角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

裸足の空間。

2008年03月31日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ22cm土踏まず付き〔4000円〕
黒地の小花プリントをベースに、合わせはクリーム地の小花プリントです。黒と白のコントラスト、「可愛い」と「お洒落」を兼ね備えた感じでしょうか。

今日は肌寒い小雨の角館でした。いわゆる寒の戻り、早過ぎる春にちょっとだけブレーキですね。これで桜の開花も1、2日延びるでしょう。
明日もまた肌寒そうです。ここ数日がこんな感じで、その後また一気に二桁気温が続きます。今後の開花予報にご注目ください。

北秋田市にご実家があり、現在は東京で造園業の仕事をされているお若い男性がお越しになりました。草履にとても興味を示してくださり、オリジナル配色でオーダーです。今期実演「初オーダー」はこちらの男性と相成りました。

お届け先がご実家の北秋田市だったため、『しばらくこっちにいるんですか?』とお尋ねすると、『はい、今度は長くなると思います』。
聞いてみると、勤務する東京の造園会社の社長さんという方も同郷で、その社長さんがご自身の夢をふるさとで実現されるんだそうです。男性はその新たな職場に配置されることで、『長くなる…』ということなんですね。そしてその「夢の職場」というのが、“森のテラス”という名の美しい観光施設でした。

男性からパンフレットを一枚いただきました。お帰りになってから草履を編む手をちょっとだけ休めて見てみると、「観光施設」という呼称は適切じゃないのかも知れません。人が現代を生きるためにときに必要となる空間、月並みですが「憩い」とか「癒し」を連想させますね。

男性がおっしゃるこの施設のコンセプトは、「裸足で歩いて欲しい場所」なんだそうです。これまでのブログや「よくあるご質問⑥」にある通り、裸足がいかに人間の自然に即したものかは、私の持論のひとつでもあります。
男性が、『ほんとにみなさんが裸足になってくれるか不安なんですけど…』。私は言いました、『大丈夫ですよ、こんな田舎に暮らしていたって子どもたちが裸足で遊べる場所は案外ないんです。フツーの親なら文句なしに子どもを裸足にさせますよ』。

決して流暢とは言えない男性の言葉のひとつひとつに、私はむしろ説得力を感じましたね。オープンは今年のゴールデンウィーク、またひとつこの秋田県に応援したい施設の誕生です。

さて明日から四月、トップページの実演スケジュールカレンダーを更新しました。冬季間お休みしていた「母屋」と「がっこ蔵」も明日から営業再開、閉店時刻も全館午後6時となります。
私の草履コーナーは7日と8日だけ娘たちの入学式でお休みしますが、その後は五月末日までノンストップでまいります。
西宮家グランドオープンで、いよいよ今期が本格始動です。エンジン全開でまいりますよっ!

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プロの「商売」。

2008年03月30日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
青のいらかをベースに、合わせはエンジ基調の和柄プリントです。こちらも和柄が効果的ですね、綺麗な草履と思います。

昨晩のテレビ番組で、大工さんや竹細工職人、それに炭作り職人たちが海外へ行って、その匠の技で土地の人々を助けるというのをやっていました。以前も一度観た記憶がありますが、単に人助けをするのではなく、その土地に技術を伝え遺すことが大きいですね。最近バラエティ番組ばかりが目立つ中で、久しぶりにイイ番組を観た気がします。

下世話ながら、おそらく番組出演でもらうギャラはいかほどでもないでしょう。そんな日本の「職人たち」が、後日その土地の人々から届いた手紙や、その後自身の技術がその土地で活かされている映像を見て、涙を流しているんですね。確かに現地の映像に流れる子どもたちの笑顔から、テレビを観ているだけの私たちにも伝わるものがありました。
技術を活かしたモノを売るのは商売でも、技術そのものは商売ではないのかも知れません。

