご!?』

Aおばあちゃんは高らかに笑いながら、草履は買わずレストランへと向かいました。
米寿のおばあちゃんは常日頃から「ボケ役」に徹することで、本当のボケとは縁がないんでしょうなっ。

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満開で~す!

2008年04月20日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黄色基調の桜プリントをベースに、合わせは夜桜です。とにかく「桜」を使いたくなる今の角館ですね。

いよいよ満開を迎えました。天気もバッチリ気温も上々、今日から三日間くらいの散策はサイコーでしょう。
今朝早く街に出かけてみました。画像は掲示板へ。

今日は買い替えのお客様が何人もお越しくださいました。昨年あたりからこの時期の買い替え需要が最も多く、桜見物のついでのお立ち寄りなんですね。中には桜よりも先に…なんておっしゃるお客様もお見えになりました。

山形県酒田市からお越しのご夫婦、二年前の桜見物ではじめてお逢いしたそうです。ご主人がとても気に入ってくださっていて、『いやぁ、この二年ほとんど毎日履いたと思うよっ』。
二年前の冬は今ほど在庫が作れませんでしたから、『そのときは在庫がなくてね、送ってもらったんだよ。今日は桜を観る前に草履を注文しようと思って来たんだけど、今年はずいぶん並んでるんだねぇ』。
一昨年以前の実演席を知っている方は、ほとんどがこうした反応を見せてくれます。

秋田市からお越しの奥様、『買ってからちょうど一年になるんですけど、いっぱい並んでるのを見るとまた欲しくなっちゃいますよねぇ』。
まだ履ける状態での買い替えはなんか恐縮なんですが、それだけ展示が多いというのは魅力なんですね。こちらとしてもありがたく買い替えていただきました。

こちらも秋田市からお越しのおばさまふたり桜見物。草履を見つけるなり、『あららららー、いやねぇ、また見つけちゃったわよぉ!』。
この言葉の真意は、『も~ぅ、なにも買わないって決めて来たのにぃ、草履まで買っちゃったら電車代残るぅ!?』という意味なんですね。
西宮家に到着するまでずいぶん買い物をしてしまったんでしょう。でもそう言うお客様に限ってお顔は笑顔だらけなんですよね。

さぁて、満開もこの先二、三日くらいでしょう。今日からは平日ですが、ぜひとも角館の桜たちをご覧いただきたいと思います。

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息子思う母の愛。

2008年04月19日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ24cm土踏まず付き〔4000円〕
赤茶基調のふくろうプリントをベースに、合わせは紫基調のうさちゃんプリントです。こちらも賑やかながらお洒落な草履に仕上がりました。

角館の桜まつり初日を終えました。天気予報でだいたい分かってはいましたが、風が強く寒い一日です。散策のお客様も『寒い、寒い』の連発で、見ごろを迎えた桜たちも吹く風に耐えているかに見えましたね。
そんな寒さも今日一日、明日から好天の20℃になります。まさに散策日和じゃないでしょうか。

4月11日のブログでご紹介した、『草履台どごひとつ寄せでおいでけれ~』のおばあちゃんが、本日お引取りに見えました。見本の草履もお買い上げくださり、『多分分がらねぐなるべぇがら、まだ来る~』。近いんですから、何度でもお越しくださいね。こちらのおばあちゃんで、通算98人目の草履職人誕生です。

東京都杉並区からお越しのご夫婦、共に草履を気に入ってくださいました。ご主人用は展示品にお気に入りがあったのですが、奥様用はお好きな配色にサイズがありません。『じゃあ、送ってもらおうかなっ』ということでオーダーとなりました。
ふと思いついた奥様、『○○(息子さんのお名前)は何センチの靴履くんだっけ?』。どうせ分からないご主人は考えようともしません。すかさずケータイを持ち出した奥様、息子さんへ『今ね、角館で草履を買うんだけど、あなた靴何センチ履くの?』。電話口で角館草履を説明するお母さん、『スリッパじゃないのよ、高いんだからねっ』。

「高い」と思いながらも息子さんの分もきちんと用意する、まさに「母の愛」じゃないですかね。
実はお母さんが息子さんの草履をお買い上げになるケースは珍しくないんです。お父さんが息子さんへというのはほとんど記憶にないのですが、やはり母はいくつになっても息子が可愛いのでしょう。

昨日札幌市からお越しのおばあちゃんとお嫁さん二人旅。お嫁さんと言っても50歳代ですから、おばあちゃんは80歳に近いとお見受けしました。嫁姑の二人旅というのも稀にあります。傍に見ててもなんとなく微笑ましい感じですね。
こちらのおばあちゃんが一番にお買い上げは、やはり息子さん用の草履でした。そしてお嫁さんがご自身用をお選びになり、最後におばあちゃん用です。いくつか候補に挙げたうえでお選びになった配色は、『これがやっぱりイイねぇ、○○(息子さんのお名前)とお揃いみたいだものっ』。
隣りで聞いていたお嫁さんの苦笑いが印象的でしたねぇ。

このあいだのヤフートピックスに、東京大学の入学式の模様が書かれていました。新入生3200人に対して、保護者家族の人数が6000人を超えた入学式。おもわず学長が式辞で、予定にあったかなかったか「子離れ・親離れ」を話したそうです。
まぁ学長さんの式辞内容にどうこうじゃないんですが、私だったらやっぱり出席したいですね。だって「東京大学」ですよ、子どもが可愛いとかの問題じゃないでしょ。

草履を買ってあげるのも子どもが可愛いから…じゃなくて、履かせたいと思う草履だったってことですよ、エッヘン!
あらら、東京大学と角館草履を比較してしまいました、スイません…。

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