角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

親日家との出会い。

2013年10月31日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き[五阡四百円]
レンガ色のベースとエンジのいらかプリントが、同系色で上手くまとまったと思います。少し大きめの27cmにしましたので、体の大きな若者にいかがでしょう。と思った矢先、お買い上げくださったのは秋田市からお越しの男性。二十代後半と思しきその男性は、身長も体重も立派な若者です。たったひとつしかなかった27cm草履は、見事適任者と巡り会えました。

毎年この時季になると、台湾や香港のお客様が増えだします。ショッピングが目的なら東京や大阪でしょうから、角館を訪れる人々はより「親日家」と言って良いのかもしれません。
三日前の夕方、台湾から60歳ほどのご夫婦二組がお越しでした。四人共片言以上の日本語を話されましたから、おそらくこの旅行以外にも日本とのご縁があるのでしょう。

おひとりの男性が草履を気に入ってくださり、『ワタシノサイズアリマスカ?』。26cmの試し履き草履に足を入れてもらうと、25cmがベストサイズでした。そのとき男性用サイズの在庫は、25cmと26cmが一つずつ。すると男性は、『カイニコラレナイカラ、フタツトモクダサイ』。
お住まいが外国では、発送も容易ではありません。サイズ違いをあえて販売したのは、この日が初めてでしたね。

しばらく前のこと、香港からひとり旅を愉しんでおられるおばさまがお越しでした。こちらは片言以下の日本語しか話せず、草履実演を関心高くご覧のときも、おしゃべりというおしゃべりはほとんどありません。
しばらく経つと、おばさまがバッグからビニール袋を取り出しました。そして中に入っていたものをひとつつまむと、『プラム』と言いながら私に食べろと勧めるんですね。

大海を知らない私は、外国の食べ物にも若干の抵抗があります。ただ、くれるというものを断るにも抵抗があるんですよ。多少大袈裟ですが、意を決して口に入れてみました。梅を甘く味付けして乾燥させた、日本の干しブドウに近い味です。好物ではないもののお礼を兼ねて『オイシイ』と言うと、『ドーゾ、ドーゾ』とさらに勧められました。日本人の社交辞令は、ときに悲劇を生むわけですね。

親日家との出会いは、この先まだまだ続くでしょう。
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月末から種苗交換会。

2013年10月26日 | 地域の話




今日の草履は、秋田県由利本荘市にお住いのおばさまからの、お電話によるオーダー草履です。
角館草履発売当時からの常連さんであるおばさまのご注文は、いつも決まってお電話。その内容も、『いつものようにお任せしますから、また二足送ってくださ~い』。一足を明るいオレンジ基調のこちらにしてみました。気に入ってくださることを願いながら、明日の便で出発です。

十月も下旬へと暦が進み、肌寒さも日の落ちる速さも晩秋を感じさせます。散策のお客様も、『やっぱりこちらは寒いんですねぇ』。真冬の寒さとは比較にならないものの、この時季の肌寒さは地元民も体にしみますよ。
長期予報で冬将軍到来の早さを知ったせいか、雪囲い作業をあちこちで見掛けるようになっています。

しばらく前からブログで触れていました通り、「第136回秋田県種苗交換会」が10月31日(木)~11月6日(水)の一週間、仙北市田沢湖町地区にて開催されます。角館から車で30分~40分ほどの距離です。
「種苗交換会」と言われても県外の方々には馴染みのない催しと思いますが、農業県秋田で最大の「農家のお祭り」なんですね。その歴史や概要については、物知りウィキさんのこちらをご覧ください。



全戸配布された資料によると、開催地が能代市だった昨年度の来場者は83万1000人、横手市だった一昨年度は108万2000人が訪れています。会期中の天候によって60万人台の年もあったようですが、県人口が105万人と思えば、そのイベントの尋常ではない大きさが推し量れますね。
その来場者の中で「ついでに角館にも寄ってみるか」とお考えになる人が、少しはいるのではないかと期待しているところです。