今日実演席に長く座ったのは、この春5年生になる女の子と2年生になる男の子の姉弟。東京から大仙市大曲の親類宅へ遊びに来て、今日はみなさんで角館を訪ねてくれました。
例の如く、子ども二人だけが実演ベンチに残りました。男の子が実演を真剣に観ながら、『へぇ~、すっごく上手っ!』。よくある子どもの言葉ですから、『そっか~、ありがとうなっ』と応えました。するとお姉ちゃんが弟へ、『ナニ言ってんの、プロなんだからねっ』。

遠く海外とまでは言わなくとも、東京に暮らす子どもたちが私の技術を楽しんでくれました。テレビの職人たちには及ばなくとも、帰り際子どもたちの『おじさんありがとう、バイバ~イ!』の言葉に、売上ではない満足感を得ることが出来ます。
女の子の口から出た「プロ」という言葉、まずはこれに恥じることのないよう精進ですなっ。

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ひとつの「本性」。

2008年03月29日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
エンジの無地をベースに、合わせは雅な和柄プリントです。無地と柄物が通常とは逆配色のこちら、実はこのプリント柄がほんの僅かしかなく、合わせでしか活かせませんでした。思い切ってベースを無地にしたところ、なかなか面白い草履になりましたねぇ。世界に一足だけの草履です。

「今日の草履」をお選びくださったのは、東京都国分寺市からお越しのご家族。お父さんにお母さん、そして中学生の女の子と小学生の男の子です。
みなさんで関心高く草履を見ていましたが、女の子が『この草履、おばあちゃんのお土産にしない!?』。お母さんもすぐさま『うん、そうねっ!』。そうして「今日の草履」は、77歳を迎えたおばあちゃんの元へ出発です。

おばあちゃんの草履が決まった後、お母さんと女の子もそれぞれ好きな配色を選んでくださいました。なんとも微笑ましいご家族ですね。
お金を支払うときのお母さん、『あれっ、お父さんは!?』。選ぶのはお母さん、お金を払うのはお父さん、ここでも微笑ましいご家族でした。

家で留守番しているおばあちゃんへのお土産を、孫娘が一番最初に思いつく。こういうのは意識して出来るものじゃないと思うんです。こうした祖父母と孫の関係を推し測るに、おそらく子どもたちが小さい頃から、おばあちゃんは孫の言うことをなんでも笑顔で聞いてあげていたんでしょう。

「言うことをなんでも聞く」というのは、「欲しがるモノを買い与える」という意味ではないんですね。もっと小さな幼児前期、『このご本読んでっ』『積み木で遊ぼっ』『一緒に歌ってっ』という要求をすべて受け入れてあげると、人間はその後に過度な要求をしなくなると云われます。
そしてもうひとつ人の“本性”のようなものでしょうが、「してもらったことは必ずお返しする」ということなんですね。善も悪も、人間は「されたことを忘れない」わけです。

実演で微笑ましいご家族と出会うたび、こうしたことをもっと早く勉強しておけばよかったと反省する草履職人です。

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やっぱり早そうです。

2008年03月27日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
紺基調の葉っぱプリントをベースに、合わせはエンジ基調の和柄プリントです。紺とエンジの相性はバツグンですし、この柄同士もなかなかイイと思います。

昨日今春二回目の「桜開花予想」が出されました。一回目の予想から気温がずっと高かったせいで、やはりまた早まりましたね。秋田市で4月13日だそうです。
角館は例年秋田市の開花から一週間ほど遅れますから、この予想そのままを当てはめると19日か20日という線です。開花から3~4日後に見頃を迎えるとすれば、4月23日~25日が満開の桜を楽しめることになります。
思い起こせば四年前がちょうどこんな感じでした。24日に見頃を迎え、翌25日に降雪に見舞われた年です。

角館の観光に携わる人々の間では、すでにこの開花予想が話題になっています。ただそれは「身内」のみの話で、町外県外からの問い合わせには明確な返答を避けるのが一般的なんです。
過去のブログで何度もお伝えのように、『三度目でやっと満開に当たったよぉ』とか、『五回も来ててまだ一度も満開を見てないんだよぉ』なんて人だっていらっしゃいます。近隣にお住まいであれば正確な情報を持ってお越しになれますが、県外しかも関東以南の方は短期間に何度も来られませんから、「バクチ」に近いものがあるんですね。
相手は自然界、正確な開花予想は誰も分かりません。これを軽々に口にしてはわが身が危険ということなんでしょう。

