今日の草履は、彩シリーズ27cm土踏まず付き[五阡四百円]
レンガ色のベースとエンジのいらかプリントが、同系色で上手くまとまったと思います。少し大きめの27cmにしましたので、体の大きな若者にいかがでしょう。と思った矢先、お買い上げくださったのは秋田市からお越しの男性。二十代後半と思しきその男性は、身長も体重も立派な若者です。たったひとつしかなかった27cm草履は、見事適任者と巡り会えました。
毎年この時季になると、台湾や香港のお客様が増えだします。ショッピングが目的なら東京や大阪でしょうから、角館を訪れる人々はより「親日家」と言って良いのかもしれません。
三日前の夕方、台湾から60歳ほどのご夫婦二組がお越しでした。四人共片言以上の日本語を話されましたから、おそらくこの旅行以外にも日本とのご縁があるのでしょう。
おひとりの男性が草履を気に入ってくださり、『ワタシノサイズアリマスカ?』。26cmの試し履き草履に足を入れてもらうと、25cmがベストサイズでした。そのとき男性用サイズの在庫は、25cmと26cmが一つずつ。すると男性は、『カイニコラレナイカラ、フタツトモクダサイ』。
お住まいが外国では、発送も容易ではありません。サイズ違いをあえて販売したのは、この日が初めてでしたね。
しばらく前のこと、香港からひとり旅を愉しんでおられるおばさまがお越しでした。こちらは片言以下の日本語しか話せず、草履実演を関心高くご覧のときも、おしゃべりというおしゃべりはほとんどありません。
しばらく経つと、おばさまがバッグからビニール袋を取り出しました。そして中に入っていたものをひとつつまむと、『プラム』と言いながら私に食べろと勧めるんですね。
大海を知らない私は、外国の食べ物にも若干の抵抗があります。ただ、くれるというものを断るにも抵抗があるんですよ。多少大袈裟ですが、意を決して口に入れてみました。梅を甘く味付けして乾燥させた、日本の干しブドウに近い味です。好物ではないもののお礼を兼ねて『オイシイ』と言うと、『ドーゾ、ドーゾ』とさらに勧められました。日本人の社交辞令は、ときに悲劇を生むわけですね。
親日家との出会いは、この先まだまだ続くでしょう。