角館でお客様を待つばかりでなく、種苗交換会にはわれわれ角館あきんど塾も出店します。業種としては、くだもの店・種苗店・似顔絵師。そしてあきんど塾おやつ店コーナーには、たこ焼き・焼き団子・味噌ホルモン・コーヒーなどをご用意しております。仲間たちの活躍に期待しながら、私はいつもの西宮家で草履を編むことにいたしました。

この期間、角館と共に種苗交換会角館あきんど塾コーナーにもお立ち寄りくださいませ。
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それぞれの思い。

2013年10月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き[五阡円]
黄色のベースはやや季節外れの花火プリントです。色調として明るい黄色に紺を組み合せると、若々しいイメージになりますね。あえて中高年の男性にお勧めしたい一品です。

DC真っただ中、そして秋真っ盛りの週末が終わりました。昨日の秋晴れとはうって変わり、今日の角館は冷たい雨の一日です。それでも午前から間断なくお客様がお越しになりました。実演席の丸太椅子も時間を置かずお客様がお座りになり、それぞれ思い思いに草履実演をお楽しみです。

お買い上げのお客様も思いは様々で、『二年履いたんで新しいのを買いに来ました~』『前から気になっていたんだけど、今日は思い切って買って行こっ』『さっき見て行ったんですけど、やっぱり注文して行きますぅ』『駅降りて、最初の店で草履を買うとは思わなかったよ』。
角館草履とのご縁を、それぞれ思い思いに語ってくださいました。

明日と明後日の二日間お休みをいただき、カミさんと次女を迎えに仙台へ行ってきます。看護学校の最終学年に学ぶ次女は、看護実習も終盤に差し掛かっていました。これまでの経験で知ったのが、実習が佳境に入ると「食事の支度も洗濯もする気が失せる」ということなんですね。そこでカミさんへ再度のSOSがあったわけです。出発したのは三週間前のことでした。

カミさんが仙台で次女の生活応援をしている間、わが家の「主婦」は長女が務めてくれました。三人分の弁当を含めた三度の食事と洗濯、掃除は三女がときどきしていたようですが、長女はよくやってくれましたよ。私の受け持ちは愛犬フクのトイレくらいのものです。日常の生活において、21歳になる娘にオヤジが指図することなんてひとつもなくなりましたね。

カミさん不在の三週間、それぞれ思い思いに何かを感じたことでしょう。仙台はとんぼ返り、明日の晩は少し久しぶりに五人が揃います。おっと、愛犬フクを忘れてはいけませんね。五人と一匹でありました。
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道を教えるのもおもてなし。

2013年10月18日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
色合いは可愛らしいのですが、よく見ると金色が含まれていてゴージャスです。大奥の中でも、ちょっと力のあるお局様の雰囲気でしょうか。お若い女性よりは、人生経験の豊かな中高年のおばさまにお似合いと思います。

朝一番におばさま二人連れがお訪ねくださいました。秋田市からお越しというおばさまは、『二年くらい前に偶然ここで草履を買ったんですよ。そろそろ新しいのを欲しいと思ったんだけど、どこの店だったのか全然分からなくて…』。
近くの洋品店さんに駆け込んだところ、西宮家を教えられたというわけでした。

実はこうしたケースがたまにあります。誰かに連れて来られた場合、その足取りがほとんど記憶に残りませんからね。
それとは別に、「西宮家」は分かっていても、そこまでのルートが判然としないケースもあります。町の人に訊いてもらえば西宮家を知らない人のほうが少ないのですが、車を運転していてさらに雨が降っていたりすると、しばらくは自力で探すことも多いようです。

今朝の新聞に、「新秋田県立美術館」の場所がとても分かりづらいと、特に県外のマイカー組に不評との記事がありました。ときはDC(デスティネーションキャンペーン)の真っただ中で、県外からのお客様を誘致すべく全県が取り組んでいます。そんなときのこの不評は、美術館職員にとって頭の痛い課題なんですね。やって良いなら勝手に案内板を作りたいくらいの気持ちのようですよ。