よって私も軽々しく言いませんが、昨年や一昨年のようにゴールデンウィーク中桜が楽しめることだけはないように思います。
先日角館観光では拠点的な施設の責任者が、ぶらっと西宮家を訪れました。今期実演開始のご挨拶をした後、その方が開花予想の持論を話してくれました。もう何年もの間三月の気温推移を克明に記録しているそうで、今年の三月を例年と比較すると、最高気温・最低気温共に2℃以上高いんだそうです。そしてその方が出した現在までの結論が、前述の通り23日~25日の満開でした。

何度も言うようですが、相手は自然界ですからこれも推測に過ぎません。実際明日の夜は標高の高い地点で雪になるそうです。
いったい今年の桜はいつ咲くんでしょう。そしてどれくらいの方々が「無念」を、また「歓喜」を味わうのでしょうか。毎日大勢の観光客のみなさまと現場で出逢う私たちは、決して「他人事」とは思えないんですね。

一昨日大阪府堺市からお越しのおばさまおふたりと、親しくゆっくりおしゃべりしました。共に初角館で、旅行を知った知人の誰もに『どうして桜の季節に行かないの?』と言われたそうです。
私はおばさまたちに言いました。『確かに桜もイイですけど、人の数もスゴいですよ。今の時期だからこうしておしゃべりできますけど、満開に来てたらきっと角館人との思い出は作れなかったと思いますよ』。
おばさまたちは、『うん、帰ったらみんなにそう言って教えるわっ!』。

たとえ桜が「無念」に終わったとしても、私たちはなんらかの思い出を差し上げたいと常に考えています。

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『も…』。

2008年03月26日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
ピンク基調の桜プリントをベースに、合わせはエンジ基調の和柄プリントです。合わせは昨日と同じなんですが、ベースがこれだけ違うとまったく別モノになりますね。可愛い草履と思います。

今日の角館は二日ぶりの雨でした。明日はまた好天と言いますから、ここのところ晴れと雨の交互ですね。今日はいささか肌寒さを感じましたが、それでも気温は平年並みとのこと。三月に入ってこれまでが暖かすぎたんでしょう。
桜の開花予想が話題に上っています。これからのブログでは、『早そう』と言われている開花についても出来る限りお伝えしていこうと思います。

お隣り旧中仙町からお越しのお母さん、真っ直ぐ草履コーナーへ歩いて来ました。だいたいの場合、真っ直ぐ進んで見える方は初対面ではありません。やはりこちらのお母さんも過去に一度おしゃべりしたことがあります。

『今息子へ送る荷物を作ってるんですけど、この草履を思い出して…』。県外に暮らす息子さんへ、まさに母の愛ですなっ。
『26cmはあります?』と訊かれ、一昨日の奥様のときと同様、今の時期であればすぐ『ありますよ~』と言えます。お母さんは真剣に品定めをはじめました。

独り言のように、『まずこれと、あとは…』。どうやら一足ではなさそうです。『これしかないんでしょ?』と訊かれ、『今持って帰るとすればこれだけですねぇ。いくつ必要なんですか?』とお尋ねすると、『三つ欲しいのよ』。
今の時期は確かにフルサイズ揃ってはいますが、26cmだけたくさんは並べていません。するとお母さん、『そっかぁ、じゃあこれでイイかなっ』。

もちろんお母さんに悪気がないのは分かるんですが、この「も」という言葉には『これで我慢するかっ』という意味が含まれますよねぇ。
一足しかなくても五足あっても言われる言葉、『これしかないんでしょ』なんですね。

十日ほど前の晩飯で、高校入学説明会の「保護者同伴」が話題になりました。当初カミさんひとりが出席する予定でいたのですが、どうやらクラス毎に座るようです。保育園時代からそうですが、クラスが複数ある場合双子は必ず分かれるんですね。