角館でも、観光客に優しい案内板設置の話を聞いたことがあります。かなり進んでいると私は思っているのですが、すべての人がすぐに分かる案内板というのは、まず無理でしょうね。徒歩の方はガイドブック片手にスタスタ歩いていますから、やはり問題は車です。一方通行の多い角館では、悩む前にまず町民へ訊くことをお勧めしたいものです。十中八九、優しく教えてくれるでしょう。それも「おもてなし」の一つですから。

西宮家米蔵が面する道路は一方通行。逆走する車を見かけるのは、日常茶飯事であります(^_^;)

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九年目に入りました。

2013年10月17日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ26cm土踏まず付き[五阡二百円]
こちらも秋色をイメージしてみました。ベースのレンガ色と紺の組み合わせは、相性がいいと思います。老若どちらにもお勧めできる一品でしょう。

十月も半ばに入り、気温の低さがはっきり分かるようになってきました。特に昨日と今日は日中も寒く、最高気温で13℃ほどしかありません。明日の朝はまためっきり冷え込むそうで、予想は5℃と出ています。霜が降りるかも知れませんね。この先一か月を待たず初雪が降るでしょうし、二か月を待たず積雪となるでしょう。心身共に冬を迎える準備が急がれます。

十月は初めて人様の前で草履を編んだ月で、丸八年が経ち、九年目に入りました。その当時を知る方々から、『何年になる?』とよく訊かれます。最初の頃は私自身疑心暗鬼な部分がありましたから、おそらく周囲も不安な目で見ていたでしょう。40歳を過ぎて三人の子持ちですから、無理もないことですよ。

トップページ「角館草履の沿革」にある「累計販売足数」を更新しました。実はしばらく集計を忘れていたのですが、今年八月に九千足に達していました。四年目くらいから年間一千二百足前後をキープし、今後大きな落ち込みがなければ、来年の六月くらいで一万足に到達できそうです。
「塵も積もれば…」じゃないですが、一日4足、月100足のペースをしっかり続けていくことだけですね。

先日東京からお越しのおばさま四人グループが、それぞれご自分用をお買い上げくださいました。ひとりのおばさまに『一日何足編むの?』と訊かれ、『4足が限度ですね』と答えると、『あらっ、じゃあ今日はこれで店じまいじゃない!?』。みんなで大笑いしました。
4足売れてお終いではなく、4足編んでその日の仕事が無事終了となります。
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待っていたお客様。

2013年10月16日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き[五阡円]
色調はシブ目ながら、茶の唐草と組み合わせたことでお洒落な中高年男性向けに仕上がったと思います。ベースはふくろうプリント、「不苦労」がゲン担ぎにもよろしいんじゃないでしょうか。平生地はこちらです。



台風の影響が心配された今日でしたが、なにほどの被害もなく昼過ぎには落ち着きました。それでも朝のうちは横殴りの雨で、今年初めて雨合羽姿での出勤です。
西宮家へ到着すると、お客様らしいご夫婦が私をお待ちでした。神奈川県厚木市のご夫婦はかねてからのご愛用者で、『またこっちへ旅行したもんだから、草履だけは買って行こうと思いましてね』とご主人。朝一番にお客様から迎えられるというのは、そうそうあるもんじゃないですよ。

ご夫婦共に少ない在庫からお選びくださった、ご主人の選択が「今日の草履」です。選択と言っても25cm草履は、昨日編んだばかりのこちらひとつだけでした。それでも配色を気に入っていただけたのが幸いです。東北新幹線の運転再開に合わせ、今日の午後にはご帰宅とのこと。早速新しい草履を履いて欲しいと思います。