生徒ひとりに保護者ひとりという話になって、カミさんが私へ『仕事休めるが?』。四月の入学式は休む予定でいましたが、入学説明会までは考えていませんから一瞬返答に詰まりました。
これまで私が出席できない場合、祖父母へ応援を頼むことがあります。カミさんが双子へ、『もうひとりは誰に頼む?』。すると長女、『とーさんでイイよっ!』。

『これで我慢するかっ』のオヤジは、明日の説明会にのこのこ出席することと相成りました。どうぞ笑ってやってください(苦笑)。

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主役の座。

2008年03月25日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
紺基調の絣風をベースに、合わせはエンジ基調の和柄プリントです。年齢層としてはあまりお若い女性ではないような感じもしますが、ときにこうした極端な組み合わせも面白いですね。

角館では比較的頻繁になんらかのお店がオープンしています。店主が町の住民というのもあれば、ときに地域外からの出店もありますね。近くオープン予定の「パン屋さん」は、聞くところによると盛岡市で成功している独特なパンだそうです。

商圏人口こそたかが知れているとはいえ、角館には年間200万人をゆうに超える観光客がお越しです。角館以外の商売人も虎視眈々と狙っているんでしょう。オリジナリティーのある商材を売るんでしょうから、町全体としてはバラエティが増すという意味で歓迎できるんじゃないですかね。

ただ地元商店より地域外資本のお店のほうが明らかに繁盛している姿は、正直言って心底嬉しいとは思えないんです。それは他店の繁盛を妬むんじゃなくて、『負けてられるかっ!』という気概の問題ですね。『角館の商人ではもうダメだ…』などとは、毛頭思ってませんから。

角館に生まれ育った商人にとって、この地はいわばホームグランドです。角館の賑わいを創る“主役の座”だけは、地元の人間に担って欲しいんですね。封建的・排他的の批判を覚悟で、角館人の気概だけは持たなければいけないと思うわけです。

3月23日のヤフートピックスに、次のような記事が掲載されていました。ちょっと長いですが、「PTA廃止」というショッキングな話題です。

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進学塾講師による有料受験対策「夜スペシャル」を実施している東京都杉並区立和田中(藤原和博校長)が来年度、PTAを廃止することが分かった。保護者は、地域住民らボランティアで構成している「地域本部」に参加し、「地域全体で生徒を支える仕組みにしたい」(藤原校長)という。公立学校のPTA廃止は全国でも例がなく、新たな論議が起きそうだ。

同中は、リクルート出身の藤原校長が就任した03年に地域本部を設置した。会社を退職した地域住民や主婦、大学生らが学校の支援活動をしている。これまでに、▽放課後に図書室を利用できるようにする自主管理制度▽土曜日に生徒が教室で自習する「土曜寺子屋(ドテラ)」のサポート▽週3~4回、塾講師が有料で受験対策をする「夜スペシャル」の運営--などを手がけている。

 一方、PTAは、保護者を中心に、▽登下校する生徒の安全確保のための見守り▽運動会など行事の手伝い▽保護者の問題意識向上のための研修--などを実施してきた。PTA活動に参加する保護者が減っているため、その啓発に苦労しているという。

 藤原校長は「能力があり、学校支援への意欲を持っている保護者はいるが、マンネリ化『PTA』を敬遠する人は多い。地域本部に統合することで、多様な人材を受け入れたい」と話す。PTAの活動で必要なものは地域本部で行う。また、PTA活動は無償だが、地域本部は交通費など謝礼を出すことも検討しているという。

 同中は5月にもPTA総会に諮り、廃止を正式決定する。全国の公立小中学校が加盟している日本PTA全国協議会(赤田英博会長)からも脱退する。

 文部科学省は来年度から4年をかけ、和田中をモデルに広がっている地域本部を全国の中学校に作る方針で、PTA廃止が他校に影響を与える可能性がある。同省社会教育課は「地域本部と保護者が互いに連携を取り、学校支援活動が活発になればいいのではないか」と話している。