ご主人が別れ際、『また頼むかも知れないので、一応私の名刺を置いて行きますよっ』。ご主人のお仕事は介護福祉施設の理事長さんでありました。わが家の三女がこの夏から、介護士資格を得るため講義に通っています。『近くだったら娘を使っていただきたいところでしたね』と私が笑うと、『厚木は東京にも近いし良いところですよ。なんなら連絡をください』と笑顔のご主人。

田舎の若者たちが一度は憧れる都会。少々チャラチャラが気になる三女には、このことを教えるべきか悩んでいます(^_^;)
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おばあちゃんの草履。

2013年10月14日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
深い黄色は秋を連想させる色のひとつと思います。同系色の辛子色と組み合わせることで、尚一層の「秋色」を表現してみました。
さらにベースには「招き猫」がプリントされています。黄金色に小判ですから、縁起担ぎとしてもベストでしょうか。
平生地はこちらです。



今日の草履をお持ち帰りは、英国在住の邦人女性。20代半ばと思しき女性は、ご主人とお見受けする英国紳士と共に初角館をお愉しみでした。体格の良いご主人も29cm草履をお選びです。
角館草履の健康効果をお話しするうちに、女性の頭に浮かんだのはおばあちゃんの存在なんですね。90歳というおばあちゃんは、足取りがややおぼつかなくなった今も、室内でスリッパを履かれるとのこと。草履の安定性を考えれば、おばあちゃんに履かせてあげたいと思う女性の心理も極自然でしょう。

「旅の空から何センチ?」は、実演席でよくある光景です。おばあちゃんの靴サイズを訊くためお電話した先は、東京のご実家にいるお母さんでした。『おばあちゃんって何センチの靴履いてるか教えてっ』と訊ねる女性に、なぜかお母さんは素直に教えてくれないご様子。どうやら履物は無駄になることを心配しているようです。執拗に訊ねる女性に対して、とうとうお母さんは電話を切ってしまいました。丸八年を迎える実演生活で、私も初めての経験でしたね。

意を決した女性は、『じゃあいいわ。勝手に選んじゃうわよっ』。おばあちゃんの身長を訊き、まずは無難な23cmをお勧めしました。そして選んだ草履は定番配色③赤の唐草にエンジ。おばあちゃんの足元で、きっと可愛らしく活躍してくれることでしょう。

お母さんも意地悪でおばあちゃんの靴サイズを教えなかったのではないと思うんです。やや足が不自由になりかけている高齢者に対して、履物のプレゼントはリスクが高いと感じたのでしょう。仮にお母さんも今日の現場にいたなら、女性と同じように「おばあちゃんにも…」と思っていただけたかも知れませんね。

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角館を離れる功労者。

2013年10月10日 | 地域の話




今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き[五阡四百円]
こちらも届いたばかりの布地を利用しました。緑のベースは赤みを帯びた山々がプリントされています。紅葉が始まったばかりの山間地は、ちょうどこんな感じじゃないでしょうか。落ち着きのあるお洒落な草履に仕上がったと思います。
平生地はこちらです。



今秋の当地の紅葉状況は、まだご報告できるほど進んでいません。いっとき朝晩に冷え込みが感じられたものの、ここしばらくはまた気温が高めに推移しているからなんですね。三か月予報でも10月は気温が高く、紅葉は遅れ気味との予測がされていました。武家屋敷通りが色付くのは、11月に入ってからかも知れません。

今からちょうど6年前、2007年9月23日のブログにひとりの男性を綴っています。その男性Mさんは角館に移り住んでのち、低価格滞在型の宿泊を斡旋するNPO法人を設立し、奥様は角館歴史案内人として活躍されていました。ご夫婦のことはテレビや新聞にたびたび取り上げられましたから、角館ではちょっとした有名人と言えるでしょう。

先日のこと奥様が私を訪ねてくださり、『今日はご挨拶に伺ったんですぅ』。その言葉だけで、お話の中身を察知しました。角館を離れるご挨拶なんですね。Mさんご夫婦の角館暮らしが“期限付き”なのは、6年前から聞いておりました。終の棲家にしたいのはやまやまなれど、息子さんたちお身内にしてみれば、簡単にOKと言えるものではありません。それはMさんの持病にも由来する話だったわけです。