 一方、同協議会の赤田会長は「PTAは保護者の教育という大きな役割があり、一方、地域本部は教員ではカバーできない面を補う別の役割がある。PTA廃止が全国に広がるとは思えない」と話している。

 ◇やっと新しい試み

 ▽ノンフィクション作家・吉永みち子さんの話 現在のPTAは形骸(けいがい)化している。本来、学校を支援したり、親と教師をつなぐものだが、教育現場の荒廃や役員選出の難航ぶりから、機能していないことが分かる。PTA活動を見直し、新しい形を模索する試みがやっと生まれた印象だ。消えた「地域」を取り戻すきっかけになる可能性もある。

 ◇PTA 「Parent Teacher Association」の略で、直訳は「父母と教師の会」。19世紀末に米国の学校で始まり、日本では第二次大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)の指導で全国の学校に作られた。任意団体で、子供の教育環境を良くするために保護者と教師が連携して活動している。

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角館ではないそれこそ他地域の話ですから、この施策そのものの賛否は控えます。ただ思うのは、完全にPTAが否定されましたね。いや、学校事業に対する「親」が否定されました。学校に、『親ではもうダメだ…』と言われたわけです。

学校が地域の中にあるということは分かります。学校運営に広く地域の人材を活用したい思いも分かりますし、その必要性も分かっているつもりです。でもそのためにPTAが要らないのはなぜでしょう。
PTAは児童生徒の保護者と教職員からなる組織です。いわば学校の中では子どもたちに次ぐ「準主役」じゃないでしょうか。

学校=角館、PTA=地元民。主役の座を降ろされるのには、それなりの理由があるんでしょう。それがどうにも悔しくて今日のブログとなりました。
日本PTA全国協議会の赤田会長は秋田市の方です。面識はありませんが、会長さんが言われるようにこの流れが全国に拡がることがないよう祈りたいものです。

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絵描きさんとの縁。

2008年03月24日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
黒地の小花プリントをベースに、合わせは黄色です。黒と黄色は相性がイイですね、こちらも可愛く仕上がりました。

今日の角館は久しぶりの雨です。散策のお客様にはちょっと残念でしたが、適度なお湿りと思える雨ですから住民はまんざらじゃないでしょう。先週はとにかく乾燥がヒドかったです。

町内にお住まいの奥様、ご自身が私の草履を履いてからファンになってくださったおひとりで、これまで何人かへのプレゼントにお買い上げです。今日またお訪ねくださり、『27cmなんだけど、在庫ある?』。桜が咲き出すまでは十分な在庫がありますから、大きな顔で『あるよ~』と言えます。

このたびのブレゼント相手は、東京の著名な漫画家さんなんだそうです。「漫画家」と言えば思い出すのは昨年5月8日のブログですね、ほんとに意外なご愛用者でした。
このたびの漫画家さんはまた別の先生で、やはり聞けばすぐに思い起こせる漫画の作者でした。たまたまお仕事で一緒になって、なにか珍しいものを贈りたいと思っていたんだそうです。

それにしても、草履職人となってから「絵描きさん」との縁が実に多いです。トップページにあるふたつの似顔絵は言うに及ばず、西宮家でご一緒するアトリエフィエスタさんや北村画伯、そして元角館西小学校の校長先生、それに武家屋敷で水墨画を描いているくまさん。
私自身は絵にまったく疎いのですが、これほどの方々とご縁で結ばれた“必然”はなんでしょうかねぇ。

片岡鶴太郎画伯も画を描き出したのは他人からの勧めだったとか。もしかしたら私の晩年は画家かも知れませんなぁ。
なんてことがあるわけがありません、誠に失礼しました。

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自然体が一番。

2008年03月23日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
昨日の「今日の草履」と同じベースに、合わせを紺にしてみました。落ち着いた雰囲気がまたイイですね。大きなサイズは男性用にもいけそうです。

これまでに増して暖かい今日の角館、観光シーズンには未だ早いですが、比較的近くの方々が好天に浮かれたように訪れます。そういう「散歩」にも角館は人気があるんですね。

盛岡市からお越しのご家族、お父さんにお母さん、そして年長さんくらいの男の子です。やはり角館はそうした存在のようで、年に2~3回は訪れるとおっしゃってました。
以前お越しの際に私の実演をご覧とのことで、その後私のホームページも見てくださってるそうです。『今年の実演がはじまったって書いてたので来てみましたぁ』。ありがたいことです。

横手市にお住まいの「いづきさん」がおともだちとお越しです。昨年の秋以来ですか、やはり少しお久しぶりでした。
こちらも春の風物詩、四月から勤務先が変るそうです。このたびは上司へのプレゼントに草履をお買い上げくださいました。喜んでくださればイイですねっ!

そしてもっとお久しぶりだったのが、ちょうど二年前に出逢った元旅回り一座の座長さんです。冬場に一度お越しだったそうですが、私とは今日が二度目の再会でした。
『うん、やっぱり何度見でもこの実演はイイなっ。俺だばこれがほんとの“町おこし”だど思う』。

二年前にも高い評価をいただき嬉しく思ったのを憶えていますが、今日もまた身に余るお言葉を頂戴しました。かつて人様に観られてナンボの生活をした方だからこそ、そうした独特の世界観があるんでしょう。
確かに私は、公開実演というものに一定の「信念」を持っています。ただそれを、「町おこし」などと大義をかざすつもりは毛頭ないんですね。好きでやって、好きな人が観る、そして気に入ってくださった方がお買い上げになる、言ってみれば実に単純な話です。

こうした単純な流れが、観る人によっては「町おこし」なのだとすれば、それはそれで素直に喜びたいとは思いますね。要は「自然体」、大義という名の下に無理をすれば、きっと長続きはしないでしょう。

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訛りマニア。

2008年03月22日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
紺基調の葉っぱプリントをベースに、合わせはエンジです。秋田おばこ調の典型例、やっぱり落ち着きます。葉っぱプリントに赤が含まれる分、可愛らしさが増してますね。

連日好天続きの角館、気温も高く四月中旬の陽気です。このまま桜の季節を迎えるとは思えませんが、こう暖かいとついつい開花予想なんかが話題に上ります。日本列島の南のほうは、どうやら少し早いみたいですね。でもこれにつられて『角館も早そう…』なんてことは言わないでおきます。涙で蕾をご覧の方を、これまで大勢見て来ましたからねぇ。

今期実演スタートから一週間が経過しました。三ヶ月ぶりとはいえ勘が鈍るなんてことはありませんから、もうすっかり実演モードです。
西宮家米蔵の常連さんたちとも、すでに何人かとご挨拶が出来ました。『おっ、はじまったなっ!』と言われると、ついつい笑顔になりますね。『いやぁ~、やっぱりこれだげ並んでれば綺麗だなっ!』とも言われます。ほんとにこれだけ在庫が並んでると、壮観だなぁと私も思いますよ。

名古屋市からツアーでお越しのおばさまグループ、うちのおふたりが高い関心を寄せてくださいました。ひとりのおばさまが、ご購入は決めたものの配色選びに迷っています。お土産の男性用はものの十秒ほどで決まったんですが、ご自身用がなかなか決められません。ようやく決まるまで10分近くかかりましたねぇ、今期まだ一週間ですが、ここまでの最長記録です。
それもこれも悩むだけの展示品があるからですね。「悩ましい」も楽しいひとときと思います。

お若い女性二人旅、おひとりは岐阜県、もうおひとりは栃木県からだそうです。共通の趣味を通じたおともだちなんですね。それぞれに可愛らしい草履をお選びくださいました。
栃木県の女性が大の「東北弁ファン」だそうです。『ゆうべ憧れの鶴の湯温泉に泊まったんですぅ。生の秋田弁が聞けて、それがもう嬉しくて嬉しくて…』。