熟慮の末の決断と話す奥様からは、逆にサバサバした印象を受けました。『この六年間、楽しかったですよ~』の言葉に嘘がないと思えるのは、本当に角館を満喫し、堪能し、愉しんだことを私も知っているからです。
角館を離れる日は今月末日とのことでした。今年の武家屋敷通りが秋色に染まる景色は見られないかも知れません。またいつか六年前と同じ旅人として、角館を訪ねてくださるのをお待ちしたいと思います。
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好きなTVもさまざま。

2013年10月08日 | 実演日記




今日の草履は、昨日ご紹介のオーダー草履で、奥様用です。やはりコンセプトは「和柄の競演」、こちらもお洒落に仕上がったと思います。
すでに昨日出発していますから、もうこの時刻は到着しているでしょう。ご夫婦が草履を見ながらどんな会話をされているのか、少々の心配もありながら興味のあるところですね。

盛岡市からお越しのご夫婦プチ旅行。角館をゆっくり散策するのは珍しいそうで、草履実演も関心高くご覧くださいました。そしてご主人用と息子さん用をお買い上げです。ご夫婦でいらしてお買い上げが男性用二つというのは、いささか稀かも知れません。部屋履き草履は一般に、家の中で立っている時間の長い人が重宝と云われます。もっとも今どきは、男性で家事をこなす人がいますからね。世の中さまざまでいいんじゃないでしょうか。

岩手県といえば、放送が終了したばかりの「あまちゃん」が頭に浮かびます。奥様に、『朝ドラを一話も欠かさず見たのははじめてですよ』と言うと、『私たちは一回も見ないで終わっちゃったわ~。毎日の番組って見るの結構タイヘンなのよね。半沢直樹は一週間に一回だから全部見たんだけど…』。

舞台が岩手県だからといって、全県民が見ているわけじゃないんですよね。そんな当たり前のことをあらためて認識しました。好きなTVだって、世の中さまざまだから面白いわけです。
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イケメン草履。

2013年10月07日 | 実演日記




今日の草履は、東京都文京区にお住いのおばさまからの、メールによるオーダー草履です。過去の「今日の草履」からご希望をお知らせいただきましたが、それらはすでに布地のないものばかりでした。そこで現在の布地在庫でご希望を再現したものが、こちらのご主人用になります。次回の「今日の草履」では、奥様用をご紹介しましょう。

このたびのオーダーのコンセプトは「和柄の競演」でした。つい先日日暮里から新たな布地が到着したばかりで、その中の一品を利用しています。私もこうしたタイプの配色は大好きですから、編んでいてもちょっと力が入りました。粋で男らしい、カッコいい草履に仕上がったと思います。言ってみれば「イケメン草履」ですかね。

秋田美人100人キャンペーン等、近頃の秋田県は「秋田美人」を前面に押し出したPRを展開しています。先日のブログにも触れた「あきたこまち」のCMに壇蜜さんを起用したのも、そんな今どきの流れがあったのでしょう。かねてから書いているように、私もこの戦術は肯定派です。ただ自ら「美人」を言いすぎると、もうひとつの美的価値である「奥ゆかしさ」は薄れてしまうのが若干気掛かりではありますか。

当地秋田県北浦地方は、昔から美人の産地として有名でした。対して男子の風貌については、特に褒め言葉を聞きません。地方向けのとある掲示板では、『角館は美人が多いけど、男にイケメンはあまりいない』などと書かれているのを見たこともあります。とりたてて男子にブサイクが多いとは思えませんから、女性の美人が定着したための“とばっちり”でしょうね。

角館草履も女性向けの美しさばかりでなく、男性向けの「イケメン草履」を多数生み出していきたいものです。
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