稀にですが、こうした話をはっきりする方がいらっしゃいます。『東北弁に憧れてて…』とか、『秋田弁ってイイですよねぇ』のようなお話です。
ときに私も迷うことがあるんです。旅行には土地の言葉が“薬味”とは思いながらも、おしゃべりをスムーズに進めるためにはある程度標準語に“訳した”ほうがイイとも思うんですね。

でもこうもはっきり秋田弁に憧れてると言われれば、「マニア向け」に今後は少し考えてみましょうか。

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職人のプライド。

2008年03月21日 | 地域の話


今日の草履は、彩シリーズMグループ23cm土踏まず付き〔4000円〕
クリーム地の小花プリントをベースに、合わせは黄色です。なんとも爽やかな雰囲気がイイですねぇ。やはりお若い女性向きでしょうか、可愛い草履と思います。

昨晩は昭和37年会の定例会でした。毎月20日を例会日とし、出欠も取らず気ままに集まります。でも昨晩がいつもとちょっと違ったのは、会場の飲食店でした。
37年会の仲間のひとりに料理人がいます。彼の自宅は旅館業を営んでいて、建物の一部を改造して料理店を開いたのは10年近く前と思います。37年会の例会会場は、いつも彼の店でした。

独特なセンスが活かされた彼の創作料理は次第に人気となり、とある料理評論家の目に止まります。その後全国展開されている専門誌などに紹介された彼の店は、予約ナシでは入られないほど注目されました。
そんなとき東京の実業家が銀座に新たなレストランを開店させるため、独創的なシェフを全国に求めたんですね。そして白羽の矢が立ったのが同期生である彼だったわけです。
この先何年か彼の料理が食べられない寂しさを感じながらも、銀座という国内トップ級の激戦地へ赴く彼を同期生全員が心から祝福しました。

あれから三年、彼は故郷に錦を飾りました。再びこの角館に店を開いたんです。そして三年ぶりに彼の料理を食べられる日が、昨晩だったというわけです。
久しぶりの味は、やっぱり旨かったです。その「旨さ」というのは、どこかの店と同じ料理を比較しての話じゃないんですね。完全に彼独特の創作料理ですから、口に運んで確かめてからでないとどんな味か分からないんです。
6~7点食べたでしょうか、ほんとに旨いですよ。料理人というより「料理職人」のほうがしっくり来ますね、すべての料理に“プライド”を感じました。

私が草履職人となる以前、樺細工をはじめとする観光土産品の卸売りをしていた頃、何点かオリジナル商品を持っていました。そのひとつが杉製サンダルの踵の部分に桜の皮を貼った「樺サンダル」です。桜皮を貼るのはその道の職人に頼んでいましたが、貼る部分をあらかじめ削り落とす作業は私がしていました。杉製サンダルそのものは既製品ですから二次加工ですね。比較的安価のせいもあって、当時はよく売れたものです。
草履職人となってからは卸売り商売そのものをやめましたし、なにより草履を編む時間のために他の商品まで手が回らなくなっていました。およそ二年前、「樺サンダル」はそんな事情で市場から消滅したんです。

それが数日前、知人が私の「樺サンダル」をとある小売店で買ったというので見せてもらいました。すでに市場にあるはずがないので興味津々見てみると、桜皮の仕上げ方法が若干違う、私の商品を真似たものと分かりました。
私は「樺サンダル」に特許的な申請をしていません。現在私は生産していませんから、真似た商品が発売されていることに憤りはないんです。ただ思うのは、『どうしてまったく同じに作るんだろう』なんですね。

その小売店の店主は自らが樺細工職人です。おそらくそのサンダルも店主が作ったものでしょう。であれば、アレンジすることは容易いはずなんですね。貼り付ける桜皮のデザインを変えるとか、桜皮の上に模様を加えるとか、職人であればなんらかの独自色を出して欲しかったわけです。

モノ作りに生きるひとりとして、私は同期生の「料理職人」と同じようにプライドだけは持ち続けたいと思います。

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